見守りセンサーの見積書を取る前に、確かめることが1つあります。その機器が、福祉用具情報システム(TAIS)で「介護テクノロジー」として選定されているかどうかです。 TAISに載っているだけでは、補助の対象になりません。
愛知県の介護事業所を運営する法人が、介護ロボットやICT機器の導入費の4/5を受けられる制度です。上限は1事業所あたり1,000万円。令和8年度の受付は、令和8年8月31日で終了しました。公募の中身は年度ごとに変わるので、令和8年度の条件をもとに、次の公募で何を準備しておくかを整理します。
なお、この記事は「導入支援」と「パッケージ型導入支援」を扱います。同じ交付要綱には、市町村・広域連合向けのケアプランデータ連携の事業と、事業者グループ向けの協働化・大規模化の事業もあり、そちらは別枠です。
愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金の要点まとめ
正式名:令和8年度愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金
だれが
- 申請者
- 法人(介護事業所・施設を運営する法人)
- 対象業種
- 介護(指定介護サービス事業所・施設、養護・軽費老人ホーム)
- 利用目的
- 介護ロボット・ICT機器の購入・リース、通信環境の整備
- 対象地域
- 愛知県内
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 1事業所1,000万円(加算の条件は本文)
- 補助率
- 対象経費の4/5(基準額との低い方)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月31日〜2026年8月31日(受付終了)
- 事業の完了
- 令和9年1月31日まで(契約・支払・納品)
自分の事業所は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
法人の範囲は、介護保険法の指定介護サービス事業所・施設(市町村が指定したものも含む)と、老人福祉法の養護老人ホーム・軽費老人ホームを運営する法人です。他の補助金は、受ける予定がある場合も対象外です。
次のどちらかに当たると対象外です。
- ✕ 建設中で事業所番号が付いていない
- ✕ 不具合のない機器を新型に替える
古い機器を替える場合は、エラーが出て使いにくくなっているか、壊れて使えない場合に限って認められます。「最新の機器を使ってみたい」「メーカーに勧められた」という理由は認められません。
申請は法人でまとめて出します。1法人で出せるのは令和8年度は2事業所までで、優先順位をつけて出します。過去にこの補助金を受けた法人も、申請できます。
いくら戻ってくる?
対象経費の4/5と基準額を比べ、低い方が補助額になります。千円未満は切り捨てです。1事業所の上限は1,000万円で、これは導入支援とパッケージ型を合わせた額です。
- 1台25万円の見守り機器を30台(計750万円):750万円 × 4/5 = 600万円(基準額は30万円 × 30台 = 900万円なので、低い方の600万円)
- 1台40万円の見守り機器を30台(計1,200万円):1,200万円 × 4/5 = 960万円 → 基準額の900万円
- 機器とソフトに計1,500万円:1,500万円 × 4/5 = 1,200万円 → 上限の1,000万円
導入支援とパッケージ型の両方を申請しても、1事業所の上限は合わせて1,000万円です。 別々に1,000万円ずつ受けることはできません。介護ソフトと定着促進支援を併せて行うパッケージ型は、上限が1,015万円に上がります。
計算例の見守り機器の価格は、仕組みを見せるための仮の数字です。基準額は機器の種類ごとに決まっていて、国の実施要綱では次のとおりです。
- 移乗支援(装着型・非装着型)、入浴支援、インカム:1台あたり100万円
- 介護ソフトとバックオフィスソフト:職員数で変わる契約なら100万〜250万円。それ以外の契約は一律250万円(介護ソフトの定着促進支援を併せると、それぞれ15万円増)
- 上記以外の機器(見守り機器など):1台あたり30万円
基準額を超えた分は補助されません。見積書を取る段階で、機器ごとの基準額を確かめます。
台数は、利用者が使う機器なら定員数まで、職員が使う機器なら職員数までです。補助金は事業が終わってから払われるので、導入費は先に自分で支払います。
何に使える?
対象にならないものから確かめます。
- TAISに載っていても「介護テクノロジー」に選定されていない機器
- 保険料、通信費、メンテナンス費
- すでに持っている機器の廃棄費
- 機器の送料
- 交付決定の前に購入・契約したもの
再加熱キャビネットなどは、この補助金の対象外です。厚生労働省の「中小企業省力化投資補助金」に問い合わせる案内が、県のページに出ています。
対象になるものは次のとおりです。
- 介護ロボット等の購入費・リース代
- 介護ソフトの定着促進費(端末、Wi-Fi環境、ベンダーのサポート費)
- 機器の稼働に要る通信環境の整備(配線工事、ルーター、アクセスポイント、サーバー、ネットワーク構築)
- スマートフォン・タブレット・ノートパソコン(介護テクノロジーの利用に伴う場合のみ)
- 主となる機器と一緒に入れるセキュリティ機器
機器の選び方は、TAISの「介護テクノロジーのカテゴリから探す」で16のアイコンから分野を選び、一覧に出た機器を確かめます。機器の写真の下に紫色の囲みで「介護テクノロジー○○」と出ていて、TAISコードが付いているものが対象です。申請書にはTAISコードを書きます。交付申請の期限までに、介護テクノロジーとして掲載されている必要があります。
TAISで選定された機器は、種類を問わず対象です。ただし県ページの資料では、床走行式リフト、一括調理支援機器、配膳車・配膳ロボット、スライディングボード、インカム、バックオフィスソフト、バイタル測定が可能なウェアラブル端末は、TAISの印ではなく個別判断とされています。県が認めるのは、次の11種類です。TAISで選定されていない機器は、この11種類以外は対象外です。移乗支援(装着型・非装着型)、入浴支援、床走行式リフト、一括で調理支援を行う機器、加熱・冷蔵機能付きの配膳車、配膳ロボット、スライディングボード、インカム、バックオフィスソフト(電子サイン・給与・勤怠管理)、バイタル測定ができるウェアラブル端末、とろみサーバーです。
パッケージ型は、複数の技術を組み合わせて業務を見直す導入です。組み合わせは次の3つに限られ、組み合わせることで効果が高まる場合だけ認められます。
- 介護業務支援の機器と、見守り・コミュニケーションの機器
- 介護業務支援の機器を複数(介護記録ソフトと請求ソフトの組み合わせを含む)
- 介護ソフトとインカム
令和8年度に変わった点
令和8年度は、前年度から次の点が変わりました。前年度の流れを覚えている場合は、読み替えが要ります。
| 変わった点 | 令和8年度 |
|---|---|
| 申請の入口 | 事前協議なし。交付申請から受付 |
| 申請方法 | Jグランツのみ。持参・郵送・メールは不可 |
| 受付の窓口 | 外部の事務局に委託 |
| 台数の上限 | 「20台まで」などの制限をなくした |
| パッケージ型の上限 | 500万円から1,000万円に |
| 1法人の申請数 | 2事業所まで |
台数の制限はなくなりましたが、上限は事業所の登録している利用者定員数です。
申請の流れ
令和8年度の流れは次のとおりでした。次の公募でも、同じ順で準備すると整理しやすくなります。
- GビズIDを取る(法人→GビズID。Jグランツを初めて使うなら、取得に2週間ほどかかることがある)
- 機器を選び、見積書をそろえる(法人→販売業者。TAISで選定の有無を先に確かめる)
- Jグランツで交付申請する(法人→愛知県。令和8年8月31日まで。法人でまとめて出す)
- 交付決定を受ける(愛知県→法人。9月末が目安。この日以降に購入・契約する)
- 導入・支払・納品を終え、実績報告を出す(法人→愛知県。令和9年1月31日まで)
- 額の確定を受けて、補助金を請求する(法人→愛知県。3月上旬が目安。支払いは3月末が目安)
時期は、県が事務の進み具合で前後するとしています。
必要な書類
準備できた 0 / 4
按分表は、複数の事業所で按分して申請する場合だけ要ります。SECURITY ACTIONの宣言は、令和8年度はJグランツの申請フォームでチェックリストにチェックすることで、書類の提出に代えました。
実績報告では、契約書(発注日がわかるもの)、請求書、納品書を出します。導入した全機器の写真も必須で、申請した事業所名をテプラで貼った機器を撮ります。紛失したときは、購入先に再発行を頼みます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約した:購入・契約は、交付決定を受けた日以降です。先に発注したものは対象外になります。
- 介護テクノロジーに選定されていない機器を入れた:TAISコードが付いているだけでは足りません。
- 期限までに終わらなかった:契約・支払・納品のすべてを令和9年1月31日までに終えないと、対象外です。
- ケアプランデータ連携の実績がない:対象のサービス種別の事業所は、令和8年度内に利用を始める必要があります。システムに登録しただけでは足りず、送受信の実績が実績報告までに要ります。
- 他の補助金も受けた:受ける予定の場合も含め、対象外です。
- 機器や台数を後から変えた:販売中止などの特別な事情がない限り、交付決定後の変更は認められません。
補助を受けたあとにも、次の義務があります。
- 補助を受けた翌年度から3年間、業務改善計画に対する効果を県へ報告する
- 単価30万円以上の機器は、国が定める期間は県の承認なしに目的外使用・譲渡・廃棄をしない
- 3年を経過する前に処分したり、リース契約を解除したりするときは、事前に県の承認を受ける
応募が多い場合は、次の事業所から優先して採択されます。あいち介護生産性向上総合相談センターから業務改善の支援を受けている、令和7年度の介護事業所人材育成認証評価で認証を受けている、過去にこの補助金を受けていない、の3つのうち当てはまる数が多い事業所です。
よくある質問
TAISに載っている機器なら、すべて対象になりますか?
なりません。TAISに掲載されているだけでは対象にならず、「介護テクノロジー」として選定されている必要があります。見分けるときは、TAISの「介護テクノロジーのカテゴリから探す」で一覧を出し、機器の写真の下に紫色の囲みで「介護テクノロジー」と出ているかを確かめます。交付申請の期限までに掲載されていることも条件です。
申請は法人で1事業所だけですか?
令和8年度は、1法人あたり2事業所まで申請できました。交付要綱では、申請のときに優先順位をつけることになっています。県は「例年は事業所ごとに出すケースがあるので注意してほしい」としており、法人で取りまとめて出す形です。複数の事業所を持つ法人は、どの事業所を優先するか先に決めておく必要があります。
過去にこの補助金を受けた法人も申請できますか?
申請できます。県のよくある質問にも、可能と書かれています。ただし応募が多い場合の優先採択では、過去にこの補助金を受けていない事業所が先に採択されます。そのあと予算に残りがあれば、過去の交付額の累計が少ない事業所から採択されます。つまり、過去に受けた回数や金額が多い法人ほど、応募が多い年には後回しになりやすい仕組みです。受けたことがあるかどうかは、申請の前に自法人の記録で確かめておきます。
いつから機器を発注・契約してよいですか?
交付申請を出して、県から交付決定を受けた日以降です。令和8年度は9月末が交付決定の目安でした。それより前に購入や契約をしたものは、対象外になります。販売業者に「先に発注しておいてほしい」と言われても、交付決定の通知が届くまでは待つ必要があります。見積書だけなら、申請前に取れます。
古い機器の買い替えにも使えますか?
不具合が出て使いにくくなっている場合や、壊れて使えない場合は使えます。不具合がなく使えるのに「最新の機器を使ってみたい」「メーカーに勧められたので替えたい」という理由では、使えません。買い替えの理由を、エラーの記録や故障の状況で説明できるようにしておくと整理しやすくなります。
介護ソフトのライセンス料は、複数年分を対象にできますか?
当年度に支払った金額で判断します。5年分のライセンスを当年度に全額支払うなら、全額が補助対象です。毎年払いで当年度に1年分だけ支払うなら、その1年分が対象になります。リースも同じ考え方で、令和8年度は令和9年1月31日までに支払った金額が対象でした。つまり、契約の年数ではなく、期限までに実際に払った額が基準になります。見積書を取る段階で、支払い方法と時期を販売業者に確かめておくと整理しやすくなります。
既存の介護ソフトの改修費は対象になりますか?
次の改修に限って、対象経費にできます。ケアプランデータ連携標準仕様、入退院時情報連携標準仕様、訪問看護計画等標準仕様、財務諸表のデータ出力、LIFE標準仕様への対応です。ただし、介護テクノロジー単体での申請に限られ、パッケージ型では認められません。
機器の送料やセキュリティ機器は対象ですか?
送料は対象外です。セキュリティ機器は、介護ロボット等の導入に伴って必要になる経費で、主となる機器と併せて導入する場合に限って対象にできます。単独でセキュリティ機器だけを買う場合は対象になりません。ほかに、保険料、通信費、メンテナンス費、すでに持っている機器の廃棄費も対象外です。
申請するときに、研修や宣言は必要ですか?
要ります。業務改善支援として、愛知県生産性向上総合相談センターの研修動画の視聴か、県主催の研修会の受講が求められます。動画は、サービス種別ごとに視聴するものが決まっています。また、SECURITY ACTIONの一つ星または二つ星の宣言が要件で、令和8年度はJグランツのチェックリストへのチェックで済みました。
請求書や納品書をなくしたときは、どうなりますか?
実績報告では、契約書(発注日がわかるもの)、請求書(金額がわかるもの)、納品書(納品日がわかるもの)を必ず出します。なくしたときは、購入先の業者に再発行を頼みます。機器の写真も必須で、申請した事業所名をテプラで貼った機器を、貼ったテプラが写るように撮ります。本補助金で入れた全機器が撮影の対象です。
通信環境の整備は、どこまで対象ですか?
介護テクノロジーの導入に伴って必要な経費に限ります。対象は、配線工事(Wi-Fi環境のための有線LANの工事を含む)、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築です。介護ソフトを入れる場合は、その利用に要るWi-Fi環境や端末、ベンダーのサポート費が定着促進費として対象になります。
問い合わせ先はどこですか?
令和8年度は、受付業務を外部に委託した事務局が対応しました。電話は050-1753-4234、メールはaichi-kaigo-technology@his-world.comです。県は問い合わせが多いため、Jグランツの問い合わせフォームから送るよう案内していました。次の公募では窓口が変わる可能性があるので、県の案内ページで確かめてください。
