子供の事故予防につながる製品を開発したい中堅企業は、この助成金の対象になるのか。なります。製品開発・改良区分は、都内に本社か支社を置く中小企業者と中堅企業者(スタートアップを含む)が申請者です。ただし大学か公設研究機関と組んだグループで出すのが条件で、大企業は申請者になれません。
令和8年度の募集は2026年8月19日で終わりました。令和9年度以降は都議会で予算が可決された場合に限って実施されるため、次の募集があるかは予算次第です。
子供を事故から守る環境づくり促進事業の要点まとめ
正式名:子供を事故から守る環境づくり促進事業
だれが
- 申請者
- 事業者(法人)・大学・公設研究機関
- 対象業種
- 指定なし
- 利用目的
- 子供の事故予防の研究、安全な製品の開発・改良
- 対象地域
- 東京都内(本社・支社・研究拠点が都内)
- 従業員数
- 中小企業者・中堅企業者(2,000人以下)
いくら
- 補助上限額
- 製品開発・改良区分6,000万円、研究区分5,000万円(事業期間の合計)
- 補助率
- 製品開発・改良区分1/2、研究区分1/2か2/3
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年6月8日〜2026年8月19日17時(受付終了)
自分は対象か
製品開発・改良区分に出す企業は、次の4つに当てはまれば対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 大企業である
- ✕ 改良がほぼ終わっている
- ✕ 同じ年度に2件以上出す
- ✕ 法人事業税等を滞納している
中小企業者は、業種ごとに資本金か従業員数の上限が決まっていて、どちらか一方を満たせば該当します。製造業・建設業・運輸業などは資本金3億円以下か従業員300人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下、小売業は5,000万円以下か50人以下です。ゴム製品製造業・ソフトウェア業・旅館業などには別の基準があり、募集要項の表に載っています。
中堅企業者は、常時使用する従業員が2,000人以下の会社と個人のうち、中小企業者を除いたものです。大企業者は、そのどちらにも当たらない企業を指します。
組むグループには、大学か公設研究機関が1機関以上入る必要があります。大学は都内の拠点がなくても構いません。グループに大企業が入ること自体は、代表機関が行う開発に不可欠な技術を持つ場合に限って認められています。申請の時点で共同開発契約を結んでおく必要はなく、交付決定のあとに結びます。
事業期間のうちに都内に支社を置く予定の企業は、申請の時点で未設置でも対象外になりません。ただし補助金の交付までに設置が確認できることが条件です。
研究区分は企業ではなく、都内に研究拠点がある大学と、国立を除く公設研究機関が申請者です。こちらは、都内に本社か支社を置く企業が1社以上入ったグループで出します。
区分でどう違うのか
| 研究区分 | 製品開発・改良区分 | |
|---|---|---|
| 申請者 | 都内に研究拠点がある大学、国立を除く公設研究機関 | 都内に本社か支社を置く中小企業者・中堅企業者 |
| 内容 | 子供の事故予防の基礎研究・応用研究 | 子供の事故予防の製品開発、既存製品の改良 |
| 採択予定 | 2件 | 3件 |
| 事業期間 | 最大3年 | 最大2年 |
| 補助上限 | 5,000万円(3年の合計) | 6,000万円(2年の合計) |
| 補助率 | 1/2か2/3(事故の種類で決まる) | 1/2 |
企業が申請者になれるのは製品開発・改良区分です。研究区分の申請者に企業は入っていません。両方の区分には出せず、募集要項のQ&Aは「どちらかの区分を選択して申請してください」と答えています。
いくら助成されるのか
製品開発・改良区分は補助率が1/2で、上限は2年間の合計で6,000万円です。年度ごとの上限があり、令和8年度は2,000万円、令和9年度は4,000万円でした。この範囲なら、年度ごとの申請額を配分してかまいません。以下は計算の例です。
- 2年間の対象経費が8,000万円:8,000万円 × 1/2 = 4,000万円
- 2年間の対象経費が1億4,000万円:7,000万円 → 上限の6,000万円
上限の6,000万円に届くのは、2年間の対象経費が合計1億2,000万円以上のときです。対象経費は税抜きで数え、年度ごとの上限を超えた分は出ません。確定額は実績報告をもとに決まり、交付決定のときの予定額より減ることもあります。
募集要項で概算払(先に渡す仕組み)に触れているのは研究区分だけで、製品開発・改良区分には書かれていません。経費はいったん自分で払う前提で資金を組むのが安全です。
研究区分の補助率は、取り組む事故の種類で決まります。東京都のセーフティ・レビュー事業で扱った転落、睡眠環境での事故、誤飲・誤えんによる事故は2/3で、それ以外は1/2です。複数の種類にまたがるときは、主な対象の種類で判定されます。
何に使えるのか
対象にならないものを先に挙げます。
- 交付決定の日の翌日より前に発注・契約・支払いをした経費
- 消費税と地方消費税にあたる額
- 建物附帯設備とその工事の経費
- 量産用の金型の導入費(試作用の金型は対象)
- 親会社・子会社など関連会社との取引で生じる経費
- 手形・小切手・ポイントで払った経費、1取引10万円(税抜)を超える現金払い
- 事業が終わったあとの運用・保守の費用
機械装置などの設備投資だけを目的にした事業も、補助の対象になりません。
対象になるのは、事業に直接必要な次の経費です。
- 原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、専門家指導費
- 直接人件費、規格等認証登録費、旅費
- 産業財産権の出願・導入費、展示会への参加費・広告費
- 大学・公設研究機関の間接経費(直接経費の20%まで)
- 外注費・委託費(合わせて、間接経費を除く経費総額の50%以内)
委託は、事前に都と調整して承認された場合に限られます。産業財産権の出願に関する調査、審査請求、登録の経費は対象外です。
申請の流れ
令和8年度の流れです。
- 募集要項と申請書類を取る(申請者→公式ページ。ダウンロードできる)
- 産学連携のグループを組む(企業と大学・公設研究機関。マッチングイベントも開かれた)
- 申請書類をメールで出す(申請者→事務局。8月19日17時まで)
- 審査を受ける(一次審査は書類、通過者は面接の二次審査)
- 交付決定を受ける(都→代表機関。9月末の予定。事業の開始は10月の予定)
- 事業を進めて実績を報告する(年度ごとに交付申請し、期間の終わりに実績報告書を出す)
申請は電子メールで出します。件名に「申請(1/1)・社名」のように分割数を入れます。事務局から受付完了のメールが届くまでは、受付完了になりません。
審査の目安は、一次審査が8月中下旬、二次審査が9月上中旬、結果通知が9月下旬でした。
必要な書類
準備できた 0 / 7
履歴事項全部証明書と確定申告書は、製品開発・改良区分だけの書類です。証明書は提出の日から3か月以内に発行されたもの、確定申告書は税務署に出し済みのものに限ります。事業を始めて2年たたない企業は直近1期分を出します。事業企画提案書は二次審査の面接で使う資料で、様式は自由です。
申込書・計画書・見積と積算の内訳・宣誓書は、zipの中のExcelファイル1つにまとまっています。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に払った経費:交付決定の翌日から始まる補助対象期間の外で、発注・契約・支払いをした経費は対象外です。
- 申請時に改良が概ね終わっている:商品化済みの製品の改良は対象ですが、実施予定の改良が申請時に終わりに近いと対象外です。
- 同じ年度に複数の申請:1研究者または1企業につき、同一年度は1件までです。
- 他の公的助成との重複:同じテーマ・経費で公社・国・自治体などから助成を受けることはできません。経費を明確に区分できる場合は例外です。
- 受付完了メールの未着:申請期間内に全ての手続きが終わらないと審査の対象になりません。提出から2営業日たっても届かなければ、事務局に確かめます。
- 採択後の説明会に出ない:採択後に事務局が開く説明会に参加しないと、採択は自動的に無効になります。
- 事業期間中に開発品を売る:開発の場合、事業の期間中の販売はテスト販売も含めて認められていません。
- 税金の滞納・暴力団との関わり:法人事業税等の滞納や、暴力団・暴力団員等が関わっている場合は対象外です。
次の募集はあるのか
公式ページには令和9年度以降について、東京都議会で年度ごとの歳入歳出予算が可決された場合に限り実施する、とあります。8月7日時点の公式Q&Aは、次年度の公募について「現時点では確定しておりません」と答え、決まったら公式ページなどで知らせるとしています。
編集部の判断としては、準備は事業計画の下書きと、連携先の大学・研究機関探しから始めるのが現実的です。
よくある質問
中堅企業でも申請できますか?
製品開発・改良区分は、都内に本社か支社を置く中小企業者と中堅企業者(スタートアップを含む)が対象です。中堅企業者は、産業競争力強化法の定義で、常時使用する従業員が2,000人以下の会社と個人のうち、中小企業者を除くものです。2,000人を超える企業は大企業者となり、申請者にはなれません。ただし、大企業が不可欠な技術を持つ構成員として入ることはできます。
大学や研究機関は申請できますか?
研究区分が対象です。都内に研究拠点(学部、研究科、研究施設など)がある大学は、国公立も含めて申請できます。公設研究機関は、都内に研究拠点があるものが対象で、国立は除かれます。独立行政法人は対象外とQ&Aに書かれています。申請は、都内に本社か支社を置く企業が1社以上入るグループで出します。
研究区分と製品開発・改良区分の両方に出せますか?
出せません。申請は同一年度で1研究者または1企業につき1件までと決まっていて、Q&Aでも、どちらかの区分を選んで出すよう答えています。企業が2区分に分けて出す形も、この上限に当たります。区分は、自社が申請者の要件に当てはまる方から選びます。
申請の時点で共同開発の契約は必要ですか?
必要ありません。公式Q&Aは、申請時に共同研究契約や共同開発契約を結んでいる必要はなく、交付決定のあとに結ぶと答えています。契約は年度ごとを想定していますが、事業の期間中は共同で取り組むことを基本合意に入れるよう求めています。申請準備の間に秘密保持契約を結ぶことは妨げられません。
助成の期間はどれくらいですか?
研究区分は最大3年、製品開発・改良区分は最大2年です。令和9年度以降は都議会で予算が可決された場合に限り実施されます。年度ごとに交付申請をして交付決定を受ける形なので、複数年の事業でも、毎年度の手続きが要ります。令和9年度以降の予算が付かなかった場合も、すでに出た分の返還はないと公式Q&Aにあります。
すでに販売している製品の改良は対象になりますか?
対象になります。ただし、申請時にその改良が概ね終わっている場合は対象外です。申請の時点で、これから実施する部分が残っている計画にする必要があります。補助対象にならない事業には、設備投資だけが目的の事業や、開発の大部分を外に委託する事業も含まれます。改良前の製品は、事業期間中も販売できます。
申請の前に払った費用は助成されますか?
されません。発注または契約から、取得・実施、支払いまでの一連の手続きが補助対象期間内に行われていない経費は対象外です。令和8年度の補助対象期間は、交付決定の日の翌日から2027年3月31日まででした。採択される前に試作品の発注や支払いを済ませると、その分は助成を受けられません。スケジュールは交付決定のあとを起点に組みます。
他の補助金と同じテーマで申請してもいいですか?
同一または類似の内容で申請すること自体はできますが、申請状況の申告が必要です。両方に採択された場合は、どちらか一方しか受け取れません。同じテーマや経費で他の公的機関から助成を受けることはできませんが、補助対象経費を明確に区分できる場合は例外です。
申請はどうやって出しますか?
募集要項と申請書類を公式ページからダウンロードし、事務局のメールアドレスに電子メールで出します。件名に「申請(1/1)・社名」の形で分割数を入れます。合計のデータ容量が10MBを超えるときは分けて送ります。受付完了のメールが届くまで受付完了になりません。申請期間が終わると、書類の差し替えや追加には応じてもらえません。
審査はどう進みますか?
申請書類による一次審査があり、通過した申請者だけが面接の二次審査に進みます。令和8年度は、一次審査の結果が申請期限からおおむね2週間以内、二次審査が9月上旬ごろ、結果通知が9月下旬の予定でした。審査では、事業目的への適合性、新規性、実現可能性、実施体制、資金計画が見られます。詳しい日程は申請した人に個別に連絡される形です。
助成金はいつ受け取れますか?
事業が終わったあとです。年度の終わりに実績報告書を出し、都が内容を確認して補助額を確定します。通知を受けて請求書を出すと、確認が済み次第、交付されます。製品開発・改良区分で先払いに触れた記載はありません。人件費や旅費には、従事時間や行程がわかる証拠書類が要ります。
採択は何件くらいですか?
令和8年度の採択予定は、研究区分が2件、製品開発・改良区分が3件でした。枠が少ない事業です。採択された事業は、公式ページの採択プロジェクト一覧で公開されます。令和8年度分の採択者情報は2026年10月26日に掲載されていて、研究区分1件、製品開発・改良区分3件が載っています。
次の募集はいつですか?
公式ページに、次回の募集時期は書かれていません。令和9年度以降は、東京都議会で年度ごとの歳入歳出予算が可決された場合に限り実施するとされています。8月7日時点の公式Q&Aでも、次年度の公募は確定していないと答えています。募集が始まると、公式ページで知らされる見込みです。
問い合わせ先はどこですか?
事務局は合同会社デロイト トーマツで、メールで問い合わせます(kodomosafety@tohmatsu.co.jp)。回答までに数日かかる場合があります。募集期間中は質問の受付がありましたが、申請状況や審査内容に関する質問には回答されませんでした。公式ページは、受付完了メールが届かないときは電話で確かめるよう案内しています。ただ、募集要項の問合せ先欄に載っているのはメールアドレスだけで、電話番号は確認できませんでした。
