助成金だけの申請はできません。この制度は、まず専門家の伴走支援(無料)で「収益力強化計画」を作り、その計画を実行する費用に助成金が出る、2段階の仕組みです。
いま受け付けているのは、その入口にあたる専門家派遣の第2回です。2026年12月14日(予定)までですが、支援対象が500社に達した時点で受付は終わります。
中小企業収益力強化サポート事業の要点まとめ
正式名:中小企業収益力強化サポート事業
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(物価高騰の影響を受ける都内中小企業等)
- 利用目的
- 収益力強化計画の策定と、その実行
- 対象地域
- 東京都内(都内に登記簿上の本店または支店がある)
- 従業員数
- 業種ごとに上限あり(製造業等は300人以下、小売業は50人以下など)
いくら
- 補助上限額
- 300万円(助成金。専門家派遣は無料)
- 補助率
- 対象経費の2/3以内(賃上げ計画で3/4、小規模企業者は4/5)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月1日〜12月14日(予定。第2回の専門家派遣の募集)
- 事業の完了
- 助成対象期間は最大1年間
- 公式サイト
- 中小企業収益力強化サポート事業
うちの会社は対象になるのか
申込には7つの要件があり、すべて満たす必要があります。いちばん落ちやすいのは、決算の条件です。次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 7
決算は、申請受付開始日(第2回は2026年10月1日)の時点の直近の決算期で見ます。営業利益が前の期より減っているか、営業損失が出ていれば当たります。「創意工夫チャレンジ事業」は「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」のことです。
次のどれかに当たると、対象外です。
- ✕ 直近期が増益で黒字
- ✕ 創意工夫チャレンジ事業の交付決定を受けた
- ✕ 解決策の策定やシステム選定が済んでいる
- ✕ 専門家の助言を求めず助成金だけが目的
- ✕ 専門家に作業を代行してほしい
直近期の営業利益が前の期より減っておらず赤字でもない場合は、対象外です。創意工夫チャレンジ事業とは併用できません。専門家の支援は助言までです。
中小企業者は業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば当たります。上限は、製造業・建設業・運輸業などで資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業で1億円以下または100人以下、サービス業で5,000万円以下または100人以下、小売業(飲食業を含む)で5,000万円以下または50人以下です。ほかにソフトウェア業・情報処理サービス業(3億円以下または300人以下)、旅館業(5,000万円以下または200人以下)などの区分があります。
勘違いされやすいのは「助成金」と「専門家派遣」の順番
上限300万円は助成金の額です。専門家派遣そのものは無料で、お金は出ません。
- 先に受けるのが専門家派遣で、収益力強化計画を作るところまでが支援です
- 助成金の申請は、その計画に基づいてあとから行います
- 助成金の対象は、専門家派遣を受けて計画を作った企業だけです
もう1つ紛らわしいのが、「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」です。こちらは専門家による計画づくりがなく、申請者が自分で計画を作って助成金を申請する事業で、併用できません。申込の段階で確認されます。
専門家派遣は1事業者につき1回だけです。申込の結果、支援の対象にならなかった場合は、次回以降の募集で再び申し込めます。
いくら受け取れるのか
助成の上限は300万円(千円未満は切り捨て)です。補助率は、賃上げ計画を掲げるかどうかで3段階に分かれます。
- 通常:対象経費の2/3以内
- 賃金引上げ計画を掲げて申請:3/4以内
- 賃金引上げ計画を掲げた小規模企業者:4/5以内
賃上げ計画を達成できなかった場合は、助成率が2/3以内に下がります。
- 店舗の改装とPOSレジ導入に300万円かける:300万円 × 2/3 = 200万円
- 同じ300万円で、賃上げ計画を掲げる:300万円 × 3/4 = 225万円
- 同じ300万円で、賃上げ計画を掲げた小規模企業者:300万円 × 4/5 = 240万円
- 上限に当たる例:450万円 × 2/3 = 300万円(通常の場合)
上限の300万円に届く経費は、通常なら450万円、賃上げ計画があれば400万円です。小規模企業者の4/5なら375万円で届きます。
ここで挙げた例は、補助率と上限から計算した試算です。実際に助成されるのは、審査で認められた経費だけです。
何に使えるのか
助成の対象は、専門家派遣で作った収益力強化計画に基づく取り組みの経費です。計画に入っていても、審査で認められなければ対象になりません。
対象にならないもの
- 収益力強化計画に入っていない取り組みの経費
- 委託・外注費のうち、市場調査費だけで申請するもの
対象になるもの
- 原材料・副資材費、機械装置・工具器具費
- 委託・外注費、店舗等改装費
- 産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費
- 設備等導入費、システム等導入費、販売促進費
事務局が示している取り組み例は、会員制を導入して顧客データから新規客を開拓する小売店、顧客分析でメニューを見直しフードロスを減らす飲食店、原価管理のツールを入れて価格転嫁を進める製造業です。派手な新規事業ではなく、現場や業務の改善が想定されています。
申請から助成金の受け取りまでの流れ
- 専門家派遣に申し込む(事業者→事務局。申込フォーム、2026年10月1日〜12月14日(予定))
- 審査を受ける(事務局→事業者。申込の受付後に順次、概ね1週間で結果をメールで通知)
- 初回支援の日程を決める(事務局→事業者。決められた期日までに応じないと、支援が中止になることがあります)
- 専門家の伴走支援を受け、収益力強化計画を作る(専門家→事業者。支援決定から3〜5か月、最大6回)
- 助成金を申請する(事業者→公社。Jグランツで電子申請。第2回の派遣分は2027年1月頃の予定)
- 審査を経て交付決定を受け、計画を実行する(公社→事業者。助成対象期間は最大1年間)
- 実績を報告し、完了検査を受ける(事業者→公社。検査時には専門家が派遣されます)
必要な書類
準備できた 0 / 9
決算書は貸借対照表、販管費内訳つきの損益計算書、法人税申告書の別表1〜2をそろえ、税務署に出したデータを使います。履歴事項全部証明書は発行から3か月以内のもので、登記情報提供サービスのデータは使えません。個人事業主の確定申告書は第一表と、青色決算書または収支内訳書を出します。
申請書などの様式は、助成金の申請時に助成金ポータルサイトから取ります。GビズIDプライムは助成金をJグランツで申請するときに必要で、発行に1〜2週間程度かかります。創業3年未満などで3期分がない場合は、出せる期の分だけを出します。決算書は「試算表形式」では審査できません。
もらえなくなるのはどんなときか
- 日程の変更が重なった:3回以上の日程変更や、1時間前のような直前のキャンセルがあると、支援が中止になることがあります。
- 主体的な参加が見込めないと判断された:支援決定後でも、申込時の内容と違う事実が見つかった場合などは、支援が中止になることがあります。
- 助成金のみが目的だった:助成金の活用だけを目的とした申込は、支援の対象外です。
- 経費が審査で認められなかった:計画に書いた内容でも、対象経費として認められないものがあります。
- 助成金の交付決定は1回限り:1事業者につき交付決定は1回です。不採択の場合は、次回以降の募集で再び申請できます。
受付状況と問い合わせ先
専門家派遣の募集は第1回(2026年5月27日〜8月31日)が終わり、第2回が受付中です。両回を合わせた支援対象が500社に達すると、募集は終わります。公式サイトには、上限に達したときに一時停止する場合があると書かれています。
運営は東京都中小企業振興公社から、トランスコスモス株式会社が受託しています。専用の窓口は03-6868-7029(平日9:00〜17:00)です。
よくある質問
助成金だけを申請することはできますか?
できません。助成金は、この事業の専門家派遣を受け、専門家の提案に基づいて収益力強化計画を作った事業者だけが申請できます。助成金のポータルサイトにも「助成金のみの申請はできません」と書かれています。先に専門家派遣に申し込み、計画を作ることが助成金の申請の前提です。専門家派遣そのものは無料で受けられます。
営業利益が減っていない会社でも申し込めますか?
申し込めません。申込資格は、申請受付開始日(第2回は2026年10月1日)の時点で、直近の決算期の営業利益が前の期より減っているか、直近の決算期に損失(営業損失)が出ていることです。たとえば直近の決算期が2025年なら、2024年の決算期と比べて営業利益が減っているか、2025年の営業利益がマイナスの場合が該当します。営業利益は、販売費および一般管理費を引いたあとの金額です。
個人事業主でも申し込めますか?
申し込めます。個人事業主の決算条件は、確定申告書の種類で確認されます。青色申告なら損益計算書の「差引金額」、白色申告なら収支内訳書の「所得金額」がマイナスの場合が、損失の要件に当たります。提出書類は、確定申告書(第一表、青色決算書または収支内訳書)と、税務署に出した開業届の控えです。
開業したばかりで、決算が3期分ありません。
創業3年未満などで3期分がそろわない場合は、出せる期の分だけを出せば足ります。ただし、営業利益が前の期より減ったかを比べるには、直近の決算期と前の期の2期分の実績が要ります。1期分しかない場合の扱いは、公式サイトに記載がありません。直近の決算期に営業損失が出ていれば要件の対象になるので、事務局(03-6868-7029)に確認してください。
専門家はどんな人が来ますか?指定できますか?
主に中小企業診断士が来ます。事務局が申込内容を踏まえて専門家派遣機関に依頼し、内容に合う専門家を選びます。申込者が指名できるとは、公式サイトに書かれていません。面談は原則として事業所への訪問で、やむを得ない事情があればオンラインも使えます。1回1.5〜2時間ほどで、最大6回です。初回と最終回には、代表者か担当役員の同席が求められます。
専門家に作業を代行してもらえますか?
できません。支援は助言とアドバイスだけで、専門家が業務を代行することはありません。最終的な判断と実行は、支援を受ける企業の責任です。専門家に作業を頼みたい場合は、支援の対象外になります。また、すでに課題の解決方法やシステムの選定が終わっている場合も対象外です。専門家の助言が要らなくなるためです。
助成金の申請はいつできますか?
第1回の専門家派遣を受けた方の助成金申請は、2026年9月14日から10月30日16時までです。第2回の専門家派遣を受けた方は、第1回の助成金には申請できません。第2回の助成金申請は2027年1月頃の予定で、詳細はこれからお知らせされます。受付の状況は、助成金ポータルサイトのお知らせで確かめられます。
助成の対象になる期間と、支払いの時期を教えてください。
助成対象期間は最大1年間です。第1回の場合、9月30日までに申請した方は2026年12月1日から、10月1日以降に申請した方は2027年1月1日からでした。この期間内に契約・実施・支払いまで終わった経費が対象です。第2回の期間は、公式サイトに記載がありません。助成金の支払い時期も記載がないので、助成金事務局(03-6868-7029)に確認してください。
他の補助金と併用できますか?
「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業」とは併用できません。この事業の交付決定を受けた場合は、本事業に申し込めません。そのほかの補助金との併用は、公式サイトに記載がありません。同じ時期に、同じテーマや内容で別の事業の支援を受けている場合は、申込の前に相談するよう求められているので、事務局に問い合わせてください。
申し込んだあと、どのくらいで結果が分かりますか?
申込の受付後に順次審査され、概ね1週間で結果が通知されます。通知はメールで、支援が決まったかどうかにかかわらず、すべての申込者に届きます。法人番号やGビズIDプライムを書いていない場合や、申込が多い場合は、確認に時間がかかります。審査の内容や結果についての個別の問い合わせには、回答してもらえません。
東京都外の拠点にも専門家は来ますか?
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県が派遣の対象です。ただし、都外の拠点に派遣されるのは、東京都に本店の登記がある事業者に限ります。本店の登記が東京都にない事業者は、都内にある拠点での実施になります。喫茶店やファミリーレストランでの支援はできないため、事業所か貸会議室を用意します。
支援を受けるときの注意点はありますか?
公社や専門家との間で、秘密保持契約(NDA)は結べません。専門家には、業務上知った情報について守秘義務があります。支援には、原則として自社の役員と従業員だけが参加できます。支援の終了後も、アンケートや事例記事のための取材への協力を求められることがあります。支援が決まると、事業者名や所在地、支援の概要が公社の実績として公表される場合があります。
