過疎地の給油所を移転・統合・新設するときの設備費を、国が最大7,500万円まで補助します。貯蔵タンクや計量機の入れ替え、古い施設の解体撤去も対象です。
ただし令和8年度の計画策定事業と設備整備等事業は、3次締切の9月30日で募集を終えました。次の公募に備える方向けに、要件と流れをまとめます。
自治体SS承継等支援事業の要点まとめ
正式名:自治体によるSS承継等に向けた取組支援事業
だれが
- 申請者
- SS過疎地等の自治体/自治体の計画で整備対象の給油所の販売業者
- 対象業種
- 揮発油販売業(給油所)、地方公共団体
- 利用目的
- 給油所の移転・統合・新設に伴う設備整備・撤去
- 対象地域
- 全国(SS過疎地等)
- 従業員数
- 規定なし(中小企業者であること)
いくら
- 補助上限額
- 7,500万円
- 補助率
- 3/4
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月2日〜2026年9月30日
- 事業の完了
- 2027年2月19日(実績報告書の必着日)
この表は計画策定事業と設備整備等事業の値です。上限7,500万円は、設備整備等事業の上限1億円に補助率3/4をかけた額です。事業ごとの違いは本文で書きます。
この事業は3つに分かれる。自分はどれか?
実施するのは全国石油商業組合連合会(全石連)です。経済産業省の補助事業で、次の3事業があります。
| 事業 | 申請できる人 | 上限と補助率 |
|---|---|---|
| 調査・相談等事業 | 石油組合 | 177万円・10/10 |
| 計画策定事業 | SS過疎地等の自治体 | 1,000万円・3/4 |
| 設備整備等事業 | 自治体、または計画の対象の給油所の販売業者 | 1億円・3/4か1/2 |
上限は補助金の額ではなく、補助対象経費(申請できる事業費)の上限です。補助金の額は、補助対象経費に補助率をかけて決まります。
給油所の事業者が使えるのは設備整備等事業です。自治体の燃料供給計画で整備の対象になっていることが前提で、計画のない給油所は単独で申請できません。
うちは対象になる?
次のすべてに当てはまれば、設備整備等事業の対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 自治体の計画がない
- ✕ 中小企業者の除外に当たる
- ✕ 暴力団排除の誓約ができない
- ✕ 申請資格の誓約に反する
申請資格の誓約書(別紙2)では、破産者で復権を得ていない人、禁錮以上の刑の執行後2年以内の人、独占禁止法や景品表示法の処分から2年以内の人なども外れます。役員がこれに当たる法人も同じです。
SS過疎地等とは、1市町村内のSSが3か所以下の地域、または道路距離に応じたSS過疎の地域です。一覧は資源エネルギー庁のページにあります。
中小企業者は、中小企業基本法の中小企業者(業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当)のうち、次を除いた事業者です。
- 資本金5億円以上の法人が直接・間接に100%の株式を持つ会社
- 申請時に直近3年分の課税所得の年平均が15億円を超える会社
揮発油販売業者が申請するときは、計画を作った自治体が出す「補助金交付申請に係る確認・誓約書」(別紙4)が要ります。整備した施設で燃料供給を続けられなくなったとき、原因と対策を自治体のサイトで公表する内容も含まれます。
いくら補助される?
補助金の額は、補助対象経費に補助率をかけた額です。消費税と地方消費税は、補助対象経費から外して計算します。
設備整備等事業の補助率は、申請者で分かれます。
- 過疎地域等の自治体、またはSS過疎地等の中小企業者:3/4
- 過疎地域等ではないSS過疎地等の自治体:1/2
過疎地域等とは、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の過疎地域か、財政力指数0.51以下の地域です。
計算例は次のとおりです。
- 給油所の販売業者が貯蔵タンクと計量機を入れ替える:4,000万円 × 3/4 = 3,000万円
- 販売業者が上限いっぱいで整備する:1億円 × 3/4 = 7,500万円
- 過疎地域等ではない自治体が整備する:1億円 × 1/2 = 5,000万円
- 計画策定事業を1,200万円で実施する:1,000万円(上限)× 3/4 = 750万円
補助対象経費が上限を超えた分は、補助金の計算に入りません。 計画策定の例では、上限を超えた200万円は全額が自己負担です。残る1,000万円のうち250万円も自己負担になるので、実際の持ち出しは計450万円です。
複数年度に分けた整備の上限は、年度ごとではなく計画全体で1億円です。初年度に設計だけ行い、工事を翌年度にする申請も認められます。その場合、残りの工程を実施する意思決定と計画(工期・事業費)を提案書に書く必要があります。
予算額は2億1,314万円です。申請額が予算を超えると、締切を待たず募集が終わります。
何に使える?
設備整備等事業で対象にならないものは次のとおりです。
- 建物に係る工事費・設計費
- 用地造成
- キャノピー、サインポール、防火塀などの構築物
- 補助対象外の設備
- 机・椅子・書棚・事務機器など、備えているはずの備品
- 事故や災害の処理費
- 消費税・地方消費税
対象になるものは次のとおりです。
- 調査設計費(給油設備と付随する構造物の設計)
- 設備費(貯蔵タンク、配管、計量機、POS機器、電気設備、給排水衛生設備。取付工事費を含む)
- 工事費(土間、アイランド、集水溝、油水分離槽など。監理費用を含む)
- 解体・撤去費(地下タンクの入れ替えで要る地上の施設・設備の撤去など)
- その他諸経費(共通仮設費と現場管理費に準じる。積み上げで算定したもの)
建物とキャノピーが外れるので、給油所の全面建て替えでは自己負担が残ります。見積りは、対象の部分と外れる部分に分けて取ってください。
申請の流れ
令和8年度の設備整備等事業の流れです。募集は終わっていますが、次の公募でも同じ順番になる見込みです。確かな日程は公式ページで確かめてください。
- 自治体が燃料供給の計画を作る(自治体。計画策定事業を使う場合もあります)
- 自治体から確認・誓約書(別紙4)をもらう(販売業者→自治体。申請の前に)
- 申請書類を出す(申請者→全石連。Jグランツ、メール、郵送のいずれか。締切は17時)
- 審査と交付決定を待つ(全石連。締切からおおむね2週間後の予定。決定日より前の発注は対象外)
- 事業を実施する(申請者。交付決定日から2027年2月19日まで)
- 実績報告書を出す(申請者→全石連。完了から30日後か2月19日の早い方に必着。契約書・請求書・振込の証明・設備の写真などを添える)
- 額の確定を受けて支払請求する(精算払。最終の支払いは2027年3月末)
交付申請を取り下げるときは、交付決定日から7日以内に取下書(様式第4号)を出します。経費の配分や事業の内容を変えるときは、様式第5号で全石連に事前の承認を求めます。
令和8年度の締切は、1次が7月31日、2次が8月31日、3次が9月30日でした。審査は外部有識者の委員会で行い、事業の説明に呼ばれることがあります。
必要な書類
準備できた 0 / 10
別紙4は、揮発油販売業者が申請するときだけ要ります。役員名簿か登記簿の写しは、個人は要りません。見積りを2社以上そろえにくいときは、理由書と1社の見積書で出せます。
任意の書類もあります。賃上げを示す書類(別紙5)は、前年度比か前年比で1.5%以上の賃上げを行う中小企業が対象です。出すと審査で配慮されます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定日より前に発生した経費は、発注を含めて対象外です。
- 補助対象経費を絞られた:経費は、事業に直接必要なものだけが認められます。交付決定後に補助金が減ることもあります。
- 実績報告が遅れた:報告書は、完了から30日後か2027年2月19日の早い方までに、全石連へ必着で出します。
- 取得した設備を処分した:単価50万円以上(税抜き)の設備は、承認なしに売却・転用できません。補助金の納付を求められることがあります。
- 予算が尽きた:申請額が予算額を超えると、締切の前でも募集が終わります。
令和8年度の募集は終わりました。次はどう動く?
計画策定事業と設備整備等事業は、令和8年度の3次締切で終わりました。令和9年度以降の公募の有無と日程は、確認できていません。全石連の制度ページが最初に更新されます。
給油所の事業者は、公募を待つ間に動けることがあります。地元の自治体が燃料供給の計画を持っているか、自社の給油所が計画の対象かを、自治体に聞いてください。
計画のない自治体は、先に計画策定事業で計画を作ります。設備整備は、その計画ができてからの申請になります。
よくある質問
令和8年度の募集はまだ受け付けていますか?
計画策定事業と設備整備等事業の募集は、3次締切の2026年9月30日で終了しました。全石連のページには、募集期間が11月30日までと書かれています。これは調査・相談等事業の期間で、申請できるのは石油組合だけです。給油所の事業者と自治体は、令和8年度は申請できません。次の公募があるかは、全石連の制度ページで確かめてください。
給油所の経営者が単独で申請できますか?
できません。設備整備等事業は、SS過疎地等の自治体が作った燃料供給の計画に、その給油所が整備の対象として載っていることが前提です。販売業者が申請するときは、計画を作った自治体の確認・誓約書(別紙4)を添えます。まず自治体に、計画があるか、自社の給油所が対象かを聞いてください。
SS過疎地等とは、どんな地域ですか?
1つの市町村にSSが3か所以下の地域、または道路距離に応じたSS過疎の地域をいいます。一覧は、資源エネルギー庁のSS過疎地対策のページにあります。なお過疎地域等は別の定義で、過疎地域の特別措置法の過疎地域か、財政力指数0.51以下の地域です。補助率が変わるので、混同しないようにしてください。
補助率が3/4の場合と1/2の場合は、どう分かれますか?
設備整備等事業では、申請者の所在で分かれます。過疎地域等の自治体と、SS過疎地等の中小企業者は3/4です。過疎地域等ではないSS過疎地等の自治体は1/2です。給油所の販売業者は中小企業者として申請するため、3/4が適用されます。計画策定事業は、いずれも3/4です。
上限の7,500万円は、補助金の額ですか?
補助金の額の上限です。設備整備等事業の補助対象経費の上限が1億円で、これに補助率3/4をかけると7,500万円になります。補助率が1/2の自治体は5,000万円です。公募要領が示す上限は補助対象経費の側なので、補助金の額は補助率をかけて自分で計算します。
建物の建て替え費用は対象になりますか?
対象になりません。建物に係る工事費・設計費は外れます。キャノピー、サインポール、防火塀などの構築物や、用地造成も対象外です。対象は、貯蔵タンク、計量機、POS機器、電気設備などの給油設備と、土間やアイランドなどの付随工事、解体・撤去です。見積書は、対象と対象外を分けて作ってもらうと審査で説明しやすくなります。
消費税は補助の対象ですか?
対象外です。消費税と地方消費税は、補助対象経費から除いて補助金を計算します。交付申請書の補助金申請額も、税抜きで算定して出します。見積書は税抜きの金額が分かる形で取ってください。取得した設備の単価50万円の基準も、税抜きで判断されます。
交付決定の前に発注してもいいですか?
だめです。交付決定日より前に発生した経費は、発注を含めて対象になりません。審査の結果が出るまでは、契約や発注を待ってください。交付決定は、締切からおおむね2週間後の予定です。見積りを取るのは決定の前でも問題ありませんが、契約を結ぶのは決定後にしてください。
補助金はいつ支払われますか?
事業が終わったあとの精算払です。実績報告書を出し、全石連と資源エネルギー庁の確認(必要なら現地調査)で支払額が確定します。そのあとに支払請求書を出し、最終の支払いは2027年3月末です。工事の代金は、先に自分で払う必要があります。つなぎ資金の準備が要ります。
設備整備を複数年度に分けても申請できますか?
できます。たとえば初年度に実施設計をして、工事は翌年度に行う形です。ただし今回の申請事業のあとに残る工程を実施する意思決定と、工期・事業費の計画を、提案書で示す必要があります。示せないと交付決定が出ません。残る工程は交付申請の外なので、翌年度の公募に改めて応募します。上限1億円は全体の合計で数えます。
補助金で入れた設備を売ったり転用したりできますか?
単価50万円以上(税抜き)の設備は、全石連が定める期間内は、原則として処分できません。処分には、事前の承認が要ります。承認を受けて処分すると、補助金の一部または全額を納付します。納付額は、その設備にあたる補助金の額が上限です。取得財産の管理台帳も、つけておく必要があります。
賃上げの書類は出さないと不利になりますか?
任意の提出です。出さなくても申請はできます。前年度比か前年比で1.5%以上の賃上げを行う中小企業が出すと、審査で配慮されます。ワーク・ライフ・バランスの認定証の写しも同じ扱いです。審査では、事業計画の適切性や経理的な基礎などを総合して見るため、書類の有無だけで決まるわけではありません。
問い合わせ先はどこですか?
全国石油商業組合連合会の政策グループ 環境・安全対策チームです。電話は03-3593-5834です。申請の書類は、Jグランツ、メール、郵送のいずれかで受け付けています。自治体の計画があるか、自社の給油所が対象かどうかは、先に地元の自治体に聞くのが早道です。募集要領には担当者のメールアドレスも載っています。
