山間部や離島に光ファイバを引く電気通信事業者の工事費を、国が3分の1から最大5分の4まで補助する事業です。この記事は令和5年度補正予算分の公募を扱います。受付は2024年1月15日12時(必着)で終了しています。
国から直接もらう補助ではありません。国が選んだ執行団体の一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)に申請する間接補助(国から執行団体を通して交付される形)です。同じ事業は年度ごとに公募が続いており、後続の公募はCIAJのページに載っています。
高度無線環境整備推進事業(令和5年度補正)の要点まとめ
正式名:無線システム普及支援事業費等補助金(高度無線環境整備推進事業・令和5年度補正予算)
だれが
- 申請者
- 電気通信事業者
- 対象業種
- 通信業(電気通信事業者)
- 利用目的
- 光ファイバなど伝送路設備の整備
- 対象地域
- 全国の過疎地・離島・半島・山村・豪雪地帯など
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 公式資料に記載なし
- 補助率
- 離島以外1/3、離島2/3(海底ケーブルを伴う場合4/5)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2023年12月15日〜2024年1月15日
- 事業の完了
- 令和5年度内(単年度事業)
事業概要の資料にある「令和5年度補正予算20.1億円」は、この補正予算の全体額です。1事業者がもらえる上限ではありません。上限額は、公募要領にも概要資料にも書かれていませんでした。
うちの会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
対象地域は、過疎地・辺地・離島・半島・山村・特定農山村・豪雪地帯のいずれかです。地域の区分は、公募要領が令和5年度当初予算と同じ条件だと定めています。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 無線局だけを整備する
- ✕ 交付決定の前に契約や着工をした
- ✕ 高度化しない設備の更新だけ
高度化とは、5G対応にするなど、設備の性能を上げることです。自治体が持つ設備を引き継ぎ、性能を上げずに更新するだけの工事は、補助されません。
いくら補助される?
補助額は、対象経費に補助率を掛けた額です。民間の電気通信事業者の補助率は、整備する場所で変わります。
- 離島以外の条件不利地域:1/3
- 離島:2/3
- 海底ケーブルを敷設する離島:4/5
- 民間事業者が設備を高度化する場合:離島1/2、離島以外1/3
たとえば対象経費が3億円の工事は、次のとおりです。金額は計算のための設例です。
- 離島以外の山村に光ファイバを引く:3億円 × 1/3 = 1億円
- 離島で整備する:3億円 × 2/3 = 2億円
- 海底ケーブルを敷設して離島に引く:3億円 × 4/5 = 2.4億円
自治体が整備する場合の補助率は、離島4/5、離島以外1/2(財政力指数0.5以上は1/3)です。財政力指数とは、自治体の収入が必要な支出をどれだけ賄えるかを表す数値です。この記事の読者である民間事業者には関係しません。
応募が予算を上回ると、補助額は調整されます。公募要領には、令和5年度当初予算や令和6年度当初予算での執行をお願いする場合があるとも書かれています。優先順位の例は、光ファイバ未整備地域の解消の度合い(整備対象の世帯数)と、整備対象エリアにある光ファイバ未整備の学校の有無です。
何に使える?
対象にならないもの
- 無線局・無線アクセス装置
- 交付決定の前に結んだ契約・始めた工事の費用
- 宅内に引き込むケーブル
- 消費税(電気通信事業者の場合)
- 廃棄する公設設備の撤去・処分費用
- 予備機器(法令で設置が義務付けられている場合を除く)
対象になるもの
- 伝送路設備(光ファイバケーブルや伝送路機器)
- 局舎と、局舎の中の設備
この事業は無線局へつなぐ光ファイバを整備する事業なので、無線局そのものは補助されません。交付決定の前に結んだ契約は、仮契約の日付でも事前着工として扱われます。事業が終わった翌年度内に使われない施設も対象外です。
申請から受け取りまでの流れ
事業は単年度で、年度内に完了する必要があります。工事の完了だけでなく、整備した設備を使える状態にするところまでが期限です。
- 整備計画を作り、申請書類をそろえる(電気通信事業者→自社。公募開始の12月15日以降)
- 申請書類をCIAJに電子データで送る(電気通信事業者→CIAJ。2024年1月15日12時必着)
- 内示と交付決定を待つ(CIAJ→電気通信事業者。令和5年度中の予定。決定の前に契約も着工もしない)
- 工事をして、年度内に終える(電気通信事業者)
- 実績報告書と請求書を出す(電気通信事業者→CIAJ。CIAJが額を確定したあとに補助金が支払われる)
提出はメールか、CIAJが指定する大容量ファイル転送システムで行います。書類はOffice2019で開ける形式にします。
必要な書類
準備できた 0 / 10
局舎の施設図や路線図などの添付図面も要ります。高度化の計画は設備を高度化するときに、連携主体の構成団体一覧と代表承認書は連携主体で申請するときに出します。事業完了後は、実績報告書(様式第10号)、支出総括表、完成写真、光ファイバケーブル整備表などを出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に動いた:契約日や仮契約日が交付決定日より前だと、その工事費は対象外です。公設設備の譲渡が終わっていても、高度化の工事は交付決定まで始められません。
- 年度内に終わらなかった:事業は単年度で、年度内の完了が原則です。完了のスケジュールを入念に組んでおきます。
- 自社製品や関係会社からの調達:自社や100%出資の子会社・親会社などから調達したときは、実績の額から事業者の利益相当分を除いて報告します。一般競争入札で選び、ほかの業者の応札もあった場合は別です。
- 応募が予算を超えた:補助額が調整されたり、ほかの年度の予算での執行になったりします。
後続の公募について
この事業は令和5年度で終わらず、毎年公募されています。CIAJの「高度無線環境整備推進事業」のページには、令和7年度補正予算の公募と、令和8年度当初予算の公募が載っています。
令和7年度補正分は、公募開始が2026年1月23日で、締切は第一次が2月13日、第二次が3月27日、第三次が5月29日でした。令和8年度当初分は、公募開始が2026年4月28日で、締切は第一次が5月29日、第二次が6月26日、第三次が7月24日です。第一次締切に出した案件から先に交付決定します。
令和5年度補正の要件を、後続の公募にそのまま当てはめることはできません。たとえば令和5年度の補助率には、補正予算に限った区分があります。後続の公募では、そのページの公募要領とマニュアルを読んでください。
よくある質問
令和5年度補正の公募は、まだ申請できますか?
申請できません。令和5年度補正予算の間接補助事業の受付は、2023年12月15日から2024年1月15日12時(必着)までで、終了しています。同じ事業の後続の公募は、CIAJの「高度無線環境整備推進事業」のページに載っています。後続分の締切や補助率は年度ごとに違うので、そのページの公募要領で確かめてください。
一般企業が単独で申請できますか?
できません。間接補助の対象者は電気通信事業者です。直接補助の事業主体は、地方公共団体、第三セクター、一般社団法人などです。第三セクター法人は、間接補助の「電気通信事業者」には含まれません。電気通信事業者でない会社は、整備を担う電気通信事業者の連携主体に入る形を検討することになります。連携の可否は、CIAJか総務省に確かめてください。
申請先は総務省ですか?
総務省ではありません。令和5年度補正予算の間接補助事業は、執行団体であるCIAJが受け付けました。総務省はこの事業を所管しますが、電気通信事業者の申請書類はCIAJあてに、メールか指定の転送システムで送ります。問い合わせは、CIAJの公募ページにある連絡フォームから行います。
補助上限額はいくらですか?
1事業者あたりの上限額は、公募要領にも概要資料にも書かれていませんでした。資料にある20.1億円は、令和5年度補正予算の全体額です。補助額は、対象経費に補助率を掛けて決まります。応募が予算を超えた場合は補助額が調整されるので、申請額どおりに交付されるとは限りません。
補助率はどう決まりますか?
整備する場所と、誰が整備するかで決まります。民間事業者が整備する場合は、離島以外が1/3、離島が2/3、海底ケーブルの敷設を伴う離島が4/5です。設備を高度化する場合は、離島が1/2、離島以外が1/3になります。自治体が整備する場合は別の率で、離島4/5、離島以外1/2(財政力指数0.5以上は1/3)です。
無線基地局の設置費用は対象になりますか?
なりません。この事業は、無線局へ高速の回線をつなぐ光ファイバなどの伝送路を整備するものです。無線局と無線アクセス装置は、補助対象外とされています。補助されるのは、伝送路設備と局舎、局舎の中の設備などです。無線局の費用は、補助の計画から切り離して見積もります。
交付決定の前に契約してもよいですか?
してはいけません。交付決定の日より前に結んだ契約や、始めた工事の費用は、補助対象外です。契約日や仮契約日が決定日より前でも、事前着工として扱われます。申請には見積書が要るので、見積もりを取ること自体は必要です。ただし発注や契約は、交付決定の通知を受けてからにします。工期は、決定後の期間で組んでください。
消費税は補助の対象になりますか?
電気通信事業者が事業を実施する場合、消費税は補助対象外です。第三セクター法人が実施する場合も同じです。補助対象経費は税抜きで考えます。補助率を掛ける前の金額に消費税が入っていないか、見積書の段階で確かめてください。税の扱いに迷うときは、CIAJに問い合わせます。
年度をまたぐ工事でも申請できますか?
原則できません。補助事業は単年度で、年度内に事業を完了する必要があります。完了とは、工事が終わるだけでなく、整備した設備を使える状態にすることです。申請の段階で、年度内に完了できるかを入念にスケジュールへ落とし込んでください。天候不順などやむを得ない事情で間に合わないと分かったときは、すぐにCIAJへ事故報告書を出して指示を受けます。
自治体の光ファイバを引き継いで高度化する場合も対象ですか?
対象です。民間の電気通信事業者が自治体から公設設備の譲渡を受け、5G対応などの高度化をする場合は補助されます。譲渡が済んでいなくても、譲渡の合意があり、年度内に譲渡を含めて事業が終わることが確かめられれば対象です。ただし、高度化しない単なる更新は対象外です。公設設備を廃棄して民設で整備し直す場合も、廃棄する設備の撤去・処分の費用は補助されません。
補助金はいつ支払われますか?
原則は、事業が終わって額が確定したあとです。交付決定を受けて工事を終え、実績報告書と請求書をCIAJに出します。CIAJが審査して額を確定し、そのあとに補助金が支払われます。CIAJが必要と認めたときは、交付決定のあとに概算払(先に一部を払う形)もできますが、例外です。工事の費用は、先に自社で立て替える前提で資金繰りを組んでください。
補助を受けた設備に、あとから制約はありますか?
あります。補助金で整備した設備は、勝手に処分できません。財産処分の承認が必要になる場面があります。事業の完了後には、評価の報告も予定されています。売却や貸し出し、用途の変更を考えているときは、事前にCIAJか総務省に相談してください。詳しい扱いは、実施マニュアルに載っています。
後続の公募は、どこで確認できますか?
CIAJの「高度無線環境整備推進事業」のページです。令和7年度補正予算と令和8年度当初予算の公募が載っていて、公募要領、実施マニュアル、交付規程も同じページから開けます。締切や補助率は年度で変わるので、令和5年度補正のこの記事の数字は使わず、そのページの内容で判断してください。
