2026年4月1日から、仙台市の企業立地促進助成金は別の仕組みになりました。雇用加算はなくなり、土地・建物・設備の固定資産税の評価額に対する割合で助成する形に変わっています。
旧制度は新規の受付を終えています。契約や発注より前に、事前協議書を出さなければなりません。旧制度の条件で立てた計画は、ここで見直す必要があります。
企業立地促進助成金の要点まとめ
正式名:企業立地促進助成金(令和8年4月1日施行の新制度)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 製造業、ソフトウェア業、研究開発、本社機能など10区分
- 利用目的
- 市内への新規立地・増設・移転、製造業の設備更新
- 対象地域
- 宮城県仙台市
- 従業員数
- 規定なし(賃借型は市内在住の正社員の人数要件あり)
いくら
- 補助上限額
- 取得型は最大10億円、賃借型は年の上限が業種ごとに異なる
- 補助率
- 取得型は課税標準額の5〜32%、賃借型は賃料の3〜36か月分
いつ・どこへ
- 申請受付
- 随時(受付期間の記載なし。契約の前日までに事前協議書を提出)
自社は対象になるか
助成の形は3つです。建物を取得して事業をする「建物取得型」、借りて事業をする「建物賃借型」、製造業の市内中小事業者が設備を入れ替える「設備更新」です。取得型と賃借型は、新設・増設・市内移転のどれでも使えます。
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次のどれかに当たると、対象外になります。
- ✕ 契約や発注を済ませたあとで相談する
- ✕ 投資額が業種の下限に届かない
- ✕ 設備更新で、製造業の市内中小事業者でない
- ✕ 次世代エネルギー関連業で、産学連携がない
製造業の下限は、市内中小企業者なら1,000万円に下がります(製造業の概要PDF)。投資額の下限になる「特定投資額」は、取得型では新規投資分の建物と償却資産(設備など)の固定資産税課税標準額の合計です。課税標準額は固定資産税の税額のもとになる評価額で、税額そのものではありません。償却資産は、交付申請の年度に1点あたり100万円以上のものだけが対象です。免税点に届かないものは入りません。賃借型は、共益費と消費税を除いた月額賃借料に60を掛けた額に、償却資産の課税標準額を足した額です。
次世代エネルギー関連業は、大学との産学連携(共同研究など)を行う場合に限られます。設備更新は、更新する設備の課税標準額が1,000万円以上であることも要件です。助成の上限は1,000万円です。「市内中小事業者」の定義は、公式ページに書かれていません。資本金や従業員数の基準は、産業集積推進課に確かめてください。
業種ごとの投資額の下限
| 業種 | 取得型の下限 | 賃借型の下限と市内在住の正社員 |
|---|---|---|
| 製造業 | 1億円(市内中小企業者は1,000万円) | 1億円(同左)・1人以上 |
| ソフトウェア・デジタルコンテンツ業 | 1,000万円 | 1,000万円・3人以上 |
| 研究開発施設 | 1,000万円 | 2,000万円(または償却資産300万円) |
| BPO・バックオフィス | 3,000万円 | 3,000万円・5人以上 |
| 特定物流業 | 1億円 | 3億円・1人以上 |
| 半導体・ナノテラス・次世代エネルギー関連 | 1,000万円 | 1,000万円・1人以上 |
| データセンター | 1億円 | 3,000万円 |
| 本社機能(拡充型) | 1,000万円 | 1,000万円・1人以上 |
| 本社機能(移転型) | 2,000万円 | 3,000万円・3人以上 |
| 本店(市外から登記移転) | 5億円・異動と新規雇用の正社員300人以上 | 5億円・300人以上 |
賃借型の正社員の人数は、申請時点の直近3か月間を通じて満たす必要があります。取得型の投資額の下限は、助成金の交付を申請する時点で満たしていれば足ります。
いくら助成されるか
取得型は、新規投資の固定資産税課税標準額に割合を掛けた額が、1回限り交付されます。土地・建物は5〜32%、償却資産は4〜7%です。賃借型は、月額賃借料の3〜36か月分です。設備更新は、課税標準額の1.4%を1回限り交付します。
下の表は基本額と、新設の場合の上限です。地域加算と特別加算がつくと、割合や月数が増えます。加算の条件は公式の助成金概要資料に書かれています。
| 業種 | 取得型の基本額と上限(新設) | 賃借型の基本の月数と年の上限(新設) |
|---|---|---|
| 製造業 | 5%・10億円 | 3か月分・3,000万円 |
| ソフトウェア・デジタルコンテンツ業 | 5%・1億円 | 12か月分・2,000万円 |
| 研究開発施設 | 10%・2億円 | 6か月分・5,000万円 |
| BPO・バックオフィス | 5%・1億円 | 10か月分・3,000万円 |
| 特定物流業 | 5%・5億円 | 3か月分・1億円 |
| 半導体・ナノテラス関連 | 5%・1億円 | 3か月分・2,000万円 |
| 次世代エネルギー関連 | 5%・1億円 | 3か月分・2,000万円 |
| データセンター | 5%・5億円 | 10か月分・3,000万円 |
| 本社機能(拡充型) | 5%・1億円 | 3か月分・5,000万円 |
| 本社機能(移転型) | 10%・2億円 | 12か月分・1億円 |
| 本店 | 30%・10億円 | 24か月分・2.5億円 |
増設と市内移転の上限は、新設より低く決められています。たとえば製造業の取得型は、新設が10億円で、増設と市内移転は3億円です。
計算例は次のとおりです。金額は割合の仕組みを見るための仮の数字です。
- 製造業が工場を取得する(課税標準額3億円):3億円 × 5% = 1,500万円
- ソフトウェア会社が市内のオフィスを借りる(年間平均の月額賃借料50万円):50万円 × 12か月分 = 600万円
- 同じ会社が大きなフロアを借りる(年間平均の月額賃借料200万円):200万円 × 12か月分 = 2,400万円。2年間に月数を按分するので、1年あたり1,200万円で、年の上限2,000万円に収まる
- 市内の製造業者が機械を入れ替える(課税標準額2,000万円):2,000万円 × 1.4% = 28万円
賃借型の額は、年間平均の月額賃借料に月数を掛けて決まります。助成月数が多いと、交付は2〜4年に分かれ、各年に月数を按分します。賃料には1平方メートルあたりの単価上限があり、通常のオフィスは8,000円、サービスオフィスは3万1,000円です。この上限を超える部分は、助成の計算に入りません。
ソフトウェア業の賃借型で下限の1,000万円に届く月額賃借料は、償却資産がなければ約16.7万円です。1,000万円を60で割った額です。
申請の流れ
- 事前協議書を出す(事業者→経済局産業集積推進課。契約の前日まで)
- 助成金の交付指定を申請する(事業者→産業集積推進課。操業開始日の30日前まで。設備更新は設備の使用開始日の30日前まで)
- 操業を始めて、操業開始届を出す(事業者→産業集積推進課)
- 助成金の交付を申請する(事業者→産業集積推進課。投資額などの要件をこの時点で満たす。賃借型は1年目の期間が終わってから2か月以内)
- 請求書を出して受け取る(事業者→産業集積推進課)
事前協議書の期限は、契約の種類で違います。取得型は、土地の売買契約と、建物の売買契約か建設工事請負契約のうち、遅い日の前日までです。賃借型は賃貸借契約日の前日まで、設備更新は設備の売買契約か工事請負契約を結ぶ日の前日までです。
公式ページに書かれているのは、契約日を基準にした期限までです。見積もりを取る段階の扱いは書かれていません。契約は、協議のあとにしてください。
必要な書類
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交付指定の申請には、事業計画書、商業登記簿謄本(または履歴全部事項証明書)、会社概要書、直近3年分の決算報告書を添えます。取得型は売買契約書か工事請負契約書の写しと建築確認の書類、賃借型は賃貸借契約書の写しも要ります。交付申請には、事業報告書、最新の決算報告書、納税関係書類を添え、賃借型は正社員名簿も付けます。
添付書類は、業種ごとの「助成金概要」のPDFにある手続きの欄に載っています。各書類の様式そのものは、公式ページに載っていません。産業集積推進課で受け取ります。
受け取れなくなる、返還になるのはどんなときか
- 契約のあとに協議した:事前協議書は契約の前日までです。期限を過ぎると、この助成の手続きに乗れません。
- 操業を続けなかった:交付を受けると、操業開始日から取得型は10年、賃借型は4〜8年、設備更新は設備の使用開始日から5年の操業継続義務があります。期間中は操業継続報告書を出します。
- 事業を休止・廃止した:期間内に交付対象事業を休止か廃止すると、交付した助成金の全額か一部の返還を求められます。
- 報告が遅れた:操業継続報告書が期限内に出ないときも、返還の対象です。
- 事業を縮小した:床面積か月額賃借料が、交付申請をした時点の2分の1以下になると縮小にあたり、操業継続の期間が2〜4年延びます。廃止は4分の1以下です。縮小・休止・廃止は、起きた日から30日以内に届け出ます。
旧制度との違い
旧制度は、新規投資の固定資産税等相当額の100%を3〜5年間交付し、さらに新規雇用1人につき10万〜100万円の雇用加算がありました。新制度は雇用加算をなくし、課税標準額への割合と賃料の月数で額を決めます。交付期間も1〜4年に短くなりました。
旧制度は、仙台市のページで「新規受付は終了しました」と案内されています。令和8年度以前の概要として残されているだけです。旧名称の資料で検索すると、今は使えない条件が出てきます。
旧制度で事前協議を終えていた案件の扱いは、公式ページに書かれていません。該当する事業者は、産業集積推進課に確かめてください。
よくある質問
助成金の上限額はいくらですか?
一律の上限はなく、業種と助成の形で決まります。取得型の新設では、製造業と本店が10億円、研究開発施設が2億円、ソフトウェア業が1億円などです。賃借型は、年あたり製造業で3,000万円、本社機能(本店)で2.5億円などです。地域加算と特別加算がつくと上限も増えます。自社の業種の概要PDFで確かめます。
どの業種が対象ですか?
10区分です。製造業、ソフトウェア・デジタルコンテンツ業、研究開発施設、本店・本社機能、BPO・バックオフィス、特定物流業、半導体関連業、ナノテラス関連業、次世代エネルギー関連業、データセンターです。日本標準産業分類での区分や、事業の内容の条件が業種ごとに決まっています。小売業や飲食業など、この10区分に入らない業種は対象外です。
契約してしまったあとでも申請できますか?
事前協議書は契約の前日までの提出が条件で、公式ページにはそれ以降の救済は書かれていません。取得型は土地か建物の契約のうち遅い日の前日、賃借型は賃貸借契約日の前日、設備更新は売買契約か工事請負契約を結ぶ日の前日が期限です。すでに契約した場合は、例外の扱いがあるかを産業集積推進課に電話で確かめるしかありません。
市内で借りるだけでも使えますか?
使えます。建物賃借型があり、新設・増設・市内移転のどれでも対象です。月額賃借料の3か月分から36か月分が交付されます。ソフトウェア業は基本12か月分、BPOは10か月分、本店は24か月分と、業種で月数が違います。ソフトウェア業・BPO・研究開発施設は、サービスオフィスにも対応しています。ただしサービスオフィスは3か月分までで、地域加算と特別加算の対象外です。市内移転は、新旧の家賃の差額が助成の対象です。条件は市内在住の正社員の人数と投資額です。
設備更新は誰が使えますか?
製造業を営む市内の中小事業者に限られます。新規投資に係る設備の固定資産税課税標準額の1.4%が、1回限り交付されます。事前協議書は、設備の売買契約か工事請負契約を結ぶ日の前日までに出します。操業継続義務は、設備の使用開始日から5年です。「中小事業者」の基準は公式ページに書かれていないので、産業集積推進課に確かめます。
雇用加算はもうありませんか?
2026年4月1日の新制度でなくなりました。旧制度は新規雇用や異動の正社員1人あたり10万〜100万円を、助成期間内に一度限り加算していました。業種ごとに人数の条件があり、製造業は20人以上、ソフトウェア業は市内在住の5人以上でした。新制度では、人数に応じた加算はありません。ただし賃借型には、業種によって市内在住の正社員が1〜5人以上いるという要件があります。取得型の本店には、異動と新規雇用の正社員300人以上という要件があります。
助成金はいつまで、何回受け取れますか?
助成金の交付期間は、新制度で1年間から4年間に短縮されました。取得型は新規投資分について1回限りの交付です。賃借型は、業種ごとの基本の月数と加算に応じて、年あたりの上限の範囲で交付されます。申請の受付期間は公式ページに書かれていません。ただし、事前協議書の期限が実質の締切にあたります。
操業継続義務とは何ですか?
助成を受けたあと、一定期間は事業所を動かし続ける義務です。操業開始日から、取得型は10年間、賃借型は4〜8年間、設備更新は設備の使用開始日から5年間です。期間中は操業継続報告書を出します。期間内に事業を休止・廃止したり、報告が期限に遅れたりすると、交付した助成金の全額か一部の返還を求められます。助成額より先に、この年数を事業計画に入れておきます。
特定投資額とは何ですか?
業種ごとに決められた、投資額の下限を測る数字です。取得型では、新規投資の建物と償却資産の固定資産税課税標準額の合計です。賃借型では、共益費と消費税を除いた月額賃借料に60を掛け、償却資産の課税標準額を足します。製造業の取得型は1億円以上、ソフトウェア業は1,000万円以上など、下限は業種で違います。助成金の申請の時点で満たしていれば足ります。
個人事業主でも申請できますか?
法人か個人事業主かによる制限は、公式ページに書かれていません。対象の業種に当たり、投資額の下限を超え、賃借型なら市内在住の正社員の人数も満たすかどうかが基準です。個人事業主の可否や、正社員に事業主本人が入るかは、公式ページで確かめられません。事前協議の段階で、産業集積推進課に確かめておくと安心です。
地域加算と特別加算とは何ですか?
基本額に上乗せされる加算です。地域加算は割合や月数を増やします。たとえば製造業の取得型は、土地・建物の基本額5%に、地域加算で5%、特別加算で2%が足されます。地域加算は、市が決めた地域に立地するときの上乗せです。製造業の取得型では、蒲生北部、泉パークタウン、泉インターシティ、松原工業団地、東部の工業専用地域・準工業地域、岩切山崎今市東の6地区が対象です。ソフトウェア業などの賃借型では、都市再生緊急整備地域の都心部が対象です。特別加算の一つの再生可能エネルギー利活用は、建物への助成に2%を足します。条件は、年間の電気使用量が15万kWh以上、100kW以上の自家消費型太陽光発電を入れる、10年以上再エネ由来の電力を調達してCO₂排出を実質ゼロにする、の3つです。交付指定の申請のときに市の環境局へ事前相談をして、交付申請のときに確認を受ける必要があります。加算できるのは建物への助成だけで、加算額には上限の算式があります。ほかの特別加算は、業種ごとの助成金概要のPDFで確かめます。
問い合わせ先はどこですか?
仙台市経済局産業集積推進課です。住所は、仙台市青葉区国分町3-6-1 表小路仮庁舎9階です。電話は、ものづくり産業係が022-214-8245、都市型産業係が022-214-8276です。東京の窓口は総務局東京事務所で、電話は03-3262-5765です。事前協議の相談は、契約を決める前に連絡すると期限に間に合わせやすくなります。
