空き店舗を借りて店を開きたい。でも改修費用は誰が持つのか――気になるところです。結論から言うと、郡山市中心市街地の空き店舗・空き家・空きビルなら、改修工事費を最大150万円まで補助してくれる制度があります。「まちなかリノベーション改修工事支援補助事業」です。

あなたが物件のオーナーなら、自分で店を開くだけでなく、改修後に賃貸に出す使い方もできます。借り手側が使える「賃借料支援補助事業」もあわせて用意されているので、両方の立場から資金計画が立てられます。

郡山市まちなかリノベーション改修工事支援補助事業とは

この補助金は、6か月以上利活用されていない空き家・空き店舗・空きビル(遊休不動産)を、用途変更や新しい機能を加えるかたちで改修する個人・団体を対象にした支援事業です。店舗併用住宅の場合は店舗として利活用する部分のみが対象で、ショッピングセンター内のテナントは対象外です。

対象になるのは次のいずれかに当てはまる人・団体です。

  • 遊休不動産を自ら改修し、利活用事業(店舗・オフィス・コワーキングスペースなど)を実施する所有者
  • 遊休不動産を改修したうえで、利活用事業を行う第三者に賃貸する所有者

一方で、同一不動産ですでに交付限度額に達している場合や、暴力団関係者、市税を滞納している場合は対象外です。

対象エリアは「中心市街地」限定・重点区域はさらに補助額アップ

重要なポイントとして、この補助金は郡山市内どこでも使えるわけではありません。対象になるのは「郡山市中心市街地機能活性化ビジョン」で定められた中心市街地のエリア内に限られます。さらに、県道須賀川・二本松線沿いの1街区は「重点区域」に指定されており、この区域内の物件は補助上限額が引き上げられます。

補助率・上限額を整理すると、次のとおりです。

区分補助率補助上限額
中心市街地(重点区域を除く)補助対象経費の2分の1以内50万円
重点区域(県道須賀川・二本松線沿いの1街区)補助対象経費の2分の1以内150万円
横にスクロールできます

対象になる工事・対象になる利活用事業

補助対象経費は、内装工事・外装工事・建具工事・設備工事など、遊休不動産をリノベーションするための工事費です。改修後の利活用事業としては、次のような使い方が想定されています。

  • 店舗運営(小売・宿泊・飲食・生活関連サービスなど)
  • オフィス運営
  • 業務支援施設運営(コワーキングスペースなど)
  • コミュニティスペース運営
  • リノベーションした不動産を第三者に貸し出す賃貸事業
  • その他、市長が特に必要と認める事業

申請にあたっては事前相談が必須で、その後「交付申請→審査・現地確認→交付決定→工事着手→工事完了→実績報告→交付」という流れで進みます。ここで== さらに重要==なのが、交付決定を受ける前に着工した工事は補助対象にならないという点です。見積もりが取れたからといって先に契約・着工してしまうと、その時点で補助金の対象外が確定してしまいます。

また、改修後は完了から1年以内に利活用事業を開始し、2年以上継続して事業を実施することが条件です。2年未満で事業をやめてしまうと、補助金の返還を求められる場合があります。施工は原則として市内事業者に発注することが前提とされており(特例あり)、帳簿・証拠書類は5年間の保存義務があります。

改修費用のシミュレーション:どんな使い道でいくら補助されるか

補助対象経費の2分の1が補助され、上限は区域によって50万円または150万円です。業態別に3パターンで試算してみます。

  • 中心市街地の空き店舗を改装してカフェを開業(重点区域外・改修工事費180万円): 対象経費180万円×2分の1=90万円のところ、上限50万円まで補助。自己負担は130万円
  • 重点区域内の空きビル1階を改装してコワーキングスペースを開業(改修工事費400万円): 対象経費400万円×2分の1=200万円のところ、上限150万円まで補助。自己負担は250万円
  • 空き家をリノベして店舗併用住宅(1階を雑貨店)にする(中心市街地・店舗部分の改修工事費80万円): 店舗部分のみが対象になり、対象経費80万円×2分の1=40万円をそのまま補助(上限50万円以下のため満額)

重点区域内の物件を選べるかどうかで補助上限が50万円から150万円まで変わるため、これから物件を探す段階なら、対象エリア・重点区域に該当するかを先に確認しておくと資金計画が立てやすくなります。

「賃借料支援補助事業」も合わせて使える

郡山市には、改修工事費を補助するこの制度とは別に、改修済みの物件を借りて事業を行う人向けの「まちなかリノベーション賃借料支援補助事業」があります。2つの制度の違いを整理すると、次のとおりです。

項目改修工事支援補助事業賃借料支援補助事業
対象者遊休不動産を改修する所有者等改修済み物件を賃借して利活用事業を行う事業者
対象経費内装・外装・建具・設備等の改修工事費月々の賃借料のみ
補助率対象経費の2分の1以内対象経費の2分の1以内
補助上限額重点区域150万円/その他50万円月額3万円(年額36万円)を最大24ヶ月間
利用の前提条件6か月以上利活用されていない遊休不動産であること改修工事支援補助事業を使って改修された物件であること、かつ改修完了から1年以内に事業を開始すること
横にスクロールできます

つまり、先に不動産オーナーが改修工事支援補助事業で物件を改修し、そこに入居するテナント(別の事業者でも可)が賃借料支援補助事業を使う、という2段構えの支援になっています。管理費・光熱費・駐車場料・消費税は賃借料支援の対象外で、交付決定前に発生した賃料も対象になりません。

例えば、上記のカフェの例(改修工事費180万円・自己負担130万円)で、改修後に月額家賃6万円で別のカフェ事業者に貸し出す場合、賃借料支援補助事業では対象経費6万円×2分の1=3万円(月額上限にちょうど到達)が補助され、24ヶ月続けると最大72万円が上乗せされます。改修側と入居側、双方の負担を軽くできる設計です。

店舗の改装は国の補助金が使えることもあります。あわせてこちらの記事で解説しています。

あわせて読みたい【全国】小規模事業者持続化補助金とは?何に使える・いくらもらえる・対象は古くなった陳列棚を、動線に合わせた売り場に一新したい。電話とメモ書きでバラバラに管理していた予約を、システムでまとめて効率化したい。展示会に出展して、新しい取引先を開拓したい――。 業種を問わ…12分で読めます

着工前申請が絶対条件:申請の流れとタイミングごとの必要書類

申請から交付までの流れを時系列で整理すると、次のようになります。

  1. 事前相談(必須): 都市政策課へ相談シートを提出し、相談日を調整のうえ実施
  2. 交付申請: 事業計画書・収支予算書・同意書・設計図書・位置図・現況写真・賃貸借契約書(賃貸の場合)などを提出
  3. 審査・現地確認: 必要に応じて市が現地を確認
  4. 交付決定: さらに重要なのは、この交付決定より前に着工した工事は補助対象外になるという点です。物件が決まって見積もりが取れても、契約・着工は交付決定を待ってから進める必要があります
  5. 工事完了・実績報告: 完了後30日以内、または年度末までに実績報告書・完成写真・領収書等を提出
  6. 補助金交付

先着順で予算に達し次第終了する運用のため、対象エリア内で物件を検討し始めた時点で、早めに事前相談の予約を入れておくことをおすすめします。

自分の物件・業態でこの補助金がどのくらい使えそうか、他の補助金と合わせて検討したい場合は診断ツールも活用できます。

3分でできる補助金診断はこちら

対象エリアの該当確認や、改修工事支援と賃借料支援の組み合わせ方など、実務の進め方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。

専門家に無料相談する

よくある質問

郡山市内であればどこの物件でも対象になりますか?

なりません。対象になるのは「郡山市中心市街地機能活性化ビジョン」で定められた中心市街地エリア内の遊休不動産に限られます。エリア外の物件は対象外になるため、検討中の物件が対象エリアに入るかは事前相談の際に必ず確認してください。

改修した物件を自分で使わず、人に貸す場合も対象になりますか?

対象になります。所有者が改修工事支援補助事業を使って改修したうえで、その物件を利活用事業を行う第三者に賃貸するケースも補助対象です。さらに、入居するテナント側が家賃負担を軽くしたい場合は、別制度の「賃借料支援補助事業」(月額上限3万円・最大24ヶ月)もあわせて使える可能性があります。

すでに工事を発注してしまいましたが申請できますか?

できません。交付決定を受ける前に着工した工事は補助対象外です。改修を検討し始めた段階で、契約・着工より先に都市政策課への事前相談から動き出す必要があります。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助率・上限額・対象エリア・申請要件・受付状況は変更される場合があるため、申請前に必ず郡山市の公式ページおよび最新の募集要領で内容をご確認ください。

出典: