浜通りの食をめぐるツアーを組みたい。サイクリングや野球の大会を呼び込みたい。古い民家をゲストハウスに直して、泊まりの客を迎えたい。そうした往訪コンテンツづくりに、1申請あたり年間最大1,500万円を出すのが福島県の誘客コンテンツ開発事業補助金です。
補助率は、中小企業や一般社団法人・NPO法人などが12市町村を主な実施場所にする場合で、1年目が3/4以内、2年目が2/3以内、3年目が1/2以内。令和8年度の本申請は、2026年7月31日と9月30日の2回の締切で終わりました。
応募の入口にも条件があります。応募には、事務局(福島県中小企業診断協会)への事前相談を必ず受けておく必要があります。 事前相談は募集期間に関係なく、通年で受け付けています。
誘客コンテンツ開発事業補助金の要点まとめ
正式名:誘客コンテンツ開発事業補助金(浜通り地域等交流人口・消費拡大支援事業)
だれが
- 申請者
- 民間事業者、一般社団法人、NPO法人など
- 対象業種
- 業種の指定なし(農林漁業は原則対象外)
- 利用目的
- ツアー・イベントの企画運営、デジタルプロモーション、施設改修、自転車利活用
- 対象地域
- 浜通り地域等15市町村(主な実施場所は12市町村)
- 従業員数
- 規定なし(大企業も対象。補助率が異なる)
いくら
- 補助上限額
- 1申請あたり年間1,500万円
- 補助率
- 中小企業等・12市町村は1年目3/4以内、2年目2/3以内、3年目1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月30日まで(6月22日開始。締切は2回。受付終了)
- 事業の完了
- 交付決定日から最長1年間(年度ごとに再度の交付決定が必要)
うちは対象になる?
次の5つがそろえば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
「15市町村」は、避難地域12市町村(田村市・南相馬市・川俣町・広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村・飯舘村)に、いわき市・相馬市・新地町の3市町を足した地域です。15市町村内に本店か本社がない事業者は、域内に本店か本社のある事業者との共同申請か、域内の事業者への外注・委託が必須になります。
「将来の自立」は、最大3年の補助が終わったあとも続けられるかという意味です。公募関係Q&Aは、イベントの参加料収入や企業版ふるさと納税の活用、クラウドファンディングを例に挙げています。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 3市町だけへの来訪が狙いの事業
- ✕ 農業・林業・漁業が本業
- ✕ 既存イベントの運営・管理だけ
- ✕ 宗教・政治活動、風俗営業
3市町(いわき市・相馬市・新地町)で実施する事業は、12市町村のどこかへの来訪者が増えることが前提です。専ら3市町への来訪だけにつながる事業は対象外です。中小企業者は、業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっています。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下です。どちらか一方を満たせば該当します。資本金5億円以上の法人に株式を100株以上持たれている会社などは、大企業とみなされます。
いくら戻ってくる?
対象経費に補助率をかけた額が、年間1,500万円を上限に戻ります。補助率は年単位で決まり、対象経費は消費税・地方消費税を除いた金額です。
- 中小企業等・12市町村・1年目で1,000万円使う:1,000万円 × 3/4 = 750万円
- 同じ事業の2年目で1,000万円使う:1,000万円 × 2/3 = 約666万円
- 同じ事業の3年目で1,000万円使う:1,000万円 × 1/2 = 500万円
- 1年目で2,500万円使う:2,500万円 × 3/4 = 1,875万円 → 上限の1,500万円
- 大企業・12市町村・1年目で2,000万円使う:2,000万円 × 1/2 = 1,000万円
大企業は、12市町村が主な実施場所なら1年目と2年目が1/2以内、3年目が1/3以内です。主な実施場所が3市町の場合は、中小企業等も大企業も、1年目と2年目が1/2以内で、3年目が1/3以内です。
「主な実施場所」は、訪問先の数や拠点の場所で決まります。たとえばいわき市で2か所、楢葉町と広野町で1か所ずつ回るツアーは、訪問先の数が同じなので12市町村が主な実施場所です。南相馬市に泊まって相馬市と新地町を回るツアーも、拠点が南相馬市のため12市町村になります。
補助の期間は、交付決定日から最長1年間です。続けて3年まで受けられますが、1年ごとに審査会の評価を受けて、改めて採択される必要があります。1年目の採択は、2年目以降の継続を約束するものではありません。 1事業者が令和8年度から12年度までに受けられる額は、最大4,500万円です。
何に使える?
先に、対象にならないものです。
- ゲストハウスの建築費(内装や設備の修繕は対象)
- 既存のイベントやコンテンツの管理・運営費
- 飲食費、光熱水費、水道代
- 交付決定の前に発注・契約した経費
- 自社内の取引、共同申請者どうしの取引
- 振込手数料、商品券などの金券
- 行政手続きの費用、収入印紙
- 借入金の利息、実績報告書の作成費用
次が対象になるものです。
- 人件費:事業に従事する人の作業時間分
- 謝金・旅費:外部の専門家への謝金、国内外の出張費
- 外注費・委託費:自分で実施できない部分を他社に任せる費用
- 広報費:動画やウェブ広告の掲載費
- 設備修繕費:古民家改修などの修繕
- 備品費:1年以上使える物品(ボールペンなどの少額物品は除く)
- 借料・損料、使用料:機材のレンタル、イベント会場の使用料
- 通信運搬費、雑役務費:宅配便、手数料、保険料
事業は4つの型に分かれます。
- 新しい体験プログラム、イベント、ツアーの企画・運営
- デジタルプロモーションなどの情報発信
- ゲストハウスや交流拠点の改修
- 自転車の利活用(ふくしま浜通りサイクルルートへの誘客、サイクルイベントなど)
ツアーやイベントの企画か、施設の改修を選ぶ場合は、原則として情報発信(デジタルプロモーション)も同じ期間内にやります。ここは外せない条件です。デジタルプロモーションの費用は、ターゲット設定・情報発信・効果測定のどれかに使い、制作費に偏らないようにします。
備品の購入や発注には、見積書のルールがあります。見積書は申請者と資本関係のない事業者から取ります。50万円以上の発注は、原則として2社以上の見積りが必要です。事業費の50%以上を委託・外注する場合は、理由書を出します。
申請の流れ(事前相談が先)
- 事前相談を申し込む(事業者→事務局。通年。県の案内ページの申込みフォームから申し込み、事前相談票(様式1)をメールで送る)
- 要件を確認してもらう(事務局。受理から1週間ほど。内容の磨き込みを助言される)
- 本申請を出す(事業者→事務局。提案書(様式2)などをメールで。7月31日か9月30日まで)
- 審査会でプレゼンする(事業者→外部有識者。1回目は8月下旬、2回目は10月下旬の想定)
- 採択の通知を受ける(県。提案書の受理から約1か月)
- 交付申請書(第1号様式)を出して、交付決定を受ける(事業者→県・事務局)
- 交付決定日以降に事業を始め、実績報告を出す(事業者)
県の案内ページには、事前相談の準備に使う「AI面接実施ガイド」も載っています。ガイドによると、AIとの対話形式で事業について9つの質問(1問3分以内)に答え、その内容をもとに事務局が事前相談票を作って送ります。事業者は必要なら直して事務局に返し、日程を調整して事前相談を受けます。
交付決定の通知書に書かれた日付より前に、事業を始めることはできません。 発注や契約もその日以降です。補助金の支払いは原則として精算払いで、事業が終わってから受け取ります。必要なら概算払いも使えます。年度をまたぐ事業は、次の年度の初めに、その年度分の交付申請をやり直します。
応募書類の提出先は、一般社団法人福島県中小企業診断協会です。電子メールが原則で、難しい場合は郵送か持参もできます。審査の経過や不採択の理由は、問い合わせに応じてもらえません。
必要な書類
準備できた 0 / 12
事業概要書は、提案書(様式2)の各項目が足りていれば求められません。事業実施体制の資料は、事業者がどんな体制で進めるかが分かる書類です。賃上げの表明書類は、表明する事業者だけが出します。見積書は、設備修繕や外注、委託をする場合に写しを付けます。50万円以上の備品を買った場合は、固定資産台帳の写しも出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 事前相談を受けていない:事前相談を受けないまま応募することはできません。相談で資格と補助要件の形式的な確認が済んでから、本申請に進みます。
- 提出書類に不備がある:必要事項の記載漏れや添付書類の不足があると、不採択になることがあります。
- 交付決定の前に発注した:決定前に発注、契約した経費は対象外です。事業期間が終わったあとに納品や検収をしたものも対象外です。
- 内容に虚偽があった:虚偽が分かると補助金適正化法違反になり、補助金の全額の返還を求められます。
- 変更の承認を取らなかった:事業内容を変えるときは、事前に県へ変更承認を申請します。原則として、交付決定額から総額が増える変更は認められません。
併用と賃上げの加点
国の財源を使うほかの助成と、同じ事業で重複して受け取ることはできません。誘客コンテンツ開発事業補助金以外で、国の財源を活用した自治体などの助成も含みます。
賃上げを表明した事業者は、審査で加点されます。給与等受給者1人あたりの平均受給額(中小企業等は給与総額)を、前年度比で大企業は3%以上、中小企業は1.5%以上増やすと従業員に表明することが条件です。表明したのに達しなかった場合は、次の年度の審査で減点されることがあります。
よくある質問
令和8年度の募集は終わっていますか?
終わっています。本申請の締切は2026年7月31日と9月30日の2回で、県の案内ページにある募集期間は9月30日までです。事前相談は募集期間に関係なく通年で受け付けています。9月30日までに本申請に間に合わなかった提案も、事務局が事業づくりを継続して支援すると、募集要領に書かれています。次の募集を知りたいときは、事務局か県の観光交流課に問い合わせてください。
事前相談は必ず受けないといけませんか?
必ず受けます。応募には事前相談が必須で、県の案内ページにも募集要領にも同じことが書かれています。事前相談では、事務局が資格審査と補助要件の形式的な確認をします。事前相談票(様式1)をメールで送り、確認には受理から1週間ほどかかります。疑問が出たときはヒアリングもあります。本申請の締切に間に合わせるには、余裕を持って申し込みます。
15市町村の外に本社がある事業者も申請できますか?
申請できます。ただし、15市町村内に本店か本社のある民間事業者等との連携が必須です。公募関係Q&Aによると、連携の形は2つあります。域内の事業者との共同申請か、申請者から域内の事業者への外注・委託です。共同申請の場合も、補助上限額は1申請あたり年間1,500万円で変わりません。連携先の探し方や組み方は、事前相談で事務局に聞けます。
いわき市・相馬市・新地町だけで事業をしても対象になりますか?
3市町だけでは対象になりません。3市町を実施場所に含める場合は、12市町村のどれかへの来訪者が増えることが必須です。専ら3市町への来訪者だけが増える事業は対象外になります。3市町が主な実施場所になると、補助率も下がります。中小企業等でも1年目と2年目が1/2以内、3年目は1/3以内です。
補助率は毎年変わりますか?
変わります。中小企業や一般社団法人・NPO法人などで12市町村が主な実施場所なら、1年目が3/4以内、2年目が2/3以内、3年目が1/2以内です。補助率は年単位で決まり、1年ごとに審査会の評価を受けて、改めて採択される必要があります。3年続けて受けられる保証はありません。事業の継続を考えるなら、2年目以降の補助率の下がり方も資金計画に入れます。
大企業も対象になりますか?
対象になります。民間事業者の定義に大企業が含まれます。ただし補助率は低く、12市町村が主な実施場所なら1年目と2年目が1/2以内、3年目が1/3以内です。3市町が主な実施場所なら、中小企業等と同じく1年目と2年目が1/2以内、3年目が1/3以内です。上限額は、規模にかかわらず1申請あたり年間1,500万円です。
ゲストハウスの建築費は補助されますか?
建築費は対象外です。ただし、内装などの修繕工事や設備修繕は対象になります。募集要領には、古民家の改修などでの設備修繕経費が載っています。ゲストハウスや交流拠点の改修を選ぶ場合は、原則として同じ期間内にデジタルプロモーションも実施する必要があります。施設を直すだけの計画は認められないので、集客の計画もあわせて組み立てます。
すでに始めているイベントを広げる費用は対象ですか?
既存のイベントの管理・運営の費用は、原則として対象外です。ただし、既存のものから派生して新しいコンテンツを作る場合は、対象になる可能性があります。たとえば、いわき市だけで開いているイベントを相双地域の複数の自治体でも開くとき、その催しの費用やキッチンカーは対象です。同じ内容を続けるだけの計画では通りにくいので、事前相談で確かめます。
デジタルプロモーションは必ず実施しないといけませんか?
ツアーやイベントの企画と、施設改修を選ぶ場合は、原則として必須です。募集要領はこの2つを選ぶ場合に、デジタルプロモーションも同じ事業期間内にやることを求めています。複数年の計画なら、1年目に企画して2年目に情報発信する順でも、両方を実施するものとみなされます。費用は、ターゲット設定・情報発信・効果測定を想定して組み立てます。
補助金はいつ受け取れますか?
原則として事業が終わってからです。補助金の支払いは精算払いで、実績報告を県が審査して金額が確定したあとに支払われます。事業の完了から30日たった日か年度末の、早いほうまでに実績報告を出します。必要があると認められれば概算払いも使えますが、その場合は概算払請求書(第3号様式)を出します。立て替えの資金繰りは事前に考えておきます。
個人事業主は申請できますか?
募集要領は補助対象者を、民間事業者(小規模企業者・中小企業者・大企業)、一般社団法人、NPO法人、その他法人格を有する団体としています。大企業の定義には「会社及び個人に限る」とあり、小規模企業者の定義にも個人事業主が入るため、個人が民間事業者として申請できる余地はあります。ただし、個人事業主が対象だと明記した箇所は、県の案内ページにも募集要領にもありません。提出書類には定款や履歴事項全部証明書があるので、個人で応募を考えているときは、事前相談で事務局に資格を確かめるのが確実です。農業・林業・漁業が本業の場合は、原則として対象外です。
賃上げの表明をすると、どうなりますか?
審査で加点されます。給与等受給者1人あたりの平均受給額(中小企業等は給与総額)を、前年比で大企業は3%以上、中小企業は1.5%以上増やすと従業員に表明することが条件です。表明書類は、提出するのが該当する企業だけです。ただし表明したのに達しなかった場合は、次の年度の公募で書類の提出を求められ、減点されることがあります。
