建物の省エネ基準は、この十数年で大きく変わってきました。断熱性能を上げるだけの基準から、一歩進んだ段階に来ています。消費エネルギーを実質ゼロに近づける「ZEB」「ZEH-M」が、いま広がりつつある考え方です。
札幌市はこの流れを後押しするため、延べ面積300㎡以上のZEB・ZEH-Mを新築する建築主等に、設計支援補助金を用意しています。
補助額は建築物の区分と面積に応じて、60万円〜300万円の定額です。令和8年度の申込期限は令和9年1月29日(消印有効)。ただし予算上限に達すれば、その時点で受付は終わります。
ZEB・ZEH-Mとは?補助対象になる区分を確認
ZEB(ゼロエネルギー・ビル)・ZEH-M(ゼロエネルギー・マンション)は、断熱性能の向上と高効率な設備・創エネによって建物の一次エネルギー消費量を大きく削減した建築物です。省エネ率によって次のように区分されています。
- ZEB系(非住宅建築物)
- ZEB:省エネ率100%以上
- Nearly ZEB:省エネ率75%以上
- ZEB Ready:省エネ率50%以上
- ZEB Oriented:省エネ率30〜40%以上(用途・規模により基準が異なる)
- ZEH-M系(共同住宅)
- ZEH-M:省エネ率100%以上
- Nearly ZEH-M:省エネ率75%以上
- ZEH-M Ready:省エネ率50%以上
- ZEH-M Oriented:省エネ率20%以上
この区分のうち、いずれかの水準を満たす建築物として第三者評価機関のBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)認証を取得することが補助金申請の前提になります。
対象者・対象建築物と補助額
補助対象になるのは、次のすべてを満たす建築主等です。
- 札幌市内に延べ面積300㎡以上の建築物を新築等すること
- 上乗せ設計費を札幌市内の建築士事務所等に支払うこと
- 法人または個人であること(国等は対象外)
- 市税を滞納していないこと
- 暴力団関係事業者でないこと
補助額は建築物の区分と延べ面積によって、次のとおり定額で決まります。
| 建築物の区分 | 延べ面積 | 補助額 |
|---|---|---|
| ZEB | 300㎡以上2,000㎡未満 | 150万円 |
| ZEB | 2,000㎡以上 | 300万円 |
| ZEH-M | 300㎡以上2,000㎡未満 | 60万円 |
| ZEH-M | 2,000㎡以上 | 100万円 |
複合建築物(1棟の中にZEB部分とZEH-M部分が混在する場合等)は、それぞれの用途部分ごとに面積按分して補助額を合算する扱いです。補助対象経費は工事費ではなく、ZEBやZEH-Mにかかる設計検討・省エネ計算に要する費用およびBELS取得費である点に注意してください。断熱材や高効率空調そのものの工事費は対象外で、あくまで「その仕様を検討・計算・認証するための設計フィー」への補助です。
申請の流れ:設計段階での申込みが最重要
この補助金で最も重要なのは、BELS評価書を取得する前に、まず市へ申込みを済ませておく必要があるという順番です。申込日より前にBELS取得を完了させてしまうと、その建築物は補助対象外になります。設計がある程度固まった段階で「これからBELS評価を取りに行く」というタイミングで申込むのが安全です。
タイミング別の流れを整理すると、次のようになります。
- 申込み(設計段階・BELS取得前): 様式1「申込書」を郵送または持参。令和9年1月29日(消印有効)が期限で、先着順・予算上限到達次第終了
- BELS評価書の取得: 申込み後にBELS評価機関へ申請し、ZEB・ZEH-Mの各区分基準を満たすことの認証を受ける
- 完了届の提出: 様式4「補助金交付申請兼完了届」を、設計委託契約書の写し・BELS評価書の写し・補助金交付先口座申請書(様式6)・建物概要書(様式7、Excelデータ含む)とあわせて提出。令和9年3月12日(消印有効)が期限
重要なのは、申込みから完了届提出までの間に設計とBELS取得の両方を終わらせる必要があるため、着工スケジュールから逆算して余裕を持って申込むことです。補助金を受けた建築物は、エネルギー使用状況・執務や居住環境に関するアンケートへの協力と、建築主名・建築物名称・所在地・概要等の公表が条件になります。
札幌市には設備更新を支援する制度もあります。あわせてこちらの記事で解説しています。
この補助金だけで資金計画が完結しない場合は、他に使える補助金がないかもあわせて確認しておくと選択肢が広がります。
設計スケジュールとBELS取得のタイミング設計、複合建築物の按分計算など実務の進め方に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
ZEBとZEH-Mの違いは何ですか?
ZEBは事務所ビルなどの非住宅建築物、ZEH-Mは共同住宅(マンション)を対象にした区分です。どちらも一次エネルギー消費量の削減率に応じてOriented・Ready・Nearly・完全ゼロエネの4段階に分かれており、削減率が高いほど補助額も高く設定されています。
工事費(断熱材・空調設備の費用)は補助対象になりますか?
対象外です。この補助金はZEB・ZEH-Mの設計検討や省エネ計算、BELS取得に要する設計費相当分への補助であり、実際の断熱工事や設備工事の費用は含まれません。工事費については別の国・道の補助制度の活用を検討する必要があります。
個人が建てる住宅(戸建て)も対象になりますか?
対象は延べ面積300㎡以上の建築物です。一般的な戸建て住宅の規模ではこの面積要件を満たさないケースが多く、主に事務所ビルや共同住宅(マンション)などの中規模以上の建築物が対象になります。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・申込期限・予算状況・対象要件は変更される場合があるため、申請前に必ず札幌市の公式ページで最新情報をご確認ください。
出典:
