賃金規定や評価制度をきちんと整えて、頑張った分だけ報われる職場にしたい。バラバラに受けていた業務を見直して、在宅勤務でも人手不足に負けない働き方をつくりたい。若手の建設技能者に、この会社で長く働き続けてほしい――。こうした「人を確保し、定着してもらう」ための取り組みにかかる費用を、国が後押ししてくれるのが人材確保等支援助成金です。

人材確保等支援助成金は、1つのコースだけの制度ではありません。現行で稼働している代表的なコースは7つあり、雇用管理制度の整備からテレワーク導入、建設分野の若手・女性定着、外国人労働者の受け入れ環境整備まで、目的別にコースが分かれています。支給額はコースによって20万円〜最大1,000万円まで幅があり、申請の仕組みも「年◯回の締切」ではなく通年受付という他の補助金にはない特徴があります。自社に合うコースはどれか、いくらもらえるのか、順番に見ていきましょう。

図: 人材確保等支援助成金の全体像。詳しくは本文で解説します

人材確保等支援助成金にはどんなコースがある?【7つの現行コース】

コースが多い制度なので、まずは対象事業主別に7つの現行コースを整理しましょう。

雇用管理制度・雇用環境整備助成コース(全業種)

賃金規定、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度といった「雇用管理制度」を新たに導入し、離職率の低下につなげた場合に支給されるコースです。あわせて、従業員の直接的な作業負担を軽減する機器・設備等(雇用環境整備)を導入した場合も対象になります。業種を問わず、雇用保険が適用される事業所であれば幅広く使えるのが特徴です。

中小企業団体助成コース(事業協同組合等)

事業協同組合など、中小企業を構成員とする団体が、構成員である中小企業の労働環境向上に取り組む場合に支給されるコースです。個々の企業ではなく、業界団体・組合単位での取り組みが対象になります。

建設分野の3コース(建設業限定)

建設業には、業界特有の課題に対応した3つのコースがあります。

  • 建設キャリアアップシステム等活用促進コース:建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を通じて雇用管理の改善に取り組む中小建設事業主・団体が対象
  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース:若年者・女性の入職・定着を図る取り組み(研修、女性専用設備の整備など)を行う建設事業主・団体が対象
  • 作業員宿舎等設置助成コース:女性専用施設の賃借や認定訓練施設の整備など、作業員の受け入れ環境を整える中小建設事業主が対象

外国人労働者就労環境整備助成コース

外国人労働者を雇用している事業主が、雇用労務責任者の選任、就業規則等の多言語化といった措置を計画的に導入し、外国人労働者の職場定着に取り組む場合に支給されるコースです。

テレワークコース

中小企業事業主が、テレワーク(在宅勤務等)に必要な機器やシステムを導入し、労働者の適正な労務管理のもとで実施した場合に支給されるコースです。

図: 対象事業主別の7コース使い分け。まずは自社がどのグループに近いかを確認しましょう

「人事評価改善等助成コース」を探している方へ

かつて存在した「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」は、2025年3月31日で廃止され、2025年4月1日以降は雇用管理制度・雇用環境整備助成コースに統合されています。人事評価制度の整備にかかる取り組みは、現在はこの統合後のコースで支給対象になります。廃止されたのではなく、名前と枠組みが引き継がれたとイメージしてください。

コース選びで迷う場合、あるいは自社の取り組みがどのコースの要件に当てはまるかの実体判断が難しい場合は、専門家に相談すると確実です。どの取り組みをどのコースの計画として位置づけるかという整理のコツは、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページでも紹介しています。

いくらもらえる?コース別の支給額

「最大〇〇円」という単純な数字だけでは実態を捉えきれません。支給額はコースごと・要件の達成度合いで大きく変わるので、内訳を正確に押さえておきましょう。

コース対象事業主支給額の目安
雇用管理制度・雇用環境整備助成コース全業種の雇用保険適用事業所制度導入:20万円〜40万円(上限80万円、複数制度導入で上限100万円)/機器等導入:対象経費の1/2〜3/4(上限150万円、賃金要件〈3%以上増〉達成で上限225万円)
中小企業団体助成コース事業協同組合等対象経費の2/3(支給限度額600万円〜1,000万円。構成中小企業者数500以上で1,000万円、100〜500未満で800万円、100未満で600万円)
建設キャリアアップシステム等活用促進コース中小建設事業主・団体中小建設事業主:建設技能者1人あたり16万円/団体:対象経費の1/2〜2/3
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)建設事業主・団体中小建設事業主:対象経費の3/5(賃金要件達成で3/4)/中小建設事業主以外:9/20(同3/5)/団体:2/3
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)中小建設事業主対象経費の1/2〜3/4、または1人あたり定額(施設の種類により異なる)
外国人労働者就労環境整備助成コース外国人労働者を雇用する事業主1制度導入につき20万円(上限80万円)
テレワークコース中小企業事業主機器等導入助成・目標達成助成の2段階()

業種横断・シミュレーション

同じ「人材確保等支援助成金」でも、業種とやりたいことでコースも支給額の考え方もまったく変わります。3つの業種を例に見てみましょう。

図: 業種別に見る「どのコースで、どれくらい支給されるか」のイメージ

① 建設業(従業員22人・若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース) 若手の建設技能者が定着せず、毎年数人が辞めてしまう。雇用管理研修の実施や女性が働きやすい現場環境の整備に取り組みたい。 → 中小建設事業主として、対象経費の3/5(賃金要件を満たせば3/4)が支給対象です。あわせて、雇用管理研修の実施に応じた加算が用意されているコースもあります。まずは自社が「中小建設事業主」に該当するかを確認し、取り組み内容を計画届に落とし込むところから始めます。

② サービス業(従業員15人・雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) 評価基準があいまいで、頑張っても給与に反映されないと不満が出ている。人事評価制度と、それに連動した賃金規定を新たに整備したい。 → 雇用管理制度の導入として、20万円〜40万円(上限80万円)が支給対象。計画期間終了後、離職率が前年度比1ポイント以上低下すれば支給されます(従業員9人以下の場合は前年度以下の維持でも対象)。評価制度の整備にあわせて、業務負担を軽減する機器の導入まで組み合わせれば、雇用環境整備分(対象経費の1/2〜3/4、上限150万円)もあわせて狙えます

③ 製造業(従業員40人・テレワークコース) 設計・事務部門だけでも在宅勤務を導入し、通勤負担を減らして人手不足でも働き続けてもらいたい。 → 中小企業事業主として、テレワーク機器・システムの導入にかかる機器等導入助成と、実施後の目標達成助成の2段階で支給対象になります(具体的な支給額は要件・実施規模により異なるため、詳細は次の相談CTA先でご確認ください)。

このように、同じ「人材確保等支援助成金」でも、業種・目的によって使うコースも支給額の計算も大きく変わります。まずは自社の取り組みがどのコースに近いかを確認してみましょう。

コースが多く、自社に合うものが分かりにくいと感じたら、他に使える補助金・助成金がないか探してみるのも有益です。

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コースの選び方や、取り組み内容をどう計画届に位置づけるかで迷ったら、専門家に無料で相談できます。

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申請のスケジュール感は?「通年受付」だが隠れ期限があります

人材確保等支援助成金は、他のjGrants補助金と違い、年◯回の締切という形では公募されていません。事業主ごとに「計画開始日」を決めて申請する通年受付型の制度です。

ただし、いつでも好きなタイミングで良いわけではありません。「計画届」は、計画開始日の6か月前から1か月前の前日までに提出する必要があります。これが最初の関門です。計画届が認定されたら、計画期間内に制度導入・実施を行い、その後の評価期間(コースにより異なる)を経て、要件(離職率の低下など)を達成できたかを確認したうえで、評価期間終了後2か月以内に支給申請を行う、という流れになります。

図: 申請から支給までのスケジュール。「計画届をいつ出すか」が最初の分かれ目です

「今すぐ申請したい」と思っても、計画届の提出から逆算してスケジュールを組む必要がある点は、他の補助金にはないこの助成金特有の注意点です。取り組みを始めたいタイミングが決まったら、早めに計画届の準備に着手しましょう。

承認までの重要なタイミングと必要書類

「何が必要か」よりも「いつ何が必要か」を押さえるほうが、準備のスケジュールを組みやすくなります。

タイミングやること必要になるもの
取り組みを始めたいと決めたらすぐどのコースが自社に合うか整理する(コースにより都道府県知事・労働局長の認定が必要な場合あり)現状の雇用管理・離職率の把握、取り組み内容の整理
計画開始日の6か月前〜1か月前の前日まで計画届(雇用管理制度整備計画など、コースにより名称は異なる)を提出する計画書、現状把握のための資料
計画認定後計画期間内に制度導入・実施を行う制度の規定文書、機器の契約書・領収書等
制度導入後の評価期間中離職率など、コースごとに定められた要件の達成状況を確認する従業員の異動・離職の記録
評価期間終了後2か月以内支給申請を行う支給申請書、要件達成を証明する書類

図: いつ・何が必要になるか。計画届の提出が最初の分かれ目です

コースによって計画届の名称・認定主体(都道府県知事、労働局長など)・評価期間の長さが異なります。自社の取り組みがどのコースの、どの手続きに当てはまるかを早い段階で確認しておくと、慌てずに済みます。

「うちの会社でも対象?」対象事業者の考え方

対象事業主は、コースによって次のように異なります。

  • 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース:業種を問わず、雇用保険が適用される事業所の事業主
  • 中小企業団体助成コース:中小企業を構成員とする事業協同組合等(個々の企業単独では対象外)
  • 建設分野の3コース:建設業を営む事業主・建設事業主団体(中小か否かで支給額が変動)
  • 外国人労働者就労環境整備助成コース:外国人労働者を雇用している事業主
  • テレワークコース:中小企業事業主

例:従業員15人のサービス業(法人・正社員12人+パート3人) → 雇用保険適用事業所であれば、雇用管理制度・雇用環境整備助成コースの対象です。評価制度を新たに導入し、離職率を前年度比1ポイント以上低下させることができれば、制度導入分(20万円〜40万円)の支給対象になります。

自社がどのコースの、どの要件に該当するかの最終判断に迷う場合は、専門家に相談すると確実です。

よくある質問

「人事評価改善等助成コース」はもうなくなったのですか?

廃止されたわけではありません。2025年3月31日で廃止され、2025年4月1日以降は雇用管理制度・雇用環境整備助成コースに統合されています。人事評価制度の整備にかかる取り組みは、現在はこの統合後のコースで支給対象になります。

締切はいつですか?

年◯回という形の締切はありません。事業主ごとに「計画開始日」を決めて申請する通年受付型の制度です。ただし、計画届は計画開始日の6か月前から1か月前の前日までに提出する必要があります。

建設業以外でも使えるコースはありますか?

はい。建設分野の3コース以外は、業種を問わず利用できます。雇用管理制度・雇用環境整備助成コースやテレワークコースは全業種の中小企業が対象、中小企業団体助成コースは業種を問わず事業協同組合等が対象です。

自分で申請できますか?

計画届の作成や支給申請そのものは事業主が行えますが、コースが多く要件も細かいため、自社の取り組みがどのコースに当てはまるか、計画届をどう組み立てるかで迷うケースは少なくありません。専門家に相談しながら進めると安心です。

※支給額・要件・申請スケジュールなどの制度内容は、支給要領の改定により変更される場合があります。申請前に必ず厚生労働省の公式サイトで最新情報をご確認ください。

出典(一次情報): 人材確保等支援助成金 総合案内(厚生労働省)雇用管理制度・雇用環境整備助成コース中小企業団体助成コース建設分野3コース(建設キャリアアップシステム等活用促進/若年者及び女性に魅力ある職場づくり/作業員宿舎等設置)外国人労働者就労環境整備助成コーステレワークコース(様式ページ)


支給される計画届には"書き方の型"があります

同じ取り組みでも、計画届の書き方ひとつで認定・不認定は変わります。どの制度を選び、どう位置づけて計画に落とし込むかは、一般には出回っていません。

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この助成金の概要(早見表)

検索項目内容
制度名人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース/中小企業団体助成コース/建設分野3コース/外国人労働者就労環境整備助成コース/テレワークコース 等7コース。「人事評価改善等助成コース」は2025年4月に雇用管理制度・雇用環境整備助成コースへ統合)
対象業種全業種(建設分野の3コースは建設業限定)
利用目的雇用・職場環境を改善したい
対象地域全国
従業員数コースにより異なる(中小企業事業主・中小建設事業主・事業協同組合等)
支給上限額コースにより20万円〜最大1,000万円(内訳は本文表を参照)
支給率コースにより1/2〜3/4程度(中小企業団体助成コースは対象経費の2/3)
申請受付通年受付(計画開始日を起点に、計画届は開始日の6か月前〜1か月前の前日までに提出)
公式サイト人材確保等支援助成金 総合案内(厚生労働省)

※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。