工場を新設したい。でも投資額が20億円を超えると、既存の補助金の上限では足りません。大規模成長投資補助金は、そうした大型投資に絞って補助率1/3・上限50億円を出す制度です。予算総額は2,000億円です。
対象は常時使用する従業員数2,000人以下の企業(単体ベース)。中小企業基本法の中小企業者より対象範囲が広く、いわゆる「中堅企業」やスタートアップも使えます。ただし補助対象経費が20億円以上という下限があり、小規模な投資では入り口に立てません。
大規模成長投資補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人:中堅企業・中小企業・スタートアップ) |
| 制度名 | 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(通称:大規模成長投資補助金) |
| 対象業種 | 業種指定なし(製造業・小売業・サービス業など幅広い業種が対象) |
| 利用目的 | 大型設備投資・拠点拡大(工場・倉庫・販売拠点の新設増築、自動化ロボット・AI導入、基幹システム構築等) |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 常時使用する従業員数2,000人以下(単体ベース)。みなし大企業は対象外 |
| 補助上限額 | 50億円 |
| 補助率 | 1/3以下(補助対象経費が20億円以上であることが要件。税抜・外注費と専門家経費を除く) |
| 申請受付 | 第6次公募が2026年7月31日に受付開始済み。締切日は公式サイトでご確認ください |
| 公式サイト | 中堅・中小成長投資補助金事務局「大規模成長投資補助金」 |
図: 大規模成長投資補助金の全体像。詳しくは本文で解説します
対象になるのは常時使用する従業員2,000人以下の企業
中小企業基本法第2条第1項の中小企業者は、業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっています。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下です。どちらか一方を満たせば該当します。
大規模成長投資補助金は、この基準よりも対象が広いのが特徴です。常時使用する従業員数が2,000人以下(単体ベース)であれば、中小企業基本法の枠を超えた「中堅企業」も対象になります。ただし、大企業が株式の一定割合を持つなどの「みなし大企業」は対象外です。
スタートアップ企業も対象です。ここでいうスタートアップとは、設立20年以内で、公募開始日時点でベンチャーキャピタル等・事業会社系ベンチャーキャピタル(CVC)が株主構成に加わっている企業を指します。
単独では投資額が届かない場合、一定要件を満たせば最大10社までのコンソーシアム(共同申請)という選択肢もあります。複数の中堅・中小企業が連携して大型投資を行う場合に使えます。
補助率1/3以下・上限50億円。投資額20億円以上が入り口の条件
補助率は投資額の1/3以下、補助上限額は50億円です。ただし、補助対象経費が20億円以上(税抜。外注費・専門家経費を除く)でなければ申請できません。
対象になる経費は、工場・倉庫・販売拠点などの新設・増築にかかる建物費と、機械装置・省力化設備の購入費、ソフトウェア購入・情報システム構築費です。単なる老朽設備の更新ではなく、事業の拡大や生産性向上につながる投資であることが前提です。補助事業の実施期間は、交付決定日から最長で令和10年12月末までです。
交付決定前に契約・発注した経費は対象外になります。見積もりを取るところまではよくても、契約は交付決定を待ってからにする必要があります。
賃上げ要件:1人当たり給与支給総額を年5.0%以上増やす
本補助金は、賃上げとセットの制度です。補助事業終了後3年間、対象事業に関わる従業員1人当たりの給与支給総額を、年平均5.0%以上増やす必要があります。
さらに重要なのは未達成時のペナルティです。申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められます(天災など、事業者の責めに帰さない理由がある場合を除く)。投資計画とあわせて、5.0%という賃上げの実現可能性を事前にシミュレーションしておく必要があります。
どんな投資に使えるか【シミュレーション】
- 食品加工業(新工場建設): 老朽化した工場を建て替え、自動包装ラインと冷凍設備を導入。投資額21億円、補助率1/3で補助額は最大7億円。
- 金属加工業(自動化ロボット導入): 溶接・搬送工程にロボットを導入し、人手不足を解消。投資額24億円なら補助額は最大8億円。
- 大型物流拠点(自動倉庫・基幹システム構築): 新拠点に自動倉庫システムと基幹システムを構築。投資額160億円の場合、1/3なら約53.3億円になりますが、上限の50億円が適用されます。
よくある質問
中小企業でも申請できますか?
できます。対象は「常時使用する従業員数2,000人以下(単体ベース)」で、中小企業基本法上の中小企業者より広い範囲が対象です。ただし補助対象経費20億円以上という投資額の下限があるため、規模の大きな投資計画である必要があります。
1社では投資額が届きません。どうすればいいですか?
一定要件を満たせば、最大10社までのコンソーシアム(共同申請)が認められています。複数の中堅・中小企業が連携して1つの大型投資計画を申請する形です。
賃上げ目標を達成できなかった場合はどうなりますか?
補助事業終了後3年間の賃上げ実績(1人当たり給与支給総額の年平均上昇率)が申請時の目標に届かなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められます。天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は除かれます。
