商店街で新しく店を開くなら、この補助金は使えるのか。結論から言うと、答えは「いいえ」です。

港区チャレンジ商店街店舗応援事業補助金が後押しするのは、すでに商店会に加盟して営業している既存店舗です。これから空き店舗を借りて開業するという段階の方は、対象に含まれません。ここを取り違える人が少なくないので、最初に押さえておきます。

対象になるのは、既存店舗が新規顧客獲得・多言語対応・効率化省人化のための設備投資をするケース。補助対象経費の2分の1、上限50万円を受け取れます。あなたの店が対象条件に当てはまるか、次から順に確認していきます。

どんな店舗が対象になるのか

対象になるのは、港区内の商店会(振興組合連合会の賛助会員を含む)に加盟する小売業・飲食業・一部サービス業の店舗です。風俗営業等を営む事業者は対象外です。

営業年数の要件は、一般業種と飲食業とで異なります

区分資本金・従業員数営業年数の要件その他
一般業種(小売業・一部サービス業)資本金1,000万円以下 または 従業員30人以下区内で申請日時点まで引き続き3年以上営業商店会加盟/税滞納なし
飲食業(特例)資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下区内で引き続き1年以上営業法人は区内本店登記が必須
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個人事業主も「常時使用する従業員が30人以下の企業」に含まれるため対象になり得ます。一方で、この制度は既存店舗の設備投資を後押しする補助金であり、これから新規に出店する店舗や、開業して間もない一般業種の店舗(3年未満)は対象になりません。「商店街の空き店舗を借りてこれから開業したい」という段階の方は、この補助金ではなく後述する創業支援の制度を確認するのが近道です。

何に使えるのか:3つの補助対象事業と経費の具体例

補助対象になる取り組みは、次の3カテゴリーに分かれています。

  1. 新規顧客獲得事業: 高齢者・乳幼児連れの親子等を受け入れる環境整備(店舗入口の段差解消、おむつ替えスペースの整備 など)
  2. 多言語対応事業: 外国人観光客対応(音声翻訳機の導入、多言語メニューの作成 など)
  3. 効率化・省人化事業: 人手不足に対応する設備導入(新紙幣対応券売機、セルフレジ、自動洗浄機 など)

補助対象経費には、これらの設備を導入するための工事費・設備購入費・デザイン費・翻訳料などが含まれます。経常的にかかる費用や商品開発費は対象外で、対象経費は税抜1万円以上から。国・東京都等の補助対象になっている経費との重複は認められません。

補助額のシミュレーション:業態ごとに見る受け取れる金額

補助率は補助対象経費の2分の1(千円未満切捨)と上限50万円のうち、いずれか低い方です。実際にどれくらい受け取れるか、業態が異なる3つのケースで試算してみます。

ケース業態・取り組み内容対象経費補助額(1/2・上限50万円)
A創業35年の和菓子店:入口の段差解消・スロープ設置+おむつ替えスペース整備(新規顧客獲得事業)36万円18万円
B開業1年半の中華料理店(飲食業特例):音声翻訳機2台導入+多言語メニュー作成(多言語対応事業)24万円12万円
C創業50年の精肉・惣菜店:新紙幣対応券売機+セルフレジ導入(効率化・省人化事業)110万円50万円(上限)
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ケースCのように対象経費が100万円を超えると、補助額は上限の50万円で頭打ちになります。逆に、ケースAやBのような小規模な設備投資であれば、経費の実質半額が補助される計算です。自店で検討している設備投資の見積額を当てはめて、どのゾーンに入るか確認しておくと資金計画が立てやすくなります。

申請の流れ:交付決定前の着工は対象外という重要ポイント

手続きは「交付申請」→「交付決定」→「事業実施」→「実績報告」→「額の確定」→「請求・交付」の順に進みます。ここで重要なのは、区の交付決定を受けてから工事や設備の発注・導入に着手するという順番です。交付決定前に工事に着手したり、設備を発注してしまったりすると、原則として補助対象外になります。

タイミング別に整理すると、次のとおりです。

  1. 交付申請時: 交付申請書、事業計画書、誓約書兼チェックシート、予定事業の見積書、店舗の案内図・配置図・平面図、納税証明書、履歴事項全部証明書(法人のみ・発行3か月以内)、法人事業概況説明書(資本金1,000万円超の法人のみ)、営業許可証・開業届等の営業年数を証明する書類
  2. 区の審査・交付決定後: このタイミングで初めて改装工事・設備導入等の事業を実施する
  3. 実績報告時: 事業報告書兼請求書、賃借料や工事費等の支払を証する書類の写し

現行の募集回では、申請期限は令和9年1月29日(金曜日)(郵送必着)、事業完了・支払い・区への完了報告の期限は令和9年3月5日(金曜日)とされています。物件の見積を取ったら、契約・発注前に産業振興課へ相談しながら交付申請の段取りを進めるのが安全です。

これから開業する場合・他の制度との組み合わせ

この補助金は既存店舗向けのため、これから商店街の空き店舗を借りて新規開業したい場合は、港区の創業支援施策(創業・スタートアップ支援事業補助金 など)を確認するのが適しています。また、老朽化した設備の更新や生鮮三品販売への業態転換には、別途「港区商店街店舗持続化支援事業」のような制度が用意される年度もあります。

店舗の改装や販促は国の補助金が使えることもあります。あわせてこちらの記事で解説しています。

あわせて読みたい【全国】小規模事業者持続化補助金とは?何に使える・いくらもらえる・対象は古くなった陳列棚を、動線に合わせた売り場に一新したい。電話とメモ書きでバラバラに管理していた予約を、システムでまとめて効率化したい。展示会に出展して、新しい取引先を開拓したい――。 業種を問わ…12分で読めます

港区の補助金だけでなく、自分の店舗が対象になる補助金・助成金が他にないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。

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制度の概要早見表

項目内容
対象業種小売業・飲食業・一部サービス業(風俗営業等を除く)
対象地域東京都港区(区内商店会加盟店舗)
従業員数の目安30人以下(飲食業特例は100人以下)
補助上限額50万円
補助率対象経費の2分の1
申請受付・締切現行募集回は令和9年1月29日(金曜日)締切(郵送必着)
公式サイト港区チャレンジ商店街店舗応援事業補助金
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交付決定前の着工不可など実務上の注意点や、他の港区制度との併用可否について詳しく相談したい場合は、専門家に相談するのも一つの手です。

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よくある質問

商店街の空き店舗を借りて新規開業する場合も対象になりますか?

対象になりません。この補助金は区内で3年以上(飲食業は1年以上)営業を続けている既存店舗が対象です。これから開業する場合は、港区の創業・スタートアップ支援事業補助金など、創業支援の制度を確認することをおすすめします。

交付決定前に工事を発注・着工してしまったら対象外になりますか?

対象外になる可能性が高いです。この補助金は交付決定を受けてから事業を実施することが前提のため、見積を取った段階で先に発注・契約・着工をしてしまうと、補助対象として認められない場合があります。契約前に産業振興課へ相談するのが安全です。

国や東京都の補助金と併用できますか?

同一の経費について、国・東京都等の補助対象となっている場合はこの補助金の対象外になります。ただし、経費の区分を分ける(例:設備導入費は港区の補助金、販路開拓の広報費は国の小規模事業者持続化補助金)ことで、複数制度を組み合わせられる可能性はあります。併用可否は事前に産業振興課へ確認するのが確実です。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件・受付期間は変更される場合があるため、申請前に必ず港区の公式ページおよび最新の交付要綱・募集案内で内容をご確認ください。

出典: