工場や物流拠点を新設して、人手不足を設備で補う投資に、国が最大50億円(投資の1/3以下)を出す補助金です。補助対象経費が20億円以上ないと、申請できません。
6次公募は、2026年8月31日の17時に締め切られました。
大規模成長投資補助金の要点まとめ
正式名:中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人。中堅・中小企業、スタートアップ)
- 対象業種
- 指定なし(1次産業が主な事業は対象外)
- 利用目的
- 工場・倉庫・販売拠点の新設増築、省力化設備、ソフトウェア購入
- 対象地域
- 全国(日本国内に本社と事業の実施場所があること)
- 従業員数
- 常時使用する従業員2,000人以下(単体)
いくら
- 補助上限額
- 50億円
- 補助率
- 1/3以下(申請書で1/4も許容すると追加採択の可能性)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月31日〜8月31日17時(6次公募・終了)
- 事業の完了
- 交付決定日から最長で令和10年12月末まで
自分の会社は対象になるか
6次公募には、一般企業向けと100億宣言企業向けの2つの類型がありました。まず一般企業向けで確かめます。次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 大企業のグループ会社(みなし大企業)
- ✕ 農業など1次産業が主な事業
- ✕ 1〜4次で採択済みの事業と重複
- ✕ 医療法人(社会医療法人を除く)
常時使用する従業員とは、労働基準法で解雇の予告が必要な人のことです。日々雇う人、2か月以内の契約の人、試用期間中の人などは数えません。パートは、年間の所定就業時間を正社員の時間で割って人数に換算します。派遣社員は派遣元の従業員になるため、数えません。
数えるのは単体の従業員です。海外の子会社を足して2,000人を超えても、単体で2,000人以下なら対象です。資本金や上場の有無は問われません。
みなし大企業とは、従業員2,000人超の大企業が株式の半分以上を持つ会社などです。2,000人以下でも、この形なら対象外になります。判定は公募開始日の時点で行われるため、あとから持株比率が下がっても間に合いません。
1〜4次で採択された会社も、事業が重複しなければ申請できます。次のどれかに当たると重複です。5次の採択事業者が行う事業は、申請できません。
- 日本標準産業分類で、採択済みの事業と同じ小分類になる
- 対象の従業員が、採択済みの事業と重なる
- 採択済みの事業と同じ都道府県で実施する
スタートアップは、設立20年以内で公募開始日の時点でVC(ベンチャーキャピタル)かCVC(事業会社のVC)が株主にいる会社です。
100億宣言企業向けは、投資額が15億円以上で、賃上げの基準が4.5%に下がります。100億宣言ポータルに公表されていることが、申請の前提です。直近の決算期と直近3期の平均の売上が、どちらも100億円以上の会社は、100億宣言をしていても一般企業向けです。
いくら補助されるか
補助率は1/3以下で、上限は50億円です。補助対象経費は税抜で計算します。
- 食品メーカーが新工場を建てる:補助対象経費30億円 × 1/3 = 10億円
- 物流会社が自動倉庫を入れる:補助対象経費20億円 × 1/3 = 約6.7億円
- 大型の工場を建てる:補助対象経費180億円 × 1/3 = 60億円 → 上限の50億円
- 補助率1/4で採択された場合:補助対象経費24億円 × 1/4 = 6億円
- 100億宣言企業が15億円を投資:15億円 × 1/3 = 5億円
上限の50億円に届くのは、補助対象経費が150億円以上のときです。
投資額の要件は、外注費と専門家経費を除いて数えます。建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計が19億円で、外注費が2億円あるときは、投資額は19億円です。20億円に届かず、申請できません。
補助率1/4を許容するかは、申請様式2に書きます。許容すると、採択の水準に届かなくても追加で採択される可能性があります。ただし賃上げ目標は、1/4でも達成が必要です。
補助額が決まるのは、事業が終わって確定検査を受けたあとです。確定額は、交付決定額に届かないことがあります。
賃上げの約束と数え方
補助事業が終わった年度の1人当たり給与支給総額を基準にします。その3年後の年度に、年平均5.0%以上増えている必要があります。
計算式は、(最終年度 ÷ 基準年度)の3乗根から1を引いた値です。仮に基準年度が500万円なら、最終年度は約579万円以上が必要です。
数えるのは、補助事業に関わる従業員です。非常勤は含み、役員と委託先は含みません。基準年度とその後の各年度で、12か月分の給与を受けた人だけを入れます。
賃上げを達成できないと、補助金を返すことになります。 目標に届かなかったときは、補助金の確定額に未達成率をかけた額を返します。年平均の上昇率が基準率の5.0%を下回ると、全額の返還です。基準年度の1人当たり給与支給総額が、申請した時点の直近の事業年度を下回っているときも、全額の返還になります。
1年目や2年目が目標を下回っても、3年目の年平均が目標以上なら返還にはなりません。ただし状況の確認は、毎年行われます。
採択後は、交付決定までに目標を全従業員か従業員代表者へ伝えます。交付決定から原則1か月以内に、採択されたことと賃上げ率と投資規模を、プレスリリースなどで公表します。公表しないと、交付決定が取り消されます。
天災など、事業者の責任でない理由があるときは、返還を求められません。
何に使えるか
対象にならない経費を先に確認します。
- 土地代、建物の単なる購入や賃貸
- 既存の建物の撤去・解体費
- 老朽化した設備の入れ替えなど、生産能力が上がらない更新
- 太陽光発電など、FIT・FIPで売電するための設備
- 事務用パソコン、家具、乗用エレベーターなど、他の用途にも使えるもの
- 申請書の作成や、報告書の作成にかかる費用
- 事業にかかる自社の人件費
- 親会社・子会社や同じ代表者の会社への支払い
- 交付決定の日より前に契約・発注した経費
対象になる経費は、次の5つです。
- 建物費(工場・倉庫・販売施設などの建設、増築、改修、中古建物の取得)
- 機械装置費(専ら補助事業のための機械・工具の購入、製作、リース)
- ソフトウェア費(専用ソフトや情報システムの購入・構築、クラウド利用)
- 外注費(加工・設計・検査などの外部委託)
- 専門家経費(技術指導や助言を依頼した専門家への支払い)
建物費・機械装置費・ソフトウェア費は、単価が税抜100万円以上のものに限ります。外注費と専門家経費の合計は、この3つの合計額より少なくします。
建物・機械・ソフトは、原則として3社以上の相見積もりが必要です。支払いは銀行振込で、クレジットカード払いは原則対象外です。
申請の流れ
- 事業者が、GビズIDプライムを取る(オンラインなら最短で即日。書類を郵送すると最大1か月かかります)
- 事業者が、成長投資計画書などをJグランツで出す(公募の締切の17時まで。遅れた申請は受理されません)
- 事務局が、書面審査とプレゼンテーション審査をする(審査には経営者が出席します)
- 採択された事業者が、交付申請を出し、交付決定を受ける(契約と発注は決定のあと)
- 事業者が、工事と支払いを終え、実績報告を出す(完了から30日以内か、事業期間の終了日のどちらか早い日まで)
- 事務局が、確定検査で額を決め、精算払いで支払う(完了後の3年間は、事業化と賃上げの報告が続きます)
採択された事業者は、経済安全保障の説明会に出席し、交付申請のときに誓約書を出します。
申請の早い順に審査されることはありません。締切の間際は申請が集中します。電子申請には数時間かかるため、余裕を持って進めてください。
必要な書類
準備できた 0 / 5
加点を申請するときは、金融機関・ファンド等の確認書(様式4-1)か表明書(様式4-2)、中堅企業への移行の宣誓書(様式7)、ファミリーガバナンスの自己申告書(様式8)などを足します。確認書と表明書は、どちらか一方しか出せません。リース会社と共同で申請するときは、様式5と様式6が要ります。確定した決算が3期分ないときは、足りない分に白紙のPDFを出します。
様式1から3は、6次公募用のものを使います。1〜5次の様式では審査できないことがあります。
もらえなくなるとき
- 賃上げが目標に届かなかった:確定額に未達成率をかけた額を返します。基準率を下回ると全額です。
- 交付決定の前に契約した:契約済みの物件に手付金を払っていた場合も、対象外です。
- 投資額が下限を割った:交付決定のあとに設計を見直して20億円を下回ると、決定が取り消されます。
- 計画を勝手に変えた:経費の配分や内容を変えるときは、事前に基金設置法人の承認を得ます。
- 補助事業の資産を目的外に使った:既存事業に使うと、補助金額を限度に国庫へ返す必要があります。
併用できる制度と税金
併用できるかは、制度ごとに答えが違います。
| 制度 | 併用 |
|---|---|
| 地域未来投資促進税制、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、大胆な投資促進税制 | 同じ設備では不可 |
| 賃上げ促進税制 | 不可 |
| 自治体の補助金 | 可(同じ設備への国の補助金の二重受給は不可) |
| 日本政策金融公庫・日本政策投資銀行の融資、利子補給 | 可 |
税制は、適用が決まっていなければ並行して申請できます。不採択になったときに、税制へ切り替えられます。
補助金は、法人税などの課税対象です。固定資産の取得にあてる補助金は、圧縮記帳の対象になる場合があります。税の扱いは、税理士に確認してください。
公募の変更点
3次・4次公募の要件は、6次公募では使えません。古い情報を見ていないか、確かめてください。
| 項目 | 3次・4次公募 | 6次公募 |
|---|---|---|
| 投資額 | 10億円以上 | 20億円以上(100億宣言企業向けは15億円以上) |
| 賃上げの基準 | 年平均4.5%以上 | 年平均5.0%以上(100億宣言企業向けは4.5%) |
| 予算額 | 3,000億円 | 2,000億円 |
| 事業期間の終わり | 令和9年12月末 | 令和10年12月末 |
事務局の運営も、3次・4次と5次・6次で別です。問い合わせ先の電話番号も違うため、旧サイトの番号にかけないでください。
6次公募の有効な申請は163件で、2026年9月29日に事務局が発表しました。採択の件数は、公式ページに記載がありませんでした。6次公募より後の公募の予定も、公式サイトに載っていません。
よくある質問
中小企業でも申請できますか?
申請できます。対象は、常時使用する従業員が2,000人以下の会社で、法律上の中小企業者(製造業なら資本金3億円以下か従業員300人以下)よりも広い範囲です。中堅企業やスタートアップも入ります。ただし補助対象経費が20億円以上という下限があります。上場かどうかや資本金は問われません。商工会議所など会社以外の法人も、収益事業が制度の趣旨に合えば対象になりえます。医療法人は、社会医療法人を除いて対象外です。大型の投資計画がない会社は、入り口に立てません。
補助対象経費20億円以上には、何が含まれますか?
建物費、機械装置費、ソフトウェア費の合計です。外注費と専門家経費は、20億円の判定から除きます。税抜で数えます。建物・機械・ソフトは、単価が税抜100万円以上のものだけが対象です。リースやレンタルは、補助事業の期間中に払う分だけを数えます。判定は、公募の申請時と交付申請時と確定検査時のそれぞれで行われます。確定検査で20億円を下回ると、補助金は出ません。
1社では投資額が足りません。どうすればいいですか?
最大10社までの共同申請(コンソーシアム)ができます。参加者の中に、投資額(外注費・専門家経費を除く)が10億円以上の中堅・中小企業が1者以上必要です。100億宣言企業向けは7億5,000万円以上です。上限の50億円は、1社ごとではなく、コンソーシアム全体で1回だけです。参加できるのは、補助事業で投資をする事業者だけです。賃上げの基準は、参加する全社がそれぞれ満たす必要があります。幹事企業は、申請と事業実施の運営管理を担います。幹事企業も補助対象の要件を満たす必要がありますが、幹事になるためだけの固有の要件はありません。
賃上げ目標を達成できなかったら、どうなりますか?
補助事業の終了後3年間の年平均上昇率が基準率の5.0%を下回ると、補助金は全額返還です。基準率を上回っても申請時の目標に届かなければ、確定額に未達成率をかけた額を返します。天災など事業者の責任でない理由があるときは、返還を求められません。年平均で見るため、返還の判断は3年目の水準で決まります。
申請の前に着工してもいいですか?
着工自体に期限はありません。ただし、交付決定の日より前に契約や発注をした経費は、どんな事情があっても対象外です。契約済みの物件に払った手付金も同じ扱いです。見積もりを取るだけなら構いません。ただし、工事や納品や検収や支払は、令和10年12月末までに全部終える必要があります。着工しない期間の計画も、実現可能性の審査の対象です。契約は交付決定のあとにしてください。
賃上げの計算に、役員や委託先の人は入りますか?
入りません。数えるのは、補助事業に関わる従業員です。非常勤は含みます。役員は原則として対象外で、従業員を充てられない事情があるときだけ、事務局に相談します。委託先の従業員も入りません。中途採用や退職で12か月分の給与がない年度は、その人を除いて計算します。
新工場を建てる場合、土地代は補助されますか?
補助されません。土地代は対象外です。建物の単なる購入や賃貸や既存建物の解体費も、原則として対象外です。門や塀などの構築物も同じです。対象になるのは、建物の建設や増築や改修や中古建物の取得にかかる費用と、建物と切り離せない付帯工事です。土地造成も付帯工事に含まれます。
自治体の補助金と併用できますか?
併用できます。ただし、自治体の制度が国の補助金との併用を認めているかを、先に確かめてください。同じ設備に、国の補助金を二重に受けることはできません。自治体の不動産取得税や固定資産税の減免とも、併用できます。地域未来投資促進税制だけは、同じ施設では併用できません。
申請書の作成を、コンサルタントに頼めますか?
成長投資計画書は、申請者自身が作ります。助言を受けることはできます。ただし、行政書士でない人が有償で申請書を作ると、行政書士法違反になる可能性があります。交付決定のあとに判明すると、取り消されることもあります。プレゼンテーション審査で、理解が不足していると不利になります。
プレゼンテーション審査には、誰が出ますか?
経営者が出席し、説明します。出席するのは、代表権を持つ人です。申請書の代表者が社長で、説明するのが代表取締役専務という形は認められます。審査の日程は、書面審査の結果のあとに通知されます。代替の日程は、用意されません。海外出張などの予定は、先に調整してください。
採択されたら、補助金はいつ振り込まれますか?
採択のあとに交付申請をして、交付決定を受けます。補助金は、事業が終わり、実績報告と確定検査を経て額が決まったあとの精算払いです。指定の口座へ振り込まれます。事務局が認めたときは概算払もありますが、例外です。6次公募の採択決定は11月上旬頃の予定と、2026年8月7日公表のFAQにあります。
買う設備を、リースで調達してもいいですか?
リース会社と共同で申請すると、リース会社に補助金が交付されます。事業者が払うリース料から、補助金の分が減額されることが条件です。共同申請には、様式5と様式6が要ります。リース料は、補助事業の期間中に払う分だけが対象です。公募のあとに、自己購入からリースへ変えることは、どんな事情でも認められません。
問い合わせ先はどこですか?
5次・6次公募は、大規模成長投資補助金事務局(野村総合研究所)です。電話は050-3651-0806で、平日の10時から17時です。問い合わせは、公募の締切の3営業日前の17時までに行うよう案内されています。3次・4次公募の電話番号とは別なので、公式サイトで番号を確かめてください。
