愛媛県松山市の「松山市DX推進補助金制度」は、市内中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する経費の1/2・上限300万円を補助する制度です。似た名前の「松山市生産性向上デジタル化補助金」も同時期に募集されており、どちらを使うべきか迷う事業者が多いポイントなので、この記事では2制度の違いも整理しながら解説します。
松山市DX推進補助金制度とはどんな補助金か
松山市DX推進補助金制度は、市内中小企業者のDXを推進し、生産性向上・人手不足の解消等を図ることを目的とした制度です。単なる業務効率化にとどまらず、今後DXに取り組もうとする他の企業の参考事例となるような、先進的な取り組みが想定されています。
制度の骨格は次のとおりです。
- 対象者: 松山市内に事業所を有する中小企業者(中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者)、社会福祉法人、医療法人
- 補助率: 補助対象経費の1/2以内
- 補助上限額: 300万円(千円未満切り捨て)
- 募集期間: 令和8年5月25日(月)〜令和8年7月31日(金)※予算に達し次第、期間内でも受付終了の場合あり
- 事業実施期間: 交付決定日〜令和9年3月31日(水)まで
対象外になる事業者として、市税を滞納している事業者、他の松山市補助金の受給者、宗教・政治活動を主目的とする団体、風俗営業者、暴力団関係者が明記されています。
対象になる経費と、対象外になりやすいもの
補助対象経費として松山市公式ページに挙げられているのは、次の6区分です(消費税・地方消費税相当額は対象外)。
- システム導入費
- クラウドサービス利用費
- コンサルティング費用
- 製品・サービス開発費
- 物品等購入費
- その他付帯費用
「物品等購入費」という区分がある一方で、公式ページには対象経費の具体例(対象になる取り組みの例・対象外の経費例)までは掲載されていません。
パソコン・タブレット等のハードは対象になるのか
DX関連の補助金でよくある疑問が「パソコンやタブレットの購入費は対象になるか」です。結論からいうと、松山市の関連制度では、汎用性が高く目的外使用になり得る物品(パソコン・タブレットPCおよび周辺機器等)は対象外となる場合があるという考え方が採られています。
これは、松山市DX推進補助金と同時期に募集されている「松山市生産性向上デジタル化補助金」の申請要領に明記されている考え方です。同補助金の対象経費は次の2区分です。
- 〈区分1〉デジタル技術を活用したハードウェア・ソフトウェア・機械装置等購入費
- 〈区分2〉委託費
ハードウェアそのものは対象経費の区分に含まれているものの、「汎用性があり目的外使用になり得るもの(例: パソコン・タブレットPCおよび周辺機器等)の購入費用は対象外となる場合がある」という留意点があります。つまり、事務作業全般に使える汎用パソコンを単体で購入するだけでは対象外になりやすく、特定のDXの取り組みに直接必要な機器として、他の用途に併用しないことが求められると考えられます。
松山市DX推進補助金制度の「物品等購入費」についても、同様に汎用品の単体購入は対象外になりやすいと見ておくのが安全です。
「松山市DX推進補助金」と「生産性向上デジタル化補助金」の違い
松山市には名前の似た2つの制度があり、同じ令和8年5月25日〜7月31日に並行して募集されています。対象にしたい取り組みによって使い分けが必要です。
| 項目 | 松山市DX推進補助金制度 | 松山市生産性向上デジタル化補助金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 中小企業者・社会福祉法人・医療法人 | 中小企業者等(個人事業主含む) |
| 補助率 | 1/2以内 | 1/2以内(賃上げ応援奨励金の給付決定ありの場合3分の2以内) |
| 補助上限額 | 300万円 | 100万円(下限50万円) |
| 主な対象経費 | システム導入費・クラウド利用費・コンサル費・製品/サービス開発費・物品等購入費・その他付帯費用 | ハードウェア・ソフトウェア・機械装置等購入費、委託費 |
| 想定する取り組み | 先進的なDXの取り組み(他社の参考事例となるような案件) | 物価高騰下での業務デジタル化による生産性向上 |
| 募集期間 | 令和8年5月25日〜7月31日 | 令和8年5月25日〜7月31日(予算に達し次第終了) |
大まかな使い分けの目安は次のとおりです。
- 新しい業務システムの開発・大規模なクラウド移行・外部コンサルとの伴走型プロジェクトなど、投資額が大きく先進性のある取り組み → 上限300万円のDX推進補助金が候補になる
- 既存業務のデジタル化のためのソフトウェア・機械装置の購入が中心で、投資額が100万円前後に収まる取り組み → 生産性向上デジタル化補助金が候補になる(賃上げに取り組む事業者は補助率が3分の2に上がる)
どちらの制度も同一の経費に重複して申請することはできないと考えられるため、 取り組みの規模・内容に応じてどちらか一方を選ぶ前提で検討するのが安全です。
申請の流れと、押さえておきたいタイミング
松山市DX推進補助金制度は、窓口持参(松山市役所本館8階、平日8:30〜17:00)または郵送での申請を受け付けています。
必要書類は次のとおりです。
- 計画書(様式第1号)
- 収支予算書(様式第2号)
- 事業説明書
- 事業者概要書
- 誓約書
- 完納証明書
- 確定申告書の写し(個人事業主の場合)
- 決算書・登記事項証明書(法人の場合)
- 住民票(個人事業主の場合)
- チェックリスト
姉妹制度である生産性向上デジタル化補助金では、申請前に「松山しごと創造センター」または「生産性向上支援センター」での事前相談が実質的なステップとして案内されています。DX推進補助金についても、計画書の作成にあたって内容を早めに固めておくほど、募集期間内での提出がスムーズになります。
タイミングを整理すると、次のような流れになります。
- 募集期間前〜募集開始直後: 取り組み内容・経費の見積もりを固め、計画書・収支予算書を準備する
- 令和8年5月25日〜7月31日(予算に達し次第終了): 申請書類一式を窓口持参または郵送で提出
- 交付決定: 市の審査を経て交付決定を受ける
- 事業実施: 交付決定日〜令和9年3月31日までに事業を完了させる
- 実績報告: 完了後、実績報告書等を提出し、補助金が交付される
募集期間は「期間内であっても、予算に達すれば早期に受付終了となる場合がある」点に注意してください。書類が整い次第、早めの提出が有利です。
補助額のイメージ:上限300万円で何ができるか
補助率1/2・上限300万円という制度設計から、投資規模ごとにどのくらいの補助が受けられるかを整理すると、次のようになります。
| 想定する取り組み例 | 総事業費(税抜) | 補助率1/2での補助額 |
|---|---|---|
| 業務システムの一部クラウド移行+外部コンサルの伴走支援 | 200万円 | 100万円 |
| 基幹システムの刷新(システム導入費+開発費) | 400万円 | 200万円(上限内) |
| 大規模な業務プロセスのDX化プロジェクト | 600万円以上 | 300万円(上限に到達) |
たとえば「紙とExcelで管理している受発注業務をクラウドシステムに刷新し、外部の専門家に業務フローの設計から伴走してもらう」といった取り組みであれば、システム導入費とコンサルティング費用をあわせて計上でき、上限300万円まで狙える規模感です。一方、「事務所のパソコンを何台か買い替えたい」というだけの取り組みは、前述のとおり汎用品の単体購入として対象外になりやすいため、この補助金の使いどころとしては想定しにくい点に注意してください。
国のIT関連補助金とあわせて検討する
松山市の制度は上限300万円ですが、投資規模がさらに大きい場合や、松山市の制度が予算上限に達して受付終了してしまった場合には、国のIT関連の補助金もあわせて検討する価値があります。
国のIT関連の補助金もあわせて検討したい方は、こちらの記事で解説しています。
松山市の制度と国の制度は、対象経費が重複しない範囲であれば併用できる可能性がありますが、 実際の可否は必ず両方の制度の窓口で確認してください。
自社が使える補助金・助成金が松山市の制度以外にもないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
計画書の書き方や、対象経費として計上できるかどうかの判断に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
松山市DX推進補助金の補助上限額はいくらですか?
補助対象経費の1/2以内、上限300万円(千円未満切り捨て)です。募集期間は令和8年5月25日〜7月31日で、予算に達し次第、期間内でも受付を終了する場合があります。
パソコンやタブレットの購入費は対象になりますか?
松山市の関連制度(生産性向上デジタル化補助金)の考え方では、汎用性が高く目的外使用になり得るパソコン・タブレットPC・周辺機器等は対象外となる場合があるとされています。DX推進補助金の「物品等購入費」についても同様に、特定の取り組みに直接必要な機器かどうかが問われると考えられ、汎用品の単体購入は対象外になりやすい点に注意してください。
「松山市生産性向上デジタル化補助金」とはどちらを申請すればよいですか?
投資規模や取り組み内容で使い分けるのが基本です。投資額が大きく先進性のあるDXプロジェクト(上限300万円まで)を検討しているならDX推進補助金、ハードウェア・ソフトウェア購入が中心で投資額100万円前後(賃上げに取り組めば補助率3分の2)に収まる取り組みなら生産性向上デジタル化補助金が候補になります。詳しくは本文の比較表を参照してください。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた松山市公式情報にもとづきます。補助率・補助上限額・対象経費・申請要件・受付状況は変更・早期終了される場合があるため、申請前に必ず松山市の公式ページおよび最新の募集要領でご確認ください。
出典:
