屋内は原則禁煙。それでも喫煙者は来店しますし、社員にも喫煙者はいます。
千代田区の「公衆喫煙所設置助成事業」は、誰もが無料で使える公衆喫煙所をつくる費用を助成する制度です。新規設置費は上限700万円。維持管理費は年間最大264万円(重点地域は408万円)です。ビルの空きスペースを使えば、テナントや近隣飲食店の分煙対策にもなります。
対象は「公衆喫煙所」だけです。自店の客だけが使う喫煙室は、この助成では対象になりません。
千代田区公衆喫煙所設置助成事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者・個人(喫煙所の設置場所が区内であれば、区外の事業者・区外に居住する人でも申請可) |
| 制度名 | 千代田区公衆喫煙所設置助成事業 |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | まちづくり・地域振興(誰もが無料で使える公衆喫煙所の設置・維持管理) |
| 対象地域 | 東京都千代田区 |
| 従業員数 | 規模要件の記載なし |
| 補助上限額 | 新規設置費700万円/維持管理費は年間264万円(重点地域は408万円) |
| 補助率 | 経費区分により異なる(賃料に管理費が含まれ内訳が不明確な場合、維持管理経費は80%) |
| 申請受付 | 公式ページでご確認ください(千代田区) |
| 公式サイト | https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/sekatsu/jore/okunaikitsuenjo.html |

対象になるのはどんな人・どんな喫煙所か
助成対象者の範囲は広く設定されています。
- 法人・団体・個人のいずれでも対象(業種は問わない)
- ただし国、行政法人、地方公共団体、公社、鉄道事業者等の公共的団体は対象外
- 喫煙所の設置場所が千代田区内であれば、区外に所在する事業者・区外に居住する人でも申請可能
対象となる喫煙所は「屋内公衆喫煙所」と「屋外公衆喫煙所(コンテナ型喫煙所)」の2種類です。次の要件をすべて満たす必要があります。
- 運営: 誰もが無料で利用できる(会員登録不要)/おおむね1日8時間以上かつ週5日以上運営/近隣の居住者・テナント・町会等から了解を得る/運営開始後最低5年間は継続運営する/法令に抵触せず公序良俗に反しない形態・運営であること
- 設置場所: 公道に面する建物の1階に設置(満たさない場合でも道路から見える場所に案内表示をすれば対象になり得る)/受動喫煙防止に十分配慮した場所/設置により周辺の生活環境改善が見込まれる場所
- 設備: 室外から室内へ向かう風速0.2メートル毎秒以上を確保/給排気設備を設け室内の空気を屋外へ排気/出入口に扉を設け壁・天井で室外と完全に区画
- 標識: 喫煙目的の場所であることが分かる標識、20歳未満の立入り禁止を示す標識をそれぞれ掲示
従業員や自店の客だけが使う喫煙専用室は、この要件を満たしません。店舗の一部を仕切って併設する形なら対象になります。ただし店舗の備品購入費や店舗部分の賃料など、喫煙所の運営に直接関係のない費用は対象外です。喫煙所内への自動販売機の設置や、ポスター掲示などの広告事業は認められています。

自店の客だけが使う喫煙室か、誰でも使える公衆喫煙所か。ここの線引きひとつで、助成の対象からまるごと外れることがあります。「無料で誰でも使えるか」という一点が、この制度の本丸です。
助成率・上限額はいくら?4種類の経費で整理する
助成対象経費は「設置経費(新規)」「設置経費(更新)」「維持管理経費」「地域共生経費」の4種類に分かれます。
| 助成対象経費 | 助成率 | 助成限度額 | 回数・期間 |
|---|---|---|---|
| 設置経費(新規) | 100% | 700万円 | 原則1回限り |
| 設置経費(更新・5年経過後の修繕/取替) | 100% | 300万円 | 5年に1回(再申請可) |
| 維持管理経費 | 賃料・賃料相当額は100%/その他80% | 年額264万円(重点地域は年額408万円) | 年1回(再申請可) |
| 地域共生経費 | 100% | 200万円 | 原則1回 |
- 設置経費(新規)の対象例: 内装改修工事費用(給排気設備の取付工事等)、防犯カメラ設置費用、空気清浄機・灰皿等の備品購入費用
- 設置経費(更新)の対象例: 運営開始から5年経過後の設備の修繕・取替にかかる費用(内装改修工事、空気清浄機・灰皿等の買い替え)。更新経費の助成を受けた場合、そこからさらに5年間の継続運営が必要
- 維持管理経費の対象例: 賃料(または賃料相当額)、水道光熱費、空気清浄機等の保守費用、清掃・ごみ処理委託費用
- 地域共生経費の対象例: 区が実施する環境測定結果や運営状況、周辺地域の状況等から総合的に勘案し、喫煙所と周辺地域との共生に資すると認められる経費
年額264万円は、月あたり22万円です。賃料・水道光熱費・清掃委託費の合計が月22万円までなら上限に収まります。重点地域の408万円なら、月34万円までです。
賃料に清掃費・水道光熱費等の管理費が含まれ、内訳が明確でない場合、維持管理経費の助成率は80%になります。年度の途中で設置した場合は月割計算です。
5年間の運営を続けられなかった場合、助成金の一部を返還します。設置経費700万円という金額の前に、確認すべきことがあります。その場所で5年以上運営し続けられるか。賃貸借契約の残り期間や、テナント入れ替えの見込みです。
令和8年5月から秋葉原・神田エリアは助成が拡充
千代田区は令和8年5月1日から秋葉原・神田エリアの一部を「重点地域」に指定し、重点地域内に設置する公衆喫煙所について維持管理経費の助成上限を引き上げました。
| 区分 | 維持管理経費の年額上限 |
|---|---|
| 重点地域以外(区内全域) | 264万円 |
| 重点地域(秋葉原・神田エリアの一部) | 408万円 |
重点地域では開放時間についても一定の拡充要件が設けられています。対象は令和8年4月1日以降に発生した経費です。拡充されるのは維持管理経費だけで、新規設置経費の700万円枠は変わりません。秋葉原・神田で店舗やビルを構えるなら、区の指定地域一覧で該当するか確認してください。

申請の流れと必要書類——まず「事前相談」が必須
この助成は、事前に区(安全生活課)へ相談してから申請書類を提出します。相談は、工事契約や賃貸借契約を進める前に済ませてください。公道に面する1階か、風速0.2メートル毎秒を確保できるか。ここを先に確認すれば手戻りがありません。
設置経費の申請で必要になる主な書類は次のとおりです。
- 助成金交付申請書(第1号様式)
- 設置・運営計画書(第2号様式)
- 建物の登記事項証明書(所有物件の場合・発行後3か月以内)または賃貸借契約書の写し(賃借物件の場合)
- 見積書(工事・備品等、2社以上。内訳が明記されたもの)
- 設置場所周辺の地図、公衆喫煙所の図面
- 風速0.2メートル毎秒以上を確保できることが分かる書類(計算書類等)
- 生活環境条例の遵守確認書
- 国その他団体からの補助金等の支援状況が分かる書類(受けていない場合は誓約書)
- 近隣の居住者・テナント・町会等からの同意書
申請→交付決定→工事完了→実績報告(交付決定とは、採択の後に届く「補助金を出します」という正式な通知のことです。この通知より前に発注・契約した費用は対象外になります)。各段階に数週間〜1か月かかる想定で計画してください。
維持管理経費は、助成金交付申請書に内訳が分かる書類を添えて申請します。清掃委託契約書、空気清浄機メンテナンス契約書などです。前払いを選ぶ場合は、年度始めに申請書を提出します。
東京都の受動喫煙対策助成との違い・使い分け
東京都も別途、飲食店・宿泊施設向けの受動喫煙対策支援策を用意しています。
- 東京都保健医療局「受動喫煙対策支援補助金」: 都内の中小飲食店・宿泊施設を対象に、喫煙専用室の設置等にかかる経費の一部を助成
- 東京都中小企業振興公社「飲食事業者向け経営基盤強化支援事業(受動喫煙防止対策支援助成金)」: 同じく受動喫煙防止のための設備投資等を支援
千代田区の助成は「誰でも無料で使える公衆喫煙所」が対象です。ここが都の制度との最大の違いです。
自店の客・従業員だけが使う喫煙専用室なら、千代田区の要件は満たしません。この場合は、都の受動喫煙対策の助成が候補になります。
公道に面する1階などに公衆が使える喫煙所を作るなら、千代田区の方が上限は大きくなります(設置700万円・維持管理年264万〜408万円)。併用可否と詳細要件は、必ず両制度の窓口で確認してください。
店舗の改装は国の補助金が使えることもあります。あわせてこちらの記事で解説しています。
分煙スペースの内装改修や什器購入は、小規模事業者持続化補助金の「販路開拓」の取組として対象経費に含められる場合があります。併用できるかは、両制度の最新要領で必ず確認してください。
よくある質問
飲食店が自店の喫煙専用室を作る場合も対象になりますか?
この助成の対象は「誰でも無料で利用できる公衆喫煙所」です。自店の客・従業員だけが使う喫煙専用室は、対象外になり得ます。店舗の一部を仕切って公衆喫煙所を併設する形なら対象です。ただしその場合も、店舗で使う備品費や店舗部分の賃料は助成対象外です。自店専用の喫煙室なら、東京都の受動喫煙対策支援補助金など別制度を確認してください。
屋外に設置するコンテナ型の喫煙所でも申請できますか?
できます。この制度は「屋内公衆喫煙所」に加え、「屋外公衆喫煙所(コンテナ型喫煙所)」も対象です。屋外設置では、登記事項証明書など書類の扱いが変わる可能性があります。事前相談の段階で、設置形態を千代田区安全生活課に伝えて確認してください。
区外の会社が千代田区内にビルを持っている場合も申請できますか?
申請できます。助成対象者は「喫煙所の設置場所が千代田区内であれば、区外に所在する事業者や区外に居住する方でも助成を受けることができる」と明記されています。ただし国、行政法人、地方公共団体、公社、鉄道事業者等の公共的団体は対象外です。
