静岡市の「機械設備設置に対する助成」は、市内に製造拠点を持つ中小製造業者が1点500万円以上の機械設備を導入する費用の一部を、最大750万円まで補助する制度です。正式名称は「中小企業事業高度化機械設備設置事業補助金」で、令和8年度分の申請受付は5月12日9時から始まっています。

なぜ静岡市はこの助成を用意しているのか

静岡市は地域経済を支える製造業の競争力強化を目的に、この助成を運用しています。単に設備投資を後押しするだけでなく、省エネルギー性能の高い設備の導入や、従業員の賃上げに取り組む事業者ほど補助率が上がる仕組みになっているのが特徴です。老朽化した設備の更新や、新しい製品ラインの立ち上げにともなう大型投資を検討している市内の製造業者にとって、投資の後押しになる制度です。担当窓口は静岡市経済局商工部産業振興課(経営支援係)です。

対象になる事業者・設備を具体例で見る

補助対象になるのは、次の要件を満たす事業者です。

  • 中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であること
  • 日本標準産業分類 大分類E「製造業」に該当する事業者であること
  • 静岡市内に製造拠点を有していること

導入する機械設備の側にも要件があります。

  • 地方税法に規定する償却資産のうち「機械及び装置」に該当し、耐用年数1年以上のものであること
  • 1点あたりの取得価格が500万円以上であること
  • 導入によって「生産性の向上」または「新製品の開発・製造」のいずれかが見込まれること

具体的にどんなケースが当てはまるか、業種別に3パターンで見てみます。

  • 食品加工業者が老朽化した充填機を更新: 老朽化した充填機を、生産性向上が見込める最新の高速充填機(取得価格600万円)に入れ替えるケース。基本要件(生産性向上)のみを満たせば、補助率5%=30万円の補助が受けられる
  • 金属加工業者が省エネ型のレーザー加工機を導入: 新製品の開発に対応するレーザー加工機(取得価格1,200万円)を導入し、消費電力の削減も見込めるケース。省エネ要件も満たすため補助率10%=120万円になる
  • 印刷業者が高精度印刷機を導入し賃上げも実施: 新製品開発のための高精度印刷機(取得価格4,000万円)を導入し、省エネ性能に加えて従業員の給与支給総額を3.0%以上増加させる賃上げも行うケース。省エネ・賃上げの両要件を満たすため補助率15%=600万円(上限750万円の範囲内)になる

補助率のシミュレーション:要件の組み合わせで750万円まで変わる

補助対象経費は機械設備(機械及び装置)の取得に要する経費です。補助率は、満たす要件の組み合わせによって次のように段階的に変わります。

満たす要件補助率補助上限額
基本要件のみ(生産性向上 または 新製品の開発・製造)5%500万円
基本要件+省エネ要件10%500万円
基本要件+賃上げ要件(給与支給総額3.0%以上増加)10%500万円
基本要件+省エネ要件+賃上げ要件15%750万円
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重要なのは、賃上げ要件は「給与支給総額」を3.0%以上増加させることが条件で、対象期間は補助事業申請日を含む事業年度またはその翌事業年度である点です。

投資額別に補助額を試算すると、次のようになります。

機械設備の取得価格基本要件のみ(5%)省エネ・賃上げ両方(15%)
600万円30万円90万円
2,000万円100万円300万円
5,000万円250万円750万円(上限)
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省エネ・賃上げの両要件を満たすことで上限が500万円から750万円に引き上がる差額250万円分は、たとえば主力設備の入れ替えに加えて、検査工程を自動化する小型の検査装置をもう1台追加導入するといった規模感の投資に回せる計算になります。

申請実務のタイミング:交付決定前の発注に注意

手続きは「申請」→「交付決定」→(設備の設置・支払い)→「実績報告」→「現地確認」→「交付確定」→「補助金請求」→「交付」という流れで進みます。令和8年度分は機械設備の支払いが令和8(2026)年4月1日から令和9(2027)年3月末までに完了し、実績報告書類の提出までできることが対象の条件です。

タイミング別に必要書類を整理すると、次のとおりです。

  1. 申請時: 申請書(様式第1号〜第8号)、チェックリスト
  2. 実績報告(業務開始日から30日を経過した日、または交付決定のあった年度の3月31日のいずれか早い日まで): 実績報告様式(様式第12号・第4号)
  3. 補助金請求時: 請求書(様式第14号)

同一の申請者は年度において1回の申請に限られ、他の補助金との併用はできません。複数の設備投資を計画している場合は、まとめて1回の申請で対応できるかどうかを事前に窓口へ確認しておくと進めやすくなります。

国の設備投資補助金との使い分け(ものづくり補助金・省力化投資補助金)

静岡市の助成は、上限750万円・対象設備1点500万円以上という中規模の設備更新・入れ替えに向いた制度です。これに対し、国の補助金はより投資規模の大きいケースや、目的が絞られたケースに向いています。

  • 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(旧ものづくり補助金): 新製品開発や生産プロセスの革新など、より大規模な設備投資・新事業向け。上限額は静岡市の助成より大きい
  • 中小企業省力化投資補助金: 人手不足解消のための自動化・省力化機器の導入に特化

自社の投資が静岡市の助成の上限(750万円)を超える規模になりそうな場合や、省力化・自動化を主目的とする投資の場合は、国の制度もあわせて検討する価値があります。

より大きな設備投資には国の補助金もあります。あわせてこちらの記事で解説しています。

あわせて読みたい【全国】ものづくり補助金は何に使える?名称統合後の上限・対象・締切新しい機械を入れたい。小ロットにも対応できる生産ラインにしたい。でも見積もりを見て、手が止まる。よくある話です。セントラルキッチンを立ち上げたい飲食チェーンも、受発注をシステム化したい店舗も、…12分で読めます

自社の投資規模や要件によっては、静岡市の助成以外にも活用できる補助金がある可能性があります。他にももらえる補助金がないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。

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要件の組み合わせによる補助率の計算や、交付決定前の手続きの進め方に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。

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よくある質問

中古の機械設備でも対象になりますか?

公式ページ・交付要綱には新品・中古の区別についての明記がありませんでした。申請前に産業振興課へ確認するのが確実です。

個人事業主でも申請できますか?

中小企業基本法第2条の中小企業者の定義には、法人だけでなく個人事業主も含まれるのが一般的な整理です。ただし静岡市がこの助成の運用上どのように扱っているかの明記は公式ページにはないため、申請前の確認をおすすめします。

1点500万円未満の機械設備は、複数台まとめて申請できますか?

要件は「1点あたりの取得価格が500万円以上」とされており、複数の設備の合計額で500万円以上に到達させる申請が認められるかどうかは明記がありません。 個別の投資計画にあわせて、事前に窓口へ相談することをおすすめします。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報(令和8年度分の公式情報)にもとづきます。補助率・補助上限額・対象要件・申請受付状況は年度により変更される場合があるため、申請前に必ず静岡市の公式ページおよび最新の交付要綱でご確認ください。

出典: