令和8年度から、奈良県の宿泊施設補助は対象が広がり、増改築の条件は絞られました。1〜4室の古民家の宿が新設で対象に加わり、増改築は客室を増やすか高付加価値化を図る工事に限られます。
どちらの場合も、県の認定を受ける前に着工すると補助の対象外です。補助額は、投下資産の取得費の10%です。投下資産とは、建物とその附属設備、構築物、機械及び装置のことです。
奈良県 宿泊施設立地促進事業補助金の要点まとめ
正式名:奈良県宿泊施設立地促進事業補助金
だれが
- 申請者
- 県内で旅館・ホテルを新設・増改築する事業者
- 対象業種
- 宿泊業(旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受ける施設)
- 利用目的
- 宿泊施設の新設、客室増や高付加価値化を伴う増改築
- 対象地域
- 奈良県内
- 従業員数
- 規定なし(客室数と投下資産の額に要件あり)
いくら
- 補助上限額
- 最大2億円(100室以上・平均20㎡以上・奈良市外の場合)
- 補助率
- 補助対象経費の10%(100万円未満は切り捨て)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年4月1日〜令和9年1月31日(必着。平日9〜17時)
- 事業の完了
- 着工から3年以内に操業開始(100室以上で平均20㎡以上は4年以内)
うちの計画は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 簡易宿所・下宿・民泊・ラブホテル等
- ✕ 認定を受ける前に着工した
- ✕ 客室増も高付加価値化もない増改築
- ✕ 同じ事業で過去に交付を受けた
簡易宿所などは、旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受ける施設ではないため対象外です。同じ事業で過去10年以内(増改築は5年以内)に交付を受けた人も、対象になりません。
着工は、いわゆる杭打ち工事など、工事や設備の導入に着手することです。認定の日から1年以内に着工し、着工から3年以内に操業を始めます。総客室数100室以上かつ平均客室面積20㎡以上なら、操業までは4年以内です。
操業の意味は、新設と増改築で違います。新設は旅館業の営業許可を受けること、増改築は工事箇所や導入設備の全部を使い始めることです。
客室数と投資額の基準
投下資産の額が、次の表の下限以上であることが必要です。
| 区分 | 総客室数 | 投下資産の下限 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| 新設 | 1〜4室(古民家等に限る) | 3,000万円 | 1,000万円 |
| 新設 | 5〜9室 | 1億円 | 1億円 |
| 新設 | 10〜19室 | 2億円 | 1億円 |
| 新設 | 20〜29室 | 3億円 | 1億円 |
| 新設 | 30室以上 | 5億円 | 1億円 |
| 増改築 | 客室増か高付加価値化 | 3,000万円 | 1億円 |
総客室数100室以上かつ平均客室面積20㎡以上なら、5室以上の新設と増改築の上限は2億円です。奈良市内の計画は、この2億円の対象から外れます。
増改築が見られる点
県がこの補助金を出す目的は、滞在型観光を進めて県の観光消費額を上げることです。だから増改築は、客室を増やすか、宿泊者に新しい価値や体験を出す工事だけが対象になります。この新しい価値や体験を出すことを、県は高付加価値化と呼んでいます。
県が挙げる高付加価値化の例は、次のとおりです。
- 複数の既存客室の統合など、居住空間のグレードアップ
- 既存客室への専用露天風呂や、共用ランドリー・ラウンジの新設
- 既存建物の歴史的価値を生かした改修など、テーマ性を持った改装
単なる修繕は対象外です。申請書には具体的な内容と、観光消費額の向上にどう役立つかを書きます。売上高・稼働率・平均客室単価のうち1つ以上は、操業後5年間の数値目標も立てます。
古民家等の意味
古民家等とは、昭和25年11月23日より前に建てられたと推定される建物です。木組みや石場建てなど、伝統的な工法でつくられていることも条件です。築年数が分かる書類と、構造や外観・内観が分かる書類を出します。申請の前に、職員が現地調査をする場合があります。
いくら補助される?
補助額は、投下資産の取得費の10%です。100万円未満の端数は切り捨てます。上限を超える分は補助されません。
- 5室の新設で投下資産が1億2,500万円:1億2,500万円 × 10% = 1,250万円 → 切り捨てて1,200万円
- 20室・平均15㎡の新設で投下資産が3億円:3億円 × 10% = 3,000万円
- 30室の新設で投下資産が15億円:15億円 × 10% = 1億5,000万円 → 上限の1億円
- 120室・平均22㎡の新設で投下資産が25億円(奈良市外):25億円 × 10% = 2億5,000万円 → 上限の2億円
- 古民家を使った3室の新設で投下資産が4,000万円:4,000万円 × 10% = 400万円
古民家の3室で投下資産が2,500万円なら、下限の3,000万円に届かず対象外です。上限に届くのは、上限1億円の区分で投下資産が10億円、2億円の区分で20億円からです。
県が1年間に認定する補助金の総額が予算額を超えるときは、予算の範囲で認定額が決まり、計算どおりの満額にならない場合があります。予算額そのものは、確認した資料に記載がありませんでした。認定額は、認定した年度の3月31日までに通知されます。
何に使える?
対象にならないもの
- 土地の所有権・賃借権・地上権などの取得費
- 造成工事費
- 既存施設(建物とその設備)の取得費
- 地中ガラや、既存の施設・設備の撤去費
- 客室用ベッド・冷蔵庫などの工具、器具及び備品
- 庭木などの立木の取得費
- 機械や装置の賃貸借(リース等)の支払
- 消費税及び地方消費税
対象になるもの
- 建物とその附属設備の取得費
- 構築物の取得費
- 機械及び装置の取得費
どれも、申請者が所有するもので、旅館業の許可を受ける範囲や旅館業に使うものに限ります。複合施設の一部だけが許可を受けるときは、事前相談で必ず申し出てください。市町村などの補助金を受ける分は、補助対象経費から除かれます。
申請の流れ
- 事前相談をする(事業者→県 地域観光課。申請を出す前に必ず)
- 事業計画の認定申請書を出す(事業者→県 地域観光課。原則、着工の60日前まで。令和9年1月31日必着)
- 知事の認定を受ける(県→事業者。随時審査。認定の前に着工しない)
- 認定から1年以内に着工し、着工届を出す(事業者→県。着工後10日以内に第4号様式)
- 着工から3年以内に操業を始め、報告書を出す(事業者→県。操業開始後10日以内か、その年度の末日の早い方まで)
- 実績報告と交付申請を出す(事業者→県。操業開始後60日以内か、その年度の末日の早い方まで)
- 現地確認を受け、交付決定後に請求する(県→事業者。交付は最長5か年に分けることがある)
必要な書類
事業計画の認定申請のときに出す書類です。
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第1号様式の別紙2は、新設、客室の増加を伴う増改築、高付加価値化を図る増改築の3種から、当てはまるものに○をつけます。誓約書では、要綱の要件に当てはまること、国や県の補助金等を受けないこと、暴力団などと関係がないことを誓います。営業状況(過去3年分)は増改築のときだけ出します。様式の添付書類一覧には載っていますが、募集要項の15点の一覧にはありません。
県税の滞納がない証明書は、3か月以内に発行されたものが必要です。発行の窓口は、公式ページに記載がありません。土地の権原取得の資料は、仮契約書や所有者の同意書など、取得の可能性が高いと分かるものです。資金計画書には、金融機関との調整状況や投資家募集の見込みも書きます。
これ以外にも、知事が必要と認める書類を求められることがあります。古民家や高付加価値化の申請では、上で挙げた追加の書類と記載が加わります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 認定の前に着工した:認定の日より前に着工すると、補助の対象外です。着工の60日前までに申請し、認定を待ってから工事を始めます。
- 期限までに操業できなかった:認定から1年以内の着工や、着工から3年以内(大規模は4年以内)の操業を守れないと、認定を取り消されることがあります。
- 国や県の補助金を受けた:国や県の補助金等の交付を受けると、認定を取り消されることがあります。チャレンジ資金(宿泊施設整備枠)が例に挙がっています。
- 新設の宿を10年以内に休止・廃止した:新設で操業から10年以内に営業を休止・廃止すると、補助金の返還を命じられる場合があります。事前に県の承認が要ります。
令和8年度の変更点と併用
令和8年度の募集要項で変わった点は、次の3つです。
- 総客室数1〜4室の古民家等を使った新設が、対象になった
- 増改築は、総客室数の増加か高付加価値化を図るものが要件になった
- 上限2億円の区分に、奈良市内を除く条件が付いた
3つ目の奈良市の除外は、令和7年度の案内ガイドに記載がありませんでした。令和8年度の要綱と募集要項に書かれています。
併用の扱いは、補助金の出し手で変わります。国と県の補助金等とは併用できません。市町村などの補助金とは、受ける分だけ補助対象経費が減ります。計画が固まった段階で、組み合わせを事前相談で伝えることを勧めます。
よくある質問
認定を受ける前に着工したら、補助は受けられませんか?
受けられません。募集要項に「認定の日より前に着工した場合、補助の対象外」と書かれています。着工とは、工事や設備の導入に着手することです。募集要項はいわゆる杭打ち工事を例に挙げています。申請は原則として着工の60日前までに出します。契約や発注が着工に当たるかは資料に明記がないため、事前相談で県に確かめてください。
簡易宿所や民泊の計画でも申請できますか?
申請できません。対象は、旅館業法第2条第2項の旅館・ホテル営業の許可を受ける施設です。簡易宿所・下宿・民泊・ラブホテル等は対象外とされています。1〜4室の小さな宿でも、旅館・ホテル営業の許可を受ける古民家等の新設なら対象です。どの営業許可を取る計画かは、事前相談の前に整理しておくと話が早く進みます。
令和8年度分の認定申請はいつまでですか?
令和8年4月1日から令和9年1月31日までで、必着です。受付は平日の午前9時から午後5時までです。審査は随時行われるため、期間中はいつでも出せます。1月31日は日曜日で、受付は平日だけです。窓口に出すなら、1月29日(金曜日)までと考えてください。ただし申請は原則として着工の60日前までです。着工予定日から逆算すると、実際の締切は1月31日より前になります。提出の前には必ず事前相談をします。
小さな古民家の宿でも対象になりますか?
総客室数1〜4室の新設は、古民家等を使うものに限って対象です。投下資産は3,000万円以上が必要で、補助の上限は1,000万円です。古民家等とは、昭和25年11月23日より前に建てられたと推定され、木組みや石場建てなど伝統的な工法でつくられた建物です。築年数が分かる書類と、構造や外観・内観が分かる書類を出します。申請前に職員が現地調査をする場合があります。
増改築は、どんな工事なら対象になりますか?
総客室数が増える工事か、高付加価値化を図る工事です。かかる投下資産が3,000万円以上であることも要ります。高付加価値化とは、宿泊者に新しい価値や体験を出して、県の観光消費額の向上に役立つことです。既存客室の統合や、専用露天風呂の新設が例に挙がっています。単なる修繕は対象外です。操業後5年間は、数値目標の達成状況を毎年度報告します。
上限の2億円になるのは、どんなときですか?
総客室数が100室以上で、平均客室面積が20㎡以上のときです。奈良市内に新設や増改築をする場合は、この2億円の対象から外れます。補助額は投下資産の10%なので、2億円に届くのは投下資産が20億円以上のときです。それ以外の5室以上の計画は上限1億円で、投下資産が10億円で頭打ちになります。1〜4室の古民家の新設は、上限1,000万円です。
補助金はいつ受け取れますか?
操業を開始したあとです。操業開始から60日以内か、その年度の末日の早い方までに、実績報告と交付申請を出します。県は書類と現地を確認して交付を決め、請求を受けて支払います。交付は最長5か年に分けることがあります。工事の途中で受け取る仕組みは、確認した資料に記載がありませんでした。資金計画は後払いを前提に組んでください。
国や県の補助金と併用できますか?
国と県の補助金等とは併用できません。要綱には、チャレンジ資金(宿泊施設整備枠)が例に挙がっています。市町村などの補助金を受けるときは、その額に相当する分が補助対象経費から外れます。交付の見込みがある段階でも同じ扱いです。複数の補助金を考えているときは、申請の前に県へ組み合わせを伝えてください。
家具や備品、土地の費用も補助されますか?
補助されません。対象は、建物とその附属設備、構築物、機械及び装置の取得費に限ります。客室用ベッドや冷蔵庫などの工具、器具及び備品は対象外です。土地の取得費、造成工事費、既存施設の取得費、撤去費も入りません。リース料などの賃貸借の支払も対象外で、申請者が所有するものに限ります。消費税と地方消費税も除かれます。
認定を受けたあとに、計画を変えられますか?
変えられます。認定額の通知後に、補助対象経費が認定時より20%を超えて増減するとき、操業開始予定日が県の会計年度をまたいで変わるときは、変更承認申請書(第2号様式)が要ります。20%以下の増減で年度をまたがない変更は、軽微な変更として原則手続きが不要です。認定後に計画を廃止または取り消されると、その宿泊施設の土地を含む計画は再申請できません。
補助を受けたあと、営業はいつまで続ければいいですか?
新設は10年間、増改築は5年間、旅館・ホテルとして操業を続ける必要があります。この間は毎年度の末日までに、営業状況を報告します。新設で操業から10年以内に営業を休止・廃止すると、補助金の返還を求められる場合があります。休止や廃止の前には、県の承認申請が要ります。
相談先と提出先はどこですか?
提出先と事前相談は、県産業部観光局の地域観光課 観光地域づくり推進係(電話0742-27-8553)です。住所は奈良市登大路町30の主棟4階です。県の組織ページ(宿泊施設誘致係)には、産業創造課(電話0742-27-8872)が立地全般の相談を受けると載っています。用地情報や支援制度の説明もあり、来所のほかweb面談や訪問にも応じるとされています。ただし令和8年度のガイドと募集要項の窓口は、地域観光課の0742-27-8553です。補助金の事前相談と提出は、地域観光課に連絡してください。
