電気トラックを入れるとき、順番を間違えると補助が消える部分があります。車両本体は、交付決定の前に買っても構いません。ところが充電設備は、交付決定の前に発注した分が補助の対象外になります。
窓口はLEVO(一般財団法人環境優良車普及機構)です。貨物運送事業者やトラックを業務で使う事業者が、電気・プラグインハイブリッド・燃料電池・水素内燃機関のトラックと充電設備を入れる費用を補助します。受付は2026年4月24日から2027年1月15日まで。補助額は車両ごとに決まる基準額が上限で、全車種共通の金額や率は公募要領にありません。
商用車等の電動化促進事業の要点まとめ
正式名:令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業
だれが
- 申請者
- 貨物運送事業者、トラックを業務で使う事業者、リース会社、自治体
- 対象業種
- 貨物自動車運送業ほか、トラックを業務で使う事業者
- 利用目的
- 電動トラックと充電設備の導入
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 車両ごとの基準額(一律の上限額の記載なし)
- 補助率
- 定率の記載なし(基準額から値引額の一部を差し引く)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月24日〜2027年1月15日
- 事業の完了
- 完了後30日以内(遅くとも2027年2月12日)
うちの会社は対象になる?
次の5つがそろえば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 割賦・ローンで買う
- ✕ 事前登録のない車両
- ✕ 新車登録が期間の外
事前登録とは、メーカーが環境省に車両を登録して審査を受ける仕組みです。登録済みの車両だけが対象で、一覧はLEVOの車両ページに載っています。
車両総重量は、車検証で確かめます。自家用で2.5トン以下の車両は対象外です。事業用なら2.5トン以下も対象に入ります。新車の登録日は、2026年2月2日から2027年1月15日までです。
車検証の所有者が、申請できる人です。使用者ではありません。購入ならこの2者は同じ事業者である必要があり、リースなら所有者はリース会社になります。
申請書には、電気トラックなどを何台どう増やすかの導入計画(導入台数計画書)を添えます。2022年度のCO2排出量が20万トン以上と公表された事業者は、自治体を除き、申請日までに排出削減目標の設定と公表などを表明する条件がつきます。GXリーグ(排出削減に取り組む企業の枠組み)の参加者は、この取組をするものとみなされます。
この記事の公募要領はトラック(バンを含む)用です。タクシーとバスは、ここで書いた条件の対象に入っていません。
いくら戻ってくる?
車両の補助額は、LEVOが車両ごとに公表する基準額が上限です。基準額は、事前登録された車両をもとに国の実施要領で算出されています。
値引きを受けると、基準額から次の額が引かれます。
- 電気自動車:値引額 × 2/3
- プラグインハイブリッド:値引額 × 1/2
- 燃料電池・水素内燃機関:値引額 × 3/4
値引額とは、事前登録された車両のメーカー車両本体価格から補助対象経費を引いた額です。見積書や請求書に書かれた値引額とは別の数字になります。補助対象経費は、車両本体とオプションの合計から値引きを引いた税抜の額です。差がマイナスになるときは0円で書き、値引きがなければ0円です。
基準額の見え方の例です。いすゞのエルフEV(型式ZAB-NJR48AM)は、事業用が484万8,000円、自家用が473万6,000円と、LEVOのメーカー別PDFに載っています。事業用のほうが高いのは、利用負荷の分が加算されるためです。
計算の仕組みを見るための仮の数字です。値引額が90万円のとき、基準額から引かれる額は次のようになります。
- 電気自動車:90万円 × 2/3 = 60万円
- プラグインハイブリッド:90万円 × 1/2 = 45万円
- 燃料電池:90万円 × 3/4 = 67.5万円
電気自動車なら、値引きで90万円安く買えても補助は60万円しか減りません。差し引きで、自己負担は30万円軽くなる計算です。
充電設備は、設備の価格と工事費の合計(機構が必要と認めた額)が対象です。機器の種類と型式ごとに上限があり、LEVOの「補助対象充電設備型式一覧表」に載っています。上限額がそのまま出るとは限りません。充電設備のページには、型式一覧表は準備が整い次第の掲載、申請は補助対象の充電設備が決まり次第の受付開始と書かれています。申請する前に、LEVOのページで掲載と受付の状況を確かめてください。
2023年度の当初・補正予算か2024年度補正予算の同種の事業を使い、2025年3月末の時点で電動車を保有台数の5%以上入れていた事業者(公募要領の呼び名は省エネ法導入目標既達事業者)は別扱いです。他の事業者へ電動車の導入を広げる計画を出したうえで、その内容に応じて交付額が個別に決まります。計画が不十分なら交付決定が出ません。申請が極めて多いときは、ほかの事業者の審査が先になることもあります。
何に使える?
対象にならないもの
- 既存施設の撤去費と廃材の運搬・処分費
- CO2削減に寄与しない周辺機器やオプション品
- 国の他の補助金の対象になっている経費
- 割賦・ローンで買う車両と充電設備
対象になるもの
- 事前登録された電動トラックの購入費(基準額が上限)
- 普通充電器・急速充電器・V2H(車から建物へ給電する設備)・外部給電器
- バッテリー交換式充電設備と高圧受電設備
- 充電設備の設置工事費
充電設備には条件が3つあります。導入車両の台数は、充電口数以上が必要です。設置場所は、申請者の敷地(事業所・営業拠点)に限ります。普通充電器・急速充電器・V2H・外部給電器は、経済産業省の充電インフラ補助金の対象機器から選びます。
申請の流れ
- 事前登録された車両かを確かめる(申請者→LEVOの車両ページ。メーカー別の一覧に基準額も載っています)
- 交付申請を出す(申請者→LEVO。jGrants、電子メール、郵便のいずれか。2027年1月15日まで)
- 交付決定通知を待つ(LEVO→申請者。不備なく受け付けた日から30営業日以内が目安)
- 車両と充電設備を導入する(申請者。新車の登録は2027年1月15日まで)
- 完了実績報告と精算払請求を出す(申請者→LEVO。完了日から30日以内)
- 額の確定通知を受けて入金される(LEVO→申請者)
jGrantsで申請するなら、gBizIDの取得が先です。ID取得には2〜3週間かかります。
完了報告で出た交付対象額が、交付決定額と変わることがあります。決定額より減るなら変更交付申請、増えるなら中止申請をして新たに交付申請をやり直します。同じ補助対象経費の車両ごとに申請をまとめるので、型式が同じでも経費が違う車両は申請を分けます。
順番のルールは車両と充電設備で違います。車両の購入は、交付決定の前に済ませて構いません。充電設備の機器と工事は、交付決定の通知より前に発注すると対象外です。第三者が改造した改造車も、充電設備と同じ扱いです。
必要な書類
準備できた 0 / 9
導入台数計画書の正式名は、非化石エネルギー自動車の区分別導入台数とその割合(計画)です。表明書(様式第1その9)は、2022年度のCO2排出量が20万トン以上の事業者だけが出します。誓約書は、地方公共団体は出しません。共同申請なら共同事業者申請書も要ります。
車検証と請求書、領収書は完了実績報告のときに要ります。交付申請の段階で何を添えるかは、提出資料総括表(車両用と充電設備用の2種類あります)が最新の一覧です。書類は、総括表の番号順に1つのPDFにまとめて出します。見積書が1社しか取れないときは、理由書を出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 充電設備を先に発注した:交付決定の前に発注した充電設備と工事の費用は、対象外になります。
- 割賦・ローンで買った:車両も充電設備も対象になりません。完了報告の日までに決済されない手形も対象外です。
- 所有者が申請者と違った:交付申請できるのは車検証の所有者です。使用者名義のまま申請すると要件を満たしません。
- 処分制限期間に手放した:運送事業用と貸自動車業用の最大積載量2トン超は4年、2トン以下は3年、一般用は5年です。充電設備は設置完了から6年になります。この間の売却や所有者の変更は、原則として補助金の一部を返す扱いです。
- 登録日が期間を過ぎた:単年度の申請では、新車の登録が2027年1月15日までに終わる必要があります。
- 予算が減って審査の方式が変わった:予算の残りが2割程度になると、LEVOが公表した日以降は申込順の審査をやめます。その日から30日後までの申請をまとめて審査し、予算を超えれば初めて申請する者などが優先されます。
納車が令和9年度にずれ込むなら
納車まで時間がかかる車両には、国庫債務負担行為(複数年度にまたがる支払いを、あらかじめ国が約束する仕組み)を使う申請があります。受付は2027年3月31日までで、補助金の支払いは令和9年度です。
対象は、2027年12月17日までに新車登録される車両のうち、自治体や公営企業が使うもの、燃料電池車、水素内燃機関車、塵芥車、冷凍・冷蔵架装車など納車まで長くかかる車両に限られます。充電設備も、この対象の車両と一体で入れるものだけです。使うなら、早めにLEVOへ相談する前提になっています。
よくある質問
自家用のトラックでも対象になりますか?
車両総重量が2.5トン超なら、自家用も事業用も対象です。2.5トン以下は事業用だけが対象になります。自家用の軽トラックや小型バンを電動化したい場合は、この区分で外れます。軽の貨物車は、黒ナンバーの事業用として新車で登録した車両が対象です。自家用で登録してから黒ナンバーに変えた車両は外れます。車検証の車両総重量と、事業用か自家用かの区分を、申請前に確かめておくと安心です。自社が貨物運送事業者でなくても、業務でトラックを使っていれば申請者になれます。
車両は交付決定の前に買ってもいいですか?
車両の購入は、交付決定の前でも構いません。ただし補助金が出るのは、交付決定通知を受けた申請だけです。先に買った場合も、交付申請は必ず出します。第三者が改造した改造車は別で、交付決定の前に発注した分は対象外です。充電設備と工事も交付決定のあとに発注します。車両を先行して買う場合の納車日と、新車登録の期限(2027年1月15日)もあわせて確認してください。
充電設備だけで申請できますか?
充電設備は、トラックと一体的に導入するものが対象です。充電設備だけの申請はできません。導入車両の台数が充電口数以上である必要もあります。車両の使用者と充電設備の所有者が別でも、共同申請の形で申請できます。その場合は、一体的に導入する旨の契約書などと、両者の商流を表す図の提出が必要です。設置場所は申請者の敷地内に限られます。
ローンや割賦で買った車両は対象になりますか?
割賦やローンで販売された車両と充電設備は、対象になりません。現金での購入か、リースを選びます。割賦とは、代金を分けて払いながら、完済まで販売側が所有権を持つ買い方です。ローンで買う予定の場合は、リース契約に切り替えられないかをディーラーやリース会社に相談してください。銀行融資で一括払いにして車両に抵当権が付く場合は、LEVOへ連絡するよう案内されています。完了実績報告の日までに決済されない手形も、対象外になります。
リースの車両でも申請できますか?
リースも対象です。ファイナンスリースの場合は、リース事業者が代表事業者になり、補助対象の事業者と共同で申請します。リース料から補助金相当分が減額されていること、法定耐用年数まで使い続ける契約であることを示す書類が要ります。契約期間は、運送事業用と貸渡事業用で積載量2トン以下なら3年以上、2トン超なら4年以上です。一般用は5年以上になります。
申請できる台数に上限はありますか?
申請台数に、原則として制限はありません。予算は約175億円で、車両と充電設備の総額です。台数の制限はなくても、予算の残りが減れば審査の方式が変わります。残りが2割程度になった時点でLEVOがホームページに公表し、その日から30日後までの申請をまとめて審査します。台数が多い事業者ほど、早めの申請と受付状況の確認が欠かせません。
申請はいつまでにすればいいですか?
単年度の申請は、2027年1月15日までです。納車が長引く車両を対象にした国庫債務負担行為の申請は、2027年3月31日まで受け付けます。ただし受付期間の終わりまで枠が残る保証はありません。予算の消化状況はLEVOのページに掲載されます。ID取得に2〜3週間かかるjGrantsを使うなら、そのぶんも見込んで準備を始める必要があります。
交付決定まで、どのくらいかかりますか?
LEVOのQ&Aでは、不備なく受け付けた日から30営業日以内に交付決定を出すとされています。審査に時間がかかるものや、申請が集中した場合は、この限りではありません。申請に必要な書類がそろっていないと受付されません。追加資料の後出しはできないため、提出資料総括表を見ながら、そろった段階で申請します。
補助金はいつ入金されますか?
入金は事業が終わってからです。車両の購入と登録、充電設備の設置と検収が済んだら、完了実績報告書と精算払請求書を出します。LEVOが内容を審査して交付額を確定し、その通知のあとに振り込みます。報告の期限は、完了日から30日を過ぎる日と、完了した年度の2月12日のいずれか早いほうです。車両代の資金は、入金まで自社で用意することになります。
補助を受けた車両を売ってもいいですか?
処分制限期間内の売却や譲渡、担保にする、廃棄するといった処分には、事前にLEVOの承認が要ります。期間は、運送事業用と貸自動車業用の最大積載量2トン超が4年、2トン以下が3年、一般用が5年です。充電設備は設置完了から6年です。所有者や使用者が変わる場合は、原則として補助金の一部を返します。合併などの予定があるときは、申請の時点で相談します。
ほかの補助金と併用できますか?
車両と充電設備について、国のほかの補助金と重複して受けることはできません。申請する車両が国のほかの補助金を受けていないことが条件です。補助対象経費にも、国の他の補助金の対象経費を含められません。都道府県や市区町村の独自の補助金との組み合わせは、公募要領に定めがありません。自治体の制度の条件を調べ、併用できるかを窓口に確認してください。
補助を受けたあとに、やることはありますか?
事業が終わったあとも報告が続きます。新車の登録日以降、その年度の3月末までは四半期ごと、翌年度は半年ごとに、月別の走行距離と稼働日数を報告します。年度の終了後30日以内には事業報告書も出します。トラックと充電設備には、補助事業であることを示すステッカーを貼ります。書類は事業が完了した年度の終了後5年間(充電設備を入れた場合は6年間)保存します。
問い合わせ先はどこですか?
車両は電話03-5944-0883、メールevhojo@levo.or.jpです。充電設備は電話03-5341-4728、メールjuhojo@levo.or.jpです。電話は平日の9時から12時と13時から16時に受け付けています。LEVOは認識の違いを防ぐため、できるだけメールで質問するよう案内しています。件名は「【質問】事業者名」の形にします。
