「サプライチェーンのデータ連携」と聞いて、業種を問わない汎用的なDX補助金だと思う方がいますが、採択実績を見る限り、実際の対象は自動車産業のCO2排出量トレーサビリティに関する取組に偏っています。名前の広さと、実際の対象範囲にギャップがある制度です。
令和7年度エネルギー使用合理化技術開発等事業費補助金(サプライチェーンデータ連携基盤の構築に向けた実証・普及事業)は、自動車サプライチェーン全体のCO2排出量を可視化・連携するデータ基盤の構築にかかる実証・普及の取組を支援する国の制度です。執行団体は一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター(ABtC)です。この記事を書いている時点で、この公募は2026年4月20日に募集終了しています。
サプライチェーンデータ連携基盤の構築に向けた実証・普及事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(サプライチェーンのCO2データ連携基盤の構築・実証に取り組む法人) |
| 制度名 | 令和7年度エネルギー使用合理化技術開発等事業費補助金(サプライチェーンデータ連携基盤の構築に向けた実証・普及事業) |
| 対象業種 | 汎用 |
| 利用目的 | 研究開発・実証 |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 規定なし(公式ページに記載なし) |
| 補助上限額 | 公式ページに記載なし(ABtCへお問い合わせください) |
| 補助率 | 公式ページに記載なし |
| 申請受付 | 2026年4月20日に終了 |
| 公式サイト | 一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター(ABtC) |

なぜ自動車産業に偏っているのか
執行団体である「自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター(ABtC)」の名前が示すとおり、この事業は自動車・蓄電池のサプライチェーンにおけるCO2排出量の可視化を主な対象にしています。自動車部品は複雑な多層のサプライチェーンで構成されており、各工程のCO2排出量を追跡・連携する仕組みがないと、車両全体のライフサイクルCO2(LCA)を正確に把握できません。この事業は、そのデータ連携基盤を実際に作り、運用してみる実証・普及の段階を支援するものです。
対象になる/ならないの線引き
- 対象になる:自動車・蓄電池のサプライチェーンにおけるCO2排出量データの連携基盤(LCAアプリケーション等)の開発・実証・普及に取り組む法人
- 対象になりにくい:自動車・蓄電池産業と関係のない一般的なサプライチェーン管理システムの開発、CO2データと無関係な業務効率化ツールの導入
なぜこの線が引かれているか。 「サプライチェーンデータ連携基盤」という名称だけを見ると業種を問わない汎用的なDX投資に思えますが、予算の出どころ(エネルギー使用合理化技術開発等事業費補助金)と執行団体の専門性から見て、対象は自動車・蓄電池分野のCO2トレーサビリティに絞られていると考えられます。
よくある誤解されやすいポイント
- 業種を問わない汎用のDX補助金だと思い込む:制度名だけで判断すると、幅広い業種のサプライチェーンDXに使えそうに見えますが、実際の採択実績・執行団体は自動車・蓄電池分野に集中しています
- 「実証・普及事業」の意味を軽視する:この事業は技術やシステムをすでに確立した状態での単純導入ではなく、実証段階の取組を対象にしています。既存の連携基盤をそのまま買う投資とは性質が異なります
- 国土交通省の類似事業と混同する:「新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業」など、名称が似た国土交通省の別制度も存在します。所管省庁・執行団体を確認して取り違えないようにしましょう
次回公募に備える準備
自動車産業のCO2トレーサビリティ確立は、国際的な規制動向(EUの電池規則等)を背景に継続的な政策テーマです。
- 自社が関わるサプライチェーンの、CO2データ収集・連携の現状を整理しておく
- ABtCが実施する実証事業の過去の採択事例を確認し、対象範囲のイメージをつかんでおく
- ABtC・経済産業省の公募情報ページを定期的に確認する
よくある質問
今から申請できますか?
この公募は2026年4月20日に募集を終了しています。自動車・蓄電池のCO2トレーサビリティ確立は継続的な政策テーマのため、次回公募をABtCのサイトでご確認ください。
自動車業界以外でも申請できますか?
執行団体・過去の採択実績から見て、自動車・蓄電池のサプライチェーンに関する取組が中心になっていると考えられます。他業種での申請可否は、ABtCに個別確認することをおすすめします。
補助率や上限額はいくらですか?
公式に確認できる範囲では明記が見当たりません。次回公募時にはABtCの公募要領原本でご確認ください。
