工場やビルに置く20kWh超の蓄電システムの導入費を、国が1/3以内(上限1,500万円)で補助します。補助を受けるには2028年3月31日まで、電力のひっ迫時にDR(電力の需要量と供給量を合わせる仕組み)へ協力する契約か加入が要ります。蓄電池を買うだけでは対象になりません。
業務産業用蓄電システム導入支援事業の要点まとめ
正式名:業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR業産用蓄電池)
だれが
- 申請者
- 事業者・個人(国内で事業を営む法人、個人事業主、国内居住の個人)
- 対象業種
- 業種の指定なし(高圧以上の需要側に設置)
- 利用目的
- 小規模業務産業用蓄電システムの新規導入(DR活用が条件)
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 1,500万円(1申請あたり)
- 補助率
- 1/3以内(基準額は1kWhあたり3.75万円)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年3月24日〜2026年10月30日(予算に達し次第終了)
- 事業の完了
- 2027年2月1日まで
うちの設備は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
PCSは電気を直流と交流に変える電力変換装置です。高圧以上の需要側とは工場やビルなど、高圧以上で電気を受けて使う事業所のことです。DRへの協力は蓄電池アグリゲーター(蓄電池を遠隔制御する事業者)とのDR契約か、小売電気事業者のDRメニューへの加入のどちらかで行います。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 蓄電容量が20kWh以下
- ✕ PCSの合計出力が100kW以上
- ✕ 交付決定の前に発注・契約した
20kWh以下は「DR家庭用蓄電池」、PCS100kW以上は「大規模業務産業用蓄電池」という別の事業になります。セルやモジュールの一部だけを更新する工事も対象外です。リースで入れるときはリース事業者と設備を使う側が共同で申請します。
補助額はいくら?
補助額は次の3つのうちいちばん低い金額です。
- 蓄電容量 × 補助金基準額(1kWhあたり3.75万円)
- 設計費・設備費・工事費の合計 × 1/3
- 1申請あたりの上限 1,500万円
レジリエンス(故障や災害時に早く復旧できる体制と、代替部品を迅速に出せる拠点があること)を満たすと、基準額に1kWhあたり0.1万円が足されます。廃棄物処理法上の広域認定(製造や販売の事業者が蓄電池関連製品で取得する認定)でも、同じく0.1万円です。両方を満たすと基準額は3.95万円になります。
- 100kWhで費用が1,000万円:①375万円、②333万円 → 333万円
- 100kWhで費用が1,190万円(目標価格の上限):②は396万円。①は375万円 → 375万円
- 100kWhで費用が1,190万円、評価の加算が両方つく:①は3.95万円 × 100kWh = 395万円 → 395万円
- 400kWhで費用が4,500万円:①は1,500万円、②は1,500万円 → 上限の1,500万円
費用が目標価格の上限に近いときに限り、評価の加算が補助額を押し上げます。費用が1,000万円なら②が先に頭打ちになり、加算は効きません。上限の1,500万円に届くのは費用が4,500万円以上の大きな設備です。
上限の1,500万円は1申請あたりです。申請は系統連系の申込ごと、または小売電気事業者との電力契約ごと(目安はスマートメーターの数)に分け、事業所が複数あれば事業所ごとに申請します。
消費税と地方消費税の仕入控除税額は補助対象経費から減らして申請します。
何に使える?
対象にならないもの
- 受電設備(区分開閉器、断路器、遮断機、変圧器など)と系統連系の工事
- DR対応のためのIoT化関連機器(別の事業で申請します)
- 基本設計費、土地造成、整地、フェンス工事(法令で必須の工事を除く)
- 運転開始時に使う予定のない設備や予備品
対象になるもの
- 設計費(実施設計に必要な最低限のもの)
- 設備費(セル、モジュール、BMS、PCS、制御装置、専用の空調・筐体・分電盤)
- 工事費(設置に必要な最低限の工事費・据付費)
蓄電システムの購入価格と工事費の合計は目標価格以下でなければ申請できません。2025年度の目標価格は税抜で蓄電容量1kWhあたり11.9万円です。100kWhなら1,190万円が上限になります。
申請の流れ
- DRの方式を選ぶ(事業者→SIIの登録一覧。アグリ型か小売型か。事業者の登録申請は2026年9月30日で締切済み)
- GビズIDプライムを取る(事業者→GビズID。国の電子申請に共通で使うIDで、書類を郵送してから取得まで2〜3週間かかります)
- 見積もりを取る(事業者→販売・工事業者。交付決定の前でも取れます)
- Jグランツで交付申請する(事業者→SII。10月30日まで)
- 交付決定を待つ(SII→事業者。審査は3〜6週間の予定。決定通知の前に発注しない)
- 三者見積の検査を受けて発注する(事業者→SII。検査の完了後に発注)
- 設置・試運転・検収・全額の支払いを終える(事業者。2027年2月1日までに)
- 実績報告を出す(事業者→SII。完了後30日以内か2月1日の早い方)
交付決定は採択とは別の通知です。交付決定の前に蓄電システムを発注・契約すると、補助の対象外になります。10月30日の締切に間に合わせた場合、審査が3〜6週間かかると、交付決定は11月下旬から12月上旬になる計算です。そこから2027年2月1日の完了期限まで、残りは2か月ほどです。工事業者の予定は申請と同時に押さえておくことを勧めます。
三者見積は同じ条件で3者以上から取ります。交付申請と同時に出せば、検査を審査と並行して進められ、交付決定の後すぐに発注できます。見積依頼の仕様書に、メーカーや機種の指定は書けません。最安値の業者以外に発注すると、補助対象経費は最安値が上限になります。
必要な書類
準備できた 0 / 12
見積内訳書は補助対象と対象外を分けて書く指定の様式です。見積(依頼)仕様書は、見積の条件をそろえるために自社で作ります。リース、ESCO、TPOで入れる場合や、IoT化関連機器を新設する場合、設備の所有者と土地・建物の所有者が違う場合は書類が追加されます。交付申請の時点では三者見積の提出は必須ではありません。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:蓄電システムの発注・契約は交付決定日以降です。前に行うと対象外です。
- DRへの協力をやめた:2028年3月31日まで続けることが条件です。続けるのが難しくなったら、早めにSIIへ相談します。
- 虚偽の申請などの不正があった:交付の取消しと、年10.95%の加算金つきの返還になります。
- 目標価格を超えた:購入価格と工事費の合計が1kWhあたり11.9万円(税抜)を超えると、申請できません。
- 処分制限期間内に売った:法定耐用年数の間は売却や廃棄の前にSIIの承認が要ります。補助金の返還が生じる場合があります。
- 予算が先に尽きた:10月30日より前でも、予算額に達すると受付が終わります。
- 支払い方法が認められない:クレジットカード、割賦、手形、相殺は認められません。ATMの振込明細も証憑になりません。
事業規模は家庭用・IoT化と合わせた59.6億円のうち1.7億円程度です。上限の1,500万円で割ると、満額なら計算上は約11件分です。予算は他の事業へ流用されることもあるため、消化状況はSIIのHPで確かめてください。編集部は10月30日を待たずに申請することを勧めます。
併用・税金
他の国庫補助金との併用はできません。国が出す補助金を同じ設備で申請して、交付決定の前に他方が交付された場合はすぐSIIに連絡します。自治体の補助金との併用はその自治体に確認してください。税制優遇との併用の可否はそれぞれの税制の窓口に確認します。税金の扱いについて、公募要領に細かい記載はありませんでした。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。公募要領の対象者は日本国内で事業を営む法人か個人事業主、または国内に住む個人です。ただし、補助対象設備の所有者であることが条件になります。リースで入れる場合はリース事業者と設備を使う側が共同で申請します。通常のリース以外やTPOモデル(第三者が設備を所有して事業者が使う形)で申請する場合は事前にSIIへ確認が要ります。
蓄電容量20kWh以下の小型蓄電池は対象になりますか?
対象外です。この事業の対象は蓄電容量が20kWhを超え、PCSの合計出力が100kW未満で、高圧以上の需要側に置く設備です。20kWh以下は「DR家庭用蓄電池」、PCS100kW以上は「大規模業務産業用蓄電池」という別の補助事業になります。SIIの事業ページに、設置場所・容量・出力から該当する事業を選ぶ判別フローチャートがあります。
IoT機器の設置費用も補助対象になりますか?
対象外です。DR対応のために別のIoT化関連機器が必要な場合は必要不可欠でもこの事業の補助対象になりません。「ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業」で、機器を補助対象として申請できます。蓄電システムとは別にIoT化関連機器を新設して外部と通信する場合はセキュリティ評価制度JC-STARの★1を取得した機器にする必要があります。
アグリ型と小売型はどう違いますか?
アグリ型は蓄電池アグリゲーター(蓄電システムを遠隔制御する事業者)とDR契約を結ぶ方式です。小売型は小売電気事業者が出すDRメニューに加入する方式です。どちらも、SIIに登録された事業者とメニューの中から選びます。登録の申請受付は2026年9月30日までです。SIIのHPにある蓄電池アグリゲーター一覧、小売電気事業者一覧、DRメニュー一覧で確かめられます。
DRの協力は具体的に何をするのですか?
契約期間は事業の完了後から2028年3月31日までです。需給ひっ迫注意報・警報の発令時や国の節電要請時には蓄電池の電気を使って需要を減らす下げDRに協力します。再エネの出力制御が見込まれる時期には需要を増やす上げDRにも協力します。節電要請期間中のDRは任意です。データを取る期間は2026年10月22日から11月11日を最初に、2027年の春と秋にもあります。
補助額はどう計算しますか?
3つの金額のうち、いちばん低いものが補助額です。1つ目は蓄電容量に基準額(1kWhあたり3.75万円)を掛けた金額です。2つ目は設計費・設備費・工事費の合計に1/3を掛けた金額です。3つ目は上限の1,500万円です。レジリエンスと広域認定を満たすと、基準額は1kWhあたり0.1万円ずつ上がります。消費税の仕入控除税額は先に引いて申請します。
目標価格とは何ですか?
蓄電システムの購入価格と工事費の合計に設けられた上限です。2025年度の目標価格は税抜で蓄電容量1kWhあたり11.9万円です。購入価格が目標価格を上回ると、申請ができません。通常使うために欠かせない設備や工事は補助対象かどうかにかかわらず、比べる金額に含めます。見積もりの段階で、1kWhあたりの単価を計算しておくと安全です。
交付決定の前に見積もりを取ってもいいですか?
取れます。見積の取得と三者見積は交付決定の前でも行えます。ただし発注はSIIの三者見積検査が終わり、交付決定を受けたあとです。三者見積は同じ条件で3者以上に依頼します。依頼の仕様書にメーカー指定は書けません。見積先に同じ資本関係の会社がある場合は資本関係のない2者以上からも取ります。
他の補助金と併用できますか?
国の補助金とは併用できません。同じ設備を別の国庫補助金にも申請し、交付決定の前に他方が交付された場合はすぐSIIに連絡します。自治体の補助金や助成金との併用はその自治体に確認します。税制優遇との併用はそれぞれの税制の窓口に確認します。併用を前提に資金計画を組む前に、必ず窓口で可否を確かめてください。
申請の受付はいつまでですか?
2026年10月30日(金)までです。ただし、申請された補助金額の合計が予算額に達すると、期間内でも受付が終わります。交付決定は随時で、審査には3〜6週間かかる予定です。予算の消化状況はSIIの事業ページで確かめます。登録済みのアグリゲーターや小売電気事業者の都合もあるため、DRの方式と相手先は申請の前に決めておきます。
事業はいつまでに終わらせる必要がありますか?
完了の最終期限は2027年2月1日(月)です。完了とはDR契約または加入、設置、試運転、検収、補助対象経費の全額の支払いが、すべて終わった状態です。実績報告は完了後30日以内か2月1日のどちらか早い日までに出します。支払いは原則、検収の翌月までに金融機関を通して行います。遅れそうなときはすぐSIIに連絡します。
太陽光と一体型のPCSでも申請できますか?
申請できます。再エネ発電設備の電力変換装置と一体型の場合は蓄電システムに当たる部分だけを切り分けて申請します。切り分けられないときは目標価格との比較で、その電力変換装置の定格出力(系統側)1kWあたり2万円を差し引けます。受電設備と系統連系にかかる工事の費用は補助対象外です。迷う場合は事前にSIIへ相談してください。
