仙台市の「海外販路開拓チャレンジ支援助成金」は、市内の中小企業者が行う海外展示会出展・輸出・越境ECなどの海外販路開拓の経費を、助成率最大3分の2・上限100万円まで助成する制度です。翻訳費や渡航費、通関費など「海外展開にかかる細かい費用」を幅広くカバーできるのが特徴です。

この助成金でできること

海外の見本市に出展したい、自社商品を海外向けECサイトで売りたい、輸出に必要な認証・通関の手続きを進めたい――こうした海外展開の各段階でかかる費用を、仙台市が助成してくれる制度です。対象となる事業は次の4つです。

  • 海外販路開拓事前準備及びFS調査に係る事業
  • 海外への電子商取引等に係る事業
  • 国際見本市出展に係る事業(海外向けオンライン出展を含む)
  • 輸出に係る事業

令和8年度の受付期間は令和8年4月1日〜令和9年3月1日(予算の執行状況により予告なく終了する場合あり)で、事業の実施および経費の支払いも令和9年3月1日までに完了させる必要があります。

対象になる事業者の要件

助成対象者になるには、次のすべてを満たす必要があります。

  • 中小企業者で、仙台市内に主たる事業所を有すること
  • 原則として自ら企画・開発した商品、または自ら製造(加工)に関与する商品を海外市場へ展開する者であること(商社・卸売業など、他者が開発・製造した商品の仕入販売や取引の仲介を主たる事業とする者は対象外)
  • 同一年度内に本助成金を受けていないこと
  • 市税を滞納していないこと(法人は市民税・事業所税の申告も必要)
  • みなし大企業(大企業の出資・役員比率が一定以上を占める企業)でないこと
  • 暴力団等と関係を有していないこと
  • 公的機関等から同一の経費区分について助成を受けていないこと

自社ブランドの食品や工芸品を輸出したいメーカー、自社開発のアプリやサービスを海外向けに展開したいIT企業などが主な対象で、他社商品の輸出代行のみを行う商社・卸売業は対象外になる点に注意が必要です。

海外展開の費用構造:何が対象経費になるのか

海外展開のコストは「事前準備」「EC」「見本市出展」「輸出」の4段階でかかる費用の性質が大きく異なります。この助成金は、それぞれの段階に応じて対象経費が細かく分けられています。

  • 事前準備・FS調査: 翻訳費、自社Webサイト等の海外向けプロモーションコンテンツ制作・改修費、海外市場向け商品・サービスの仕様変更費、海外市場調査を外部委託する調査委託費、渡航のための旅費(航空費・宿泊費は2名分・7泊が上限)
  • 電子商取引等: 海外向けECモールの出店・プラットフォーム利用料、自社ECサイトの構築・改修費、海外向け広告・マーケティング費、コンテンツ制作・多言語化費
  • 国際見本市出展: 旅費、会場借料・小間料などの会場費、現地通訳費、出展製品やサンプルの輸送費、展示ブース用の広報・宣伝活動費
  • 輸出: 通関・輸出手続費、国際輸送・梱包・貿易書類取得費、国内輸送・荷役・保管費、輸出検査・証明取得費、貿易保険等の保険料、輸出先国の認証・規制対応費、表示・ラベル・取扱説明書等の改版・印刷費、契約書作成などの法務費、送金手数料等の決済関連費

一方、国内取引分の消費税・地方消費税相当額、振込手数料、収入印紙代、通信費等の間接経費や、飲食費・交際費、周遊券・フリーパスなどの乗り放題券は対象外です。翻訳費・Webサイト制作費・EC関連費用については、原則2社以上から相見積もりを取り、比較可能な見積書を提出する必要がある点も実務上のポイントです。

さらに重要なのは、旅費・会場費を除き、交付決定前に発注・契約・支払いをした経費は原則対象外という点です。渡航や見本市出展の旅費・会場費に限っては、交付決定前に支払い済みでも、交付決定日以降に見本市開催やFS調査が実施されるなら対象になり得ますが、審査の結果不交付となった場合は対象外に戻ります。

助成率・助成上限額のしくみ

助成率と上限額は一律ではなく、過去に活用した公的機関の海外展開支援事業の有無によって3段階に分かれます。

区分助成率標準上限額重点産業かつ重点地域に該当する場合
基本(公的支援の活用実績なし)1/210万円20万円
JETROの輸出支援相談等(別表2-3)を活用済み1/225万円(初めての海外事業なら50万円)50万円
JETRO新輸出大国コンソーシアム等(別表2-2)に採択済み2/350万円(初めての海外事業なら100万円)100万円
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重点産業(健康福祉産業・工芸品産業・食品産業)または重点地域(タイ・台湾)への展開に該当すると上限額が段階的に上がり、両方に該当する場合が最も手厚くなります。つまり、すでにJETROや中小機構の海外展開支援を受けた実績がある企業ほど、この助成金でも上限が引き上がる設計です。初めて海外販路開拓に取り組む場合も、上位2区分では上限額が優遇されます。

申請から助成金受給までのタイミングと必要書類

この助成金は「交付申請→交付決定→事業実施→実績報告→額の確定→請求」という流れで進みます。特に重要なのは、事業を始める前に申請を終えておく必要があるという点です。

  1. 交付申請(原則、事業開始日の1ヶ月前まで): 助成金交付申請書に、事業計画書・収支予算書・経費見積書等・(相見積もり未実施の場合)選定理由書・公的支援活用を証明する書類(該当する場合)・FS調査概要や見本市案内等の資料・会社概要書を添えてメールで提出
  2. 交付決定(申請到達から14日以内): 市が要件・内容を審査し、交付決定通知書または不交付決定通知書で通知
  3. 事業の実施: 交付決定後、令和9年3月1日までに事業実施・経費支払いを完了
  4. 実績報告(事業終了後1ヶ月以内、または実施年度の3月10日のいずれか早い日まで): 実績報告書・収支報告書・成果物(翻訳資料、展示会出展の証憑等)・領収書等の証拠書類を提出
  5. 額の確定・請求(確定通知受領から10日以内): 市が実支出額と助成率から確定額を算出し、通知後10日以内に請求書を提出すると助成金が支払われる

実績報告の締切は「事業終了後1ヶ月」と「3月10日」のいずれか早い方になるため、年度後半に事業を実施する場合は特に締切管理に注意が必要です。

なお、この助成金と仙台市輸出入チャレンジ支援助成金は合算して通算5回が申請の上限で、同一年度内に本助成金を重ねて受けることもできません。

販路開拓は国の補助金が使えることもあります。あわせてこちらの記事で解説しています。

あわせて読みたい【全国】小規模事業者持続化補助金とは?何に使える・いくらもらえる・対象は古くなった陳列棚を、動線に合わせた売り場に一新したい。電話とメモ書きでバラバラに管理していた予約を、システムでまとめて効率化したい。展示会に出展して、新しい取引先を開拓したい――。 業種を問わ…12分で読めます

よくある質問

個人事業主でも対象になりますか?

対象者の要件は「中小企業者」であることで、中小企業基本法上の定義には個人事業主も含まれます。仙台市内に主たる事業所を有し、自ら企画・開発した商品を海外展開するのであれば、個人事業主も対象になり得ます。商社・卸売業など他者商品の仕入販売・仲介を主たる事業とする場合は対象外です。

交付決定前に契約・発注をしてしまうと対象外になりますか?

原則として交付決定前の発注・契約・支払いにかかる経費は対象外です。例外は国際見本市出展やFS調査に伴う旅費・会場費で、交付決定前に支払っていても交付決定日以降に見本市開催や調査が行われる場合は対象になり得ます。ただし審査の結果不交付となった場合は、この例外も対象外に戻ります。迷った場合は契約前に販路開拓支援係へ相談するのが安全です。

何回でも申請できますか?

同一年度内にこの助成金を重ねて受けることはできず、仙台市輸出入チャレンジ支援助成金と合算して通算5回が申請の上限です。複数年度にわたって段階的に海外展開を進める場合は、この回数枠を意識してスケジュールを組む必要があります。


海外販路開拓の進め方や、事業計画書の書き方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。

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免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。助成率・上限額・対象経費・申請要件は変更される場合があるため、申請前に必ず仙台市の公式ページおよび最新の交付要綱で内容をご確認ください。

出典: