段差のある入口、狭い通路、車椅子で入れないトイレ。改修したくても、費用が壁になる店舗は少なくありません。札幌市の「民間公共的施設バリアフリー補助事業」は、この改修費に最大4分の3、上限150万円を補助する制度です。

対象は、床面積2,000㎡未満の物販店・飲食店・サービス業の店舗、病院・診療所。通信販売専用の事業所など、一般の来店を伴わない業態は対象外です。この線引きには理由があります。制度の目的が「不特定多数の利用者の利便性を高めること」にあるため、来店者がいない施設は対象から外れています。

補助率が2段階に分かれる理由

補助率は、整備基準への適合度で2段階に分かれます。

区分補助率上限額
基準完全適合総事業費の4分の3以内150万円
基準部分適合総事業費の12分の5以内150万円
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「基準完全適合」は、北海道福祉のまちづくり条例が定める整備基準をすべて満たす改修。「基準部分適合」は、その一部だけを満たす改修です。

なぜ補助率がここまで違うのか。基準を全部満たす改修の方が、実際に利用できる人の幅が広がるからです。手すりだけ付けて段差はそのまま、という改修より、通路幅・段差・トイレをまとめて整える改修の方が、市としては優先して支援したい。補助率3/4と5/12という数字の差は、その優先度の差そのものです。

この補助金の概要(早見表)

検索項目内容
申請者事業者(法人・個人事業主)
制度名札幌市民間公共的施設バリアフリー補助事業
対象業種物品販売業・飲食店・サービス業の店舗、病院・診療所
利用目的店舗等のバリアフリー改修(段差解消・トイレ改修等)
対象地域北海道札幌市
従業員数規定なし
補助上限額150万円
補助率基準完全適合: 4分の3以内/基準部分適合: 12分の5以内
申請受付令和8年6月30日〜10月9日
公式サイトhttps://www.city.sapporo.jp/fukushi/setsubi/hojoindex.html
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※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。

対象になる床面積、対象になる工事

対象施設は、床面積2,000㎡未満の建築物に限られます。これより広い施設は、別の枠組み(バリアフリー法の認定等)で扱われる可能性があるため、この補助金の対象外です。

対象工事の例は次のとおりです。

  • 店内の段差解消
  • 出入口・通路幅の拡幅
  • 車椅子使用者用トイレの設置

交付決定より前に着工した工事は対象外になります。見積もりの取得までは進めてよいものの、契約・着工は交付決定を受けてからという順番を守る必要があります。

申請の流れ。建築士相談が最初の一歩

申請までの流れは、次のとおりです。

  1. 事前予約・建築士相談(受付は6月30日から)
  2. 窓口相談(6月30日〜9月30日)
  3. 申請書の提出
  4. 審査・交付決定
  5. 工事の実施(交付決定後に着工)
  6. 完了報告(令和9年3月1日までに提出)
  7. 完了検査
  8. 補助金の交付

窓口相談の受付は9月30日で終わるのに対し、申請受付自体は10月9日まで続きます。相談を後回しにすると、申請書の準備が間に合わなくなる可能性があります。

似ている別の制度、宿泊施設は対象が別枠

札幌市には、名前は似ていないものの混同しやすい制度がもう一つあります。「宿泊施設バリアフリー化補助事業」です。制度の設計思想がまったく違います。

民間公共的施設バリアフリー補助事業宿泊施設バリアフリー化補助事業
対象店舗・飲食店・診療所等旅館業法の許可を得た旅館・ホテル・簡易宿所
補助率4分の3以内/12分の5以内5分の4
上限額150万円客室改修:一室800万円/共用部改修:2,000万円
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上限額の桁が違います。宿泊施設は客室単位・共用部単位で数百万円〜2,000万円という規模。旅館・ホテルを経営している場合は、こちらの制度が対象になっていないかを先に確認してください。

よくある質問

床面積2,000㎡以上の店舗は対象になりますか?

対象外です。床面積2,000㎡未満が条件として明記されています。それ以上の規模の施設は、別の枠組みでの対応になります。

通信販売専用の倉庫は対象になりますか?

対象外です。一般客の来店を伴わない業態は、制度の対象から除外されています。不特定多数の利用者が実際に施設を訪れることが前提の制度です。

賃貸物件でも申請できますか?

申請自体は可能ですが、土地・建物の所有者から工事承諾書を取得する必要があります。申請者が所有者でない場合、この書類が揃わないと申請が進みません。早めに貸主へ相談してください。


店舗の改修は、着工前の申請という順番を間違えると対象外になりやすい分野です。同じようにつまずきやすい自治体の店舗改装・出店系補助金の実例は、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで紹介しています。

札幌市の制度以外にも、自分の事業が対象になる補助金・助成金が他にないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。

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基準完全適合・部分適合のどちらに当てはまるかの判断や、宿泊施設向け制度との切り分けなど、実務に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。

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免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助率・上限額・対象要件・受付状況は変更される場合があるため、申請前に必ず札幌市の公式ページおよび最新の案内で内容をご確認ください。

出典: