パートの時給を上げたとき、支援金の対象になるのは週の所定労働時間が20時間以上の人です。岩手県は、従業員の時給を1時間あたり60円以上引き上げた事業者に、1人あたり6万円(条件により8万円)を支給します。
人数の上限は50人分で、最大400万円です。支給は一度きりで、上限の25億4,000万円に達し次第、遅くとも2026年11月13日に受付が終わります。ここまでに賃上げ後の賃金を1か月分以上払っておく必要があります。
物価高騰対策賃上げ支援金の要点まとめ
正式名:岩手県物価高騰対策賃上げ支援金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 指定なし(中小企業等)
- 利用目的
- 時給60円以上の賃上げ
- 対象地域
- 岩手県内に事業所がある事業者
- 従業員数
- 1人以上(個人事業主も1人以上雇用)
いくら
- 補助上限額
- 400万円(1人6万円〜8万円、50人分まで)
- 補助率
- 定額支給(対象経費に対する率の定めなし)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年2月13日〜2026年11月13日(上限到達で終了)
自社の事業所と従業員は対象?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
対象の従業員は、県内の事業所で働く正規・非正規の人です。非正規の人は、週の所定労働時間が20時間以上であることが条件です。所定労働時間は、労働条件通知書や雇用契約書の記載で見ます。シフトの実働時間が20時間に届かなくても、書面に20時間以上と書かれていれば数えられます。
事業者は、中小企業基本法の中小企業者(業種ごとに資本金と従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせばよい)にあたる必要があります。上限は、製造業・建設業・運輸業などが資本金3億円以下か300人以下、卸売業が1億円以下か100人以下、サービス業が5,000万円以下か100人以下、小売業が5,000万円以下か50人以下です。公益法人や協同組合も対象で、個人事業主は岩手県内の税務署に開業届を出している必要があります。
次のどれかに当たると対象外です。兼務役員は、雇用契約を結び、労働の対価として給与が払われている分だけが対象になります。
- ✕ 週の所定労働時間が20時間未満の人
- ✕ 役員(兼務の雇用分は除く)
- ✕ 県外の事業所だけで働く人
申請書では、県税に未納がないことや、過去5年に重大な法令違反がないことなども宣誓します。宗教法人や任意団体は事業者として対象外です。
いくら戻ってくる?
基本は1人あたり6万円で、50人分が上限です。令和7年10月1日〜12月1日に、時給971円未満の人を1,031円以上に引き上げた場合は、2万円が加算されます。加算の対象になるのは、この期間の引き上げだけです。
- 従業員3人の工務店が全員の時給を60円上げた:6万円 × 3人 = 18万円
- パート5人の時給を、令和7年11月に960円から1,031円へ上げた飲食店:8万円(6万円+加算2万円)× 5人 = 40万円
- 従業員60人の介護事業所が全員の時給を60円上げた:6万円 × 60人 → 50人分で上限の300万円
- 上限の400万円に届くのは、50人全員が加算の対象になるとき:8万円 × 50人 = 400万円
県内に複数の店舗や事業所があるときは、法人番号ごとにまとめて申請します。1つの法人番号で管理しているなら、1件にまとめます。
賃上げと認められる条件
賃上げの対象時期は、令和7年10月1日〜令和8年9月30日です。賃金の支払いが令和8年10月31日までのものを含みます。条件は次の3つです。
- 賃上げ月の前月と比べて、1時間あたり60円以上引き上げている
- 引き上げ後の賃金の支給実績が、1か月以上ある
- 引き上げ後の賃金水準を、1年間続ける
基本給のほか、恒常的に払う諸手当も時給に含めます。ただし、昇進による役職手当の追加や、住居の変更に伴う住宅手当の変更は賃上げと認められません。週休2日から3日に変えて時給が上がるような、労働条件の変更も同じです。所定労働日数が月で変わるだけの場合も対象になりません。
時給の計算に迷うときは、公式ページの「賃金の計算方法について」と時給計算シートを使います。段階的に何度かに分けて引き上げても、対象期間内であれば、合計が60円以上なら対象になります。申請時には、各賃上げ月とその前月の賃金台帳が必要です。
申請の流れ
- 賃上げを実施する(事業者。対象時期の中で時給を60円以上上げる)
- 賃上げ後の賃金を1か月分以上払う(事業者→従業員)
- 書類をそろえる(事業者。賃上げ月と前月の賃金台帳など)
- オンラインか郵送で申請する(事業者→事務局。2026年11月13日まで)
- 審査を受ける(事務局と県。不備は電話かメールで連絡がある)
- 支給決定の通知を受けて、振込を受ける(事務局→事業者。申請から4〜5週間が目安)
オンライン申請を優先して使うよう、公式ページは案内しています。郵送は、受付を終える日が必着日で、消印有効ではありません。申請は1事業者につき1回だけです。
必要な書類
準備できた 0 / 6
従業員一覧(様式3)を使うのは郵送の場合で、オンライン申請では画面に直接入力します。労働条件通知書は雇用契約書でも構いません。賃上げ月に適用されるものを出します。賃金台帳は賃上げ月と前月の分で、給与辞令書では代わりになりません。口座が分かる書類は、通帳の表紙と見開きの写しなどです。振込先の名義が申請者と違うときは、押印した委任状を郵送で出します。社名変更で書類の名称が違うときは、履歴事項全部証明書(3か月以内のもの)を求められることがあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 賃上げ後1年以内に賃金を下げた:業績悪化を理由にしても認められず、支援金の返還を求められます。
- 事業主の都合で条件が変わった:会社都合の退職や、事業活動の縮小による雇用条件の変更では、返還になることがあります。自主退職は返還不要です。
- 賃上げと認められない上がり方だった:役職手当の追加や労働日数の変動、正社員化だけで時給が上がった場合は、対象外になります。
- ほかの賃上げ支援と重複した:国の交付金との重複とみなされると対象外です。賃上げへの支援を含む補助金を受けているときも、重複になる場合があります。
併用・税金
賃上げ促進税制(賃上げした企業の税を軽くする制度)を使っていても、それだけで対象外にはなりません。ただし、税制の計算では、他から受け取った金額が給与等の増加額から引かれることがあります。税務署に確かめてください。この支援金に所得税がかかるかどうかは、事務局が回答しておらず、所轄の税務署への確認が案内されています。
よくある質問
パート・アルバイトの賃上げも対象になりますか?
対象になります。ただし、週の所定労働時間が20時間以上であることが条件です。雇用保険に入っているかどうかは問われません。労働条件通知書か雇用契約書に週20時間以上と書かれていることと、今後1年間、賃金を下げずに同じ条件で契約を更新することが要件です。シフトの実働が少ない週があっても、書面の所定労働時間で判断されます。
一部の従業員だけを賃上げした場合でも申請できますか?
申請できます。従業員1人分から申請でき、全員を引き上げる必要はありません。賃上げした人数が支給の対象です。たとえば10人のうち3人を60円以上引き上げたなら、3人分の18万円が計算の基本になります。引き上げた人ごとに、賃上げ前後の賃金台帳と労働条件通知書で、60円以上の引き上げが確認されます。
個人事業主でも申請できますか?
従業員を1人以上雇っている個人事業主なら申請できます。岩手県内の税務署に開業届を出していることも必要です。専従者(家族従業員)は原則対象外ですが、2026年6月の変更で、雇用保険に入っている人、または同居親族雇用実態証明書・確定申告書・出勤簿で労働者と確認できる人は、対象にできるようになりました。
時給を段階的に上げた場合はどうなりますか?
対象時期の中で月をまたいで段階的に引き上げた場合も、対象になります。申請には、各賃上げ月とその前月の賃金台帳が必要です。一度目の引き上げが対象期間より前(令和7年9月以前)だと、段階的な賃上げとは認められません。その場合は、令和7年10月以降にさらに引き上げて、合計が60円以上になれば対象です。
定期昇給で基本給が上がった場合も対象ですか?
対象になります。定期昇給による基本給の上昇でも、賃上げ月の前月と比べて、時給に直して1時間あたり60円以上上がっていれば要件を満たします。企業年金の導入で手取りが変わらない場合も、基本給が上がっていれば対象です。一方、正社員になったことだけで時給が上がるケースは、事業所内の賃上げとはみなされません。
役員の賃上げは対象になりますか?
役員は従業員ではないので、対象外です。役員報酬も賃上げの計算に含められません。ただし、役員名簿にも載っている兼務役員で、雇用契約を結び、労働の対価としての給与が払われている人は、雇用契約の部分が対象になります。労働条件通知書などで給与額が確認できることが条件です。
申請から振込まではどのくらいかかりますか?
申請から4〜5週間程度での支給が予定されています。書類は順番に処理されるため、書類に不備があるときや、申請が集中している時期には、さらに時間がかかります。振込名義は「物価高騰対策賃上げ支援事業事務局」です。振込先は、申請した法人か個人事業主と同じ名義の口座が原則で、代理受領には押印のある委任状が必要です。
受付はいつまでですか?
2026年11月13日(金)までです。これより前でも、岩手県全体で25億4,000万円の支給上限に達し次第、受付は終わります。公式ページには申請額の状況が2,000万円ごとに更新されていて、上限の近くまで積み上がった時期もありました。11月13日の前に終わっている可能性があるため、申請の前に公式ページで受付状況を確かめてください。
賃上げ前の時給が最低賃金より低かった場合はどうなりますか?
最低賃金を守っていて、賃上げ対象期間の合計で60円以上上がっていれば対象です。たとえば賃上げ前の時給が最低賃金に届いていなかった場合は、令和7年12月1日以降の賃金について、最低賃金との差額を追って払っていることが条件です。申請時点で全従業員の時給が最低賃金を上回っている必要もあります。公式のFAQと様式には最低賃金として1,031円と書かれていますが、FAQの例には952円も出てきます。自社の基準が分からないときは、事務局へ先に確かめてください。
県外に本店がある会社でも申請できますか?
県内の支店や事業所で働く正規・非正規の従業員の賃上げなら、対象になります。ただし、岩手県内に営業の実態がなく、法人県民税が免除されている場合は申請できません。県外の事業所で働く人は数えられません。複数の事業所を1つの法人番号で管理しているときは、県内の事業所分をまとめて1件で申請します。
介護や障害福祉の処遇改善加算と併用できますか?
賃上げのすみ分けがはっきり分けられる場合に限り、対象になります。診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の令和6年6月改定には処遇改善の分が含まれていて、同じ賃上げを両方で申請することは重複になります。ほかの加算や助成金を国や県から受けている場合も、同じ扱いになる可能性があります。個別の可否は事務局に確認してください。
障がい者雇用の特例で週20時間未満の人は対象になりますか?
障がい者雇用の特例の対象で、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の人は、支給の対象になります。ただし、賃上げ後1年間は継続して働く見込みがあることなど、通常の従業員と同じ要件を満たす必要があります。特例にあたらない週20時間未満の人は、短時間パートやスポットワーカーを含めて対象外です。
問い合わせ先はどこですか?
物価高騰対策賃上げ支援事業事務局です。電話は019-601-7165で、受付は午前9時から午後5時まで(土日祝とお盆の期間を除く)です。メールは info@iwate-bukkakoutoutaisaku.jp で受け付けています。提出方法や時給の計算方法に迷うときは、申請の前に相談しておくと、書類の出し直しを減らせます。
