従業員の奨学金を会社が支える制度を入れたい。気になるのは会社の持ち出しがいくらになるかです。福岡市はその企業負担額の1/2を1年度あたり1企業50万円まで補助します。申請は2026年7月1日から11月30日までで、予算がなくなれば期間内でも終わります。
先に押さえたいのは順番です。就業規則や賃金規程に奨学金返還支援の定めがないと、申請できません。慣行として払っているだけの手当は、制度とは認められないためです。
福岡市 中小企業奨学金返還支援事業補助金の要点まとめ
正式名:福岡市中小企業奨学金返還支援事業補助金
だれが
- 申請者
- 福岡市内に本店・本社がある中小企業等
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 従業員の奨学金返還支援(人材確保・定着)
- 対象地域
- 福岡県福岡市
- 従業員数
- 中小企業等(業種ごとに資本金・従業員数の基準あり)
いくら
- 補助上限額
- 50万円(1年度あたり1企業)
- 補助率
- 企業負担額の1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月1日〜2026年11月30日
- 事業の完了
- 実績報告は2027年3月1日〜3月31日
うちの会社と従業員は対象になる?
会社と従業員の両方が条件を満たす必要があります。まず会社側です。
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次に従業員側です。
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次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 本店か本社が市外にある
- ✕ 退職時に返還を求める制度
- ✕ 教育ローン・学生ローンの返済
- ✕ 役員・同居親族への支援
本店は登記簿に載っている事業所、本社は事業や業務を管理・統括する事業所のことです。支店が市内にあっても、本店か本社のどちらかが市外なら対象外になります。
中小企業等は、業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっていてどちらか一方を満たせば足ります。製造業・建設業・運輸業は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下です。サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下です。ソフトウェア業・旅館業など、別の基準が決まっている業種もあります。個人事業主は従業員数だけで判断します。社会福祉法人・医療法人・学校法人も、従業員100人以下なら対象になります。大企業が株式の半分以上を持つ会社など、いわゆる「みなし大企業」は除かれます。
正社員は、期間の定めのない雇用の人です。フルタイムか短時間かは問われません。個人事業主の場合は同居している親族は対象外です。ただし、勤務実態や条件がほかの従業員と同じなら対象になります。
対象の奨学金は本人名義のものに限ります。日本学生支援機構の第一種・第二種や交通遺児育英会・あしなが育英会の奨学金、生活福祉資金の教育支援資金、母子父子寡婦福祉資金の修学資金、自治体の奨学資金・育英資金などが挙がっています。
会社の持ち出しはいくらで、いくら戻る?
補助額は、手当の支給か代理返還かで計算が少し違います。
手当で支援する場合は、その年度に従業員が返還した額と会社が給付した額の低いほうを基準にして1/2を掛けます。代理返還なら年度中に債権者へ送金した額の1/2です。代理返還は、本人に代わって奨学金の貸与機関へ直接送金することを指します。代理返還ができる貸与機関は日本学生支援機構などに限られるため、可否は各貸与機関に確かめます。
- 従業員3人に月1万円ずつ手当を12か月支給:36万円 × 1/2 = 18万円
- 手当は月2万円だが従業員の返還額は月1.5万円(1人・12か月):18万円 × 1/2 = 9万円
- 1人の奨学金を年24万円、代理返還する:24万円 × 1/2 = 12万円
- 従業員10人に月1万円ずつ手当を12か月支給:120万円 × 1/2 = 60万円 → 上限の50万円
上限の50万円に届くのは、補助の基準になる額が100万円以上のときです。手当を返還額より多く出しても、返還額を超えた分は補助の基準になりません。
どんな支援が補助の対象?
対象にならないものを先に挙げます。
- 手当や代理返還にかかる振込手数料
- 教育ローン・学生ローン(本人が借りたものも含む)
- 役員や、事業主と同居する親族への支援
- 市外の事業所で働く従業員への支援
対象になるのは次の2つです。
- 対象従業員へ支払う手当等の額(現金を年1回以上、給付したもの)
- 奨学金の債権者への代理返還額(年1回以上、直接送金したもの)
補助対象期間は、補助事業者ごとに、その年度で最初に支援を行う月から最後に支援を行う月までです。
申請から入金までの順番は?
- 返還支援の制度を就業規則等に定める(会社→自社の規程。申請より前に。実施が決まっていれば申請できます)
- 従業員への支援を始める(会社→従業員。手当の支給か代理返還)
- 特設サイトの申請フォームから申請する(会社→福岡市。2026年11月30日まで)
- 審査を受けて交付決定を受ける(福岡市→会社。申請から1〜2か月が目安で、原則は申請順)
- 内容が変わったら変更申請を出す(会社→福岡市。交付決定の通知から2027年1月29日まで)
- 実績報告と請求を出す(会社→福岡市。2027年3月1日から3月31日まで)
- 補助金を受け取る(福岡市→会社。特設サイトでは2027年4月以降とされています)
申請は電子申請(オンライン)です。申請書類は、様式を作るものと、スキャンしてPDFにするものに分かれます。
必要な書類
準備できた 0 / 7
算定調書など3様式は、補助金算定調書・収支計画書・役員名簿です。履歴事項全部証明書は、法人の登記の現在の内容を載せた証明書で、個人事業主は開業届で足ります。雇用形態が分かる書類は労働条件通知書や雇用契約書です。従業員の勤務地は、支援対象者勤務地一覧で示します。交付要綱には労働者名簿などの写しも挙がっていますが、令和8年度の申請の手引きの提出書類にはありません。返還額が分かる書類には、奨学金返還証明書や返還開始通知書やスカラネットパーソナルの画面コピーなどがあります。原則として、申請時点の返還額が確認できるものを出します。申請書には、警察本部への照会と市税の納付状況の照会に同意する文言があります。申請書類はPDFにして電子申請に添付します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 申請期間を過ぎた:2026年11月30日までです。予算の上限に達したときは、期間内でも受付が終わります。
- 返還支援が規程になっていない:就業規則や賃金規程などに書かれていない支援は、制度として認められません。申請の前に整えておきます。
- 退職時に返還を求める定めがある:退職した従業員に、すでに払った手当や代理返還額の返還を求める制度は、補助の対象から除かれます。
- 本店か本社が市外にある:支店や営業所が市内にあるだけでは、対象になりません。
- ほかの助成金と重なる:同じ年度に、奨学金返還支援を目的とした国・自治体・民間団体の助成金を受ける(予定を含む)と、原則として対象外です。
- 変更や報告の期限を過ぎた:変更申請の期限を過ぎると、補助金の増額はできません。実績報告の期間内に出さないと、交付されません。
他の助成金との併用と税金は?
併用は原則として認められません。ただし、補助事業の内容が異なる場合や対象になる従業員が重なっていない場合などは、認められることがあります。併用を考えているなら申請の前に福岡市の経営支援課へ相談する形になります。
特設サイトでは、返還費用が従業員への給付として経費と認められる場合は給与として損金に入り、賃上げ促進税制の対象になる給与等にも当たるため、一定の要件を満たせば法人税の税額控除を受けられる、と案内しています。代理返還型では、社会保険料や従業員の所得税の扱いにも触れています。税の判断は税理士などに確かめてください。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
企業要件の上では個人事業主も対象になり得ます。ただし福岡市内に本店と本社があることや就業規則等で返還支援を定めて実施していることなど、ほかの条件は同じです。同居している親族は対象従業員から外れます。ただし勤務実態や条件がほかの従業員と同じだと認められる場合は除きます。
市内に支店だけある会社は対象になりますか?
対象になりません。この補助金は、福岡市内の中小企業等の人材確保と定着が目的です。そのため、市内に本店と本社の両方があることが要件です。事業所が市内にあっても本店か本社のどちらかが市外なら対象外になります。反対に本店と本社が市内にあっても、市外の事業所で働く従業員は対象になりません。
パートや契約社員も対象になりますか?
対象になるのは正社員です。雇用期間の定めのない人を指しフルタイムか短時間かは問われません。契約社員のように期間を決めた雇用は、そのままでは対象になりません。ただし、年度内に正社員へ転換することが決まっていれば対象になり得ます。その場合は、転換日以降の支援だけが対象で、転換の決定が分かる書類(通知書や辞令、労働条件通知書など)が要ります。試用期間中でも、無期雇用の正社員なら対象です。新卒か中途かや年齢は問われず、既存の従業員も対象です。役員など事業主と利益を同一にする地位の人も、対象になりません。短時間勤務の正社員を雇っている会社は、雇用契約書の記載を一度確かめておくと書類をそろえやすくなります。
教育ローンの返済も補助されますか?
補助されません。保護者が借りた教育ローンは対象外です。従業員本人が借りたものでも教育ローンや学生ローンは対象になりません。対象は日本学生支援機構の第一種・第二種奨学金など要綱の別表に挙がっている奨学金か、それに準ずると市長が認めたものです。借りた奨学金が対象か迷うときは市の担当課に先に確かめてください。
手当を返還額より多く出したらどうなりますか?
補助の基準は、従業員が返還した額と会社が給付した額の低いほうです。たとえば月2万円を手当として出しても、従業員の返還額が月1.5万円なら、基準は1.5万円です。その1/2が補助額になります。手当を厚くするのは会社の判断ですが補助の対象になる範囲は返還額までと考えると整理しやすくなります。
手当と代理返還はどう違いますか?
手当は会社が従業員に現金を給付する方法で、口座振込も含みます。年1回以上の給付が条件です。代理返還は、会社が従業員に代わって奨学金の債権者へ直接送金する方法で、これも年1回以上が条件です。補助額は手当なら返還額と給付額の低いほうの1/2で代理返還なら送金額の1/2です。どちらも補助の上限は年度ごとに50万円です。
規程は作っていませんが、すでに手当を払っています。申請できますか?
そのままでは申請できません。企業が従業員への奨学金返還支援を行うことについて、就業規則や賃金規程などで制度を明文化したうえで実施することが要件です。申請の前に規則等を整える必要があります。実施が決まっている場合も含むため、支給を始める前に規程を整えてそのまま申請する進め方もあります。
申請はいつまでにすればよいですか?
2026年7月1日から11月30日までです。ただし予算の上限に達すると期間内でも受付が終わる可能性があります。条件を満たしていても、予算の上限に達した場合は交付決定ができないことがあります。規程の整備や従業員の返還額の確認に時間がかかる会社は書類がそろったところから早めに出すのが安全です。最新の状況は特設サイトでも確かめられます。
補助金はいつ入金されますか?
特設サイトでは実績報告が2027年3月で補助金の交付は2027年4月以降とされています。流れは交付決定を受けて支援を実施し年度の終わりに実績報告と請求を出す順番です。実績報告の期間は2027年3月1日から3月31日までで期間内に出さないと交付されません。入金は後払いになるため手当や代理返還の資金は先に会社で用意します。
年度の途中で従業員が増えたり退職したりしたらどうしますか?
変更申請が必要です。対象従業員が増減するとき、支援額を増減するとき、支援そのものを中止・廃止するときが対象です。期間は交付決定の通知から2027年1月29日までで、この期間を過ぎると補助金の増額はできません。まだ交付決定の前なら変更申請は不要ですが、速やかに担当課へ連絡します。
去年もらった会社は、今年また申請が必要ですか?
必要です。令和7年度に受けた会社も、令和8年度は改めて交付申請をします。補助金は年度ごとの事業で、1会社の上限は年度ごとに50万円です。申請の回数に上限はありません。市の補助事業が続くかぎり、毎年度受けることができます。規程と対象従業員、返還額の書類は年度ごとに確かめ直し、前年度の書類をそのまま出さないようにします。
来年度も同じ制度はありますか?
交付要綱は2029年3月31日で廃止されると定められていて、それ以降の継続は必要性を検証して判断するとされています。各年度に実施されるかは、年度ごとに特設サイトで案内されます。令和8年度は2026年2月18日付けで継続の予定が告知され7月1日から受付が始まりました。来年度の申請時期は、特設サイトで確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
福岡市 経済観光文化局 経営支援課です。申請の手引きと特設サイトには、就労支援係の電話として092-441-1232が載っています。市の公式ページには092-441-2171と載っていて、どちらも同じ課の案内で、番号は食い違っています。申請や書類の相談は、手引きにある092-441-1232にまずかけてください。併用の可否や奨学金が対象かどうかなどは申請の前に問い合わせておくと確実です。
