DXを進めたい。でも社内稟議で止まる。予算の話になると、いつも声が小さくなる。現場ではよくある止まり方です。
熊谷市の「産業DX推進事業(愛称:産業DXプロジェクト)」は、ここを支える制度です。ただし、順番が普通の補助金と逆です。まず市の審査会がプロジェクトを認定する。次に、ふるさと納税型クラウドファンディングで資金を集める。集まったお金が、そのまま補助金になります。
対象は熊谷市内の個人・法人。クラウドファンディングの目標額は、概ね500万円が上限です。応募は令和8年12月31日まで随時受付、ただし事前相談が必須です。
この補助金の概要(早見表)
| 検索項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 熊谷市産業DX推進事業(愛称:産業DXプロジェクト) |
| 対象業種 | 業種指定なし(DXを促進・推進する事業を行う個人・法人) |
| 利用目的 | DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、業務改革 |
| 対象地域 | 埼玉県熊谷市(市内に事業所を設置、または設置予定であること) |
| 従業員数 | 規模の指定なし(個人・法人とも対象) |
| 補助上限額 | 予算額とクラウドファンディング寄附額(経費控除後)のいずれか低い額。目標額の上限は概ね500万円 |
| 補助率 | 定めなし(集まった寄附額の範囲内で対象経費を補助) |
| 申請受付 | 令和8年12月31日(木)まで随時募集(要事前相談) |
| 公式サイト | https://www.city.kumagaya.lg.jp/kurashi/service/keieisya/kumagaya_sangyoDX.html |
※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。
まず動くこと。事前相談から始まります
応募の前に、必ず相談です。窓口は熊谷市産業振興部企業活動支援課。メールか、予約制の窓口で受け付けます。
いきなり書類は作りません。順番はこうです。
- 事前相談:DX計画の内容を企業活動支援課に伝える
- 応募:事業認定申請書(様式第1号)と対象経費の見積書を提出
- 資格要件の確認:審査会事務局が応募資格をチェック
- プレゼンテーション審査:非公開の審査会で評価
- 認定・不認定の通知:市長が決定
応募が少なければ通る、というものではありません。基準点に届かなければ、応募自体が少数でも認定されない場合がある、と募集要項に明記されています。
対象になる会社・対象になるプロジェクト
対象者の条件は13項目。要点はこの3つです。
- 市内に事業所を設置している、または設置予定であること。補助金交付完了後3年を超えて設置し続ける意思があること
- 応募する事業を、事業開始から3年以上継続して行おうとすること
- 市税を滞納していない、暴力団関係者でないこと
プロジェクト側の条件も見逃せません。
- 市内事業者のDXを促進する事業、または自社のDXを推進する事業であること
- 「第2次熊谷市総合振興計画後期基本計画」の政策方向性に沿っていること
- 経済産業省の「デジタルガバナンス・コード3.0」に沿っていること
- 1事業者につき1事業であること
- クラウドファンディングの実施に適した規模であること(目標額は概ね500万円が上限)
対象外もはっきりしています。市から運営費相当の補助金をすでに受けている団体、指定管理が主業務の団体、宗教・政治活動が目的の団体は対象になりません。
補助金額は「集まった額」で決まる。ここが最大の特徴
補助率も、補助上限額も、あらかじめ決まっていません。決まるのは、クラウドファンディング終了後です。
補助金の額は、次の低い方が上限になります。
- 予算額
- クラウドファンディングで集まった寄附額(経費を差し引いた額)
たとえば、対象経費300万円のDXプロジェクトを想定します。目標額300万円でクラウドファンディングを実施し、満額集まれば、経費控除後の額がそのまま補助金の上限になります。250万円しか集まらなければ、そこから経費を引いた額が上限になります。
ここが「ALL-in方式」の怖いところです。目標額に届かなくても、集まった分はプロジェクトに使われます。足りない50万円は、自己資金で埋める確約が審査時点で必要です。「集まらなかったらやめる」という選択肢は、原則ありません。
期間は90日以内。実施時期は認定後に事務局と相談して決めます。
対象になる経費・ならない経費
対象経費は令和8年4月1日以降、かつ事業実施期間開始以降に契約したものに限ります。区分は次の14項目です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 人件費 | 補助事業に係る労働の対価となる報酬・給料 |
| 報償費 | 専門家謝金等 |
| 旅費 | 専門家旅費等(従業員旅費は除く) |
| 印刷製本費 | チラシ・パンフレット等の印刷費 |
| 修繕費 | 事業に必要な動産・不動産の修繕費 |
| 通信運搬費 | 輸送費・郵送費等 |
| 広告費 | 広告宣伝・販売促進費、コンテスト賞金等 |
| 消耗品費 | 用紙・文具等の購入費 |
| 役務費 | 許可取得・特許申請等の行政手続費用 |
| 委託料 | 設計費・外注加工費、システム構築の委託費等 |
| 使用料及び賃借料 | 事務所・店舗の借上げ料、機械装置のリース料等 |
| 原材料費 | 資材購入費等 |
| 備品購入費 | 機械装置・サーバー等の購入費 |
| その他 | 市長が必要と認める費用 |
対象外もはっきりしています。資本金・食糧費・土地・有価証券等、事業に関係のない支出、人件費のうち扶養手当・住居手当・通勤手当などの手当は対象になりません。
対象経費が、国・県・市の他の補助金と重複する場合はどうなるか。原則は対象外ですが、「経費配分や割当の考え方が十分に整理され、その根拠を示すことができる場合」は対象にできる、と交付要綱に書かれています。どこまで按分すれば根拠として認められるかは、書き方次第で変わる部分です。この線引きの考え方は、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで紹介しています。
審査で見られる5つの視点
プレゼンテーション審査は非公開。評価の経過・内容も公表されません。着眼点は次の5つです。
- 政策との整合性:事業目的が明確か、市の政策方向性に沿っているか
- 意欲:事業実施への強い意欲があるか。目標額に届かなくても自己資金で遂行できるか
- 計画性:将来性・成長性があるか、収支計画に整合性があるか
- 事業継続性:持続可能な実施体制があるか、寄附者の関心を継続させる工夫があるか
- 期待される効果:地域経済・雇用への好影響、市域外からの資金の呼び込み
書類も忘れずに。個人なら開業届の写しと直近の確定申告書(開業初年度は除く)。法人なら履歴事項全部証明書と、直近2期分の決算書です。
自社のDX計画以外にも、使える補助金・助成金がないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
クラウドファンディングの目標額設定や、対象経費の按分の考え方など、実務の進め方に迷う場合は専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
個人事業主でも応募できますか?
できます。応募対象者は「個人又は法人」と明記されており、法人格の有無は問いません。市内に事業所を設置している、または設置予定であることが条件です。
クラウドファンディングの目標額に届かなかったらどうなりますか?
集まった寄附額(経費控除後)が、予算額より低ければそちらが補助金の上限になります。目標額に届かない可能性も含めて、自己資金で事業を遂行できることが審査時点で求められます。未達を理由に事業を中止する前提では応募できません。
すでに他の熊谷市の補助金を受けている場合、この制度は使えますか?
市から運営費相当の補助金がすでに交付されている団体は対象外です。また対象経費が国・県・市の他の補助金と重複する場合も、原則対象外。ただし経費の配分・割当の根拠を示せる場合は対象にできるとされています。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた熊谷市公式の募集要項・交付要綱にもとづきます。審査基準・補助金の算定方法・受付状況は変更される場合があるため、応募前に必ず熊谷市の公式ページおよび最新の募集要項でご確認ください。
出典:
