バス運転手を採用すれば190万円がもらえるのか。もらえません。女性・若者・就職氷河期世代を正規雇用で採用し、大型二種免許の講習費を会社が全額負担したうえで、2か月以上の研修を行った会社が対象です。
もうひとつ、申請の順番が決まっています。申請は大型二種免許を取った後で人材育成の取組を始める日の前日(23時59分)までです。研修を始めてから申請すると間に合いません。
バス事業者人材開発支援奨励金の要点まとめ
正式名:令和8年度 バス事業者人材開発支援奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・団体)
- 対象業種
- 運輸業(一般乗合旅客自動車運送事業=乗合バス)
- 利用目的
- バス運転手の採用と人材育成
- 対象地域
- 東京都(都内に本社か主たる事業所を置く事業者)
- 従業員数
- 300人以下(または資本金3億円以下)
いくら
- 補助上限額
- 190万円(1人30万円×5人+特別加算20万円×2つ)
- 補助率
- 定額(対象人数・加算項目に応じた積算)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月29日〜2027年2月28日
- 事業の完了
- 申請から7か月以内、または取組終了後2か月以内の早い日まで(実績報告)
受付は予算の上限に達すると期間内でも終わります。
自社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象になる見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
従業員数と資本金はどちらか一方を満たせば足ります。「正規雇用」は、期間の定めのない契約で所定労働時間が週30時間以上の働き方です。若者と就職氷河期世代の年齢は入社日時点で数えます。女性に年齢制限はありません。
路線バスやコミュニティバス、高速・夜行・空港連結・定期観光のバスも対象です。都内に本店か支店の登記があるか、都税事務所に事業開始等申告書を出した事業所が要ります。要件は申請日から実績報告日まで満たし続けなければなりません。過去5年に重大な法令違反がないこと、最低賃金や36協定など労働関係の法令を守っていること、法人事業税と法人都民税に未納がないことも、同じく条件です。同じ代表者の別法人に重大な法令違反があっても外れます。
次のどれかに当たる人は対象外です。
- ✕ 採用時にすでに大型二種免許を持つ人
- ✕ 別職種で採用し、後から配置転換した人
- ✕ 講習費を本人が立て替えた人
- ✕ 契約社員のまま正規雇用になっていない人
線引きの理由は、この奨励金が、採用した人に会社が免許を取らせて育てる取組に出るからです。免許をすでに持つ人は会社が取らせたことにならないので外れます。ただし非正規で採用して支給申請の日までに正規雇用になった人は対象に入ります。
取り違えると申請できない点
申請のタイミング
申請は免許を取った後から、研修を始める日の前日までです。免許を取る前には申請できません。複数人分をまとめて申請するときは研修の開始日がいちばん早い人に合わせます。申請したあと支給決定の前に研修を始めても構いません。
講習費の払い方
講習費は会社が教習所へ直接払っている必要があります。本人が立て替えて、あとで会社が精算する形は認められません。領収証の但し書きに講習名と対象労働者の名前が書かれていることも求められます。口座振込などで申請までに領収証が出ないときは振込控えなど支払いが分かる書類を出します。
特別加算は自動で付かない
「就職氷河期世代を2人以上採用」は2人採用した時点で自動的に加算されるものではありません。申請のときに特別加算計画書(様式第4号)を出して初めて、加算の対象になります。この2人も、免許を持たずに採用して会社が免許を取らせた人でなければなりません。特別加算だけの申請もできず、人材育成の取組と一緒に出します。
いくらもらえる?
1人につき30万円で、年度内に5人まで(最大150万円)です。そこに特別加算が1つにつき20万円、年度内に2つまで(最大40万円)付きます。1社の上限は190万円です。
- 3人を採用して研修、特別加算なし:30万円 × 3人 = 90万円
- 5人を採用して研修、特別加算2つ:30万円 × 5人 + 20万円 × 2 = 190万円(上限)
- 6人を採用して研修:年度内の対象は5人までなので、30万円 × 5人 = 150万円
- 氷河期世代2人を採用し、福利厚生の制度も新設:30万円 × 2人 + 20万円 × 2 = 100万円
支給決定の額は「上限」を示すもので実際の額は実績報告のあとに確定します。取組の途中で対象の人が辞めるとその人の分は減額されます。
特別加算になるのは、次の4つのうち法律で義務づけられていない制度の新設です。
- 女性が働きやすい職場環境の制度(不妊治療休暇、フレックスタイム制度など)
- キャリアアップ制度(社内のキャリアパス、メンターの教育制度など)
- 福利厚生の制度(引越手当、無事故手当、入社祝い金など)
- 就職氷河期世代を2人以上採用
すでにある制度の日数や金額を増やすだけでは対象になりません。
申請の流れ
- 運転手を正規雇用で採用する(事業者。2026年4月1日以降の採用が対象)
- 大型二種免許の講習費を教習所へ全額払い、免許を取らせる(事業者→教習所)
- Jグランツで支給申請を出す(事業者→事務局。人材育成の取組を始める日の前日まで)
- 支給決定の通知を受ける(事務局→事業者。Jグランツで届く)
- 座学と実技の研修を2か月以上行う(事業者。メンターを置き、勤務時間内の業務命令で行う)
- 実績報告を出す(事業者→事務局。申請から7か月以内か、取組終了後2か月以内の早い日まで)
- 額の確定通知から1か月以内に請求書を出す(事業者→事務局。振込は請求のおおむね1か月後)
申請はすべてJグランツで行い、GビズIDプライムのアカウントが要ります。発行に時間がかかることがあるので先に取っておきます。郵送の申請はできません。
必要な書類
支給申請のときの書類です。
準備できた 0 / 12
履歴事項全部証明書は、申請日から6か月以内の発行で原本のスキャンを出します。登記された本店も支店も都内にないときは、都税事務所が出す事業開始等申告書の提出済証明書も要ります。納税証明書は申請日の時点で納期が来ている直近の決算期のものです。収益事業を行わない法人などは出す書類が異なります。特別加算で制度を新設するときは、申請日時点の就業規則(労働基準監督署の届出済のもの)も出します。氷河期世代の採用で加算を受けるときは不要です。労働者が10人未満で届出義務がない会社も、就業規則の作成と届出が要ります。
実績報告のときは、実績報告書(様式8)、対象の人が自署した人材育成実績報告書(様式9)、研修の写真(1人1枚以上で、対象の人の名前と研修名と撮影日を書き込む)を出します。特別加算を申請したときは、特別加算実績報告書(様式10)も出します。制度を新設した場合は、変更後の就業規則、新旧対照表、労使協定書も出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 免許を取る前に申請した、または研修の開始日を過ぎた:免許取得後から取組の開始日の前日までの申請が条件です。
- 座学か実技の片方だけで終えた:1人につき座学と実技の両方を合計2か月以上行う必要があります。
- 実績報告が期限に間に合わない:事前の相談なく出さないと支給決定が取り消されることがあります。
- 申請のあとで要件を満たさなくなった:申請日から実績報告日までの間に、法令違反や都税の未納が判明すると、支給決定が取り消されることがあります。
- 申請したあとに対象の人や加算を変えた:支給申請のあとの変更は認められません。申請の取り下げもできません。
他の助成との関係
免許の講習費に国や自治体の補助金・助成金を受けていても、この奨励金は申請できます。一方、同じ内容の人材育成や特別加算の取組で国や自治体から同様の奨励金などを受けたことがある場合は対象外です。
よくある質問
契約社員として採用した場合も対象ですか?
そのままでは対象になりません。対象の労働者は、期間の定めのない契約で週30時間以上働く正規雇用の人です。ただし2026年4月1日以降に非正規で採用して、支給申請の日までに正規雇用になった人は含まれます。契約社員で採用する予定なら申請の前に正規雇用へ切り替える時期を決めておくと間に合います。
採用時に大型二種免許を持っていた人は対象ですか?
対象外です。この奨励金は、採用したあとに会社が講習費を全額負担して、大型二種免許を取らせた人が対象です。経験者を採用する場合は、この人の分の30万円は付きません。同様に、別の職種で採用したあとにバス運転手へ配置転換した人も、採用時にバス運転手として採用されていないので対象外です。
就職氷河期世代を1人だけ採用した場合、特別加算は受けられますか?
「就職氷河期世代を2人以上採用」の加算は受けられません。その1人分の30万円は、人材育成の取組が条件を満たせば対象です。ほかの加算(女性が働きやすい職場環境、キャリアアップ、福利厚生のいずれかの制度の新設)を満たせば、そちらは1つにつき20万円が付きます。加算は年度内に2つまでです。
研修はどのくらい行えばよいですか?
対象の労働者1人につき、座学と実技の両方を合計2か月以上行います。座学は法令や車両の知識で、オンラインでも構いません。実技は空車での走行や実車での走行など、実際に乗合バスを運転するための研修です。座学だけ、実技だけでは対象になりません。あわせて、OJTで指導できる人をメンターとして置く必要があります。
申請はいつまでにすればよいですか?
受付期間は2027年2月28日までですが実際の期限はそれより前です。大型二種免許を取った後、人材育成の取組を始める日の前日の23時59分までに申請します。予算の上限に達すると受付期間内でも受付が終わります。採用のタイミングで、1回目に2人、2回目に3人というように、分けて申請することもできます。
申請の書類づくりを行政書士などに頼めますか?
書類の作成は依頼できます。GビズIDで委任の手続きをすると、受任した行政書士や社会保険労務士などがJグランツで書類を作れます。ただし提出は申請する会社自身が行います。募集要項には、書類の代行作成が認められるのは法令に基づいて行える人に限られるとあります。
申請したあとに、対象の人を変えられますか?
変えられません。支給申請のあとは、対象労働者も特別加算で選んだ取組も変更できません。申請の取り下げもできず撤回したいときは支給決定日から1か月以内に支給申請撤回届出書を出します。申請の前に、採用した人の入社日、年齢の区分、免許取得の日付を一覧にして、間違いがないか確かめておくと安心です。
対象の人が途中で辞めたらどうなりますか?
その人の分は対象外になり支給額は減額されます。人材育成実績報告書(様式第9号)で、取組が未実施であることを報告します。減額されるのは辞めた人の分だけです。ほかの人の分や特別加算の分は、それぞれの条件を満たしていれば残ります。退職が分かった時点で事務局に相談しておくと手続きを進めやすくなります。
特別加算で制度を新設するとき、就業規則は直す必要がありますか?
直す必要があります。女性が働きやすい職場環境、キャリアアップ、福利厚生の制度を新設する場合は、就業規則を改定します。実績報告のときに、変更後の就業規則、新旧対照表、労使協定書を出します。労働基準監督署へ届出済みで受付印のある全文が求められます。氷河期世代の採用で加算を受けるならこの手続きは要りません。
申請の前に研修を始めてもよいですか?
人材育成の取組を始める前に申請を済ませる必要があります。申請から支給決定までの間に研修を始めるのは問題ありません。免許を取った日から研修の開始日までの間に申請の時間を確保できるよう、開始日を決めておきます。複数人をまとめて申請するときは開始日がいちばん早い人に合わせます。
お金はいつ入りますか?
支給申請、審査、支給決定、研修の実施、実績報告、額の確定の順に進みます。額の確定の通知から1か月以内にJグランツで請求書兼口座振替依頼書を出し、おおむね1か月ほどで振り込まれます。実績報告は、申請から7か月以内かすべての取組が終わってから2か月以内の早い日までに出します。
問い合わせ先はどこですか?
バス事業者人材開発支援奨励金事務局(東京しごと財団)です。電話は03-4550-0961で受付は平日の9時から17時です。Jグランツの操作そのものについては、Jグランツの公式サイトが案内しています。書類の作り方や申請方法で迷ったら、申請の前に事務局へ聞いておくと出し直しを防げます。審査の経過や結果についての問い合わせには応じてもらえません。
