古い冷凍機やコンプレッサーを入れ替えようにも、見積を取ると金額が大きく、そこで話が止まっている工場は少なくありません。
札幌市の製造業省エネルギー設備導入補助金は、市内に本社と工場がある中小企業の設備更新費用の3/4(上限500万円)を補助します。公募は当初9月30日まででしたが、いったん10月30日に延び、さらに11月30日(月)17時必着に延びました。先着順で、予算額に達した時点で受付が終わります。10月30日時点で、申請額は予算総額の約75%でした。
札幌市 製造業省エネルギー設備導入補助金の要点まとめ
正式名:製造業省エネルギー設備導入補助金(企業向け)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 製造業
- 利用目的
- 省エネ設備の更新、自家消費の発電設備の導入
- 対象地域
- 北海道札幌市
- 従業員数
- 中小企業者等(みなし大企業を除く)
いくら
- 補助上限額
- 500万円(1事業者あたり)
- 補助率
- 3/4
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月6日〜2026年11月30日(17時必着)
- 事業の完了
- 交付決定日から2027年1月5日まで
うちの工場は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
製造業は、新製品や部品をつくっていることを指します。個人事業主は、本店の代わりに住所が札幌市内にあるかを見ます。
中小企業者とは、中小企業基本法で業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっている会社のことです。製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下が基準で、どちらか一方を満たせば該当します。みなし大企業は、大企業が株式や出資金の2分の1以上(複数の大企業なら3分の2以上)を持っている会社、または大企業の役員・職員が役員の半数以上を占める会社を指します。規模が小さくても、この場合は対象外です。このほか、事業協同組合などの中小企業団体と、従業員300人以下のNPO法人も「中小企業者等」に含まれます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 本社か工場が札幌市外にある
- ✕ 事務所・営業所だけが市内
- ✕ 自分の店で直接売るだけ
- ✕ 水産物のパック詰め・選別だけ
- ✕ 工場と別の番地の事務所の設備
直接売るだけとは、つくった食品などを自分の店で個人客に売り、卸売をしていない場合です。水産物は、洗浄や内臓の除去などの加工をしていない場合が対象外です。
工場と同じ敷地にある事務所や営業所の空調・照明なら対象になります。借りている工場や作業場に設備を入れるときは、事前に貸主の承諾を得ているものに限ります。
その設備は対象? 省エネ率10%のライン
対象になるのは、省エネが目的の設備です。更新前後でエネルギー消費量が下がる計算になっていなければ、申請できません。
| パターン | 対象の設備 | 満たす条件 |
|---|---|---|
| A 設備更新 | ボイラ、冷凍冷蔵設備、産業用モーター、コンプレッサー、高効率空調、LED照明、変圧器、工作機械など | 更新前後を比べて年間のエネルギー消費量が10%以上減る見込み |
| B 発電関連 | コージェネレーション、太陽光発電、蓄電池(発電設備と同時に置くときだけ) | 自家消費が目的で、施設全体のエネルギー消費量が5%以上減る見込み |
計算式は「1 −(導入後の年間消費量 ÷ 導入前の年間消費量)× 100」です。導入前を100とおいて導入後が89なら、1 − 0.89 = 11%で、10%の基準を超えます。変圧器だけは消費量ではなく年間損失電力量で比べます。
比べるのは実際の電気代ではなく、メーカーが公表するカタログの定格値です。古い設備が劣化して効率が落ちていても、その分は計算に入れません。
複数の機器をまとめて入れ替えるときは、型番や系統ごとに省エネ率を出し、基準に届いた機器だけが対象になります。エアコン5台とLED100台を1つの計画に入れても、合算で10%を超えれば全部が通る、という扱いにはなりません。
いくら戻ってくる?
対象経費(税抜)の3/4が補助されます。上限の500万円に届くのは、対象経費が約667万円以上のときです。
- 食品加工工場が冷凍冷蔵設備を入れ替える:400万円 × 3/4 = 300万円(自己負担は100万円)
- 金属加工工場が照明をLEDにそろえる:200万円 × 3/4 = 150万円(自己負担は50万円)
- 空調・変圧器・コンプレッサーをまとめて更新する:800万円 × 3/4 = 600万円 → 上限の500万円(自己負担は300万円)
補助金は精算払いで、設備代と工事代を先に自社で支払い、実績報告のあとに入金されます。立て替える資金を見込んでおくと、手元が詰まりにくくなります。
事業計画に対象外の経費が混ざっていると、申請額より減らして交付が決まることがあります。申請が多いときも減額される場合があります。
何に使える?
対象にならないものから先に見ておくと、見積の組み立てで迷いません。
- 新規導入の設備(自家消費の発電設備は除く)
- 省力化・自動化や高性能化が主な目的の設備
- 中古品・リース品
- 取得価額10万円未満、または耐用年数1年未満の消耗品(LEDは除く)
- 自動車・フォークリフトなどの車両
- パソコン、プリンター、電話などの事務機器
- 従業員の福利厚生が主な目的の冷蔵庫、電子レンジ、給湯器、自動販売機など
- 建屋や外構の工事、床の補強工事
- 古い設備の解体・撤去・処分・移設の費用
- 消費税、振込手数料、関連会社から調達する費用
対象になる経費は3つです。
- 設備費(設備本体の購入費)
- 設計費(設備の設計やシステム設計の費用)
- 工事費(設備の導入に不可欠な工事の費用)
設備本体の購入費が入っていない申請は通りません。工事費だけ、設計費だけの申請も対象外です。
発電関連設備は、つくった電気を全量自社の工場で使う場合に限ります。余った電気を売る(FIT・FIPを使う)計画は対象外です。自宅と工場が同じ敷地にあり、自宅側の屋根に付けた太陽光の電気を自宅でも使う場合も、使用量を分けられなければ対象になりません。
申請の流れ(いつ・何をするか)
- 見積を2者以上から取る(事業者→設備業者。申請の時点で有効期限内のもの。補助対象経費の全部がわかる見積にする)
- WEBで申請する(事業者→札幌市のスマート申請フォーム。11月30日17時必着。原本の郵送は不要。受付メールが返信されなければ受付が終わっていないので、事務局へ連絡します)
- 交付決定を待つ(札幌市→事業者。書類に不備がなければ受理から10営業日ほど。決定の前に発注しない)
- 発注・工事・支払いを終える(事業者。交付決定日から2027年1月5日まで)
- 実績報告を出す(事業者→札幌市。完了後14日以内か、2027年1月5日のいずれか早い日まで)
- 補助額が確定して入金される(札幌市→事業者。実績報告の審査のあと)
交付決定の日より前に、発注・納品・支払いのどれかを済ませた経費は、一部でも対象外です。見積を取るのはかまいません。契約は交付決定の通知書が届いてからにします。
必要な書類
準備できた 0 / 15
様式は企-1〜7で、公式サイトの「申請書類・様式」ページにあります。カタログは仕様がわかるもの(メーカーの製品ページでも手に入ります)、見積書は有効期限内のもので、定価証明書は2者の見積が出せないときだけ出します。根拠の証明書はメーカー・納入業者が出す押印つきのもので、登記事項証明書と納税証明書(指名願用)は発行から3か月以内のものです。
決算書は貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書をそろえます。個人事業主は青色申告書の全様式で、マイナンバーと個人の口座情報は黒塗りにします。創業1年未満なら、事業計画書と収支予算書で代わりにします。納税証明書は、窓口で用途を「指名願用」と伝えます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定日より前に、発注・納品・支払いのどれかを済ませた経費は、すべて対象外です。
- 予算がなくなった:11月30日より前でも、申請額が予算額(3億円)に達すると公募が終わります。
- ほかの補助金を受けた設備だった:国や自治体のほかの補助金を受けた設備は対象外です。交付後に分かると、返還になります。
- 機器ごとの省エネ率が届かない:10%(発電関連は5%)に届かない機器は、計画に入れても対象になりません。
- 導入した設備を勝手に処分した:取得価額50万円以上(税抜)の設備は、耐用年数が過ぎるまで(最長10年)、譲渡・貸付・取り壊し・担保提供などに市長の承認が要ります。無断で処分すると、交付決定の取消や返還になります。
今年度の変更点・併用・組合向けの枠
公募期間は、当初の9月30日から10月30日に延び、その後11月30日(月)17時必着に再び延びました。公式サイトのお知らせは10月1日付と11月2日付です。
申請は1事業者につき1回です。交付決定のあとに設備の型番や台数を変えるには、事前に計画変更等承認申請書を出して承認を受けます。補助金額を増やす変更は認められません。複数の工場の照明をLEDにそろえるような計画は、1つの事業計画にまとめれば対象です。
同じ設備について、ほかの補助金と併用はできません。
共同受電設備を持つ事業協同組合には別の枠があり、補助率は4/5、上限は3,000万円です。申請ページも別になっています。
よくある質問
見積だけ先に取ってもいいですか?
見積を取るのは問題ありません。対象外になるのは、交付決定の日より前に発注・契約・納品・支払いをした場合です。見積書は2者以上から、申請の時点で有効期限内のものを取ります。有効期限が短い見積は、申請の前に切れていないかを確かめておくと安心です。交付決定は受理から10営業日ほどかかるので、設備業者にもその間は発注を待つと伝えておきます。
公募はいつまでですか?
2026年11月30日(月)17時必着です。当初は9月30日まででしたが、札幌市が延長を2回知らせました。ただし先着順で、締切の前でも予算額に達した時点で受付が終わります。10月30日時点の申請額は予算総額の約75%でした。見積と書類がそろったら、締切を待たずに出す方が安全です。
事務所と営業所しか札幌市内にない場合は対象になりますか?
対象外です。登記上の本店と、実際にモノをつくっている製造拠点の両方が札幌市内にあることが条件です。製造拠点とは工場や作業場のことで、事務所や営業所だけでは当たりません。製造拠点が市外にある場合も対象外です。本社が市外にある会社も同じです。自社が製造業の分類に当たるかは、事務局に電話で聞いておくと確実です。
自分の店で売っている食品工場は対象になりますか?
つくった食品を自分の店で個人客に直接売るだけの事業所は、産業分類で小売業になるため対象外です。製造業として扱われるには、新製品の製造加工に加えて、卸売業者・小売業者・産業用の使用者などへの卸売も行っている必要があります。パック詰めや選別だけの事業所も対象外です。判断がつかないときは事務局に確認します。
古い設備の撤去費は補助されますか?
補助されません。既存設備の解体・撤去・処分・移設の費用は、対象外の経費として明記されています。建屋の工事や床の補強も同じです。補助額の計算は、新しい設備の購入費・設計費・工事費の合計(税抜)に3/4をかけて行います。撤去費は自己負担になるので、見積の段階で別の項目に分けてもらうと、計算がしやすくなります。
工事費だけの申請はできますか?
できません。設備本体を購入して設備費に計上することが条件で、工事費だけ、設計費だけの申請は対象外です。本体を自費で先に買ってしまい、工事費だけを申請するやり方も通りません。本体の購入も、交付決定のあとに発注する必要があります。見積の段階で、本体・設計・工事を1つの計画にまとめておきます。
太陽光発電の余った電気を売ってもいいですか?
売電はできません。発電関連設備は、つくった電気の全量を自社の工場で使う自家消費が前提で、FITやFIPを使う計画は対象外です。自宅と工場が同じ敷地にあり、自宅でも電気を使う場合は、使用量を分けて測れないと対象になりません。蓄電池は発電設備と同時に設置するときだけ対象になります。
古い機械の効率が落ちています。実際の消費量で比べてもいいですか?
実際の消費量では比べられません。劣化による効率の低下は客観的に証明しにくいため、更新前も更新後も、カタログや仕様書にあるメーカー公表の定格値で計算します。古すぎてカタログがない場合は、メーカーや納入業者に消費量を証明する書類を出してもらいます。この書類には社判の押印が必要で、担当者の個人印では受け付けられません。
補助金はいつ入金されますか?
精算払いです。設備の納品と支払いを終えて実績報告を出し、札幌市の審査で補助額が確定してから、報告書に書いた口座に振り込まれます。入金の時期の目安は、公式サイトには書かれていません。設備代と工事代は先に自社で払うので、その間の資金繰りを用意しておきます。実績報告は、完了後14日以内か2027年1月5日のいずれか早い日までです。
ほかの補助金と併用できますか?
同じ設備について、国や自治体のほかの補助金を受けている場合は対象外です。交付のあとにほかの補助金を受けていたと分かると、返還が必要になります。別の設備なら、それぞれの制度の条件を見て判断します。複数回の設備投資を予定していても、この補助金の申請は1事業者1回だけです。
税込と税抜のどちらで金額を書きますか?
すべて税抜で書きます。見積書の小計(税抜額)をもとに、収支予算書や補助対象経費積算書を作ります。消費税と地方消費税は、一律で補助対象外です。実績報告の精算も税抜の金額で審査されます。見積書に税込の金額しかない場合は、設備業者に税抜の内訳を書いてもらうと、書類の作り直しが減ります。
問い合わせ先はどこですか?
製造業省エネルギー設備導入補助事業事務局です。電話は050-3500-2177、受付は平日9時から17時までで、公式サイトのフォームからも問い合わせられます。製造業に当たるか、省エネ率の計算をどう書くか、予算の残りがどれくらいかなど、申請の前に確かめたいことは先に聞いておくと、書類の出し直しを防げます。
