工場を新しく建てず、すでにある建物を買ったり借りたりして事業所にした場合、川越市の奨励金は使えません。対象になるのは新築の事業所だけです。
対象になる立地では、事業所の固定資産税・都市計画税に相当する額の1/2が5年間交付されます。1年あたりの上限は1,000万円です。
企業立地奨励金等交付制度の要点まとめ
正式名:川越市企業立地奨励金等交付制度
だれが
- 申請者
- 事業者(営利事業を営む法人・個人)
- 対象業種
- 製造業・情報通信業・県の計画に係る分野
- 利用目的
- 市内での事業所の新設・拡張
- 対象地域
- 埼玉県川越市全域
- 従業員数
- 立地する事業所の常時雇用が10人以上
いくら
- 補助上限額
- 年上限1,000万円(企業立地奨励金・最長5年)
- 補助率
- 固定資産税等相当額の1/2(加算で最大8/10)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公式ページに期間の記載なし(要綱は令和10年3月31日まで)
- 公式サイト
- 川越市「川越市企業立地奨励金等交付制度」
うちの事業所は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
業種は日本標準産業分類(国が定める産業の分類)で判断します。製造業と情報通信業のほかに、埼玉県の基本計画の分野で知事承認を受けた計画に基づく立地も対象です。知事承認とは、企業が作る地域経済牽引事業計画に、埼玉県知事が承認を出すことです。
常時雇用の従業員とは、解雇の予告が必要な人で、かつ厚生年金に加入している人です。厚生年金に入っていない人は10人に数えません。既存の敷地内で新設や拡張をするときは、敷地面積の条件が外れて延べ床面積500㎡以上だけになります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 中古や既存の建物を取得・賃借する
- ✕ 建物を使用貸借で借りる
- ✕ 付属施設の方が広い事業所
- ✕ 対象分野に当たらない業種
付属施設とは、物品販売やサービス提供の店舗・展示施設・研修所・食堂・休憩所・企業内保育施設などです。この面積が工場・倉庫・事務所などの延べ床面積を超えると対象外です。使用貸借とは、賃料を払わずに建物を借りる契約のことです。
立地の形で線が引かれるのはどこ?
線が引かれているのは「新たに建てた事業所かどうか」です。奨励金は、新しい事業所が生んだ市税の増加分に対して出るためです。
| 立地のしかた | 対象か | 交付の対象になる税 |
|---|---|---|
| 新たに所有した土地に事業所を建築 | 対象 | 土地・家屋・償却資産 |
| 新たに賃借した土地に事業所を建築 | 対象 | 家屋・償却資産 |
| 別の者が新築した事業所に賃借で入居 | 対象 | 賃料 |
| 既存の敷地内に事業所を新築・増築 | 対象 | 家屋・償却資産 |
| 居抜きなど中古の建物を取得・賃借 | 対象外 | なし |
| 使用貸借の建物に入居 | 対象外 | なし |
新築の建物を借りて入る場合は、事業所のために新たに建てられた建物の賃借に限ります。市内に事業所がない企業もすでにある企業も使えます。土地の分は、取得の日から3年以内に操業を始めた事業所の土地だけが対象です。
いくら交付される?
基本は、事業所の土地・家屋・償却資産に課された固定資産税・都市計画税の合計額の1/2です。次の3つに当てはまるごとに、1/10ずつ加わります。
- ZEB(年間のエネルギー収支をおおむねゼロにする建物)の認証か、ISO14001・エコアクション21・埼玉県エコアップ認証のどれか
- 川越市との連携協定の締結か、埼玉県SDGsパートナーへの登録
- 知事承認を受けた計画に基づく立地か、本社機能・研究所機能を持つ立地
3つとも当てはまれば最大で8/10です。交付は操業開始後の最初の課税年度の翌年度から5年間で、1年あたり1,000万円が上限になります。5年間では最大5,000万円です。加算があっても上限は変わりません。償却資産がある場合は、内訳書を作ります。
- 税額の合計が年800万円の場合:800万円 × 1/2 = 400万円
- 加算が2つで、同じ800万円の場合:800万円 × 7/10 = 560万円
- 加算が3つで、税額の合計が年1,500万円の場合:1,500万円 × 8/10 = 1,200万円 → 上限の1,000万円
賃借の事業所では、各年度の交付額に別の上限があります。上限は、申請日の前1年間の賃借料(土地の部分を除く)です。
雇用と転入の奨励金
企業立地奨励金の対象になった事業者は、次の2つも受けられます。どちらも初年度に1回だけです。
| 奨励金 | 条件 | 金額 |
|---|---|---|
| 雇用促進奨励金 | 操業開始時に市内に住む人を新たに雇い、交付申請の日まで1年以上雇用が続いている | 1人30万円(上限300万円) |
| 従業員転入奨励金 | 市外に住む従業員が操業開始から6か月以内に市内へ転入し、交付申請の日まで1年以上住み続け雇用も続いている | 1人30万円+18歳以下のこども1人10万円(上限500万円) |
- 市内在住の8人を新たに雇った場合:8人 × 30万円 = 240万円
- 市内在住の12人を新たに雇った場合:12人 × 30万円 = 360万円 → 上限の300万円
- 6人が転入し、そのうち2人に18歳以下のこどもが合計5人いる場合:6人 × 30万円 + 5人 × 10万円 = 230万円
税が安くなる制度ではない
よく勘違いされるのは、固定資産税が減免される制度だという読み方です。先に固定資産税を全額納め、そのあとで一部が交付されます。
対象は、その立地によって増えた固定資産にかかる固定資産税です。もともとあった資産の税は含まれません。納税から交付までの間は資金を立て替える形になるので、キャッシュフローは余裕を見て組みます。
申請から交付までの流れ
- 企業立地推進室に最初に相談する(事業者→川越市産業振興課 企業立地推進室。049-224-5934)
- 認定の申請を出す(事業者→市長。奨励金は事前に認定を受けておく必要がある)
- 認定の通知を受ける(市→事業者。条件が付くことがある)
- 操業を開始して1か月以内に届け出る(事業者→市。操業開始届)
- 最初の賦課期日に課された固定資産税を納める(事業者)
- 交付申請を出す(事業者→市。操業開始日以後、市が別に定める日まで)
- 交付決定のあと、実績報告を出す(事業者→市)
- 金額の確定通知を受けて請求する(事業者→市。入金を受ける)
操業の2年目から5年目は、毎年度、交付申請・実績報告・請求を繰り返します。
必要な書類
準備できた 0 / 11
個人事業主は、法人の登記事項証明書のかわりに住民票の写しを出します。加算の証明書類は、BELS評価書・ISO14001の登録証・エコアクション21の登録証・埼玉県エコアップ認証書・連携協定書・SDGsパートナーの登録証などです。要綱の添付書類に、これらが挙がっています。交付申請の段階では、別表に定められた書類(建物の登記事項証明書・建物検査済証の写し・市税に未納がない旨の証明書・被雇用者名簿など)が別に要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 要件を満たさなくなった:交付要件に合わなくなったとき、認定した事業を休止・廃止したときは、認定や交付の決定が取り消されることがあります。
- 申請内容の変更を届けなかった:認定や交付の申請内容を変えるときは、事前に変更申請が要ります。変更で交付額が変わる場合は、既に受けた分の返還を求められることがあります。
- 条件や公害対応に違反した:認定に付けられた条件に違反したときや、公害を出して必要な措置を取らなかったときも、取り消しの対象です。
要綱の期限と適用の範囲
交付要綱は令和10年3月31日限りで効力を失います。ただし、同日までに申請をした事業者には、その後も要綱が適用されると附則に書かれています。
令和7年4月1日施行の改正は、同日以後に認定の申請をした事業者から適用されます。これより前の申請には、改正前の取り扱いが続きます。交付を受けた奨励金の関係書類は、交付日の属する会計年度の翌年度の4月1日から5年間、保管します。
よくある質問
小売店や飲食店でも使えますか?
業種で見ると、対象は製造業と情報通信業、そして知事承認を受けた計画に基づく立地です。小売店や飲食店だけを目的にした立地は、公式ページの要件に当たりません。ただし県の基本計画には、物流や観光などの分野もあります。該当するかは計画の承認の有無で決まるので、立地を決める前に企業立地推進室へ相談してください。
すでにある工場を買う、または借りる場合は対象ですか?
対象になりません。事業所が対象になるのは、制度のために新たに建築した建物の場合だけです。中古物件や、すでに建っている建物の取得・賃借で事業所を置く場合は外れます。他者が新築する建物を借りる場合も、事業所として使うために新たに建てられる建物の賃借に限られます。建物の使用貸借も対象外です。
市内の既存工場の敷地内で増築した場合も対象になりますか?
対象になります。既存の事業所の敷地内で新築・増築する場合は、新設や拡張として扱われます。面積の条件も、敷地面積は問われず、延べ床面積500㎡以上だけです。常時雇用10人以上などの条件は変わりません。令和7年4月1日以降に認定を申請した事業者が対象となる点も、あわせて確かめてください。
常時雇用10人以上に、パートやアルバイトは数えますか?
解雇の予告が必要な人で、かつ厚生年金に加入している人が数えられます。厚生年金に加入していないパートやアルバイトは、10人に入りません。雇用促進奨励金の対象になる人も、常時雇用の従業員の定義に当てはまる必要があります。認定の申請では名簿と加入を示す書類が要ります。
いつから、何年間受け取れますか?
操業を始めたあとの、最初に固定資産税と都市計画税が課される年度の翌年度から、5年間です。たとえば最初の課税が令和9年度なら、交付の初年度は令和10年度になります。毎年度、交付の申請が必要で、自動では振り込まれません。1年あたりの上限は1,000万円で、5年間で最大5,000万円になります。
賃借した事業所の場合は、どう計算しますか?
新築の建物を賃借して入る場合は、賃料が交付の対象になる税の代わりになります。各年度の交付額は、申請日の前1年間の賃借料に相当する額が限度です。土地の部分の賃借料は、この限度の計算から除かれます。賃貸借の契約書は認定の申請書類に入るので、契約を結ぶ前に、市に流れを確認しておくと安心です。
雇用促進奨励金はどんな人を雇えばもらえますか?
操業開始時に川越市内に住所がある人を、新しく常時雇用従業員として雇うことが条件です。その雇用が、操業開始日から初年度の交付申請の日まで1年以上続いている必要があります。1人30万円で、1事業所あたり300万円が上限です。初年度に1回だけ交付され、企業立地奨励金の対象事業者であることも前提です。
従業員転入奨励金の条件は何ですか?
市外に住む既存の常時雇用従業員が、操業開始から6か月以内に市内へ転入することが条件です。交付申請の日まで、転入から1年以上継続して市内に住所があり、雇用も続いている必要があります。1人30万円で、18歳以下のこどもがいればこども1人につき10万円が加わります。上限は1事業所で500万円です。
加算の3つは、どれか1つでも満たせば10分の1ですか?
加算は3つの区分ごとに1/10です。区分の中のどれか1つを満たせば、その区分の分が加わります。たとえばISO14001を取った場合は、ZEB等の認証の区分で1/10です。連携協定とSDGsパートナー登録の両方を満たしても、その区分は1/10です。3区分すべてなら、基本の1/2と合わせて8/10になります。
申請はいつまでに、誰に相談すればよいですか?
公式ページに受付期間の記載はありません。要綱は令和10年3月31日限りで効力を失いますが、それまでに認定申請をした事業者にはその後も適用されます。奨励金の交付は事前の認定が前提なので、土地の契約や着工の前に、企業立地推進室(049-224-5934)へ相談するのが確実です。メールでの問い合わせ先は、リーフレットに載っています。
土地の取得費も対象になりますか?
土地そのものの代金は対象ではありません。対象になるのは、土地に課された固定資産税・都市計画税に相当する額です。しかも、取得の日から3年以内に操業を始めた事業所の土地に限ります。取得してから操業開始が遅れた場合は、土地分が対象から外れることがあります。工事の期間を含めた日程を、取得の前に組んでおいてください。
