電子カルテを守るための機器は、オフラインバックアップ用サーバやリモートゲートウェイ装置など、まとめて入れると費用が大きくなります。東京都はその購入・設置費の半分を、病院と医科診療所に補助してきました。令和8年度の受付は、第2回の2026年9月11日で終わっています。
読み違えやすい点が1つあります。公式ページに載る「基準額」は、500床以上の病院で3,500万円です。これは補助額の上限ではなく、実際に出る上限は基準額の半分で、500床以上の病院でも1,750万円になります。
医療機関診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業の要点まとめ
正式名:令和8年度医療機関診療情報サイバーセキュリティ対策支援事業
だれが
- 申請者
- 事業者(都内の病院・医科診療所を開設する者)
- 対象業種
- 医療業(電子カルテ導入済みの病院・医科診療所)
- 利用目的
- 電子カルテ運用のサイバーセキュリティ対策機器の購入・設置
- 対象地域
- 東京都内
- 従業員数
- 規定なし(病床数・診療所の別で上限が変わる)
いくら
- 補助上限額
- 187万5,000円〜1,750万円(病床規模別。本文の表を参照)
- 補助率
- 1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月15日〜2026年9月11日(第2回で終了)
- 事業の完了
- 2027年3月31日まで(整備と支払の完了)
うちの医療機関は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みでした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
診療所は、地域で診療情報を共有・連携する取組を行っていることも条件です。その取組がわかる資料を、申請のときに出します。公式ページには「医科診療所」と書かれていて、歯科診療所の扱いは記載がありません。該当しそうな場合は、先に事務局へ確かめる必要があります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 国・地方公共団体・独立行政法人などの開設
- ✕ 保険医療機関ではない診療所
- ✕ 過去にこの補助金を受けた医療機関
令和6年度、令和7年度に交付を受けた医療機関は、令和8年度の対象になりません。 都は両年度の補助事業者の一覧を公式ページに載せています。
いくら戻ってくる?
計算の順番は3つです。
- 病床規模ごとの「基準額」と、対象経費の支出予定額を比べて、小さい方を選ぶ
- その額に補助率の1/2をかける
- 1,000円未満を切り捨てる
病床規模ごとの上限は、次のとおりです。
| 区分 | 基準額 | 補助の上限(基準額 × 1/2) |
|---|---|---|
| 200床未満の病院 | 500万円 | 250万円 |
| 200床以上500床未満の病院 | 1,250万円 | 625万円 |
| 500床以上の病院 | 3,500万円 | 1,750万円 |
| 有床診療所 | 437.5万円 | 218万7,000円 |
| 無床診療所 | 375万円 | 187万5,000円 |
計算例です。
- 無床診療所で対象経費が240万円:240万円 × 1/2 = 120万円
- 無床診療所で対象経費が500万円:基準額375万円 × 1/2 = 187.5万円(上限。届かない125万円は自己負担)
- 150床の病院で対象経費が1,000万円:基準額500万円 × 1/2 = 250万円(上限)
- 500床以上の病院で対象経費が3,000万円:3,000万円 × 1/2 = 1,500万円
対象経費が基準額を超えると、超えた分には補助がつきません。見積書の合計が基準額を上回るなら、補助の対象にする範囲をどこで区切るか、機器の組み合わせで考えることになります。
交付額は都の予算の範囲内で決まります。算定では、総事業費から寄附金などの収入を引いた額とも比べられます。
何に使える?
対象にならないもの
- オフラインバックアップなどに係る作業費用
- 保守費用など、維持管理に関する経費
- 用途がこの事業の目的に限られない機器や用品の購入費用
- 国や地方公共団体の他の補助金を充てる経費
対象になるもの
- リモートゲートウェイ装置の購入・設置費
- オフラインバックアップ用サーバの購入・設置費
- エンドポイントセキュリティ製品の購入・設置費
いずれも、電子カルテシステムの運用に必要な機器が前提です。「機器の設置費」は対象で「バックアップの作業費用」は対象外という線引きは、見積書の内訳に出ます。作業費が混ざる見積書は、内訳を分けてもらうと確かめやすくなります。
申請から入金までの順番
- 機器を決めて見積書を取る(医療機関→業者。整備内容と金額がわかる見積書とカタログが要ります)
- jGrantsのIDを取る(医療機関→国。取得に時間がかかることがあります)
- 交付申請を出す(医療機関→東京都医療DX推進事業補助金事務局。第1回は6月30日、第2回は9月11日まで)
- 審査会の資料を出す(医療機関→都。登記簿謄本、公図、残高証明書、医療監視の結果などを、都の案内に沿って)
- 交付決定の通知を待つ(都→医療機関。第1回は9月以降、第2回は11月以降の見込み。契約は通知のあと)
- 入札などの手続きで契約し、2027年3月31日までに納品と支払を終える(医療機関→業者)
- 実績報告を出す(医療機関→都。実地調査があります)
- 額の確定通知のあとに請求する(医療機関→都。入金は2027年5月頃の予定)
申請はjGrantsでのオンラインが原則です。jGrantsを使うのが難しい場合は、事務局に相談します。
必要な書類
準備できた 0 / 8
交付申請書と印鑑証明書は、jGrantsで申請するときは提出が要りません。決算書は法人(開設者)全体のものと、申請する病院のものを出します。診療情報連携の資料は、診療所だけが出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約した:交付決定の通知より前に結んだ契約は、補助の対象外です。
- 年度内に終わらなかった:2027年3月31日までに納品と支払を終えることが条件です。難しい場合は、都の担当者に相談します。
- 入札の手続きを飛ばした:機器の購入契約は、原則として一般競争入札か指名競争入札で結びます。特命随意契約にする場合は、契約の前に都へ理由を報告します。理由によっては認められません。
- 他の補助金を充てた:国や地方公共団体の他の補助金を充てた経費は、対象外になります。
- 偽りの申請や目的外の使用:交付決定が取り消され、補助金の返還を求められます。年10.95%の違約加算金もかかります。
税金・財産の扱いで知っておくこと
補助事業が終わったあとに、消費税の申告で補助金に係る仕入控除税額が確定したら、都へ報告します。都は、この税額に相当する額の全部または一部を返還させることがあります。
買った機器は、法定の耐用年数のあいだ、都の承認なしに目的外で使ったり、譲渡や廃棄をしたりできません。補助を受けた事業者の名前と取組内容は、都のホームページで公表される予定です。導入の効果や課題を調べる調査にも、協力する条件がついています。
次の年度の募集があるかどうかは、公式ページに記載がありません。募集が始まるかどうかは、東京都保健医療局のページで確かめる必要があります。
よくある質問
無床の診療所でも使えますか?
使えました。ただし診療所は、電子カルテを導入しているだけでは足りず、地域で診療情報を共有・連携する取組を行っていることも条件です。取組がわかる資料を申請のときに出します。補助の上限は、無床診療所で187万5,000円、有床診療所で218万7,000円です。対象は「医科診療所」と書かれていて、歯科診療所の扱いは公式ページに記載がありません。
公式ページの基準額3,500万円は、もらえる額ですか?
もらえる額ではありません。基準額は、補助金を計算するときに、対象経費と比べる上限の目安です。小さい方の額に補助率の1/2をかけたものが補助金なので、500床以上の病院でも上限は1,750万円になります。200床未満の病院なら基準額が500万円で、上限は250万円です。区分ごとの金額は、本文の表にまとめています。
保守費用やバックアップの作業費用も対象ですか?
対象になりません。対象は機器の購入と設置の費用で、保守費用などの維持管理の経費と、オフラインバックアップなどに係る作業費用は含まれません。用途がこの事業の目的に限られない機器や用品も対象外です。見積書の内訳に、機器の代金と作業費が混ざっているときは、分けて書いてもらうと、対象の範囲を確かめやすくなります。
令和6年度や7年度に交付を受けた病院は、また申請できますか?
申請できません。補助対象者から「この補助金の交付を受けたことがある医療機関」が除かれています。令和6年度と令和7年度の補助事業者は、都が公式ページで一覧にしています。自院が過去に受けたかどうか、記憶があいまいなときは、一覧と照らすか、事務局に確かめます。
すでに機器を買ってしまった場合はどうなりますか?
対象外になります。交付決定の通知より前に結んだ契約は、補助の対象になりません。第1回の申請を出したあとでも、交付決定の通知が届くまでは、契約を待つ必要があります。第1回の交付決定は9月以降、第2回は11月以降の見込みでした。業者の納期は、この時期を踏まえて、早めに聞いておくと安心です。
契約は入札にしないといけませんか?
原則として、一般競争入札か指名競争入札で契約します。例外として随意契約が認められる場合があり、物品の買入れでは、予定価格が300万円以下のときも含まれます。随意契約にする場合は、契約の前に理由を付けて都へ報告します。特命随意契約は、理由によっては認められないことがあるため、先に都へ連絡します。
申請はどこに出しますか?
原則として、国の補助金申請システムjGrantsで、オンラインで出します。令和8年度の申請受付と書類の審査、問い合わせの対応は、東京都医療DX推進事業補助金事務局が担当しました。電話は050-3816-2607です。事業を所管するのは、東京都保健医療局医療政策部医療政策課で、電話は03-5320-4448です。jGrantsが難しいときは、事務局に相談します。
補助金はいつ入金されますか?
事業が終わってからです。機器を納品して支払を終えたあと、実績報告を出し、都が審査して補助金の額を確定します。入金は、額の確定の通知のあとに請求して、2027年5月頃の予定です。それまでの機器代は、いったん自院で立て替えることになります。資金の手当ては、見積の段階から考えておく必要があります。
事業はいつまでに終わらせる必要がありますか?
2027年3月31日までです。この日までに、機器の納品と業者への支払を終えることが、補助の条件です。やむを得ずこの期間に収まらないときは、都の担当者に相談します。交付決定が第2回の11月以降になる場合は、契約から納品までの期間が短くなるため、納期を業者と詰めておくことが大切です。
申請したら必ず補助を受けられますか?
受けられるとは限りません。交付決定は、事業計画書の内容などを審査して決まります。申請したことが、採択を約束するものではありません。審査会では、事業計画や財務の状況も確かめられ、登記簿謄本や残高証明書などの資料を出します。交付額は、都の予算の範囲内で決まります。
令和9年度以降も同じ補助金はありますか?
公式ページに記載がありません。この事業の要綱は令和6年度に定められ、令和7年度に改正されたあと、令和8年度も実施されました。令和9年度に続くかどうかは、東京都保健医療局のページで確かめる必要があります。過去に交付を受けた医療機関は、対象から外れる決まりです。
