社員の奨学金返還を手当や代理返還で支える会社に、静岡市がその費用の一部を補助します。中小企業なら支援額の2/3、1人あたり年12万円まで、最大6年間で72万円です。ただし返還支援の社内規定を作った日より前に採用した社員は、補助の対象になりません。
補助を受けるのは社員ではなく会社です。会社が社員のために払った費用の一部を、市があとから会社へ補助する形です。規定づくりから逆算して動くと、取りこぼしが減ります。
静岡市 奨学金返還支援事業補助金の要点まとめ
正式名:静岡市奨学金返還支援事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 従業員の奨学金返還の支援(人材確保)
- 対象地域
- 静岡県静岡市
- 従業員数
- 規定なし(中小企業か大企業かで補助が変わる)
いくら
- 補助上限額
- 従業員1人あたり累計72万円(中小企業)
- 補助率
- 中小企業2/3、大企業1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月8日〜2027年2月26日
- 事業の完了
- 2027年3月31日までに支援を実施
- 公式サイト
- 静岡市「奨学金返還支援事業」
うちの会社は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
本店と本社が市外でも、市内の事業所が正社員の採用権限を持っていれば対象です。労働関係法令に違反している会社、風俗営業などの事業者、国・県・市町村が出資している事業者は、ほかの条件を満たしても対象外です。支援する社員は、申請の年度に貸与型の奨学金を返還中か、返還予定である必要があります。正社員は、週20時間以上の無期雇用契約を結んでいる人を指します。国や他の自治体、民間団体の奨学金返還支援の助成金を、同じ年度に受ける予定がある場合も対象外です。
次のどれかに当たる社員は、支援しても補助の対象外です。
- ✕ 規定を作る前に採用した社員
- ✕ 役員など事業主と同じ立場の人
- ✕ 市外勤務を前提に採用した人
- ✕ 公務員
- ✕ 他団体から返還支援を受けている人
採用日の基準は、規定の作られた時期で変わります。2025年11月1日より前から返還支援の制度がある会社は、同日以降に採用した社員が対象です。同日より後に制度を作る会社は、規則や規程を整えた日以降に採用した社員だけが対象です。
個人事業主の同居親族も対象外ですが、勤務実態や勤務条件がほかの従業員と同じなら対象になる場合があります。年齢と住所に制限はありません。
自社が中小企業に当たるかは、業種ごとの基準で決まります。資本金または従業員数の、どちらか一方が基準以下なら中小企業です。
| 業種 | 資本金 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ソフトウェア業や旅館業など、このほかの区分は交付要綱の別表に載っています。大企業が株式の2分の1以上を持つ会社などは、規模が小さくても大企業の扱い(みなし大企業)になります。
いくら戻ってくる?
社員に支払った返還支援の額に、中小企業は2/3、大企業は1/2をかけた額です。1人あたり年12万円(大企業は年9万円)が上限で、最大6年間(72か月分)まで続きます。累計では中小企業72万円、大企業54万円です。
- 年18万円の返還を全額支援する:18万円 × 2/3 = 12万円(上限ちょうど)
- 年18万円の返還の半額を支援する:9万円 × 2/3 = 6万円
- 年24万円の返還を全額支援する:24万円 × 2/3 = 16万円 → 上限の12万円
- 大企業が年18万円を全額支援する:18万円 × 1/2 = 9万円(上限ちょうど)
最初の例なら、会社の持ち出しは18万円から12万円を引いた6万円です。支援額が年18万円を超えると、超えた分は全額が会社の負担になります。補助の額に1円未満の端数が出たときは切り捨てです。
何に使える?
支払いの形は、手当で社員に渡すか、会社が返還先へ直接払うかの2通りです。
対象にならないもの
- 返還計画の72か月分を超える部分
- 交付決定の前に始めた支援
- 社員が返した年度の翌年度を過ぎて払った手当
- 社員に給付額の返還義務を負わせる仕組みの給付
対象になるもの
- 手当・給与などで社員に支給した返還支援金(社員が奨学金を返した年度かその翌年度に支払ったもの)
- 会社が社員に代わって、その年度中に返還先へ直接送金した代理返還の額
対象の奨学金は、日本学生支援機構の奨学金と、地方公共団体・大学・民間企業や団体が貸す奨学金です。社員が前の会社で同じ補助の対象になっていた場合は、その月数も72か月に含まれます。
交付要綱は、支援制度として認められないものに「給付の対象になった社員が退職した場合」と「給付額の返還義務を社員に負わせるもの」を挙げています。退職時の扱いを規定にどう書くかは、資料から読み取れませんでした。規定を作る前に商業労政課へ見せておくと、書き直しを防げます。
申請の流れ
- 返還支援の規定を整える(会社→自社。就業規則や賃金規程に明文化し、年1回以上の給付を決めておく)
- 交付申請をする(会社→静岡市 商業労政課。オンラインのフォームで、2027年2月26日までに。社員への支援を実施する前に出す)
- 交付決定を受ける(静岡市→会社。決定の前に支援を始めない)
- 社員へ支給するか、代理返還をする(会社→社員か返還先)
- 実績報告を出す(会社→静岡市。事業が完了したとき、または年度末の3月31日から15日以内のいずれか早い日まで)
- 請求書を出す(会社→静岡市。確定通知の日から10日以内)
- 補助金が振り込まれる(静岡市→会社)
オンライン申請が難しければ、商業労政課へ連絡したうえで、書類を持参か郵送します。全ての書類が不備なくそろった時点で受付になるため、不明点は早めに聞いておくのが安全です。
必要な書類
交付申請のときの書類です。
準備できた 0 / 8
個人事業主は、履歴事項全部証明書の代わりに開業届の写しなどを出します。雇用契約書は労働条件通知書でも構いません。返還明細書などには、返還総額、残額、回数、月額、開始日、終了日が分かるものを使います。市税の証明書の取り方は、申請前に商業労政課へ聞くと確実です。
実績報告のときは、実績報告書(様式10)と事業報告書(様式11)に加えて、給与明細書や賃金台帳の写しを出します。代理返還の場合は、月ごとの送金が分かる書類が代わりになります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 支援を先に始めた:交付決定の前に支援を始めると、補助を受けられません。やむを得ない場合は事前着手届を出して承認を得る方法がありますが、その年度の4月1日より前には遡れません。
- 規定の前に採用した社員を数えた:対象は、規定を整えた日以降(または2025年11月1日以降)に採用した社員だけです。
- 他の返還支援の助成金を受けた:国や自治体、民間団体の同じ目的の助成金を同じ年度に受けると、会社そのものが対象外になります。
- 補助金を別の目的に使った:交付決定の取り消しと返還を求められることがあります。
- 予算が尽きた:2027年2月26日の前でも、予算に達し次第、受付を一旦終えることがあります。
記録の保存と変更の手続き
交付決定のあとで内容を変えたり、中止したりするときは、変更や中止の承認申請が別に要ります。市から事業の進み具合の報告を求められることもあります。
補助事業のお金の出入りが分かる書類は、事業が完了した年度の翌年度から5年間保存します。
よくある質問
社内に規定がまだない場合、申請は間に合いますか?
規定を整えたうえで申請する流れです。手引きは、申請日時点で返還支援の制度を設けていることを要件に挙げています。受付は2027年2月26日までですが、予算に達し次第終わることもあります。規定づくりに時間がかかる会社は、就業規則の見直しの相談を無料で受けられる静岡働き方改革推進支援センターを使う手もあります。規定を整えた日が採用日の基準になる点にも注意してください。
すでに在籍している社員の返還も対象になりますか?
規定を整えた日より前に採用した社員は対象になりません。2025年11月1日より前から返還支援の制度がある会社は、同日以降の採用者が対象です。同日より後に制度を作る会社は、規則や規程を整えた日以降の採用者だけが対象になります。既存の社員の返還を支える場合も、補助の対象にならない部分は会社の持ち出しになるため、予算の見通しを立ててから決めるのが安全です。
契約社員やパートの返還も対象になりますか?
対象は正社員です。交付要綱では、週20時間以上の無期雇用契約を結んでいる人を正社員としています。有期の契約社員や、週20時間に満たないパートは当たりません。雇用形態の判断は、申請のときに出す雇用契約書や労働条件通知書で確かめられます。境目にいる人がいる場合は、申請の前に商業労政課へ相談しておくと、後から対象外と分かる事態を避けられます。
本社が市外で、静岡市に支店がある場合は使えますか?
使える場合があります。本店と本社が市外でも、静岡市内の事業所が正社員の採用権限を持っていれば対象です。ただし、支援する社員は市内での勤務を前提に採用した人に限られ、市外勤務が前提の現地限定採用などは対象になりません。市内事業所に採用権限があることを説明できるよう、社内の規定や組織の資料を用意しておくと進めやすくなります。
手当で渡す方法と代理返還は、どちらが有利ですか?
どちらも補助の対象で、補助率や上限は変わりません。手当・給与で社員に支給する場合は、社員が奨学金を返した年度かその翌年度に支払ったものが対象です。代理返還は、会社が返還先へ直接送金する方法で、その年度中の送金が対象になります。実績報告に出す書類が違い、手当は給与明細書や賃金台帳、代理返還は月ごとの送金の実績が分かる書類です。
社員の返還額の半分だけ支援しても補助されますか?
補助されます。補助の額は、会社が実際に支払った額に補助率をかけて決まります。社員が年18万円を返還し、会社が半額の9万円を支援した場合、中小企業なら9万円の2/3で6万円です。大企業なら9万円の1/2で4.5万円になります。上限は支援額ではなく補助の額にかかるため、年12万円に届くのは、支援額が18万円以上のときです。
大企業でも申請できますか?
申請できます。補助率は1/2、上限は1人あたり年9万円で、最大6年間の累計は54万円です。中小企業か大企業かは、業種ごとの資本金と従業員数の基準で決まり、どちらか一方が基準以下なら中小企業です。大企業が株式の2分の1以上を持つ会社などは、みなし大企業として大企業の扱いになります。判定に迷うときは、手引きの「企業区分の判定」の表を見るか、商業労政課に聞いてください。市の簡易フローチャートは、中小企業か大企業かではなく、補助の対象になりそうかを確かめるものです。
社員が途中で退職したらどうなりますか?
資料には、退職後の扱いを細かく定めた記載がありませんでした。交付要綱は、支援制度の定義から「給付の対象になった社員が退職した場合」と「給付額の返還義務を社員に負わせるもの」を除いています。退職した社員に支払う分が補助の対象になるか、規定にどう書くかは、商業労政課(電話 054-354-2430)に申請の前に確かめておくと安心です。
他の会社で支援を受けていた社員の場合、6年の数え方は?
前の会社で同じ補助の対象になっていた月数も、72か月に含めて数えます。たとえば前の会社の分が24か月あれば、今の会社の分は最大48か月です。社員の転職歴によって、会社が受け取れる期間が6年より短くなることがあります。採用の段階で、前の会社の返還支援の有無を確かめておくと、補助の見込みが立てやすくなります。
他の奨学金返還支援の助成金と併用できますか?
併用できません。国、地方公共団体(静岡市を含む)、民間団体などが実施する奨学金返還支援の助成金を、同じ年度に受けている(予定を含む)会社は、補助の対象外です。社員の側が他の団体から重ねて返還支援を受けている場合も、その社員は対象になりません。他の助成金への申請を考えているときは、先に商業労政課へ相談しておくのが確実です。
制度を導入した会社の登録は、補助を受けるために必要ですか?
登録は補助の要件ではありません。市は、制度を導入した企業に、専用のフォームから登録するようお願いしています。登録した企業は市のホームページなどで紹介され、学生や求職者への発信に使われます。補助の申請とは別の手続きです。市の簡易フローチャートは、対象になりそうな企業に、まず登録するよう案内しています。採用の場面で制度を知ってもらいたい会社には、登録しておく価値があります。
問い合わせ先はどこですか?
静岡市 経済局商工部 商業労政課 雇用・産業人材係です。電話は054-354-2430、窓口は清水区旭町6-8の清水庁舎5階で、平日に受け付けています。補助金についての質問は、市の問い合わせフォームやメールでも送れます。メールは、書類の確認の連絡が届くよう、市のアドレスからの受信を許可しておいてください。迷惑メールのフォルダも、申請のあとはこまめに見ておくと安心です。
