楽天市場に出店したいだけなのか、自社ECサイトもゼロから作りたいのか——実は、いわき市の「EC促進支援事業」はどちらも対象になります。ここを取り違えて、モール出店だけの制度だと思い込む人が少なくありません。
補助率は2/3、上限は30万円。モール型ECサイトへの出店・出品でも、自社ECサイトの構築でも、上限額は同じです。申請期間は令和8年5月14日から令和9年1月29日までですが、予算に達し次第、期間内でも受付が終了します。
いわき市のEC促進支援事業でできること
この補助金を使うと、たとえば次のようなことができます。
- 老舗の食品加工業者が、これまで店頭販売だけだった看板商品を楽天市場に初出店し、全国の顧客に直接届けられるようにする
- 地元の雑貨店が、自社ECサイトをゼロから構築して、実店舗に来られない遠方の常連客にもオンラインで販売できるようにする
- 水産加工業者が、Amazonへの出品にあわせて商品写真をプロに撮影し直し、ネット販売に耐えるページに作り変える
「ネット販売を始めたいが初期費用がネック」「モール出店の登録料や自社サイト構築費を少しでも軽くしたい」といういわき市内の事業者を後押しする制度です。
対象になる事業者は?
補助対象になるのは、いわき市内に本社または事業所を置き、市内で事業を継続して営むことが確実な中小企業・個人事業主です。中小企業基本法上の中小企業に該当することが条件で、いわき市公式ページでは業種別の目安として次の例が示されています。
- 卸売業: 資本金1億円以下 または 従業員100人以下
- 小売業: 資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下
このほか、市税を滞納していないこと、暴力団関係事業者や風俗営業等関連事業でないことなどが条件です。
対象経費:モール出店と自社サイト構築で何が違う?
自社ECサイトかモール出店かで、対象になる経費の中身が変わります。 いわき市公式ページに示されている対象経費は次のとおりです。
| 出店・構築の形態 | 対象経費の例 |
|---|---|
| モール型ECサイト(楽天市場・Amazon等)への出店・出品 | 登録料、出店料、利用料 |
| 自社ECサイトの構築 | システム購入費・構築費などの初期経費 |
| 両方に共通 | 委託制作費(商品写真の撮影・ページ制作を外部委託する場合の外注費)、その他市長が必要と認めるEC関連経費 |
補助率はどちらの形態でも補助対象経費の3分の2以内・上限30万円で共通です。つまり、モール出店の登録料・出店料だけで申請しても、自社サイト構築費だけで申請しても、あるいは商品撮影の外注費を組み合わせても、上限額は同じ30万円という設計です。
補助額のシミュレーション
具体的な使い道でどれくらい補助されるか、業態別に見てみます。
- 食品加工業者が楽天市場に初出店するケース: 出店初期費用・月額利用料などで合計30万円かかった場合、補助率2/3で20万円が補助され、自己負担は10万円で済む
- 雑貨店が自社ECサイトをゼロから構築するケース: システム構築費に45万円かけた場合、補助対象経費の2/3は30万円を超えるため、上限いっぱいの30万円が補助され、残り15万円が自己負担になる
- 水産加工業者がAmazon出品と商品写真の外注をあわせて行うケース: Amazonの出品関連費用12万円+商品撮影の外注費18万円で合計30万円の場合、補助率2/3で20万円が補助される
上限30万円に達するには、補助対象経費が45万円以上であることが一つの目安です。自社サイト構築のようにまとまった初期費用がかかる使い道ほど、上限額をフルに活用しやすくなります。
承認までの重要なタイミングと必要書類
この補助金でもっとも注意すべきなのは、補助対象になる支払いは「交付決定を受けた後」から「令和9年2月末日まで」に完了したものに限られるという点です。先に契約・支払いを済ませてしまうと対象外になる可能性が高いため、申請前の発注・支払いは避け、順番を守って進める必要があります。
時系列で整理すると次のとおりです。
- 申請期間: 令和8年5月14日(木)〜令和9年1月29日(金・必着)。予算に達し次第、期間内でも受付を終了
- 交付決定後〜支払い完了期限: 交付決定を受けてから令和9年2月末日までに支払いが完了し、領収書等で確認できる経費が対象
- 申請方法: いわき市の指定するオンラインフォームから申請
- 提出書類: 申請書、事業計画書、予算書、誓約書、税務完納証明書の5点
予算に達すると1月29日の期限を待たずに受付が終了するため、モール出店や自社サイト構築を検討しているなら早めの申請が有利です。
国のIT関連の補助金でもECサイト構築が対象になることがあります。あわせてこちらの記事で解説しています。
いわき市のEC促進支援事業だけで自己負担分をまかないきれない場合や、EC以外の設備投資・販路開拓も予定している場合は、他に使える補助金がないか確認しておくのも有益です。
対象経費の区分や、モール出店と自社サイト構築を組み合わせた場合の申請の組み立て方など、実務の進め方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
モール型ECサイトと自社ECサイト、両方の経費を1件の申請でまとめて対象にできますか?
いわき市公式ページの対象経費一覧では、モール出店の登録料・出店料・利用料と、自社サイト構築の初期経費、共通の委託制作費が並記されています。いずれにせよ補助上限は30万円で変わりません。
交付決定前にモールへの出店手続きを進めてしまったら対象外になりますか?
対象経費は「交付決定を受けた後、令和9年2月末日までに支払いが完了したもの」とされています。交付決定前に支払いを済ませてしまうと対象外になる可能性が高いため、出店手続きや発注は交付決定を受けてから進めるのが安全です。
申請期間の令和9年1月29日より前に受付終了することはありますか?
あります。募集は「予算に達した時点で受付終了」とされており、申請期間の終期(令和9年1月29日)を待たずに締め切られる可能性があります。検討している場合は早めの申請が推奨されます。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件・受付状況は変更される場合があるため、申請前に必ずいわき市の公式ページおよび最新の募集要領で内容をご確認ください。
出典:
