福岡市の「中小企業奨学金返還支援事業補助金」は、従業員の奨学金返還を会社が支援した場合に使える制度です。企業負担額の1/2、上限50万円を1年度あたり1企業に補助します。人材の採用と定着を、金銭面から後押しする仕組みです。
この制度が生まれた背景と対象になる企業
奨学金の返還は、若手社員の家計を長く圧迫します。福岡市はこの負担を企業側の支援で軽くすることで、人材の確保と定着につなげようとしています。
対象になるのは、福岡市内に本店・本社を置く中小企業等です。従業員に対して「手当等の支給」または「代理返還」という形で、実際に奨学金返還の支援を行っていることが条件になります。
対象になる従業員の要件は次の4点です。
- 福岡市内の事業所で正社員として勤務していること
- 奨学金を返還中、または申請年度中に返還を開始する予定であること
- 役員等ではないこと
- 会社が定める奨学金返還支援制度の対象者であること
補助率と金額のシミュレーション
補助率は企業負担額の1/2、上限は1年度あたり1企業50万円です。会社が従業員に代わって年間いくら返還を負担するかで、補助額は変わります。
3パターンで試算すると、次のようになります。
| 企業の負担イメージ | 対象従業員数 | 年間の企業負担額 | 補助額 |
|---|---|---|---|
| 小規模な卸売業(従業員10名) | 2名(月1万円ずつ手当支給) | 24万円 | 12万円(1/2) |
| IT企業(従業員30名) | 5名(代理返還・月1.5万円ずつ) | 90万円 | 45万円(1/2) |
| 製造業(従業員50名) | 8名(代理返還・月1.8万円ずつ) | 172.8万円 | 50万円(上限) |
製造業のケースのように、対象従業員が増えるほど負担額も上限50万円に近づきやすくなります。上限を超えた分は自己負担になる点は押さえておく必要があります。
就業規則の整備が申請より先に必要
この補助金でもっとも見落とされやすいのが、申請の前に社内規定を整えておく必要があるという点です。福岡市は、就業規則など「奨学金返還支援制度が確認できる社内規定」の整備を、補助金申請の前提条件にしています。
つまり、次の順番で進める必要があります。
- 就業規則・給与規程等に奨学金返還支援制度を規定する
- 制度にもとづき、実際に手当支給または代理返還を実施する
- 実施実績をもって、電子申請で補助金を申請する
「制度を作っておけば後から申請できる」ものではなく、規定を整えて初めて申請の土台が整う制度だと理解しておきましょう。
じつは、この「規定の整え方」自体が、はっきり白黒つくものばかりではありません。同じ手当でも、就業規則にどう書き込むかで対象と認められるかどうかが変わることがあります。この考え方は、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで、人材確保系の助成金全般の実例とあわせて紹介しています。
申請期間は令和8年度7月1日から11月30日まで
令和8年度の申請受付期間は、令和8年7月1日(水)から11月30日(月)までです。申請は電子申請(オンライン)で行います。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 検討を始めたら、まず | 就業規則等に奨学金返還支援制度を規定する |
| 制度整備後 | 実際に手当支給・代理返還を実施する |
| 令和8年7月1日〜11月30日 | 電子申請で補助金を申請する |
期間内であっても、制度の整備が間に合わなければ申請できません。従業員の奨学金返還を支援したいと考え始めた段階で、早めに社内規定の整備に着手することが実務上のポイントです。
同じように従業員の定着・人材確保を支援する国の助成金もあわせて検討したい場合は、こちらの記事も参考になります。
よくある質問
パートやアルバイトの奨学金返還も対象になりますか?
対象は正社員です。福岡市内の事業所に勤務する正社員であることが要件になっており、非正規雇用の従業員は対象外と考えられます。
奨学金の種類は日本学生支援機構のものに限られますか?
制度を作ったばかりで、まだ支給実績がない場合は申請できますか?
申請には実際に手当等の支給または代理返還を行った実績が必要です。制度を整備しただけの段階では申請できず、実施後に申請する流れになります。
まずは公式LINEで、支給要件の勘所を掴んでおく
人材確保系の補助金・助成金は、「制度をどう社内規定に落とし込むか」で対象になるかどうかが変わるケースが少なくありません。GRANTOS公式LINEでは、こうした助成金・補助金の実例を、登録者限定ページで随時公開しています。見ないまま申請して規定の書き方でつまずくのはもったいないので、検討を始めた段階で登録しておくことをおすすめします。
補助金の概要早見表
| 検索項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 中小企業奨学金返還支援事業補助金 |
| 対象業種 | 業種指定なし(福岡市内に本店・本社を置く中小企業等) |
| 利用目的 | 人材確保・定着(従業員の奨学金返還支援) |
| 対象地域 | 福岡県福岡市 |
| 従業員数 | 中小企業等(規模の詳細は交付要綱で要確認) |
| 補助上限額 | 50万円(1年度あたり1企業) |
| 補助率 | 企業負担額の1/2 |
| 申請受付 | 令和8年7月1日〜11月30日 |
| 公式サイト | https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/keieishien/life/fukuoka_shogakukinhenkan_support.html |
※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。
この制度以外にも自社が対象になる補助金・助成金がないか気になる場合は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
社内規定の整え方や対象従業員の判断に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象要件・申請期間は変更される場合があるため、申請前に必ず福岡市の公式ページおよび交付要綱でご確認ください。
出典:
