古い空調やLED照明、工作機械を高効率の機種に入れ替える費用を、国が一部負担します。交付決定の通知より前に発注した設備は、補助の対象外です。まず「いつ発注するか」から確かめてください。
申請の入口は2つあります。事業所全体で計画を組む「工場・事業場型」と、設備を指定して入れ替える「設備単位型」です。この記事は、中小企業が使いやすい設備単位型を中心に説明します。
省エネ・非化石転換補助金の要点まとめ
正式名:省エネ・非化石転換補助金(省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・青色申告の個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 省エネ設備への更新、電化・燃料転換、エネルギー管理システムの導入
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 中小企業者は業種ごとの基準あり(本文参照)。大企業は条件付き
いくら
- 補助上限額
- 40億円
- 補助率
- 1/5〜2/3以内(設備単位型の従来枠は1/3以内)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月5日〜10月30日(4次公募・17時必着)
- 事業の完了
- 2027年1月31日まで(設備単位型の単年度事業)
うちの会社は対象になる?
申請者は、次のすべてに当てはまる必要があります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
設備の所有者と使う人が違うときは、共同申請になります。リースやESCO(省エネ効果を事業者が保証するサービス)の場合も同じです。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 交付決定の前に発注・契約した
- ✕ 事業に使っていない設備を更新する
- ✕ 専ら居住用の場所の設備である
- ✕ 売電を目的とする発電設備である
- ✕ 中古品を入れる
- ✕ 性風俗関連特殊営業の事業所である
補足があります。中小企業者とは、資本金か従業員数のどちらか一方が基準以内の会社です。製造業その他は資本金3億円以下または300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下です。
みなし大企業は、中小企業扱いになりません。資本金5億円以上の法人に100%の株式を持たれている会社と、直近3年分の課税所得の年平均が15億円を超える会社が当たります。申請では、株主の出資比率や課税所得を書いた宣誓書を出します。
大企業は、省エネ法の事業者クラス分けで一定の評価を受けている場合などに限り申請できます。条件の詳細は公募要領に書かれています。
年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500kl以上の事業者は、省エネ法の報告書の写しに加えて、定期報告の情報を開示する制度への参加も要ります。
いくら戻ってくる?
申請の入口によって、率も上限も大きく変わります。早見表の40億円は、工場・事業場型で非化石転換設備を入れる先進枠の複数年度事業か連携事業の、事業全体の上限です。多くの中小企業が使う設備単位型の従来枠は、上限1億円です。
設備単位型の従来枠は、設備費の1/3以内です。1回の申請(事業全体)で、補助金の下限は30万円、上限は1億円です。
- 高効率の空調を入れ替えて設備費が300万円:300万円 × 1/3 = 100万円
- 設備費が90万円:90万円 × 1/3 = 30万円(下限ちょうど)
- 工場の設備更新で設備費が4億5,000万円:4億5,000万円 × 1/3 = 1億5,000万円 → 上限の1億円
枠によって率と上限が違います。公募要領にある設備単位型の区分は、次のとおりです。
| 区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 設備単位型 従来枠(更新) | 1/3以内 | 1億円 |
| GX設備単位型 メーカー強化枠(更新) | 1/3以内 | 3億円 |
| GX設備単位型 トップ性能枠(更新) | 1/2以内 | 3億円 |
| GX設備単位型 トップ性能枠(新設) | 1/5以内 | 3億円 |
| 電化・脱炭素燃転型(更新・改造) | 1/2以内 | 3億円(電化は5億円) |
| 電化・脱炭素燃転型(新設) | 1/5以内 | 3億円 |
| エネルギー需要最適化型 | 1/3〜1/2以内 | 1億円 |
メーカー強化枠だけを申請することはできません。メーカー強化枠の設備だけを更新する計画でも、従来枠で採択される場合があり、そのときの上限は1億円です。
工場・事業場型は、事業所全体で計画を組む入口です。中小企業者等の補助率と、単年度事業の上限は次のとおりです。
| 区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 先進枠 | 2/3以内 | 15億円 |
| 一般枠 | 1/2以内(投資回収年数7年未満は1/3以内) | 15億円 |
| 中小企業投資促進枠 | 1/2以内(投資回収年数5年未満は1/3以内) | 15億円 |
| サプライチェーン連携枠 | 1/2以内(投資回収年数5年未満は1/3以内) | 15億円 |
非化石燃料の設備を入れる申請は、上限が20億円になります。複数年度事業と連携事業(複数の事業者が連携して一体で省エネに取り組む事業)は事業全体の上限が上がり、先進枠の複数年度と連携事業は30億円(非化石転換は40億円)、一般枠などの複数年度は20億円(同30億円)です。下限は1申請100万円です。大企業の率は中小企業より低く、中小企業投資促進枠は中小企業者等だけが対象です。
投資回収年数は、補助対象経費を、省エネで浮く年間のエネルギー費用で割った年数です。回収が早い事業ほど、率が下がります。
何に使える?
最初に押さえたいのは、従来枠では設備本体の費用だけが対象で、据付工事費や撤去費は含まれないことです。工事が大きい計画ほど、自己負担が増えます。
対象にならないもの(従来枠・メーカー強化枠・トップ性能枠)
- 設計費
- 設備や撤去する設備の運搬費
- 既存設備の撤去・廃棄の費用
- 据付費・工事費
- 配線・配管などの材料費
- 会議費などの諸経費
- 消費税・地方消費税
- 交付決定の前に発生した経費(事前調査費を含む)
対象になるもの
- 補助対象設備の購入費(設備費)。設備ごとの範囲は公募要領の別表1にあります
電化・脱炭素燃転型は扱いが違い、中小企業者等に限り工事費も対象です。工場・事業場型は、設計費・設備費・工事費が対象で、既存設備の解体・撤去・移設の費用は対象外です。
導入できるのは、SIIが基準を満たすと公表した指定設備です。公募要領には、高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高性能ボイラ、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具、工作機械、プレス機械などが挙がっています。
LED照明は、調光機能を使う制御機能付きの器具だけが対象です。調光しない普通のLEDへの交換は対象外です。太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱を使う設備も対象になりません。
省エネの効果は、次のどれか1つを満たす必要があります。
- 省エネ率10%以上
- 省エネ量が原油換算で1kl以上
- 設備費1,000万円あたり省エネ量1kl以上
申請の流れ
- アカウントを登録する(事業者→SIIの補助事業ポータル。登録から約1日後にログイン用のメールが届きます)
- 異なる販売事業者3者から見積もりを取る(事業者→販売事業者。2026年3月25日以降の発行日が条件)
- ポータルに事業内容を入力し、書類を印刷する(事業者→ポータル)
- 書類一式をA4ファイルに綴じ、正・副の2冊のうち正を郵送する(事業者→SIIの私書箱。10月30日17時必着)
- 審査を待つ(SII→事業者。外部審査委員会の評価を踏まえ、上位者から予算の範囲内で採択)
- 交付決定を受けてから発注する(事業者→販売事業者。交付決定は12月下旬の予定)
- 2027年1月31日までに設備を入れて支払いを終える(事業者)
- 実績報告を出す(事業者→SII。事業完了から30日以内か2027年2月5日のどちらか早い日まで)
ポータルへの入力だけでは申請になりません。書類の郵送が必要で、持ち込みは受け付けられません。簡易書留など配送状況が分かる方法で送ります。
必要な書類
準備できた 0 / 9
登記簿謄本は発行から6か月以内のものです。個人事業主は、確定申告書と青色申告決算書の写しを出します。中小企業者は、中小企業者であることの宣誓書も付けます。
中長期計画書は、年間のエネルギー使用量が原油換算1,500kl未満の事業者も出します。省エネの推進体制と、3項目以上の取り組みを書く様式で、導入する設備の更新もその1項目に入れます。生産設備をSIIの指定計算で申請するときは、メーカー発行の製品情報証明書も要ります。そのほか、リースやESCOの契約書案など、該当する場合だけ出す書類があります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:契約・発注は交付決定日以降です。事前に取った見積もりは、3者見積の条件を満たせば有効です。
- 申請書類が郵送されていない:ポータルの入力が終わっても、書類一式が期限までに届かなければ申請とは認められません。
- 事業の完了が遅れた:完了予定日は厳守です。遅れると補助対象にならない場合があります。
- 不正が見つかった:交付決定が取り消され、補助金に年10.95%の加算金を付けて返還します。
- 取得した設備を勝手に処分した:耐用年数の間に処分するときは、事前にSIIの承認が要ります。補助金の返還になる場合があります。
- 省エネ量が計画に届かなかった:設備を入れたあとの成果報告で、省エネ量が交付決定時の計画値に届かないと、支払い済みの補助金が返還になる場合があります。
併用・税金・似た制度との違い
自治体の補助金との併用は、財源で分かれます。使い道が特定されていない自治体の一般財源による補助金は併用できます。同じ経費に別の補助金を重ねるのは認められません。SIIの「併用可能な補助金等」の一覧には、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を財源にした自治体の補助金と、自治体が独自に決めた税制による補助金が載っています。一覧は更新されるため、申請前に確かめてください。
中小企業経営強化税制とは併用できます。
補助金は圧縮記帳の対象です。国税庁から該当するとの回答を得たと、SIIが案内しています。経理処理は税理士に相談してください。
名前の似た制度が、SIIには他にもあります。「省エネルギー設備投資利子補給金」は借入に利子補給をする別の事業で、「省エネルギー診断」は設備の更新ではなく診断の費用を支援する別の事業です。申請先のページを取り違えないよう、事業名を確かめてください。
よくある質問
次の公募はありますか?
公募の日程は、1次が2026年3月30日〜4月27日、2次が6月1日〜7月9日、3次が8月20日〜9月28日、4次が10月5日〜10月30日です。5次以降の予定は、公式の公募情報ページに載っていません。次回を待つ場合も、見積もりと省エネ計算を先に進めておくと動きやすくなります。最新の日程はSIIのページで確かめてください。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。ただし青色申告者に限ります。確定申告書と所得税青色申告決算書の写しを出します。電子申告の場合は、受信結果(受信通知)で足ります。白色申告の個人事業主は対象になりません。法人の場合は、決算書と登記簿謄本が必要です。個人事業主が設備を入れる建物が自宅と兼用のときは、専ら居住用の場所の設備は対象外という決まりにも注意してください。事業所として使う部分の設備かどうかを、申請前にSIIの窓口へ確かめると安心です。
LED照明やエアコンだけの入れ替えでも使えますか?
空調は使えます。LED照明は、調光機能のある「制御機能付きLED照明器具」で、その調光機能を使う場合に限ります。調光を使わない普通のLEDへの交換は対象になりません。どちらもSIIが公表した指定設備の型番に限られ、省エネ率10%以上などの要件も満たす必要があります。補助金の下限が30万円なので、設備費が小さすぎる計画は注意してください。購入前に、指定設備の一覧で型番を確かめます。
設置工事費も補助されますか?
従来枠、メーカー強化枠、トップ性能枠では、設備費だけが対象です。据付費、工事費、撤去費、運搬費、配線・配管の材料費は対象外です。電化・脱炭素燃転型は、中小企業者等に限り工事費も対象になります。工場・事業場型は工事費も対象ですが、既存設備の解体・撤去の費用は含まれません。工事の比重が大きい計画は、どの枠で申請するかで自己負担が変わるため、見積もりの段階で枠を選んでください。
見積書は何社分いりますか?
異なる販売事業者3者への見積依頼か競争入札が必要です。特定のメーカーや機種を指定して見積もりを取ることはできます。補助対象経費は、3者のうち最低価格を上限とします。同じ資本関係にある会社が含まれるときは、資本関係のない2者以上からも取ります。見積条件をそろえておかないと、再提出を求められることがあります。
発注はいつからできますか?
交付決定日以降です。交付決定の前に契約・発注した設備は、補助の対象外になります。交付決定は4次公募で12月下旬の予定です。なお、3者見積の依頼や競争入札は、1次公募の公募要領が公開された2026年3月25日以降の発行日であれば、交付決定の前に行っても有効です。
中古の設備や、新しく増やす設備は対象ですか?
中古品は対象外です。従来枠とメーカー強化枠は、今使っている設備を同じ用途の新しい設備に更新する場合が対象で、増設は含まれません。新設が対象になるのは、トップ性能枠の新設事業と、電化・脱炭素燃転型のうち水素を使える設備を新設する事業だけです。工場・事業場型では、新設の事業所への導入や増設は対象外です。区分ごとの要件を確かめてから選んでください。
リースで導入しても使えますか?
使えます。設備を使う人とリース事業者が共同申請します。補助金の分がリース料から減額されていることを示す書類が要ります。残価設定付きのリース契約や割賦契約は対象外です。リース事業者は1申請につき1社です。バルクリースを使う場合は、先にSIIへ連絡して手続きの指示を受けます。
自治体の補助金と併用できますか?
使い道が特定されていない自治体の一般財源の補助金とは併用できます。同じ経費に別の補助金を重ねる使い方は認められません。物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を財源にした自治体の補助金などは、SIIの「併用可能な補助金等」の一覧に載っています。判断に迷うときは、SIIと自治体の両方に問い合わせてください。
採択されればもらえますか?
交付決定の通知を受けて、初めて補助金の対象になります。審査は評価項目に従って行い、外部審査委員会の評価を踏まえて、上位者から予算の範囲内で採択します。申請額の合計が予算を超えると、類似案件の絞り込みもあります。完了後の確定検査を経て、補助金が支払われます。支払いは2027年1月末から3月末の予定です。
補助金は課税されますか?
SIIは、国税庁から圧縮記帳の対象になる国庫補助金等に該当するとの回答を得ていると案内しています。圧縮記帳は、補助金で取得した固定資産の取得価額を圧縮して、課税を先に延ばす仕組みです。適用の可否と経理処理は会社の状況で変わります。税理士に相談してください。
問い合わせ先はどこですか?
SIIの窓口です。設備単位型は、ナビダイヤル0570-01-5116(IP電話は042-303-0855)です。電化・脱炭素燃転型は03-5565-3840、エネルギー需要最適化型は03-5565-4773です。受付は平日の10時〜12時と13時〜17時です。工場・事業場型の一般枠などは03-5565-4463になります。
