この補助金は、国際会議を開く主催者ではなく、会場を持つ側に出ます。目的は、日本の都市が国際会議の誘致で競り勝てるようにすることです。
そのため整備の中身には「先進性」が求められます。老朽化した設備の更新や、備品の入れ替えだけでは、補助の対象になりません。この記事は、2026年9月に始まった二次公募の内容です。
MICE施設の受入環境整備事業の要点まとめ
正式名:MICE施設の受入環境整備事業(令和8年度・二次公募)
だれが
- 申請者
- 事業者(会議場施設の所有者・運営管理者)
- 対象業種
- 国際会議などを開く会議場施設の所有・運営
- 利用目的
- 国際会議向けの設備整備(回線・映像・同時通訳など)
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(観光庁へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 2,000万円(税別)
- 補助率
- 補助対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月1日〜2026年10月30日15時必着(要望書)
- 事業の完了
- 2027年3月10日までに運用を開始し、自己評価を出す
うちの施設は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
国際会議場の基準は、コンベンション法施行規則第4条の基準です。実績は、ICCA基準を満たす国際会議を誘致・開催したものを数えます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 老朽化・故障に備えた更新だけの計画
- ✕ 国の補助金を受けた設備の整備
- ✕ 国の財源で整備された施設の整備
- ✕ 通信費など整備後の維持・保守費
- ✕ 交付決定の前に契約・発注した経費
MICEは、企業の会議や報奨旅行、国際会議、展示会などをまとめた呼び方です。この補助金が相手にするのは、そのうち国際会議の誘致です。
ICCAは国際会議協会の略です。公募要領が示す基準は3つです。参加者は50名以上です。定期的に開催されている会議が対象で、1回だけの会議は除かれます。開催地は日本を含む3か国以上で回ります。2か国間会議、政府系会議、国連主催の会議も除かれます。
コンベンション法施行規則第4条は、会議場施設に求める基準を決めた規則です。200人以上を収容でき、同時通訳設備で会議を開ける会議室が要ります。同時通訳が使える中小規模の会議室も、別に要ります。ほかに、ロビー、事務室や応接室、適当な規模の駐車場も求められます。
応募が重なって要望額が一定額を上回りそうな場合は、次の4点を見て採択が決まります。1つ目は、2019年以降のICCA基準を満たす国際会議の開催見込みと実績です。2つ目は、将来の国際会議でこの事業が必要な理由です。3つ目は、誘致に向けた施設の取組です。4つ目は、自治体との連携です。
いくらもらえる?
補助率は、対象経費の1/2以内です。上限は2,000万円(税別)です。
- 無線LANと有線LANの整備が600万円:600万円 × 1/2 = 300万円
- 同時通訳システムと大型LEDスクリーンで合計3,000万円:3,000万円 × 1/2 = 1,500万円
- 多言語サイトとVR視察の整備を含めて合計5,000万円:5,000万円 × 1/2 = 2,500万円 → 上限の2,000万円
経費が4,000万円で、上限に届きます。超えた分は自己負担です。
注意が3つあります。1つ目は、申請額は消費税等仕入控除税額を引いた額で書くことです。課税事業者の場合、消費税の還付と補助金が二重にならないよう、先に経費から引きます。
2つ目は、交付決定額が応募時の申請額より減ることがあることです。決まった額を、あとから増やすことはできません。
3つ目は、受付が予算次第で終わることです。公募要領は、随時受付で、予算がなくなり次第終了と書いています。10月30日より前に閉まる可能性があります。
何に使える?
対象にならないもの
- 単なる設備の更新・備品の入れ替え
- 機能の向上がない、故障や老朽化への修理・代替更新だけの費用
- 通信費など、整備後の維持・保守にかかる費用
- 交付決定の前に契約・発注した経費
- 国の別の補助金が出る、または出る可能性のある設備
対象になるもの
- オンライン併用の国際会議に対応するネットワーク環境(無線LAN・有線LAN・回線の機能拡充)
- サステナビリティへの対応(デジタルサイネージ。移動式も含みます。LED照明、太陽光発電機器の設置)
- 映像配信の強化(スクリーンの大型化・LED化、高解像度プロジェクター)
- 国際会議に対応した設備(同時通訳システムの設置・改修、電源付きなど高機能な机・椅子)
- 国際会議向けのプロモーション環境(多言語のウェブサイト、VRによるバーチャル視察、3Dや360度パノラマの施設案内)
交付要綱は、費用の範囲を4つに分けています。設備の購入・工事の本工事費、解体費・撤去費などの附帯工事費、設計費・工事管理費の事務費、整備に付随するその他の費用です。
なお、国の別の補助金を既に受けている設備と受けることが決まっている設備、受けられる可能性のある設備は原則として対象外です。国の財源で整備された施設も同じです。ただし、交付の可能性があっても実際に受けなかった場合は、この補助金の対象になりえます。
申請の流れ
- メールで質問・相談をする(事業者→観光庁 参事官(MICE)。電話と訪問は受け付けません)
- 要望書と添付書類をそろえる(事業者。指定の様式を使います)
- 要望書をメールで出す(事業者→観光庁。2026年10月30日15時必着)
- 採択の通知と、補助金額の内示を受ける(観光庁→事業者)
- 交付申請書を出して、交付決定を受ける(事業者→観光庁。様式は改めて通知されます)
- 工事・導入をして、代金を払う(事業者。契約は交付決定のあと)
- 完了実績報告と自己評価を出す(事業者→観光庁。完了から1か月後か2027年3月10日の早い日まで。自己評価は、整備の実施状況を自分で確かめて報告するものです)
- 補助金額の確定を受けて、支払請求を出す(事業者→観光庁。支払いは報告から2〜3か月後です)
要望書は電子メールだけで受け付けます。期限の10月30日15時を過ぎると、受理されません。件名は「【要望書/MICE施設の受入環境整備(二次)】+申請者名」にします。観光庁から受信の返信が届きます。提出後1営業日以上たっても届かなければ、連絡が必要です。
この制度では、最初に出すのは申請書ではなく要望書です。採択されても、正式な決定ではありません。交付申請書を出し、交付決定を受けて初めて確定します。
必要な書類
準備できた 0 / 7
要望書は指定の様式で、記載例があります。押印は不要です。記載例を見ると、要望書には施設の概要のほか、ICCA基準の国際会議の開催実績(2019年、2022〜2025年)と開催予定(2026年〜2028年以降)、他の補助金の利用状況、経費の内訳を書きます。図面は整備する箇所のもので、新設ならパース図などです。現況写真は、記載例では(1)のネットワーク環境整備以外の整備で付けます。補助対象の概要はパンフレット・カタログなどで示し、自治体の補助の交付決定書などは自治体の補助を見込む場合に出します。
見積書は複数の事業者から取ります。見積書を複数そろえられない場合は、単独見積理由書を出します。公式ページには、経費が妥当と認められる資料を出すように書かれています。通販サイトのページは認められません。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約・発注した:補助の対象は、交付決定のあとに契約・発注して生じた経費だけです。
- 更新や入れ替えだけの計画だった:先進性のある新規の設備投資に限られます。単なる設備の更新・備品の更新は対象外です。
- 完了実績報告が期限までに出なかった:必要書類が足りない、内容が不明な場合も、適切な報告とはみなされず、補助金は交付されません。
- 交付決定のあと、経費の内容や配分を無断で変えた:事前に国土交通大臣の承認が要ります。軽微な変更は例外です。計画を変えたくなったら、先に観光庁へメールで相談します。
- 取得した設備を勝手に処分した:1件50万円を超える機械や重要な器具は、事業のあとも一定期間、処分に国土交通大臣の承認が要ります。収入があれば、補助金の一部を返す場合があります。
- 虚偽の申請だった:精算が終わったあとでも、補助金の交付を取り消されることがあります。交付要綱では、法令違反や目的外の使用で取り消されると、返還に加えて年10.95%の加算金がかかります。
- 消費税の控除額があとで確定した:事業が終わって消費税の申告で仕入控除額が確定したら、報告が必要です。控除額の全部か一部の返還を命じられることがあります。
二次公募の特徴と、似た制度との違い
観光庁は、この事業を二次公募として募集しています。一次公募は2026年5月11日から6月30日までで、すでに終了しています。公式ページを見比べると、補助率(1/2)、上限(2,000万円)、対象事業の区分は一次と同じです。一次のページには、地方公共団体が事業主体の場合は予算書(案)を用意するという案内がありましたが、二次のページにはありません。一次の採択結果は、観光庁の公募情報で確認できませんでした。この記事は、二次の応募要領と交付要綱を根拠にしています。
補助金は、法人税等の課税対象です。交付を受けた事業年度の収益として計上します。
似た名前の制度が東京都にもあります。目的が違うので、使い分けが要ります。
東京観光財団の助成金は、都内の施設で、今後10年以内に国際的なMICEの受入予定を示せることが条件です。国の補助は、ICCA基準を満たす国際会議の誘致・開催の実績が要ります。実績で選ぶ国と、予定で選ぶ東京都という違いがあります。
自治体の補助金との併用は、国の公募要領上は認められています。ただし、その自治体の補助金の財源が国費である場合は、併用できません。併用を考える場合は、自治体側の財源も確かめる必要があります。
よくある質問
誰が申請できますか?
会議場施設等の所有者か運営管理者です。コンベンション法施行規則第4条の基準を満たす施設であり、かつICCA基準を満たす国際会議を誘致・開催した実績があることが条件です。施設を持たない国際会議の主催者や、旅行会社は対象ではありません。施設の所有者と運営者が別の場合の分担は、公式ページに載っていないので、観光庁へのメールで確かめてください。応募が多いときは、2019年以降の開催実績と開催見込みなどが採択で見られます。
ICCA基準とは何ですか?
国際会議協会(ICCA)が定めた、国際会議の目安です。この補助金では3つの条件を使います。参加者の総数が50名以上であること、定期的に開催されていること、日本を含む3か国以上で開催地が回ることです。1回だけ開いた会議と2か国間会議、政府系会議、国連主催の会議は除かれます。応募が多いときの採択では、2019年以降の開催実績と開催見込みのほか、事業の必要性と施設の取組みと自治体との連携が見られます。
設備の入れ替えは対象になりますか?
単なる入れ替えは対象になりません。公募要領は、MICE開催地としての魅力向上に役立つ、先進性のある新規設備投資を対象にしています。交付要綱でも、機能の明確な向上を伴わない故障・老朽化への修理や代替更新だけの費用は対象外です。入れ替えと同時に、機能がはっきり上がる設備を入れる計画なら、対象になりえます。上がる点を、要望書にはっきり書いておきます。
補助率と上限額はいくらですか?
補助率は対象経費の1/2以内で、上限は2,000万円(税別)です。経費が4,000万円なら、補助額は上限の2,000万円になり、残りは自己負担です。補助額は、消費税等仕入控除税額を引いた額で計算します。交付決定額は、応募時の申請額より減る場合があります。決定後に増やすことはできません。交付決定額は補助の限度額を示すもので、支払額を約束するものではありません。
要望書はどうやって出しますか?
電子メールで出します。宛先は観光庁 国際観光部 参事官(MICE)で、2026年10月30日15時までに届く必要があります。件名は「【要望書/MICE施設の受入環境整備(二次)】+申請者名」です。郵送や持参の受付は、公募要領に書かれていません。観光庁から受信の返信が届きます。返信が届かなければ、提出から1営業日を目安に連絡します。採択された内容は、プレスリリースなどで公開されることがあります。
質問は電話でできますか?
電話はできません。質問と相談は、電子メールだけです。観光庁への訪問や、電話による質問も受け付けていません。件名の頭に「【問合せ/MICE施設の受入環境整備(二次)】」を付けて、要望書と同じ参事官(MICE)のアドレス(hqt-jp-mice★ki.mlit.go.jp)に送ります。送るときは★を@に変えます。要件の線引きで迷う点は、要望書を出す前にメールで確かめておくのが安全です。
見積書は何社分が必要ですか?
複数の事業者から取ります。公募要領は、必ず複数の事業者の見積書を用意するよう求めています。難しい場合は、単独見積理由書を出します。公式ページでは、経費が妥当と客観的に認められる資料を出すと書かれています。通販サイトのページは不可です。あわせて、補助対象の概要が分かるパンフレットやカタログも用意します。経費の一部に自治体の補助を見込む場合は、その交付決定書なども添えます。
採択されたら、すぐ工事を始めてよいですか?
始められません。採択の通知と補助金額の内示のあとに、交付申請書を出します。補助の対象になるのは、交付決定のあとに契約・発注して生じた経費だけです。採択の通知は、正式な決定ではありません。工事業者との契約は、交付決定の通知を受けてから結びます。交付申請書の様式は、改めて通知されます。内示の額は、交付申請の内容を精査したうえで、交付決定で正式に決まります。
工事はいつまでに終えればよいですか?
2027年3月10日までに、整備を終えて運用を開始し、自己評価を行えるようにします。年度内の完了が難しい事情がある場合は、2027年1月15日までに観光庁へ事前に相談します。2027年2月26日までに、理由を付けた状況報告書も出します。補助事業の完了は、交付決定年度内の支払いが終わった時点を指します。設備の運用開始は、交付を受けた会計年度の末までです。
補助金はいつ支払われますか?
精算払いです。事業が終わったあと、完了実績報告書を出します。実施内容の検査と経費の確認を経て補助金の額が確定したのち、支払請求を出します。支払いは、完了実績報告書を出してから2〜3か月ほどかかります。報告の期限は、事業の完了から1か月後か2027年3月10日の早い日です。報告には整備報告書と着工前後の写真、契約書、請求書、領収書などを添えます。概算払いが必要なときは別途相談になります。
自治体の補助金と併用できますか?
併用できます。国からの補助とは別に、都道府県などの自治体から補助を受けることは認められています。ただし、自治体の補助金の財源が国費である場合は除かれます。経費の一部に自治体の補助を見込む場合は、その交付決定書などを要望書に添付します。併用する場合は、自治体側の補助の財源が国費でないかも、先に確かめておきます。観光庁のメール窓口に、自治体の補助の名前を伝えて聞くのが確実です。
国の別の補助金とは一緒に使えますか?
原則として使えません。国(独立行政法人を含みます)の別の補助金を既に受けている設備、受けることが確定している設備、受けられる可能性のある設備は対象外です。国の財源で整備された施設も同じです。ただし、交付の可能性があったのに受けなかった場合は、対象になりえます。同じ設備について他の国の補助金を検討している場合は、要望書を出す前に、観光庁へメールで相談してください。
整備した設備を、あとで売ったり転用したりできますか?
勝手にはできません。1件50万円を超える機械や重要な器具は、事業の完了後も一定期間は処分の前に国土交通大臣の承認が要ります。処分には、目的以外の使用や貸付、譲渡、交換、廃棄などが含まれます。承認を得たうえで処分して収入があれば、補助金の一部を返す場合があります。一定期間は、設備ごとの耐用年数などで決まります。補助事業の書類は、完了した年度の終了後5年間、保存します。
補助金を受けると、政治活動への寄附に制限がかかりますか?
かかります。政治資金規正法は、国から補助金などの交付決定を受けた会社その他の法人が、交付決定の通知を受けた日から1年間は政治活動に関する寄附をすることを禁じています。応募要領にもこの注意が載っています。寄附をする予定のある法人は、申請の前に確認してください。試験研究や調査、災害復旧に係るものなど、性質上利益を伴わない補助金等は、制限の対象から除かれます。
