空港の脱炭素は、空港会社だけの話だと思っていませんか。ターミナルのテナントや構内で車両を持つ事業者も施設や車両を所有・運営していれば申請者になれます。
国土交通省が太陽光発電、EV・FCV用のインフラ、空港ビルの照明・空調の省エネ化に費用の1/2以内を補助します。令和8年度の公募は2026年6月19日から7月31日17時までで、すでに終わりました。
はじめに押さえたいのは対象の線引きです。EV・FCVの車両そのものの購入費は対象外で、補助されるのは充電設備などのインフラ側です。さらに、補助金額が100万円以上になる事業に限られます。
空港脱炭素化推進事業費補助金(設備導入支援)の要点まとめ
正式名:令和8年度 空港脱炭素化推進事業費補助金(設備導入支援)
だれが
- 申請者
- 空港管理者・空港内事業者・その他の民間事業者(JV等を含む)
- 対象業種
- 指定なし(空港の施設・車両を所有・運営する者など)
- 利用目的
- 再エネ導入・空港車両のEV・FCV化インフラ・空港ビル等の省エネ化
- 対象地域
- 全国(すべての空港)
- 従業員数
- 規定なし(募集要領に記載なし)
いくら
- 補助上限額
- 1件の上限の記載なし(令和8年度予算の上限は約4.7億円)
- 補助率
- 補助対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年6月19日〜2026年7月31日17時(必着・終了)
- 事業の完了
- 令和8年度末まで
自分の会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みがあります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ EV・FCV車両そのものを買う
- ✕ リースで設備を導入する
- ✕ 余剰電力をFIT・FIPで売る計画
- ✕ 交付決定の前に契約する
申請者は空港の施設や車両を所有・管理・運営する人のほか、それらと連携して脱炭素に取り組む実施主体、空港や周辺の用地で再エネを入れる人も含みます。JVを応募後に設立する予定なら出資予定者の連名で応募します。
補助金額が100万円以上というのは、補助率が1/2なので対象経費でいえば200万円が最低ラインです。
太陽光発電は、空港内や周辺の用地に置き7割以上を当該空港の需要のために発電することが条件です。余った電気をFIT・FIP制度や自己託送で扱う計画は認められません。IP通信機能を持つ機器はJC-STAR適合ラベル(星1以上)の取得製品を使います。
関係者の合意も条件です。空港管理者などの関係者に説明して合意を得ていない事業は採択されません。 国管理空港では、東京航空局か大阪航空局も調整先に含めます。
何に使える?
最初に、使えないものです。
- EV・FCV車両の購入費
- リースの費用
- 補助金額が100万円に届かない事業
- 余剰電力をFIT・FIPや自己託送で扱う太陽光
- 交付決定より前に契約した経費
使えるのは、次の3つのテーマに関する事業です。
- 太陽光発電などの再エネ導入:空港内や周辺の用地に置く発電設備
- 空港車両のEV・FCV化に必要なインフラ:充電設備など、車両以外の設備
- 空港建築施設の省エネ化:照明のLED化に合わせた運転制御システムの設置など、さらなる省エネ。空調はエネルギー源を化石燃料由来から再生可能エネルギー由来に替えて省エネ化するもの
補助対象経費は、再エネ発電設備の導入、EV・FCV化に伴うインフラ設備、空港ビル等の照明・空調設備の効率化、エネルギーの見える化の4項目です。土地の取得費は含まれません。さらに次の3つを満たす経費だけが認められます。
- 使い道が、この事業の実施に必要だと明確に特定できる
- 補助金の交付決定後の契約で発生した
- 証拠書類や見積書で、契約・支払の金額が確認できる
早期に効果が出る事業は、優先して採択されます。
いくら補助される?
補助額は対象経費に1/2以内の率を掛けて決まります。補助上限額は1件あたりの定めが募集要領に書かれていません。書かれているのは、令和8年度予算の上限が約4.7億円という全体の枠です。
事業者の業態ごとに、補助率1/2で計算してみます。金額は計算のための仮の数字です。
- 空港ビルを運営する会社が、照明のLED化と空調の更新に4,000万円かける:4,000万円 × 1/2 = 2,000万円
- 構内で車両を持つ事業者が、EV用の充電設備に600万円かける:600万円 × 1/2 = 300万円
- 空港周辺の用地で太陽光発電を導入する事業者が、1億円かける:1億円 × 1/2 = 5,000万円
- 下限ぎりぎりの例:200万円 × 1/2 = 100万円(150万円の事業なら75万円で、対象外)
補助率は1/2以内で要望どおりの額になるとは限りません。 要望額の合計が予算を上回ると、優先順位をつけて交付予定額が決まります。交付決定額は上限を示すもので使った経費が増えても増額できません。
消費税の扱いにも注意があります。課税事業者は消費税等の仕入控除税額(消費税の還付と補助が二重にならないよう引く金額)を、原則あらかじめ減らして申請します。
申請の流れ
- 事業計画をまとめ、関係者の合意を取る(申請者→空港管理者など。国管理空港は東京・大阪航空局も含めて)
- 見積書を集める(申請者→メーカー・施工業者。複数者から税抜きで)
- 電子データで応募する(申請者→国土交通省 空港計画課 脱炭素班。2026年7月31日17時必着)
- 審査を受け、内定通知を待つ(国土交通省→申請者。内定通知は令和8年9月の予定とされていました)
- 交付申請を出し、交付決定を受ける(申請者→国土交通省。契約はここから)
- 事業を実施し、令和8年度末までに終える(申請者→施工業者)
- 実績報告を出す(申請者→国土交通省。完了から1か月を過ぎた日か、翌年度の4月10日のいずれか早い日まで)
交付決定のあとは、4月1日から11月30日までの事業の状況を12月15日までに報告します(交付要綱)。実績報告のあと書類審査と必要に応じた現地調査があります。現地調査は事業完了年度の2月下旬までに行う予定です。補助金の額が確定してから支払われ、完了実績報告書の提出後2か月程度かかります。
必要な書類
準備できた 0 / 7
必要に応じて設備のカタログ・図面・実施箇所の現況写真・脱炭素の取り組みがわかる資料も出します。複数者の見積書が難しいときはメーカーのカタログなど経費の妥当性を示す資料を付けます。別紙4は必須で、複数見積もりを用意できない理由書も添えます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 関係者の合意がない:空港管理者などへの説明と合意がない事業は採択されません。
- 交付決定の前に契約した:対象経費は、交付決定後の契約で生じたものに限られます。
- 虚偽の申請があった:採択のあとでも、交付が取り消されることがあります。
- 取得した財産を無断で処分した:大臣の承認が要ります。承認を受けて処分し、収入があった場合は、補助金の一部を返す場合があります。
- J-クレジットに登録した:補助事業で得た温室効果ガスの削減効果は、定められた期間、登録できません。
- 会計検査で返還を命じられた:事業の終了後に会計検査院の実地検査が入ることがあります。
税金と、ほかの制度との関係
補助金は、交付を受けた事業年度の収益として扱われ、法人税等の課税対象です。
国から別の補助金などをすでに受けている、受けることが決まっている、または交付対象になる可能性がある場合は原則としてこの補助金の対象になりません(交付要綱)。併用を考えるときは、空港計画課に先に確認します。
空港の脱炭素に関する国土交通省の支援はほかにもあります。空港管理者向けの脱炭素化推進計画の策定支援や、航空機への電気・冷暖房の供給をGPU等へ切り替える支援は別枠で、この公募の対象ではありません。
よくある質問
今から申請できますか?
令和8年度の公募は、2026年7月31日17時の必着で終わりました。次の公募については確認できた資料に書かれていませんでした。国土交通省の公式ページで新しい公募の案内が出ていないかを確かめてください。問い合わせは、募集要領では原則としてEメールとされています。
空港会社でなくても申請できますか?
申請できます。対象は空港管理者・空港内事業者・そのほかの民間事業者です。空港の施設や車両を所有・管理・運営する人、それらと連携して取り組む実施主体、空港周辺の用地で再エネを入れる人が含まれます。業種の指定はありません。ただし空港管理者などの関係者の合意がないと採択されません。
補助上限額はいくらですか?
1件あたりの上限額は募集要領に書かれていません。補助率は対象経費の1/2以内で、対象になるのは補助金額が100万円以上の事業です。令和8年度予算の上限は約4.7億円とされています。要望額の合計が予算を上回れば、優先順位をつけて交付予定額が決まるため、要望どおりになるとは限りません。
EVやFCVの車両を買う費用は対象ですか?
対象外です。この公募で補助されるのはEV・FCV化に必要なインフラ設備の導入です。車両導入にかかる費用は募集要領で補助対象外と明記されています。リース費用もすべての事業で対象外です。空港内専用の作業車両の切り替えについては、別の支援メニューがあります。
太陽光で発電した電気を売ってもいいですか?
売電を前提にした計画は対象になりません。空港内や周辺の用地に置き発電した電気の7割以上をその空港の需要のために使うことが条件です。余剰の電気等について、FIT・FIP制度や自己託送によらないことも求められます。自家消費が中心の計画かどうかを、先に確認しておきます。
照明のLED化だけでも対象になりますか?
募集要領はLED化に合わせて運転制御システムの設置など、さらなる省エネが図られるものを対象としています。LEDへの交換だけで足りるかどうかは、確認できた資料に書かれていませんでした。空調は、化石燃料由来から再エネ由来へエネルギー源を替えるものが対象です。迷う場合は空港計画課に先に問い合わせます。
見積書が1社分しかない場合はどうなりますか?
複数者の見積書が原則ですが、難しい場合はメーカーのカタログなど経費の妥当性を客観的に示せる資料を出します。見積書比較表(別紙4)は必須で、採用した金額を事業費欄に書き、複数見積もりを用意できない理由書も付けます。理由の例として、導入予定の設備を1者しか開発していない場合が挙げられています。
応募は郵送ですか?
基本はEメールです。件名は「【応募者名】空港脱炭素化推進事業費補助金 応募書類一式」と決められています。書類は、チェックシートで不足がないか確認してから電子データで提出します。受領のメールは、提出後1週間以内に届く予定です。容量が大きいときは期限に余裕を持って担当者に連絡します。
複数の空港で実施する場合、申請はどうなりますか?
応募は、事業者ごとに1空港につき事業計画書1件です。同じ空港で複数の事業項目を行うなら1件にまとめて出します。2つの空港で実施するなら事業計画書は2つ、3つなら3つです。複数の事業者が同じ空港で行う場合は、事業者ごとにそれぞれの事業計画書を出します。
審査では何が見られますか?
審査の観点は8つあります。事業内容と目的の整合性/必要性・効果/事業費の妥当性/事業期間の妥当性/公共性・公益性/地域連携やレジリエンス強化の取り組み/空港脱炭素化推進計画への記載/関係者との合意形成です。ほかの空港に広げられる先進的な事業、計画に載っている事業、早く効果が出る事業は、より優先されます。
補助金はいつ支払われますか?
実績報告のあとの成果検査に合格すると、補助金の額が確定し、その後に支払われます。完了実績報告書を出してから、2か月程度かかります。概算払い(確定前に一部を先に払う方法)も可能とされています。完了実績報告書には完成図書や契約書・請求書など実際にかかった経費がわかる資料を付けます。
問い合わせ先はどこですか?
国土交通省 航空局 航空ネットワーク部 空港計画課 脱炭素班です。募集要領では、原則としてEメールでの問い合わせとされています。電話は、国土交通省の代表(03-5253-8111)の内線のほか、直通(03-5253-8717)が公表されています。メールアドレスは、募集要領の6章に載っています。
