車いすを使う社員のための出入口のスロープや、視覚障害のある社員のための拡大読書器。そうした整備費の2/3を、障害者1人あたり450万円まで助成します。事前着手申出書を出さずに、認定を受ける前に発注や契約をすると、助成の対象外になります。
実施するのは、JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の都道府県支部です。年間の受付期間は公式ページに書かれていません。予算の範囲で支給するため、年度によっては企画競争型の認定(事業計画の評価が高い順に認定する方式)になります。
障害者作業施設設置等助成金の要点まとめ
正式名:障害者作業施設設置等助成金(第1種・第2種)
だれが
- 申請者
- 事業者(障害者を雇い入れる・雇用する事業主)
- 対象業種
- 全業種
- 利用目的
- 障害者が働くための作業施設・設備の設置と整備
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 上限4,500万円(事業所・年)。1人450万円、設備150万円
- 補助率
- 2/3
いつ・どこへ
- 申請受付
- 雇入れから6か月以内(年間の受付期間は記載なし)
- 事業の完了
- 認定日から1年以内に工事と支払を終える(第1種)
うちの会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 認定前に発注・契約を済ませた
- ✕ 雇って6か月を超えている
- ✕ 代表者・役員が対象障害者
雇入れから6か月を超えた人は、原則として申請できません。 例外は4つあります。中途障害者になった場合、人事異動や職務変更があった場合、JEEDの就労支援機器の貸出期間中の場合、休職などのやむを得ない理由がある場合です。期限は中途障害者となった日か職場復帰日の遅い方から6か月以内、異動は発令日から6か月以内です。やむを得ない理由があるときは、雇入れ日から1年以内です。
対象になる障害者は、週の所定労働時間が10時間以上の労働者です。身体障害者、知的障害者、精神障害者、中途障害者が当てはまります。月の所定労働時間が40〜80時間の特定短時間労働者は、身体と知的は重度の人に限ります。在宅勤務者も対象です。
障害者手帳の写しか指定医の診断書で、障害特性による課題を確認します。確認できない場合は対象外です。
第1種と第2種はどちらを選ぶ?
整備を買い取りや工事で行うなら第1種です。賃借で用意するなら第2種です。
| 第1種(設置・整備) | 第2種(賃借) | |
|---|---|---|
| 助成率 | 2/3 | 2/3 |
| 限度額 | 障害者1人450万円(設備は150万円) | 障害者1人月13万円(設備は月5万円) |
| 事業所の限度 | 1会計年度で4,500万円 | なし |
| 支給の期間 | 認定後に一括 | 3年間 |
| 認定申請の期限 | 雇入れから6か月以内 | 賃貸借契約の翌日から6か月後まで、かつ雇入れから6か月以内 |
短時間労働者は限度額が半額です。重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者は半額になりません。中途障害者の職場復帰のための設備は、条件を満たすと450万円(第2種は月13万円)まで認められます。
いくらもらえる?
いくらもらえるか計算する
補助率 2/3 / 上限 4500万円
助成額は「対象費用 × 2/3」です。限度額を超えた分は自己負担になります。
- 視覚障害の社員に拡大読書器を入れる:19.8万円 × 2/3 = 13.2万円
- 点字ディスプレイを入れる:38.3万円 × 2/3 = 約25.5万円
- 車いす用のスロープとトイレを改修する:600万円 × 2/3 = 400万円
- 同じ工事が675万円かかる:675万円 × 2/3 = 450万円 → 上限の450万円
- 短時間労働者の作業設備:120万円 × 2/3 = 80万円 → 上限の75万円
- 第2種で作業設備を借りる(月6万円):6万円 × 2/3 = 月4万円 → 36か月で144万円
拡大読書器は1台198,000円、点字ディスプレイは1台383,000円が対象費用の上限です。上の2例はその上限額で計算しています。
675万円が上限に届く目安です。作業設備だけなら、225万円(短時間労働者は112.5万円)で上限に届きます。
何に使える?
対象にならないもの
- 事業に本来必要な施設や、作業効率を上げるための整備
- 安全管理のために必要な施設・設備(機構が認める場合を除く)
- 自社屋の新築
- 中古品や自社製の施設・設備の購入
- 事業主自身が行う工事
- 親会社、子会社、役員、親族との契約
- 既存の建物や設備の解体・撤去・廃棄費用
- 建築確認申請の費用、設備の保守費用、消耗品
対象になるもの
- 作業施設(障害特性に配慮した作業場所の部分。施設全体ではない)
- 附帯施設(玄関・廊下・階段・トイレなど。スロープ、手すり、洋式トイレへの改修、車いす用トイレの新設)
- 作業設備(拡大読書器、点字ディスプレイ、運転装置を改造した自動車の改造部分)
附帯施設は、玄関から作業場所までと、作業場所からトイレまでの動線上にある施設が中心です。スロープの勾配は12分の1以下(高さ16cm以下は8分の1以下)が条件です。駐車場は自動車1台分で28㎡までです。
申請の流れ
- 障害の内容と課題を整理する(事業主。雇入れから6か月以内に間に合わせる)
- 見積書と図面をそろえる(事業主→工事業者。契約はしない)
- 認定申請書を支部へ出す(事業主→JEED都道府県支部。持参、郵送、e-Govのいずれか)
- 認定通知を待つ(JEED本部→事業主。審査は2〜3か月が目安)
- 認定のあとに発注し、工事を終える(事業主→工事業者。認定日から1年以内)
- 支給請求を出す(事業主→支部。工事と支払の完了後)
認定の前に着手したい場合は、事前着手申出書(様式第560号)を出します。申請書の提出日以降なら着手できます。ただし、不認定や減額でも異議を申し出ないことが条件です。
必要な書類
準備できた 0 / 9
障害者手帳の写しで障害の程度が確認できないときは、指定医の診断書などを求められます。雇用保険の通知書は、特定短時間労働者なら要りません。事業計画書(1-2)は、申請額が1,000万円以上のときなどに要り、就業規則の写しを付けます。
改修のときは、建物の検査済証が要ります。紛失した場合は、市区町村の台帳記載事項証明書などで代えられます。賃借物件を改修するときは、賃貸借契約書の写しと賃貸人の改修承諾書が要ります。全書類の一覧は、JEEDのパンフレットとチェックリストで確かめられます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 認定の前に着手した:申入れ、発注、契約、支払のどれかを先に行うと、不認定か認定取消しになります。
- 整備後も介助者が必要:整備をしても介助者が要る場合は、機構が認めない限り対象外です。
- 1年以内に完了しなかった:支給請求は認定日から1年以内です。工事と支払をそれまでに終えます。
- 障害者が離職した:請求前に自己都合で離職すると請求できません。6か月以内に代わりの障害者を雇い、機構が認めた場合は除きます。
- 納付金や社会保険の条件を満たさない:障害者雇用納付金を納めていない場合は支給されません。社会保険の未加入や、過去1年以内の労働関係法令違反による送検も、支給要件確認申立書で「はい」にすると受給できません。
- 評価で他の計画に負けた:企画競争型の年度は、評価が高い計画から予算の範囲で認定します。
- 対象施設を処分した:取得価額が50万円以上の施設は、法定耐用年数の1/2以上の期間、対象障害者のために使います。
認定後の義務と他の補助金との併用
第1種は、支給決定日から2年以上、対象障害者のために施設を使い、雇用を続けます。実労働時間が月80時間以上の月が、期間の半分を超えている必要があります。支給決定の1年後と2年後に、実施状況報告書を出します。
取得価額が50万円以上の施設や設備は、自社の資産に計上します。この助成金は、同じ障害者について第2種や中高年齢等の助成金と合わせて、最大3回までです。重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の対象になった同じ障害者には、支給されません。国や自治体の補助金が同じ費用に確定している場合は、その額を引いた残りに助成率を掛けます。
よくある質問
第1種と第2種はどちらを選べばよいですか?
買い取りや工事で整備するなら第1種、賃借で用意するなら第2種です。第1種は障害者1人450万円までを認定後に支給します。第2種は1人月13万円までを3年間、月ごとに支給します。第1種で改修した施設を、同じ事業主が第2種で借りることはできません。費用を一度に払えるか、毎月の賃借料で済ませたいかで選びます。
短時間労働者でも対象になりますか?
週の所定労働時間が10時間以上なら対象です。ただし、重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者を除く短時間労働者と、特定短時間労働者は、限度額が半額になります。月の所定労働時間が40〜80時間の特定短時間労働者は、身体と知的は重度の人に限ります。実労働時間が月80時間以上(特定短時間労働者は月40時間以上)の月が半分を超える必要があります。
中途障害者が職場に復帰する場合、限度額はどうなりますか?
設備の限度額は通常150万円ですが、条件を満たすと450万円まで認められます。条件は2つです。1つ目は、復帰前後で職務内容が変わり、設備が必要だと明確に説明できることです。2つ目は、休職の辞令や出勤簿など、治療で就業していなかったと分かる書類を付けることです。満たさない申請は、原則として150万円が限度です。
雇って6か月以上たった社員も申請できますか?
原則はできません。例外が4つあります。中途障害者となった場合は、中途障害者となった日か職場復帰日の遅い方から6か月以内に申請します。人事異動や職務変更があった場合は、発令日から6か月以内です。JEEDの就労支援機器の貸出期間中は、貸出期間の終了日までです。休職などのやむを得ない理由があるときは、雇入れ日から1年以内です。
在宅勤務の社員のための整備は対象ですか?
対象です。ただし条件があります。作業場所と居住部分が、壁や戸などで空間として分かれていることです。作業設備は、私用で使わないものに限ります。出勤日と在宅勤務日の両方で使う設備が原則の対象です。在宅勤務のときに使えない設備は、対象外になる場合があります。計画の段階で、支部に相談しておくと安心です。
事前着手申出書とは何ですか?
認定の前に工事や購入に着手するための届出です。認定申請書を出した日以降なら、申出書(様式第560号)を出して着手できます。不認定や減額認定になっても異議を申し出ないことが条件です。事前着手が認められたかどうかの通知は来ません。申出書を出さずに先に着手すると、不認定か認定取消しになります。
見積書は何社分が必要ですか?
対象費用が150万円以上1,000万円以下なら、原則として3者以上の見積書と内訳書を取ります。そのうち最も低い金額が対象費用です。1,000万円を超える場合は、原則として一般競争入札等で金額を決めます。対象費用が250万円以上なら、設計図書は原則として建築士か建築士事務所が作ります。
障害があることは何で確認されますか?
身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の写し、または指定医の診断書などです。知的障害者は、児童相談所などの判定機関の判定で確認します。手帳などで、障害特性による課題が確認できない場合は対象外です。事業計画書には、課題と整備の関係、使い方を具体的に書きます。
対象障害者が離職したらどうなりますか?
支給決定日から2年以上は、施設を対象障害者のために使い、雇用を続けます。自己都合離職等があった場合は、離職日の翌日から6か月以内に代わりの障害者を雇い、機構の承認を受けます。承認がないと、助成金の全部または一部を返還する場合があります。第1種は、支給決定の1年後と2年後に実施状況報告書も出します。離職や配置換えがあったときは、早めに支部へ連絡します。
就労継続支援事業所でも使えますか?
就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)の事業を行うために本来必要な施設や設備は、対象外です。利用者は対象障害者にできません。利用者が使う部分と明確に区別できる措置に限り、施設の職員は対象になります。就労継続支援A型の利用者は、対象障害者になりません。
自社屋を新築するとき、車いす用トイレは対象ですか?
対象外です。事業主が自社屋を新築する場合は、助成の対象になりません。新築にあたって、国土交通省の「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」に掲げる整備を行う場合も、対象外です。既存の建物を改修する場合は、検査済証の提出が必要です。
申請から入金までの期間と、問い合わせ先を教えてください。
認定申請書の受理から審査結果までは、おおむね2〜3か月かかります。入金は、工事と支払の完了後に支給請求をして、支給決定を受けたあとです。窓口は、事業所の所在地を管轄するJEEDの都道府県支部です。高齢・障害者業務課が担当し、東京と大阪は高齢・障害者窓口サービス課です。
