東京を世界有数の国際金融都市にする。この目標を掲げる東京都には、資産運用業に特化した珍しい補助金があります。資産運用業の創業に係る補助金です。令和5年度分(上限500万円)は2024年2月29日で募集を終了しています。
この制度の名前には「(終了)」という注記が付いていることがありますが、これは令和5年度分の募集が終了したという意味です。制度自体は年度ごとに継続実施されており、令和6年度分の交付要綱も別途公開されています。
資産運用業の創業に係る補助金(令和5年度)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人。新興資産運用業者、または海外から東京に進出する資産運用業者) |
| 制度名 | 資産運用業の創業に係る補助金(令和5年度) |
| 対象業種 | 金融業、保険業(投資運用業者) |
| 利用目的 | 販路開拓・海外展開(資産運用業の創業支援) |
| 対象地域 | 東京都内(都内に本社または事業所等の登記) |
| 従業員数 | 規定なし(金融庁または地方財務局等への投資運用業者登録が条件) |
| 補助上限額 | 投資信託委託業者は500万円、それ以外の投資運用業者は300万円(初年度。年次によって逓減) |
| 補助率 | 初年度50%、2年次33%、3年次25% |
| 申請受付 | 2023年3月31日〜2024年2月29日(終了) |
| 公式サイト | Jグランツ「(終了)資産運用業の創業に係る補助金_令和5年度」 |

なぜ資産運用業だけを対象にした補助金があるのか
一般的な創業補助金は業種を問わず幅広く対象にしますが、この補助金は資産運用業に特化しています。対象になるのは、新たに東京で資産運用業を創業する事業者、または海外から東京に拠点を設立しようとする資産運用業者(EM:新興資産運用業者)です。
業登録費用、業界団体(投資信託協会・日本投資顧問業協会)への加入費用、ファンド運営に必要な法務・コンプライアンス費用、資産運用の事務委託費用など、資産運用業に固有の創業コストが対象経費になっている点が特徴です。 一般的な創業補助金が想定する店舗の内装費や広告宣伝費とは、対象経費の中身がまったく異なります。
これは、東京都が国際金融都市構想の一環として、海外の資産運用会社の誘致・国内での新規参入促進を狙っていることの表れと考えられます。資産運用業は登録要件が厳しく、業界団体への加入費用や法務・コンプライアンス体制の整備に高いコストがかかる業種です。このコストが参入障壁になっていることを踏まえ、創業初期の負担を軽くする設計になっています。
補助率が年次で下がる仕組み
補助率は、初年度50%、2年次33%、3年次25%と、年を追うごとに下がっていきます。創業したばかりの年ほど手厚く支援し、事業が軌道に乗るにつれて自立を促すという設計です。
上限額も、投資信託委託業者かそれ以外の投資運用業者かで区分されています。投資信託委託業者は初年度500万円、それ以外の投資運用業者は初年度300万円が上限です。
対象になる/ならないの境目
対象になるには、次の要件を満たす必要があります。
- 金融庁または地方財務局等に金融商品取引業者(投資運用業)として登録していること
- 都内に本社または事業所等の登記を行っていること
- 「顧客本位の業務運営に関する原則」の遵守(または遵守予定)
- 大企業や金融機関の子会社等でないこと(実質的に大企業・金融機関の出資を受けて設立された者でないこと)
一方、既に日本国内に登録済みの子会社等を持つ外国法人が、新たに設立した子会社等は対象外とされる規定があります。単なる国内グループ内の組織再編では対象にならないという設計です。
次回募集に備えて準備すべきこと
制度自体は年度ごとに継続しています。次回に備えて準備すべきことは次のとおりです。
- 投資運用業者としての登録手続きを進める(登録がないと応募できません)
- 創業支援事業者(業登録支援・法務・コンプライアンス・運用事務委託の各分野)との契約を検討する(補助対象費用はこれらの委託費用が中心です)
- 前年度に受給していた場合は継続受給の手続きを確認する(2年次・3年次として申請する場合、別の申請書類が必要です)
よくある質問
個人で資産運用業を始める場合も対象になりますか?
対象になりません。この補助金の対象者(EM)は法人としての投資運用業者登録が前提になっています。
補助対象費用にはどんなものが含まれますか?
業登録費用、協会加入費・年会費、法務業務支援事業費、コンプライアンス業務支援事業費、運用事務委託事業費用、システム関連費用などが含まれます。いずれも外部の創業支援事業者への委託費用が対象です。
令和5年度分はまだ申請できますか?
できません。2024年2月29日で受付を終了しています。制度自体は年度ごとに継続しているため、最新年度の交付要綱を東京都の公式ページで確認してください。
