登録するだけでは、会社に費用はかかりません。お金が動くのは、採用した技術者が1年在籍したあとです。
東京都と会社がそれぞれ出えん金(基金への拠出金)を出し、東京しごと財団が若手の奨学金返還を助成します。採用日までに学生本人がこの事業へ登録していないと、助成の対象外です。求人を出す前に、学生側の登録を案内しておく必要があります。
中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業の要点まとめ
正式名:中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業(登録企業)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 製造業・建設業・情報サービス業など(本文の表)
- 利用目的
- 若手技術者の採用と定着(奨学金返還の助成)
- 対象地域
- 東京都(本社が都内、または都内勤務が条件)
- 従業員数
- 中小企業基本法の資本金・従業員数の基準を満たすこと
いくら
- 補助上限額
- 年10・24・50・75万円から選択。1人3年間で最大225万円
- 補助率
- 1/2(企業と東京しごと財団が同額ずつ負担)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年2月5日〜令和8年12月17日17時(必着)
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 技術者以外の職種で採用する
- ✕ 国や自治体が出えんする団体である
- ✕ 過去5年に重大な法令違反がある
中小企業基本法の中小企業とは、業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっていて、どちらか一方を満たせば該当する会社です。上限は財団の募集要項に表があります。複数の業種にまたがる場合は、主な事業で判断します。
対象の業種は次の3分野です。
| 分野 | 対象の業種 |
|---|---|
| 建設 | 建設業、建築設計業、測量業 |
| IT | 情報サービス業、インターネット附随サービス業 |
| ものづくり | 製造業 |
採用する職種は、厚生労働省の職業分類にある「研究・技術の職業」です。機械設計、ソフトウェア開発、施工管理、電気工事の技術者などが入ります。営業や事務で採る人、製造工や機械工などの職人は対象になりません。
就業規則は、労働基準監督署への届出が必要です。従業員10人未満の事業場は、届出がなくても、就業規則を定めていれば足ります。
採る人にも条件があります。卒業予定の大学生等か、卒業済みで35歳未満の人か、卒業後3年以内の人です。奨学金は、日本学生支援機構の第一種か第二種などの貸与型に限ります。
いくら助成される?会社の負担は?
会社は登録のときに、負担する年額を選びます。選べるのは次の4つで、財団が同じ額を出します。
| 区分 | 会社の負担(年) | 財団の負担(年) | 助成額(年) | 3年間の助成額 |
|---|---|---|---|---|
| ア | 5万円 | 5万円 | 10万円 | 30万円 |
| イ | 12万円 | 12万円 | 24万円 | 72万円 |
| ウ | 25万円 | 25万円 | 50万円 | 150万円 |
| エ | 37.5万円 | 37.5万円 | 75万円 | 225万円 |
エを選べるのは、修士相当以上の学位を持つ人を採用するときだけです。アからウは1つだけ選びます。登録後に選び直すことはできません。
計算は、助成額を2で割った額が会社の負担です。
- ウを選ぶ:年50万円 × 1/2 = 会社の負担は年25万円。3年で75万円
- アを選ぶ:年10万円 × 1/2 = 会社の負担は年5万円。3年で15万円
- 修士の人にエを選ぶ:年75万円 × 1/2 = 会社の負担は年37.5万円。3年で112.5万円
年額に届かない年もあります。奨学金の返還残額(利息を除く)が選んだ年額を下回るときは、残額から千円未満を切り捨てた額を、財団と会社で半分ずつ負担します。残額がなくなれば助成は続きません。
助成金は、社員の手取りには入りません。財団が奨学金の貸与団体へ直接払い、返還が進みます。残額を上回った分だけは、財団が本人に払います。
1社が採れる人数は、1年度に3人までです。人数も負担額も、登録後は変えられません。採用がなければ、会社の負担は発生しません。ただし、専用枠に応募した人を採るときは、枠が埋まるまで必ずこの事業を適用します。
登録から助成までの流れは?
- 企業登録を申し込む(会社→東京しごと財団。郵送かJグランツ。令和8年度は12月17日17時必着)
- 専用枠の求人を出す(会社→専用サイト。奨学金返還支援の対象であることと採用人数を明示する)
- 内定を報告する(会社→財団。入社日前まで。助成額は報告の前に本人へ伝えて同意を得る)
- 採用後1か月以内に採用報告と育成計画書を出す(会社→財団。採用日は令和9年4月1日までの分)
- 1年在籍したら本人が支給申請する(本人→財団。会社は在職証明書兼出えん等確認書を出す)
- 出えん金を振り込む(会社→財団。財団の請求を受けて。支給決定の通知から1年以内)
- 2年目と3年目も同じ手順で申請する(最大3回)
Jグランツは国の電子申請システムで、使うにはGビズIDプライム(法人・個人事業主の共通ID)が要ります。発行に審査の時間がかかります。IDが間に合わなくても、申込期限は延びません。その場合は郵送で出します。
学生側の登録期間は令和9年3月12日17時までです。期間外には登録できません。内定を出す前に、登録が済んでいるかを必ず聞いてください。
必要な書類
登録申込のときに、次の書類をすべてそろえます。
準備できた 0 / 5
誓約書(様式第2号)は、チェック欄に1つずつ印を付ける形です。最低賃金以上の支払い、36協定と時間外労働の上限の遵守、年5日の有給休暇の取得、ハラスメント防止措置などが並びます。風俗営業や、パチンコ・ゲームセンターなどの遊技場営業は申込できません。
履歴事項全部証明書は、発行から3か月以内の原本です。納税証明書は、申込日時点で納期が確定した直近のものです。法人は法人都民税と法人事業税の2種類が要ります。
個人事業主は、履歴事項全部証明書の代わりに、開業・廃業届出書の写しと住民票記載事項証明書(3か月以内)を出します。個人都民税は区市町村、個人事業税は都税事務所の発行です。
令和7年度の登録企業(法人)で内容に変更がなければ、履歴事項全部証明書と企業の概要資料は省けます。
採用したあとの報告には、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写しと、雇用契約書か労働条件通知書の写しも付けます。
助成が止まったり取り消されたりするのはどんなとき?
- 学生が採用日までに登録していない:未登録のまま採用すると、助成の対象になりません。
- 在籍が1年で途切れた:要件を失った時点で助成期間が終わります。途中で辞めると、残りの年の助成は出ません。
- 支給申請の期限を過ぎた:申請できるのは、満1年を過ぎた日から翌々月の末までです。過ぎると助成期間が終わります。
- 出えん金を払わなかった:支給決定から1年以内に払わないと、不支給になります。払いが確認できない間は、貸与団体への支払いも止まります。
- 奨学金の返還が滞った:延滞中や返還期限の猶予中は、申請できません。返還を免除されると、その時点で助成が取り消されます。
よくある質問
登録しただけで費用はかかりますか?
かかりません。会社が出えん金を払うのは、採用した人が1年在籍し、本人が支給申請をして、財団から請求が届いたときです。募集要項にも、登録後に専用枠で採用しなければ企業の負担は発生しないと書かれています。ただし、登録時に選んだ負担額と採用人数は変えられません。数字は慎重に決めてください。
すでに働いている社員も対象になりますか?
なりません。すでに入社している社員は、この事業の対象外です。対象になるのは、専用枠で新しく採用し、採用日が登録通知日から令和9年4月1日までに収まる人です。採用日までに本人が登録を済ませている必要もあります。登録前から働いている社員に使い回すことはできないので、社員の奨学金を会社で支えたい場合は、別の仕組みを検討する形になります。新卒や第二新卒の採用計画と合わせて、登録の時期を決めてください。
修士卒でなくても年75万円を選べますか?
選べません。年75万円のコースは、修士相当以上の学位を持つ人を採用するときに、任意で追加できる区分です。それ以外の人は、年10万円、24万円、50万円のどれかになります。会社の負担額は、それぞれ年5万円、12万円、25万円です。複数を同時に選ぶことはできません。
対象になる学生の条件を教えてください。
次のどれかに当たる大学生等です。大学等を令和9年3月31日までに卒業・修了する予定の人、登録時点で卒業・修了済みで35歳未満の人、卒業・修了から3年以内の人。大学等には短大は含まれず、大学、大学院、4年制相当以上の大学校、高専の専攻科が入ります。奨学金は日本学生支援機構の第一種か第二種などの貸与型で、ほかの制度で返還免除を受けていないことも条件です。
正規雇用でなければいけませんか?
はい、正規雇用の技術者として採ることが条件です。正規雇用とは、期間の定めのない契約で、会社に直接雇われ、所定労働時間が通常の労働者と同じで、長期雇用を前提とした待遇が適用される働き方をいいます。有期契約や派遣は、この定義に合いません。採用後は雇用契約書などの写しも、財団に出します。
1年で辞めた場合はどうなりますか?
1回目の支給申請は、採用から継続して1年在籍していることが条件です。申請前に辞めれば、助成は受けられません。2回目と3回目も、それぞれ2年、3年の継続在籍が要ります。途中で要件を失った時点で、助成期間は終わります。会社への出えん金の請求は、本人が支給申請し、財団が支給を決めたあとに届きます。申請の前に辞めた場合は、その年の請求は来ません。
助成金は誰に支払われますか?
奨学金の貸与団体です。財団が代理返還の仕組みを使い、本人が借りている団体へ直接払います。原則として、残りの返還額を前倒しで減らす繰上返還の形です。社員の給与に上乗せされるわけではありません。返還残額が助成額より少ない場合は、差額が本人に支払われます。
登録の締切に間に合わないときは?
令和8年度の登録は、12月17日17時の必着です。Jグランツで出す場合は、GビズIDプライムの発行に時間がかかるので、早めに動いてください。ID発行が間に合わなくても期日は延びません。その場合は郵送で出します。郵送でも必着なので、日数に余裕を持たせます。受付は令和8年2月5日から始まっているので、年度の途中でも申し込めます。採用日が令和9年4月1日までに収まるかも確かめてください。
負担額は途中で変えられますか?
原則として変えられません。募集要項は、企業負担額も専用枠の採用人数も、登録後の変更はできないとしています。助成額は、内定の報告の前に学生へ伝えて同意を得る決まりです。登録の時点で、3年間払い続けられる額かを確かめてから選んでください。採用がなければ負担は生じません。ただし、専用枠に応募した人を採るときは、枠が埋まるまでこの事業を適用する決まりです。人数は、実際に採りたい数で決めてください。
令和7年度に登録した会社は、手続きが省けますか?
一部だけ省けます。令和7年度の登録時に出した書類で内容に変更がなければ、履歴事項全部証明書と企業の概要資料は出さなくてかまいません。企業登録申込書、誓約書、都税の納税証明書は、毎年出し直します。登録内容に変更があるときは、企業登録変更届出書(様式第3号)を出します。
求人を取り下げるのはいつですか?
専用枠の採用人数に達したときは、速やかに取下げ申出書(様式第4号)を出します。採用人数を満たす前に取り下げられるのは、やむを得ない事情があり、学生の就職活動に影響しないと認められる場合だけです。求人の扱いは、登録後に届く事務局の案内に従ってください。
問い合わせ先はどこですか?
登録の申込については、東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 採用定着促進支援係(03-5211-1080、平日9時から17時、12時から13時を除く)です。事業の説明を聞きたいときは、事務局(03-6698-5102、平日9時15分から18時)に頼めます。登録企業の募集は財団のページで更新されるため、申込前に最新の内容を確かめてください。
