同軸ケーブルを光に替えたい。ケーブルテレビの設備担当がそう動き出すと、補助金の前に「うちの団体は申請者になれるのか」で手が止まります。申請できるのは、市町村・第三セクター法人・承継事業者、またはそれらの連携主体で、ケーブルテレビ会社なら誰でも、という制度ではありません。
令和7年度補正予算と令和8年度当初予算の分を合わせた公募は、2026年5月29日が最後の締切でした。総務省の案内ページには、一次公募の段階で応募が多く、第二次・第三次公募は行わない予定と書かれています。辞退が出れば実施できる場合があるため、希望する団体は総合通信局等へ個別に連絡するよう案内されています。
補助率は主体と地域で変わり、市町村は1/2か1/3、第三セクター法人は1/2か1/3、承継事業者は最大2/3です。上限額の定めはなく、補助対象経費に補助率を掛けた額が交付されます。
ケーブルテレビ耐災害性強化事業の要点まとめ
正式名:ケーブルテレビネットワークの耐災害性強化事業(令和7年度補正・令和8年度当初予算)
だれが
- 申請者
- 市町村・第三セクター法人・承継事業者・連携主体
- 対象業種
- 汎用(ケーブルテレビ網を運営する団体)
- 利用目的
- ケーブルテレビ網の光化・複線化など
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし(公式ページに記載なし)
いくら
- 補助上限額
- 上限額の記載なし(補助対象経費×補助率)
- 補助率
- 市町村1/2か1/3、三セク1/2か1/3、承継事業者は最大2/3
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年1月23日〜2026年5月29日(受付終了)
うちの団体は申請できる?
次の3つに当てはまれば、対象になり得ます。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 3
承継事業者は、市町村や第三セクター法人などから施設の譲渡を受け、ケーブルテレビの業務提供という役割を続けている事業者のことです。第三セクター法人は、自治体と民間が出資して作った法人を指します。連携主体は、複数の団体が組んで申請する形です。1つ目と2つ目は、どちらかに当たれば足ります。
光化では、実施する地域にも条件があります。地域防災計画にケーブルテレビの位置づけが書かれている市町村であることです。地域防災計画は、災害対策基本法にもとづいて市町村が作る防災の計画です。業務区域の市町村が10を超える事業者が行う光化は、離島・豪雪地帯・辺地・山村・半島・特定農山村・過疎地域のいずれかを含む地域に限られます。
次のどちらかに当たると対象外です。
- ✕ 通信だけが目的の光化や強靱化
- ✕ 上のどの主体にも当たらない民間事業者
公募要領の実施主体に、民間のケーブルテレビ会社の名前はありません。承継事業者に当たるかどうかで分かれるため、迷う場合は管轄の総合通信局等に確認する流れになります。
光化と複線化は何が違う?
事業は2つに分かれ、公募要領も別々に出ています。どちらも同じ日程で公募されました。
先に、対象にならないものを挙げます。
- ケーブルテレビネットワークに当たらない通信網の光化
- ケーブルテレビ網のうち、通信目的の部分の光化
- 通信網の強靱化だけを目的とした複線化
対象になるのは次のとおりです。
- 光化等整備支援事業:ケーブルテレビ網の光ファイバ化と、送受信設備などの整備
- 複線化等整備支援事業:切断が想定される箇所のループ化、遠隔監視制御機能の強化、非常用電源など電源機能の維持、受信点設備の強靱化
複線化は、条件不利地域でループ化と同時に行う場合に限り、設置から別に定める年数を超えた既設の有線網の更改も対象です。条件不利地域は、離島、豪雪地帯、辺地、山村、半島、特定農山村、過疎地域をまとめた呼び方です。被災後の復旧は、総務省の概要資料で別の枠として示されています。
いくら補助される?
補助率は、申請する主体で決まります。
| 申請する主体 | 光化 | 複線化 |
|---|---|---|
| 市町村・その連携主体 | 1/2(財政力指数0.5超は1/3) | 1/2 |
| 第三セクター法人・その承継事業者 | 条件不利地域は1/2、ほかは1/3 | 条件不利地域は1/2、ほかは1/3 |
| 市町村の承継事業者 | 条件不利地域は2/3、ほかは1/3 | 条件不利地域は2/3、ほかは1/3 |
財政力指数は、市町村の財政力を示す数値です。0.5以下の市町村は、光化で1/2の補助率が使えます。
交付下限額は100万円です。100万円を出すために必要な事業費が主体ごとに決まっていて、下限の事業費は次のとおりです。
- 市町村の承継事業者が条件不利地域で行う:150万円以上
- 財政力指数0.5以下の市町村、条件不利地域の第三セクター法人など:200万円以上
- 財政力指数0.5超の市町村、条件不利地域以外の第三セクター法人や承継事業者:300万円以上
計算例は、いずれも下限の事業費ちょうどの場合です。
- 財政力指数0.5以下の市町村が光化を行う:200万円 × 1/2 = 100万円
- 財政力指数0.5超の市町村が光化を行う:300万円 × 1/3 = 100万円
- 条件不利地域で、市町村の承継事業者が光化を行う:150万円 × 2/3 = 100万円
- 条件不利地域以外の第三セクター法人が、事業費250万円で申請する:250万円 × 1/3 = 約83万円。下限の事業費300万円に届かず、申請できません
補助額の上限は公募要領に書かれておらず、事業費が大きければ交付額もそのぶん大きくなります。ただし予算は限られています。令和8年度の予算額は8.5億円、令和7年度補正予算は19.2億円と、総務省の概要資料にあります。
申請から入金までの流れ
令和8年の公募を例に、順番を並べます。
- 提案書類を出す(団体→管轄の総合通信局等、またはJグランツ。第一次2月13日、第二次3月27日、第三次5月29日、いずれも12時必着)
- 内示を受ける(総務省→団体。外部の有識者の意見を聴いて、採択候補を決める)
- 交付の本申請をする(内示を受けた団体→総務省。公募の段階では正式な公文書は要らない)
- 交付決定を受ける(総務省→団体。追加の条件が付くことがある)
- 事業を行い、実績報告書を出す(団体→総務省。事業終了後すみやかに)
- 補助金を受け取る(総務省→団体。金額が確定してから、精算払い)
精算払いは、先に事業費を自分で払い、実績報告のあとに補助金が入る方式です。交付決定は内示とは別の通知で、補助金の使い道はここで決まった内容に限られます。
令和7年度補正と令和8年度当初の予算は同時に公募され、どちらの予算が充てられるかは内示のときに通知されます。希望と違う予算になる場合があると、公募要領に書かれています。
必要な書類
準備できた 0 / 12
光ファイバー整備計画は、光ファイバーケーブルの整備(使用)計画のExcelです。このほか、芯線設計の基本的な考え方と、装置系統図・装置実装図も実施マニュアルで求められています。見積書は、実施マニュアルの資料9-1と9-2の様式で出します。構成団体一覧と代表承認書は、連携主体で申請するときだけ要ります。地域防災計画の様式は光化の申請で使います。口座設置届出書は、実施マニュアルでは交付申請のときだけ出す書類とされています。実績報告のときは、実績報告書(様式第9号)、支出総括表と支出内訳表、工事請負契約に係る総括表、完成写真、取得財産等管理台帳を出します。
補助を受けられなくなるのはどんなとき?
- 対象経費に通信目的が混ざる:ケーブルテレビ網でも、通信目的の部分の光化は認められません。経費を分けて見積もる必要があります。
- 事業費が下限に届かない:主体ごとに150万円、200万円、300万円の下限があります。複数の工事を束ねて1事業にできるかは、総合通信局等に確認が要ります。
- 交付決定の内容と違う使い方をする:補助金は、申請書に定めた使い道以外には使えません。
- 財政力指数や地域の区分を取り違える:補助率が1/2か1/3かで、受け取れる額が変わります。区分は申請前に総合通信局等と確かめておくと安全です。
次の機会はあるのか
令和8年の公募は終わりましたが、総務省の案内ページでは、辞退が出た場合に実施できる可能性が示されています。希望する団体は、管轄の総合通信局等へ個別に連絡する形です。
その後の公募の有無は、総務省の「ケーブルテレビ政策ポータルサイト」で確かめられます。公募要領も、更新されることがあるため申請の際に最新版を見るよう求めています。
よくある質問
民間のケーブルテレビ会社は申請できますか?
公募要領の実施主体は、市町村、第三セクター法人、承継事業者、またはこれらの連携主体です。民間のケーブルテレビ会社が単独で名前を挙げられているわけではありません。ただし、市町村や第三セクター法人から施設の譲渡を受けて役割を続けている承継事業者に当たれば、対象になります。自社が承継事業者に当たるか迷うときは、申請前に管轄の総合通信局等へ確認するのが確実です。
光化と複線化は同時に申請できますか?
2つの事業は公募要領が別々で、実施内容も補助の対象も違います。一方の公募要領に「同時申請できる」とは書かれておらず、確認できませんでした。同じ団体が両方を計画している場合は、事業ごとに提案書類を作る前提で、総合通信局等に進め方を相談するという手があります。
補助率はいくらですか?
主体と地域で変わります。市町村は光化で1/2(財政力指数が0.5を超えると1/3)、複線化で1/2です。第三セクター法人と、その承継事業者は、条件不利地域が1/2、ほかが1/3です。市町村の承継事業者は、条件不利地域が2/3、ほかが1/3です。いちばん高いのが、条件不利地域で市町村の承継事業者が行う場合の2/3です。
補助額に上限はありますか?
公募要領に、金額の上限は書かれていません。交付額は補助対象経費に補助率を掛けた額で、事業費が大きければ交付額も大きくなります。一方で、交付額には下限の100万円があり、そのために事業費の下限(150万円、200万円、300万円)が決まっています。年度の予算額には限りがあり、令和8年度は8.5億円、令和7年度補正は19.2億円です。
条件不利地域とは何ですか?
総務大臣が別に定める地域で、離島、豪雪地帯、辺地、山村、半島、特定農山村、過疎地域の7つです。この地域で事業を行うと、第三セクター法人は1/3から1/2に、市町村の承継事業者は1/3から2/3に、補助率が上がります。また、事業費の下限も低くなります。自団体の地域が7つのどれに当たるかは、それぞれの法律の指定を確認することになります。
事業費の下限に届かないとどうなりますか?
交付額の下限が100万円で、その額を出せる事業費に満たないと、申請の対象になりません。たとえば条件不利地域以外の第三セクター法人が事業費250万円で申請すると、1/3の約83万円にしかならず、下限の300万円に届かないため対象外です。事業費は、1事業に係る区分ごとに見られます。工事をまとめられるかは、総合通信局等に確認してください。
地域防災計画に記載がないと使えませんか?
光化等整備支援事業では、実施する地域が「地域防災計画にケーブルテレビの位置づけに関する記載がある市町村」であることが要件です。記載がなければ、光化は対象になりません。複線化の公募要領には、同じ文言は見当たりませんでした。記載の有無は、市町村の防災担当課で地域防災計画を見ると分かります。申請前に早めに確かめておきたい点です。
国土強靱化地域計画は必要ですか?
公募要領には、地方公共団体が策定する国土強靱化地域計画に、申請する補助事業の事業名と箇所が明記されていることが挙げられています。申請の要件を確認したうえで加味する要素として書かれており、必須か加点かは文言から断定できません。市町村の計画に事業名と箇所が載っているかは、早めに確認しておくと安心です。載せる手続きは、市町村の担当課が窓口になります。
通信だけを目的にした整備は対象になりますか?
対象になりません。光化では、ケーブルテレビネットワークに当たらない通信網の光化と、ケーブルテレビ網でも通信目的の部分の光化は認められません。複線化でも、通信網のみの強靱化が目的なら対象外です。見積もりの段階で、放送に使う部分と通信目的の部分を分けておくと、対象経費を説明しやすくなります。判断に迷う設備は、先に総合通信局等へ相談してください。
災害で被害を受けた設備の復旧にも使えますか?
この記事の光化・複線化は、災害の前に備える事業です。復旧は、総務省の概要資料で別の枠(災害復旧枠)として示されていて、事業主体も補助率も別に定められています。復旧を考えている場合は、光化・複線化の公募要領ではなく、総務省の案内ページにある交付決定の一覧や、総合通信局等に確認してください。
申請先と問い合わせ先はどこですか?
提案書類の提出先は、管轄の総合通信局等(沖縄総合通信事務所を含む)か、Jグランツです。電子メールか、総務省が指定する大容量ファイル転送システムで出す方法もあります。公募要領に関する問い合わせは、総務省の案内ページに載っている実施マニュアルを参考に、管轄の総合通信局等の担当窓口へ連絡する形です。
実績報告のあと、補助金はいつ入りますか?
補助金は、事業が終わったあとすみやかに実績報告書を出し、補助金の額が確定してから、精算払いで支払われます。具体的な日数は、公募要領に書かれていません。先に事業費を自団体で払う必要があるため、資金繰りは前もって計画しておく必要があります。支払い時期の見込みは、交付決定のあと総合通信局等に確認してください。
