この補助金でいちばん多い失敗は、金額ではなく順番です。見積を取って、気に入った業者にそのまま発注した。そのあとで申請したら、交付決定の前に発注したものは補助の対象外でした、という流れです。
札幌市内の観光施設と飲食店が、外国人観光客を迎える設備を整える費用の2分の1を補助します。上限は観光施設が100万円、飲食店が50万円で、受付は2026年12月21日までです。宿泊施設には別の補助金があるので、この記事は観光施設と飲食店の分です。
札幌市観光施設受入環境整備補助金の要点まとめ
正式名:令和8年度札幌市観光施設受入環境整備補助金
だれが
- 申請者
- 市内の観光施設を持つ法人/市内の飲食店
- 対象業種
- 観光施設(博物館・美術館・水族館を含む)、飲食店
- 利用目的
- 多言語化、キャッシュレス、トイレ洋式化など
- 対象地域
- 北海道札幌市
- 従業員数
- 公式ページに記載なし
いくら
- 補助上限額
- 100万円(観光施設)/50万円(飲食店)
- 補助率
- 補助対象経費の1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月24日〜2026年12月21日(先着順)
- 事業の完了
- 2027年2月28日まで(支払いまで)
うちは対象になる?
次の3つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 3
観光施設は、法人格を持つ者が所有する施設に限ります(市の確認用チェックリストにも「法人格を持っていますか?」の質問があります)。本社が市外でも、施設が札幌市内にあれば対象です。逆に、本社が市内で施設が市外なら対象外です。飲食店は個人事業主でも申請でき、その場合は直近1期分の確定申告書の写しが要ります。食品衛生法の許可を受けている店が対象です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 宿泊施設
- ✕ テイクアウト専門店
- ✕ 小売店や遊興施設など
- ✕ 国や自治体が所有する施設
- ✕ 宗教活動や風俗営業の施設
- ✕ 接客やショーが主のバーなど
飲食店のバーやラウンジは、接客サービスやエンターテインメントが主で、飲食が付け足しと見られる業態が対象外です。個別の事業内容で判断が分かれるので、事前に事務局へ相談する形になります。そのほか、弁当や惣菜など、飲食の設備を持たない店も対象外です。
いくら戻ってくる?
かかった費用(税抜)の半分で、千円未満は切り捨てです。上限は1施設につき観光施設100万円、飲食店50万円で、複数の事業を申請しても上限は変わりません。同じ施設の申請は年度内に1回だけです。
- 観光施設が多言語の案内板と翻訳に120万円かける:120万円 × 1/2 = 60万円
- 観光施設がキャッシュレス端末とWi-Fiに240万円かける:240万円 × 1/2 = 120万円 → 上限の100万円
- 飲食店が多言語メニューの制作と翻訳に80万円かける:80万円 × 1/2 = 40万円
- 飲食店が多言語化とヴィーガン対応メニューに140万円かける:140万円 × 1/2 = 70万円 → 上限の50万円
上限に届くのは、観光施設で200万円以上、飲食店で100万円以上かけたときです。
国や北海道の補助金も、同じ事業で併用できます。その場合は、ほかの補助金の交付予定額を引いた金額が、この補助金の対象経費になります。100万円の設備に国の補助金が40万円出るなら、残る60万円の半分、30万円が上限です。札幌市のほかの補助金を同じ事業で受ける場合は対象外です。
何に使える?
対象にならないもの
- 交付決定の前に発注・施工・導入したもの
- 広告宣伝費(SNS広告、集客目的の広告)
- 中古品の購入費、修繕費、従業員の人件費
- 消費税と地方消費税(免税事業者など、要綱で定める事業者は除く)
- 申請書の作成代行費、送料、水道光熱費などの間接経費
- 令和4年度以降のこの補助金で整備したものと同種のもの
対象になるもの(観光施設は9区分、飲食店は4区分)
| 区分 | 経費の例 | 対象 |
|---|---|---|
| 多言語対応 | 多言語の看板、翻訳機器、セルフオーダー、ネイティブチェック、HP・メニューの制作 | 両方 |
| 多様な文化への対応 | ヴィーガン・ハラルのメニュー開発、認証取得、礼拝室 | 両方 |
| キャッシュレス | カードリーダー、POSレジ、券売機の改修 | 両方(飲食店は条件つき) |
| 和式トイレの洋式化 | 洋式化の改修 | 両方(飲食店は条件つき) |
| 収益力を高める対応 | 貸切プランなどの整備、建物のドレスアップ | 観光施設のみ |
| 混雑の分散 | 混雑状況の発信システム | 観光施設のみ |
| 無料公衆無線LAN | 機器の購入、回線の設置 | 観光施設のみ |
| 災害時対応 | 非常用発電機、BCP策定、研修 | 観光施設のみ |
| 環境配慮 | 分別用ごみ箱、給水機 | 観光施設のみ |
飲食店がキャッシュレスと和式トイレの洋式化を申請できるのは、多言語対応か多様な文化への対応をすでに実施していて、外国人観光客の受入環境が十分に整っている場合に限ります。多言語は英語が必須で、簡体字・繁体字・韓国語も整備できます。
申請の流れ
- 事業の中身を決めて見積を取る(事業者→業者。内訳が分かる見積書を)
- 申請書類をメールで事務局に出す(事業者→事務局。2026年12月21日まで。書類がそろってから審査が始まる)
- 交付決定の通知を待つ(札幌市→事業者。書類に不備がなければ受領後おおむね14日が目安)
- 発注・施工・支払いを終える(事業者→業者。交付決定のあと、2027年2月28日まで)
- 実績報告を出す(事業者→事務局。完了から30日後か2027年3月15日の早いほうまで)
- 額が確定したら振込同意書を出す(事業者→事務局。そのあと補助金が振り込まれる)
予算に達した時点で募集は終わります。受付は先着順です。
必要な書類
準備できた 0 / 7
法人は、登記事項証明書か定款(直近3か月以内の発行)も出します。個人事業主(飲食店)は確定申告書の写し、飲食店は営業許可書の写しが要ります。不動産登記簿謄本は、施設が自己所有でなければ賃貸借契約書や業務委託契約書等に替えます。事業計画書(様式2)には、課題、整備内容、期待される効果、実施時期、直近1年間の施設利用者数を書きます。機器を入れるなら仕様が分かる資料、改修なら平面図なども必要です。完了後の実績報告には、契約書、請求書、領収書、納品書、完了前後の写真に加え、取組の内容と得られた効果(アンケート結果、利用者の声など)を書いた実績報告書(様式8)を出します。これらの書類は、事業が完了した年度の翌年度4月1日から5年間、保存します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に着手した:申請の時点で着手済みのものも、決定前に発注したものも対象外です。
- 支払いが期限に間に合わない:2027年3月1日以降の支払いは対象外です。納期が遅れそうなら、すぐ事務局に連絡します。
- 無断で内容を変えた:変更には計画変更等申請書(様式6)と市の承認が要ります。承認なしの変更は、対象と認められないことがあります。
- 設備を勝手に手放した:補助で取得した設備は、耐用年数が過ぎるまで、市の承認なしに売却、譲渡、廃棄、貸付、担保にできません。
- 業者が代わりに計画を立てた:事業計画の作成を受託業者などが代行したと見られると、対象外になるおそれがあります。申請書類は自分で作る前提です。
今年度の変更点・ほかの補助金との違い
増額の変更は原則として認められません。交付決定のときの額が上限になるので、見積の段階で費用を見込んでおきます。
宿泊施設の受入環境整備は、別の補助金(令和8年度札幌市宿泊施設受入環境整備補助金)で募集されています。事務局の名称は宿泊施設と観光施設で共通です。前年度からの要件の変更点は、公式ページに記載がありません。
よくある質問
飲食店でも申請できますか?
申請できます。食品衛生法の許可を受けて市内で営業し、申請日に1年以上営業していて、今後も続ける意思があれば対象です。個人事業主の店も申請できます。上限は50万円で、補助率は2分の1です。対象の区分は多言語対応、多様な食文化への対応が基本で、キャッシュレスとトイレの洋式化は、この2つをすでに実施している場合に限られます。
観光施設の「法人格」は必須ですか?
観光施設の区分では、法人格を持つ者が対象です。市内の観光施設(博物館・美術館・水族館を含む)を所有する法人で、申請日に1年以上事業を営んでいることが条件です。個人事業主は法人格を持たないため、観光施設の区分は対象外と読めます。個人事業主が申請できるのは飲食店の区分です。判断に迷う形態は、申請前に事務局へ確かめてください。
複数の施設で申請できますか?
施設ごとに申請できます。同じ事業者が観光施設を2つ運営していれば、それぞれ上限100万円です。飲食店を2店舗運営していれば、それぞれ上限50万円です。ただし、同じ施設で申請できるのは年度内に1回だけです。上限に届かなかった差額を、あとから再び申請することもできません。
1回の申請で複数の事業を申請できますか?
できます。たとえば多言語対応の経費20万円と多様な文化への対応の経費10万円を、まとめて申請できます。ただし上限は事業ごとではなく、施設ごとの100万円(飲食店は50万円)です。何を申請に含めるかは、交付決定のあとに変えにくいので、最初の申請で整理しておくと安心です。
外国人向けの広告やSNS広告は対象ですか?
対象外です。集客のための広告宣伝費は、補助対象外とされています。多言語のパンフレットや案内表示の制作費は、対象になる場合があります。自社ホームページの多言語化は対象ですが、ホームページの広告掲載費やプロモーション費用は対象外です。翻訳費用が発生しない制作や、日本語版に比べて情報が極端に少ない多言語版も対象になりません。
交付決定前に発注したものは対象になりますか?
対象になりません。申請の時点で着手済みの事業も、交付決定の前に発注・施工・導入したものも補助の対象外です。見積を取ること自体は問題ありませんが、契約や発注は交付決定のあとにします。工事業者の予定が詰まっていても、順番は変えられないので、見積の段階で着工時期を相談しておくと安心です。
消費税は対象経費に入りますか?
原則として含まれません。消費税と地方消費税は補助対象経費から除かれます。ただし、免税事業者や簡易課税事業者など、要綱で定める一定の事業者は含めることができます。自社が当てはまるかは、要綱の定めによるため、事務局に確かめてください。見積書は、税抜の金額が分かる形でもらっておくと計算しやすくなります。
申請から交付決定までどのくらいかかりますか?
書類に不備がなければ、申請の受領からおおむね14日程度で審査結果が通知されます。ただし、申請件数や審査の状況によって前後します。審査は、添付書類を含めて必要な書類がすべてそろった段階で始まるので、足りない書類があると、その分だけ通知が遅れます。出す前に、チェックリストで抜けを確かめておくと安心です。
申請の相談先と説明会はありますか?
事務局は、株式会社JTB北海道事業部内の「宿泊施設・観光施設受入環境整備補助金事務局」です。メールは sapporo-subsidy@bsec.jp、電話は070-1771-8945(平日9時30分〜17時30分)です。オンライン説明会は8月6日と9月11日に開かれました。申請要件確認のチェックリスト(観光施設用・飲食店用)が市の案内ページに公開されています。
交付決定後に事業費が減ったらどうなりますか?
計画変更等申請書(様式6)を出してください。補助金額は、実際にかかった補助対象経費に応じて減額される場合があります。増えた場合は、増額変更が原則として認められず、交付決定のときの額が上限になります。機器を変更したいときも、事前に様式6を出して市の承認を受ける必要があります。
