「新規アイデア」という名前なのに、新規就農者は使えるのか。使えません。対象は就農年数4年以上で、直近2か年の年間農産物販売金額が250万円以上の農業者・経営体です。
条件を満たせば、新しい品種や販売方法の導入は上限100万円、新しい栽培方法のための機械・施設は上限500万円まで、対象経費の3分の1以内が補助されます。令和8年度の3次募集は、10月13日から11月4日までの申込です。
神奈川県農業経営新規アイデア実現支援事業の要点まとめ
正式名:神奈川県農業経営新規アイデア実現支援事業
だれが
- 申請者
- 事業者(農業者・農業経営体)
- 対象業種
- 農業(畜産を含む)
- 利用目的
- 新品種・新販売方法の導入、新しい栽培方法の機械・施設
- 対象地域
- 神奈川県内
- 従業員数
- 規定なし(経営規模は販売金額で判定)
いくら
- 補助上限額
- 500万円(施設整備事業。導入事業は100万円)
- 補助率
- 対象経費の1/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年10月13日〜11月4日(3次募集・必着)
- 事業の完了
- 令和9年3月31日まで(機器の受領と支払いを含む)
自分は対象になるのか
次の項目に当てはまれば、対象になる見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 就農3年目までの新規就農者
- ✕ 直近の販売金額が250万円未満
- ✕ 販売金額が上限を超える経営体
- ✕ 実施中・実施済みの取組
- ✕ 機器の単純な買い替え
- ✕ 農業以外にも使える機械
畜産を主たる事業にしている経営体だけは、販売金額の上限が3,000万円です。線引きは経営の規模と年数で引かれています。始めたばかりの人ではなく、すでに販売実績のある農業者が、次の一手に踏み出すための事業だからです。名前の「新規」がかかっているのは農業者ではなく、その農業者にとって新しい品種・販売方法・栽培方法です。
「販売金額が上限を超える」の判定に使う書類は、直近2か年の確定申告書の写し等です。2年のうち1年だけ超えた場合や、就農年数の数え始めの扱いは、公式ページと要綱に書かれていません。迷う場合は、申込先の地域県政総合センター等に先に聞くのが確実です。
法人でも個人でも申請できます。農事組合法人・農地所有適格法人・特定農業団体などの団体が実施主体になる場合は、事業の実施と会計手続きを適正に行える体制が求められます。
いくら補助されるのか
補助額は、対象経費に3分の1以内の率をかけた額です。ただし、導入事業は100万円、施設整備事業は500万円を超えません。市町村などから別の補助金を受ける場合は、それらとの合計が事業費を超えないようにします。
- 新品種の苗と、パッケージデザインの委託で90万円かかる:90万円 × 1/3 = 30万円
- 販売用の加工機器と商談会の参加費で300万円かかる:300万円 × 1/3 = 100万円(導入事業の上限に到達)
- ハウスの増設に150万円かかる:150万円 × 1/3 = 50万円(自己負担は100万円)
- 機械とハウスの整備に1,500万円かかる:1,500万円 × 1/3 = 500万円(施設整備事業の上限に到達)
- 100万円の事業:100万円 × 1/3 = 33万3,333円 → 千円未満が切り捨てられて33万3,000円
上限に届くのは、導入事業なら対象経費が300万円以上、施設整備事業なら1,500万円以上のときです。
補助金は精算払い(事業が終わり、実績報告を出した後に支払われる方式)です。支払いは事業の完了後なので、費用は先に自己資金や融資で立て替える必要があります。
申請した額がそのまま出るとは限りません。審査会で選考と補助額の調整が行われ、希望どおり交付されない場合があります。
また、補助対象経費に消費税が含まれる場合は、仕入控除税額(事業者が納める消費税から差し引ける分)を補助金から減らす決まりです。実績報告の時点で額が分かればその分を差し引いて報告します。後から確定したときは、全部または一部を返還します。
何に使えるのか
先に対象外を見ておきます。
対象にならないもの
- すでに実施中、または終了している取組
- 機器の単純な更新(古い機械を同じ用途の新しい機械に替えるだけ)
- 農業以外にも使える汎用性の高い機械(県のチェックリストの確認項目。機械は本体価格〈希望小売価格〉が50万円以上かも確認される)
- 整備した後の施設の補修費
- 応募時に添える実施設計書の作成委託費、測量などの事前準備費
対象になるもの
| 費目 | 取組内容 |
|---|---|
| 材料費・消耗品費 | 原材料、資材、消耗品、新しい品種・品目の購入 |
| 委託費 | パッケージやラベルのデザイン、市場調査、土壌分析、農産物の成分分析、販売・宣伝の支援 |
| 参加費・負担金 | イベントや商談会、研修会の参加費 |
| 備品購入費 | 農機具、農業施設、農産加工設備、農産加工機器など |
| その他 | 知事が特に必要と認める経費 |
2つの事業で、使える費目の組み合わせが変わります。
| 導入事業(上限100万円) | 施設整備事業(上限500万円) | |
|---|---|---|
| 目的 | 新しい品種・品目、新しい販売・宣伝方法 | 新しい栽培方法のための機械・施設 |
| 具体例 | 新品種の苗、ラベルデザイン、商談会出展 | 栽培に必要な機械、ハウスなどの施設 |
備品は原則として新品です。中古の農業機械は、法定耐用年数から経過年数を引いた残りが2年以上あるものなら対象にできます。
「単純な更新は対象外」と読むと、更新は全部だめに見えます。要領が止めているのは同じ用途の機械を新しくするだけの買い替えで、栽培方法が変わる導入は対象になりえます。栽培方法がどう変わるかを計画書に書けるか、窓口で確かめてください。
審査ではどこが見られるのか
補助金は、審査会で優先順位が決まります。申請者が多いときは、申請書のポイントで審査会に出す人が絞られます。審査会は申請者と審査員の面接で行われます。
要領の別表は、次のような項目に点数をつけています。
- 年間販売額の増加目標(必須項目。250万円以上で1点、1,500万円以上で4点)
- 10aあたりの単価の増加・収量の増加・経営コストの削減から1つを選ぶ(任意。5%以上で1点、30%以上で4点)
- GAP・農場HACCP認証、農業版BCP(事業継続計画)の策定、有機JAS認証(取得済みなら各2点)
- 周辺環境対策、女性の経営参画(各2点)
- 研修の修了(ステップアップセミナー等は2点、ファーマーズカレッジとかながわ農業版MBA研修は各4点)
- 新規性(県内で実施している人がゼロなら8点、他地区では実施済みなら4点、普及しているが自分は初めてなら1点)
新規性は最大8点で、配点が最も大きい項目です。近隣でもう広がっている取組は、点が伸びにくくなります。
申請の流れ
- 農業者が、主な就農地を所管する地域県政総合センター等に、申込前に電話などで連絡する。
- 農業者が、計画書など必要書類をそろえ、持参か郵送で窓口へ出す。令和8年11月4日(水)必着。受付は平日の午前9時から午後5時。
- 審査会で選考される。申請者と審査員の面接があり、時期は追って連絡される。
- 採択されると、窓口の所長から計画承認が出る。承認後に農業者が交付申請書を出す。
- 窓口から交付決定が通知される。3次募集の交付決定は12月以降の予定。事業は交付決定の後に始める。
- 令和9年3月末までに、機器の受領・施設の完成・代金の支払いを終える。事業完了から30日後か3月末の早いほうまでに実績報告書を出す。
交付決定は、採択とは別の通知です。要領は、事業の着手を原則として交付決定の後と定めています。どうしても決定前に着手するときは、契約する前に「補助金交付決定前事業着手届」を窓口に出す決まりです。届出の様式には、決定までに天災などで生じた損失は自分の負担にすること、交付額が申請額に達しなくても異議がないこと、着手から決定までは計画を変えないことの3つを了承する旨が書かれています。
補助事業の内容や経費の配分を変えるときは、速やかに知事の承認が要ります。経費の配分の変更が補助対象経費の30%未満なら承認は不要です。
12月末現在の状況報告は、令和9年1月31日までに出します。事業が1月末までに終わっていれば、実績報告書で代えられます。
申込先は、所管する市町村ごとに決まっています。
| 所管市町村 | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| 横浜市・川崎市 | 横浜川崎地区農政事務所 地域農政推進課 | 045-934-2372 |
| 横須賀市・鎌倉市・逗子市・三浦市・葉山町 | 横須賀三浦地域県政総合センター 地域農政推進課 | 046-823-0439 |
| 相模原市・厚木市・大和市・海老名市・座間市・綾瀬市・愛川町・清川村 | 県央地域県政総合センター 地域農政推進課 | 046-224-1111 |
| 平塚市・藤沢市・茅ヶ崎市・秦野市・伊勢原市・寒川町・大磯町・二宮町 | 湘南地域県政総合センター 地域農政推進課 | 0463-45-3196 |
| 小田原市・南足柄市・足柄上郡・足柄下郡 | 県西地域県政総合センター 地域農政推進課 | 0465-32-8909 |
必要な書類
準備できた 0 / 8
実施設計書は、工事を伴う施設整備事業だけの提出です。計画書では、年間販売額などの目標を3年目の値で書きます。役員等氏名一覧表の様式には、役員に暴力団員がいないことを確かめるため、記載された人全員が県警察への照会に同意している旨の文があります。家族経営協定の写しは、法人の場合は役員名簿の写しに替わります。ほかに、知事が必要と認めた書類を求められることがあります。
もらえなくなるのはどんなとき
- 交付決定の前に着手した:着手前の届出なしに契約や発注をすると、要領の手続きに沿わない着手になります。決定前に動くなら、契約の前に届出が必要です。
- 3月末までに終わらなかった:機器の導入と支払いは、令和9年3月末までに終える条件です。栽培上の都合でやむを得ず遅れる場合は、設置できた後に速やかに設置し、その設置費用は補助対象に入りません。年度内に終えられない特別な事情は、別途の相談になります。
- 要件を満たしていないと後で分かった:交付後でも、要綱や要領に定める事項を満たしていないと分かれば、補助金の一部または全部を返還します。偽りその他不正の手段で受けた場合などの取り消しでは、年10.95%の加算金がかかることがあります。
- 財産を勝手に処分した:補助で買った機械や施設を、耐用年数に当たる処分制限期間内に承認なく譲渡・貸付・担保にすると、補助金に相当する額を納めることがあります。処分制限の対象は、1件あたりの取得価格が50万円以上の機械や器具です。
- 共済・保険に入っていない:施設を整備する場合は、国の共済制度(加入できなければ民間の建物共済等)に、事業の目標年度までに加入する条件です。
併用・税金・報告
市町村などから補助金を受ける場合は、それらと合わせて事業費を超えないようにします。事業の実施後は、目標年度まで毎年度の成果報告書を翌年度の5月末までに出します。帳簿と証拠書類は、完了した年度の翌年度から10年間保管します。
よくある質問
就農3年目でも申請できますか?
申請できません。要件は就農年数4年以上です。3年目までの経営体は、この事業の対象外になります。要綱と要領は就農年数の数え方(開始時期や中断期間の扱い)を詳しく定めていないため、4年目に入る前後で迷う場合は、所管する地域県政総合センター等に、自分の経歴で足りるかを確かめてください。
「新規」とあるのは新規就農者向けという意味ですか?
違います。新規就農者向けの制度ではありません。対象は、就農4年以上で、すでに年間250万円以上の農産物を販売している農業者です。「新規アイデア」の「新規」は、その農業者にとって新しい品種・品目、販売・宣伝方法、栽培方法を指します。新しい取組を始める既存の農業者が対象の制度と考えてください。
販売金額が上限を超えている場合は使えませんか?
使えません。直近2か年の年間農産物販売金額が1,500万円を超えていないことが要件です。畜産を主たる事業にしている経営体だけは、3,000万円が上限になります。金額は、直近2か年の確定申告書の写し等で確認されます。上限をわずかに超える場合の扱いは書かれていないため、窓口で相談してください。
導入事業と施設整備事業を同時に申請できますか?
要領は、1人または1経営体につき、導入事業と施設整備事業の申請を各1回としています。一方、3次募集の簡易チラシには「申請は①、②の事業で1回のみ」とあり、読み方が分かれます。両方に出すこと自体を禁じる文言はなく、同じ募集回で2つを同時に出せるのかも書かれていません。両方を考えている場合は、申込前に地域県政総合センター等へ確認してください。
農業機械の買い替えは対象になりますか?
古い機械を同じ用途の新しいものに替えるだけの単純な更新は、対象外です。栽培方法を新しく変えるために機械を導入するのであれば、施設整備事業の対象になりえます。買い替えかどうかの判断は計画の中身で決まるため、機械の導入で何がどう変わるかを整理したうえで、窓口に見せて確かめると確実です。
中古の機械でも補助されますか?
条件つきで対象になります。備品は原則として新品ですが、法定耐用年数から経過年数を引いた残りが2年以上ある中古農業機械は対象にできます。残りの年数は年単位で数え、1年未満の端数は切り捨てます。業者選定のときに見積もり合わせをする決まりは、中古の導入では除かれています。
申請すれば必ず補助されますか?
必ずではありません。審査会で選考され、補助額も調整されます。申請者が多い場合は、申請書のポイントで順位をつけ、予算の枠と人数を考えて審査会に出る人が選ばれます。審査会では申請者と審査員の面接があります。希望した額どおりに交付されない場合もあります。
交付決定の前に機械を発注してもいいですか?
原則はいけません。事業の着手は、交付決定の後が原則です。決定前に着手する場合は、契約を結ぶ前に「補助金交付決定前事業着手届」を窓口に出す必要があります。3次募集の交付決定は12月以降の予定です。決定前の契約をどこまで認めるかは窓口の判断になるため、見積もりの段階で相談してください。
補助金はいつ受け取れますか?
事業が終わった後です。補助金は精算払いで、実績報告書を出して検査を受け、額が確定してから支払われます。実績報告は、事業完了から30日後か令和9年3月末のいずれか早い日までに出します。振込の時期は公式ページに書かれていません。費用は先に自分で立て替える前提で資金を用意してください。
実施設計書をつくる費用も補助されますか?
補助されません。工事を伴う施設整備事業では、応募時に実施設計書を添えます。その作成を設計事務所に頼む費用や、測量などの事前準備にかかる費用は、自己負担です。施工業者以外に設計を頼むことが望ましいとされています。補助対象にならない分を、事業費の見積もりに入れないよう気をつけてください。
法人や団体でも申請できますか?
申請できます。対象は「者または経営体」で、個人も法人も含みます。農事組合法人、農地所有適格法人、特定農業団体、そのほか農業者が組織する団体が実施主体になる場合は、事業の実施と会計手続きを適正に行える体制が必要です。経営への参画状況が分かる資料として、法人は役員名簿の写しを出します。
補助を受けた後に報告などはありますか?
あります。12月末現在の状況報告、実績報告のほか、事業を実施した翌年度から目標年度まで、毎年度の成果報告書を翌年度の5月末までに出します。目標を達成できなかった場合は、その翌々年度まで報告が続きます。帳簿と証拠書類は10年間保管し、整備した財産は処分制限期間内の承認なしの処分ができません。
