熊本地震で被災した農地の復旧に、国の補助は使えるのか。使えます。ただし申し込めるのは農家1人ではなく、受益農家が3戸以上の団体や市町村などの「事業実施主体」です。
受益農家は、取組の補助を受ける農家のことです。個人の農家は、この団体の計画に入る形で使います。令和8年7月28日に発生した熊本地震に対する、持続的生産強化緊急対策の第2回公募です。
熊本地震対応産地緊急支援事業の要点まとめ
正式名:持続的生産強化緊急対策(令和8年熊本地震対応産地緊急支援事業)
だれが
- 申請者
- 受益農家3戸以上の農業者の団体・市町村など(個人は不可)
- 対象業種
- 農業(作物・果樹・いぐさ・集出荷施設など)
- 利用目的
- 営農再開・集出荷施設の復旧・果樹の樹勢回復など
- 対象地域
- 令和8年熊本地震で甚大な被害を受けた地域
- 従業員数
- 規定なし(団体が申請)
いくら
- 補助上限額
- 取組ごとに単価の上限あり(総額の上限は記載なし)
- 補助率
- 1/2以内または定額(取組ごとに異なる)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月9日〜2026年11月30日17時(必着)
- 事業の完了
- 2027年3月31日まで(実施期間は2026年7月28日から)
自分たちは対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 農家1人での申請
- ✕ 被災と関係のない取組
- ✕ 国の他の助成を受ける取組
申請者になれるのは、都道府県・市町村・農業者の組織する団体・公社・地域農業再生協議会・特認団体です。公社は、地方公共団体が出資している法人のことです。特認団体は、地方農政局長が事業の目的に役立つと特に認めた団体です。
農業者の団体は、事業と会計を適正に行える体制があり、代表者が決まっていて、規約がある団体に限ります。法人であることは条件に書かれていません。
個人の農家は、まず市町村か地元の農業者団体、または県の担当窓口に、この事業の計画に入れるかを聞くことを勧めます。農林水産省のチラシが、事業内容と申請の相談先に県の担当窓口を挙げています。
取組によって、申請者になれる主体が違います。地域農業再生協議会は、営農再開支援と果樹の支援だけです。集出荷施設の支援といぐさ・畳表の支援には入っていません。
被災したほ場かどうかの判断は、取組ごとに違います。資材の調達と収穫・調製作業は、市町村が30%以上の収穫量の減少を見込むと認めたほ場か、20%以上の減少を見込むと認めた農家の被災ほ場です。栽培環境整備と果樹の支援は、市町村が都道府県に被害があったと報告したほ場です。
対象の市町村の一覧は、公式ページにも公募要領にも見当たりません。熊本県かどうかではなく、被害の内容で決まります。
いくら補助される?
補助率は取組によって、1/2以内と、面積や人日あたりの定額に分かれます。
- 追加の薬剤・肥料の購入に60万円かかった:60万円 × 1/2 = 30万円
- 被災した果樹園1.5haで樹勢回復の整枝・追加施肥をした:28,000円/10a × 15 = 42万円(定額の上限。実際の費用が下回れば費用が上限)
- 集出荷施設の仮復旧に1,500万円かかった:上限事業費1,000万円 × 1/2 = 500万円
集出荷施設の仮復旧の上限事業費は、原則として1施設あたり1,000万円です。1,500万円かかっても、対象になるのは1,000万円までです。
リース方式で農業機械を入れる場合は、本体価格(税抜)の1/2以内です。たとえば本体300万円(税抜)の機械を、リース期間が法定耐用年数以上で借りるなら、300万円 × 1/2 = 150万円です。リース期間が法定耐用年数より短いと、期間の割合を掛けた額になります。
補助金の総額(予算額)は、公式ページにも公募要領にも書かれていません。
何に使える?
対象にならないもの
- 国の他の助成を受けた、または受ける予定の取組
- 農業以外にも使える機械のリース(運搬用トラック・フォークリフト・ショベルローダー・バックホー・パソコンなど)
- 本体価格が50万円未満の農業機械等のリース
- 事業実施期間中に起きた事故や災害の処理の経費
- 消費税・地方消費税の仕入控除税額
- 同じほ場で重なる内容の取組(営農再開支援と果樹の支援)
国の他の助成を受ける予定の取組は、対象外です。ほかの国庫補助の申請を考えているときは、同じ取組に重ねられないので、先にどちらを使うかを決めます。
対象になるもの
- 営農再開支援:種子・種苗などの調達・作物残さやガラスの撤去・追加の施肥・防除・土づくり・農業機械のリース導入・収穫・調製作業
- 集出荷施設の支援:施設の仮復旧・周辺施設へ運ぶ輸送費・手選果の作業労賃
- 果樹農業の継続支援:落ちた果実の処分と追加防除、整枝と追加施肥による樹勢回復
- いぐさ・畳表の生産継続支援:周辺の製織作業場へ運ぶ輸送費、製織作業場と保管庫の借上費
取組には、被災を機に作物を変える、規模を広げる場合の資材も入ります。この場合の成果目標は、受益農家が令和10年度までに作物転換や規模拡大を行うことです。
申請の流れ
- 被災を証明する資料をそろえる(事業実施主体。受益農家・取組ごとに、対象者・ほ場の場所・被災面積・品目が分かる様式を使い、市町村か都道府県に証明してもらう)
- 事業実施計画を作る(事業実施主体。別記様式第1号と、取組に合う別添様式を使う)
- 応募申請書と添付書類を出す(事業実施主体→管轄の地方農政局。11月30日17時までに必着)
- 審査を受け、結果を待つ(農政局→応募団体。補助金交付候補者の決定が通知される)
- 交付決定を受けて事業を始める(事業実施主体。原則は交付決定のあと)
- 実施状況を報告する(事業実施主体→農政局。事業を行った年度の翌年度の7月末まで)
提出は、郵送等か電子メールです。郵送では、封筒に事業名と「第2回」を朱書きし、配達が証明できる方法で送ります。電子メールで出す場合は、先に提出先へ送付先アドレスを確かめます。添付ファイルは圧縮せず、1通あたり7MB以下です。
電話の問い合わせは、土日祝を除く10時から17時まで(12時から13時を除く)です。電子メールとファクシミリでの問い合わせはできません。
提出先は、都道府県ごとに決まっています。福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島は、九州農政局生産部生産振興課の地域指導官で、電話は096-300-6208です。
交付決定の前に着手できるのは、早期の事業の実施が営農再開のために必要な場合です。交付決定までに生じた損失は、自分の責任になります。被災日以降の取組だと証明できる資料も要ります。
必要な書類
準備できた 0 / 8
被災の証明は、様式に発行団体として市町村か都道府県の欄があり、被害状況が分かる写真なども付けます。定款または規約と収支予算書は、事業実施主体が都道府県か市町村のときは要りません。特認団体申請書は、特認団体として申請するときだけ出します。
積算の根拠資料は、資材の納品書の写しや、輸送費・作業労賃の根拠が分かる資料などです。着手済みの取組があるときは、被災日以降の取組だと分かる資料も出します。定款や規約が公表されている場合は、チェックシートに公表先のアドレスを書けば、提出に代えられます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 提出期限に遅れた:期限までに到着しなかった書類は、どんな理由があっても無効です。
- 書類に不備があった:不備のある書類は審査の対象になりません。差し替えは原則として認められません。
- 国の他の助成と重ねた:他の国の助成を受ける取組の経費は、助成の対象にしません。
- 機械やハウスを適正に使わなかった:リースした機械やパイプハウスが耐用年数の期間内に適正に使われないと、助成金の返還を求められることがあります。
- 保険の加入を確かめなかった:パイプハウスの設置と、リースで入れる機械は、天災の補償がある保険か共済への加入が必須です。
取り違えやすい3点
農家個人の補助金ではありません。申請者は事業実施主体で、個人は受益農家として計画に入ります。
被害を受けていれば、すべての取組が使えるわけでもありません。資材の調達は市町村が減収を見込むと認めたほ場、集出荷施設の支援は機能が不全になった施設がある地域、というように条件が分かれます。
国の別の補助と重ねて使えるとは限りません。同じ取組に、国の他の助成を受けることはできません。
共済・収入保険の加入
事業実施主体は、受益農家に農業共済や収入保険への加入を促します。
パイプハウスを設置する場合は、国の共済に入ります。入れないときは、民間の建物共済や損害補償保険などで、天災の補償があるものに入ります。リースで入れる農業機械は、盗難と天災の補償がある動産総合保険などに入ります。
果樹の支援は、果樹共済か収入保険に入っていない人も、今後どちらかに入る意向が確認されていることが条件です。いぐさ・畳表の支援は、収入保険かいぐさ・畳表農家経営所得安定化対策事業のどちらにも入っていない人について、収入保険に今後入る意向の確認が要ります。
ハウスなどの園芸施設を共済に入れていた場合は、支払われた共済金が補助の上限から差し引かれます。共済に入っていなかった場合も、施設の経過年数に応じた額が差し引かれます。
よくある質問
農家1人でも申請できますか?
申請できません。申請者になれるのは、都道府県・市町村・農業者の組織する団体・公社・地域農業再生協議会・特認団体で、いずれも受益農家が3戸以上であることが条件です。個人の農家は、受益農家として団体や市町村の計画に入る形になります。まず地元の市町村か農業者団体に、計画に入れるかを聞いてください。
受益農家とは何ですか?
取組の補助を受ける農家のことです。事業実施主体は、受益農家が3戸以上いる取組を計画します。計画書には被災の状況として、農家戸数と被災作物名・被災面積を書きます。個人の農家は、自分のほ場が被災ほ場の条件に当たるかを市町村に確かめておくと、計画に入りやすくなります。
農業者の団体は法人でないとだめですか?
法人であることは条件に書かれていません。農業者の組織する団体として認められるのは、事業の実施と会計の手続を適正に行える体制があり、代表者が決まっていて、組織と運営についての規約がある団体です。規約がなければ、申請の前に作る必要があります。規約が公表されていれば、公表先のアドレスをチェックシートに書いて提出に代えられます。
被災したほ場の条件はありますか?
取組ごとに違います。資材の調達と収穫・調製作業は、市町村が被災で30%以上の収穫量の減少を見込むと認めたほ場、または20%以上の減少を見込むと認めた農家の被災ほ場です。栽培環境整備と果樹の支援は、市町村が都道府県に被災を報告したほ場です。土づくりは、災害復旧事業で客土を行ったほ場に限ります。農林水産省のチラシには、作物残さなどの撤去は今年度中に植え付ける次期作が対象という注記もあります。
どこに申請すればよいですか?
事業実施主体の主たる事務所がある都道府県を所管する地方農政局です。福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島なら、九州農政局生産部生産振興課の地域指導官(電話096-300-6208)です。ほかの都道府県は、公募要領の別掲3に提出先が載っています。郵送か電子メールで出します。
電子メールで申請できますか?
できます。ただし先に提出先へ送付先アドレスを確かめてください。件名は「事業名・第2回・応募団体名」の形にして本文に担当者名と連絡先を書きます。添付ファイルは圧縮せず、1通あたり7MB以下です。複数に分ける場合は、件名の応募団体名のあとに連番を付けます。電子メールでの問い合わせはできないので、アドレスの確認は電話で行います。
交付決定の前に始めてもいいですか?
原則は、交付決定のあとに始めます。ただし早期の実施が営農再開のために必要な場合は、交付決定の前に着手できます。この場合は交付決定までに生じた損失は自分の責任になります。支援内容と助成を受ける人ごとに、着手した日を整理しておきます。被災日以降の取組だと分かる資料も、申請書類に添えます。
作物を変える、規模を広げるときも対象ですか?
対象です。被災を機に作物転換や規模拡大をする場合の資材(種子・種苗などの消費材は除く)と、農業機械のリース導入が、営農再開支援に入ります。補助率は、資材が1/2以内、リースが本体価格の1/2以内です。成果目標は、受益農家が令和10年度までに作物転換や規模拡大を行うことです。
補助の上限額はいくらですか?
事業全体の上限額は、公式ページにも公募要領にも書かれていません。取組ごとに、面積や人日あたりの単価の上限があります。たとえば作物残さの撤去は10aあたり1,500円以内、ガラス等の撤去は10aあたり14,000円以内、土づくりは10aあたり10,000円以内です。集出荷施設の仮復旧は、原則1施設あたり事業費1,000万円が上限です。
事業の期間はいつまでですか?
事業の実施期間は、2026年7月28日から2027年3月31日までです。応募の締切とは別の期間です。令和8年度中の営農再開を目標とする取組が多く、事業を行った年度の翌年度の7月末までに、実施状況か事業評価の報告を農政局へ出します。作物転換とリースの取組の目標年度は、令和10年度です。
共済や収入保険に入っていないと申請できませんか?
申請できないとは書かれていません。ただし事業実施主体は受益農家に加入を促します。果樹の支援では、果樹共済か収入保険に入っていない人は、今後どちらかに入る意向が確認されていることが条件です。パイプハウスの設置とリース機械の導入は、天災の補償がある保険か共済への加入が必須です。
いぐさ・畳表の支援では何が対象ですか?
被災したいぐさ生産者が製織作業を再開するための取組です。周辺の製織作業場へ、いぐさ原草や織機を運ぶ輸送費と、製織作業場やいぐさ原草の保管庫を借りる費用が対象です。借上費は1/2以内で、製織作業を共同で行うのは5戸以上(やむを得ない場合は3戸以上)の場合に限られます。
