技術系の若手を採用したいのに、応募が集まらない。奨学金の返還を抱えたまま就職先を選ぶ学生は、初任給の高さだけでなく「返還の負担が軽くなるか」も見ています。
東京都の「中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業」は、この奨学金返還を会社と財団で折半して支援する仕組みです。利用するには、まず企業として登録する必要があります。登録した企業が対象の学生を採用し、1年継続して在籍すれば、選んだ金額に応じて年最大75万円(3年間で最大225万円)まで支援を受けられます。
中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業(企業登録)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業(企業登録) |
| 対象業種 | 「研究・技術の職業」に分類される業種(厚生労働省の職業分類が基準) |
| 利用目的 | 人材確保(技術者人材の奨学金返還の肩代わり) |
| 対象地域 | 本社が東京都内にある、または都内の事業所に対象の学生を勤務させる企業 |
| 従業員数 | 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者(業種ごとに資本金・従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当。製造業等は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下) |
| 補助上限額 | 年額10万円・24万円・50万円・75万円(75万円は修士相当以上の学位取得者のみ)から選択。3年間の累計で最大30万円〜225万円 |
| 補助率 | 2分の1(企業と東京しごと財団が同額ずつ負担) |
| 申請受付 | 企業登録:令和8年2月5日~令和8年12月17日17時 |
| 公式サイト | 東京しごと財団「中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業」 |

まず、自社が対象になるか確かめる
対象になるのは、次をすべて満たす企業です。
- 本社が東京都内にある、または大学生等を都内の事業所で勤務させる予定がある
- 「研究・技術の職業」に分類される業種であること(厚生労働省の職業分類が基準)
- 中小企業基本法上の中小企業者に該当する規模であること
採用予定の職種が「研究・技術の職業」に当てはまるかどうかが最初の分岐点です。技術者・エンジニアの採用計画がある製造業やIT業の企業が主な対象になります。
登録から助成金支給までの4ステップ
この制度は、採用してすぐ助成が受けられるわけではありません。順番に進む必要があります。
- 企業登録:登録申込書等を財団に提出する
- 採用・報告:奨学金を借りている大学生等を採用し、内定・採用を財団へ報告する
- 育成計画書の提出:対象者の育成計画をまとめて提出する
- 助成金支給申請:採用から1年継続して在籍したことを確認したうえで申請する
助成は採用日から最大3年間、1年ごとに3回申請する形です。1回目の支給申請ができるのは、採用してから1年が経ったあとになります。登録を先に済ませていないと、採用してから慌てて申請しても間に合いません。
助成額はいくらになるか
企業は申込時に、年額10万円・24万円・50万円・75万円(75万円は修士相当以上の学位取得者に限る)のいずれかを選びます。財団がその同額を負担するため、実質的な助成率は2分の1です。
| 選択する年額 | 3年間の累計上限 |
|---|---|
| 10万円 | 30万円 |
| 24万円 | 72万円 |
| 50万円 | 150万円 |
| 75万円(修士相当以上のみ) | 225万円 |
例えば、年額50万円を選んだ場合、企業の負担は年25万円、財団負担が年25万円です。ただし、申請時点の奨学金返還残額が選択額を下回っている場合は、その残額(千円未満切り捨て)が上限になります。 選んだ金額を必ず満額受け取れるわけではない点に注意してください。
よくある質問
すでに採用してしまった社員でも登録できますか?
企業登録自体は随時可能ですが、助成の対象になるには、登録・採用報告・育成計画書の提出という順番を踏む必要があります。採用後にどこまで遡って対象になるかは、事務局に確認してください。
修士相当以上でなくても年75万円を選べますか?
選べません。年75万円のプランは修士相当以上の学位を持つ対象者に限られます。それ以外は10万円・24万円・50万円のいずれかから選びます。
登録すれば必ず助成を受けられますか?
登録は助成の前提条件であり、登録だけでは助成は発生しません。対象者を採用し、1年継続して在籍したことを確認したうえで、初めて助成金の支給申請ができます。
