助成金db

【全国】両立支援等助成金の内容と申請のコツ

#両立支援等助成金#育児介護#社労士
締切
通年で受付
上限額
コースにより20万円〜最…
対象
全業種

両立支援等助成金は、毎年のように中身が変わる助成金です。令和8年度は変更が大きく、育休中等業務代替支援コースの手当上限は最大140万円から最大260万円になりました。柔軟な働き方選択制度等支援コースは、必要な制度導入数が2つから3つに増えています。昨年度の解説記事を見て準備すると、要件を1つ取りこぼします。

対象は雇用保険適用事業所の事業主です。コースは目的別に6つあり、支給額は数万円から最大260万円まで幅があります。男性の育休取得促進、介護離職の防止、育休の取得・復帰支援など、テーマごとに支給要件が細かく設定されています。自社の課題に近いコースはどれか、いくらもらえるのか、順番に見ていきましょう。

両立支援等助成金の要点まとめ

項目内容
制度名両立支援等助成金(出生時両立支援コース/介護離職防止支援コース/育児休業等支援コース/育休中等業務代替支援コース/柔軟な働き方選択制度等支援コース/不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース の6コース)
対象業種全業種
利用目的雇用・職場環境を改善したい
対象地域全国
従業員数主に中小企業事業主(コースにより企業規模の要件は異なります)
支給上限額コースにより20万円〜最大260万円(内訳は本文表を参照)
支給率コースにより定額支給が中心(育休中等業務代替支援コースの手当支給等は手当支給額の3/4)
申請受付通年受付(休業・制度利用開始前の事前準備が実質的な期限。支給申請にも要件充足後の期限あり)
公式サイト両立支援等助成金|厚生労働省
横にスクロールできます

図版⓪:両立支援等助成金の概要インフォグラフィック。6コースの全体像・代表的な支給額レンジ(20万円〜260万円)・「事前の規定整備・周知が休業開始前に必要」という特徴を一目で 図: 両立支援等助成金の全体像。詳しくは本文で解説します

両立支援等助成金にはどんな取り組みが対象?【6コースの全体像】

まずは、自社の課題に近いのはどのコースかを確認しましょう。

①出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

雇用環境整備の措置を複数実施し、育休取得者の業務代替体制を整えたうえで、男性労働者が子の出生後8週間以内に一定日数以上の育児休業を取得した場合に支給されます。あわせて、男性労働者の育休取得率を大きく引き上げた事業主向けの区分もあります。

②介護離職防止支援コース

介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針を社内周知し、労働者との面談を経て「仕事と介護の両立支援プラン」を作成・実施したうえで、労働者が実際に介護休業を取得・職場復帰した場合や、介護両立支援制度(時差出勤・短時間勤務・在宅勤務・フレックスタイム・介護サービス費用補助)を利用した場合に支給されます。介護休暇制度を有給化して労働者が利用した場合の区分もあります。

③育児休業等支援コース

育休の取得・職場復帰支援に関する方針を社内周知し、「育休復帰支援プラン」を作成・実施したうえで、労働者が連続3か月以上の育児休業を取得し、原則として原職に復帰した場合に支給されます。

④育休中等業務代替支援コース

育児休業取得者や短時間勤務者の業務を代わりに行う周囲の労働者に手当を支給した場合、または代替要員を新規雇用(もしくは派遣受入)した場合に支給されます。育休を取る本人だけでなく、フォローする側にも報いる仕組みです。

⑤柔軟な働き方選択制度等支援コース

フレックスタイム制度・テレワーク等・短時間勤務制度・保育サービスの手配及び費用補助・養育両立支援休暇制度という「柔軟な働き方選択制度」を3つ以上導入し、対象労働者が一定基準以上利用した場合に支給されます。子の看護等休暇制度を有給化した場合の区分もあります。

⑥不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース

不妊治療、月経(PMS含む)、更年期といった女性の健康課題に対応する両立支援制度を就業規則等に規定し、相談対応の担当者を選任したうえで、対象労働者が制度を合計5日(回)利用した場合に支給されます。

図版①:6コースの使い分けフローチャート(男性育休を増やしたい/介護離職を防ぎたい/育休の取得・復帰を後押ししたい/業務代替のフォローに報いたい/柔軟な働き方を整えたい/不妊治療・女性の健康課題に対応したい、のどれに近いか) 図: 課題別・6コースの使い分け。まずは自社がどのテーマに近いかを確認しましょう

コース選びで迷う場合、あるいは自社の取り組みがどのコースの要件に当てはまるかの実体判断が難しい場合は、専門家に相談すると確実です。

いくらもらえる?コース別の支給額(2026=令和8年度版)

「最大〇〇円」という単純な数字だけでは実態を捉えきれません。支給額はコースごと・要件の達成度合いで大きく変わるので、内訳を正確に押さえておきましょう。

コース種別・要件支給額
①出生時両立支援コース男性労働者の育児休業取得(子の出生後8週以内に育休開始)1人目20万円/2・3人目10万円
①出生時両立支援コース男性労働者の育児休業取得率の上昇等(1事業主1回限り)60万円
②介護離職防止支援コース介護休業を取得&職場復帰40万円
②介護離職防止支援コース介護両立支援制度:1つ導入&利用/2つ以上導入&1つ以上利用20万円/25万円
②介護離職防止支援コース業務代替支援:新規雇用/手当支給等(休業者向け)/手当支給等(短時間勤務者向け)20万円/5万円/3万円
②介護離職防止支援コース介護休暇制度有給化支援(1事業主1回限り)30万円
③育児休業等支援コース育休取得時/職場復帰時(各1事業主2人まで)各30万円
④育休中等業務代替支援コース手当支給等(育児休業):業務体制整備費(最大20万円)+業務代替手当(手当支給額の3/4、最大240万円)最大260万円
④育休中等業務代替支援コース手当支給等(短時間勤務):業務体制整備費(最大20万円)+業務代替手当(最大108万円)最大128万円
④育休中等業務代替支援コース新規雇用(育児休業):代替期間7日以上〜1年以上9万円〜81万円
⑤柔軟な働き方選択制度等支援コース制度を3つ導入&利用/4つ以上導入&利用(1事業主5人まで)20万円/25万円
⑤柔軟な働き方選択制度等支援コース子の看護等休暇制度有給化支援(1事業主1回限り)30万円
⑥不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース不妊治療/月経症状対応/更年期症状対応(各5日・回利用、各1事業主1回限り)各30万円
横にスクロールできます

業種横断・シミュレーション

同じ「両立支援等助成金」でも、業種と取り組みたい内容によって使うコースも支給額もまったく変わります。3つの業種を例に見てみましょう。

図版④:業種別・支給額シミュレーション(IT企業=出生時両立支援コース/介護施設運営会社=介護離職防止支援コース/製造業=育休中等業務代替支援コース) 図: 業種別に見る「どのコースで、どれくらい支給されるか」のイメージ

① IT企業(従業員18人・出生時両立支援コース) 男性エンジニアが第一子出産を控えている。育休を取りやすい空気を作りたいが、開発チームの人手が回るか不安がある。 → 雇用環境整備の措置を複数実施し、業務代替者の業務見直しに関する規定を整えたうえで、男性社員が出生後8週間以内に5日以上の育休を取得すれば1人目20万円が支給対象です。育休を取りやすくする社内制度の整備と、抜けた分の業務体制づくりを、育休開始前にセットで進めておくのがポイントです。

② 介護施設運営会社(従業員35人・介護離職防止支援コース) ベテラン職員が親の介護を理由に退職を考え始めた。介護休業を取得したうえで、復帰後も時差出勤や短時間勤務を選べるようにしたい。 → 介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針を社内周知し、面談を経てプランを作成・実施したうえで、対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し復帰すれば介護休業40万円。あわせて時差出勤制度と短時間勤務制度の2つを導入し、対象労働者が利用すれば介護両立支援制度25万円も上乗せでき、合計65万円が視野に入ります。

③ 製造業(従業員60人・育休中等業務代替支援コース) 女性社員が7か月の育休を取得予定。周囲でフォローに回るメンバーにきちんと報いる仕組みを作りたい。 → 代替業務の見直し・効率化に取り組み、業務を代替する労働者への手当制度を就業規則等に規定したうえで、対象労働者が7日以上の育休を取得・復帰すれば、業務体制整備費(最大20万円)+業務代替手当(支給した手当額の3/4、最大240万円)で最大260万円が支給対象になります。手当をどれだけ支給するかで実際の支給額は変わるため、まず社内でどの水準の手当を払うかを決めるところから始めます。

まずは自社の課題がどのコースに近いかを確認してみましょう。

コースが多く、自社に合うものが分かりにくいと感じたら、他に使える補助金・助成金がないか探してみるのも有益です。

コースの選び方や、取り組み内容をどうプラン・規定に落とし込むかで迷ったら、専門家に無料で相談できます。

承認までの重要なタイミングと必要書類

この助成金に「計画届の提出」はありません。代わりに、休業や制度利用が始まる前に社内の準備を終えることが実質的な期限です。本人が休みに入ってから規定を整えても、支給対象にならない可能性があります。

  • 休業・制度利用が始まる前:取得・利用に関する方針の社内周知、対象労働者との面談、育休復帰支援プラン・介護支援プラン等の作成、業務代替に関する規定の整備――これらはいずれも対象労働者が休業や制度利用を始める前に済ませておく必要があります
  • 休業・制度利用の実施中:コースごとに定められた日数・期間(例:介護休業なら連続5日以上、育児休業等支援コースなら連続3か月以上)の取得・利用を満たす
  • 復帰後:原則として原職等に復帰させ、コースごとに定められた期間(例:申請日までの間6か月以上)継続雇用する
  • 要件を満たした後:支給申請を行う。

図版②:申請から支給までのタイムライン(事前準備〈方針周知・面談・プラン作成・規定整備〉→休業・制度利用開始→取得・利用実績を満たす→復帰・継続雇用→支給申請→支給)。「事前準備は休業開始前」という隠れ期限を強調 図: 申請から支給までのスケジュール。「事前準備を休業開始前に済ませているか」が最初の分かれ目です

「育休の取得が決まってから慌てて規定を整える」のではなく、普段から雇用環境整備の措置や規定を用意しておき、休業の話が出たタイミングですぐに動ける状態にしておくのが、この助成金特有のコツです。

タイミングやること必要になるもの
休業・制度利用が始まる前方針の社内周知、対象労働者との面談、プラン(育休復帰支援プラン・仕事と介護の両立支援プラン等)の作成、業務代替に関する規定の整備就業規則等の規定文書、周知資料、面談記録、プランの文書
休業・制度利用の実施中コースごとに定められた日数・期間の取得・利用を満たす休業・制度利用の記録
復帰後原則として原職等に復帰させ、コースごとの期間継続雇用する雇用状況の記録(出勤簿・賃金台帳等)
要件を満たした後支給申請を行う支給申請書、各種要件を証明する書類
横にスクロールできます

図版③:タイミング別必要書類(事前準備→休業・制度利用→復帰・継続雇用→支給申請)。事前準備の書類(プラン・規定)が最初の関門であることを強調 図: いつ・何が必要になるか。事前準備が最初の分かれ目です

コースによってプランの名称・必要な社内規定・継続雇用期間の長さが異なります。自社の取り組みがどのコースの、どの手続きに当てはまるかを早い段階で確認しておくと、慌てずに済みます。

「うちの会社でも対象?」対象事業者の考え方

両立支援等助成金は、雇用保険適用事業所の事業主であれば、コースごとの要件を満たすことで対象になります。多くのコースが中小企業事業主を主な対象としてきましたが、 育休中等業務代替支援コースの手当支給等(①②)のように企業規模の要件がないコースもあります。中小企業でなくても、まずコース単位で確認してください。

例:従業員35人の介護施設運営会社(法人・正社員28人+パート7人) → 雇用保険適用事業所であれば、介護離職防止支援コースの対象です。介護休業の取得・職場復帰支援の方針を社内周知し、プランを作成・実施したうえで、対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し職場復帰・継続雇用すれば、介護休業分(40万円)の支給対象になります。

自社の規模・業種がどのコースの、どの要件に該当するかの最終判断に迷う場合は、専門家に相談すると確実です。

よくある質問

両立支援等助成金は中小企業しか使えませんか?

コースによって異なります。多くのコースは中小企業事業主を主な対象としていますが、育休中等業務代替支援コースの手当支給等(①②)のように企業規模の要件がないコースもあります。自社が対象になるかは、コースごとに公式サイト・労働局でご確認ください。

育休を取得した本人ではなく、代わりに働く従業員にもお金が出るコースはありますか?

はい。育休中等業務代替支援コースがそれにあたります。育児休業取得者や短時間勤務者の業務を代わりに行う周囲の労働者に手当を支給した場合や、代替要員を新規雇用・派遣受入した場合に支給されます(最大260万円)。

締切はいつですか?申請のタイミングはどう決まりますか?

年◯回という形の締切はありません。ただし、方針の社内周知・面談・プラン作成・規定整備といった事前準備は、対象労働者の休業や制度利用が始まる前に済ませておく必要があります。支給申請自体も、要件を満たした日を起点とした期限が設けられているコースがあるため、早めに準備を始めることが大切です。

【攻略ガイド】受給の要件と社内制度の整え方

無料記事では、両立支援等助成金の6コースと支給額の目安、承認までのタイミングをお伝えしました。ここから先は、「要件を満たしているのに、なぜか不支給になった」を避けるための実務を掘り下げます。この助成金は審査で優劣を競うものではなく、決められた要件を、決められた順番で満たせば支給される仕組みです。裏を返せば、順番を間違えると、あとからどれだけ取り繕っても支給対象にはなりません。どこでつまずきやすいか、どう防ぐかを見ていきましょう。

1. 両立支援等助成金の"受給の勘所"

両立支援等助成金は、事業計画の内容を審査員が評価して優劣をつける補助金とは仕組みが違います。就業規則等の規定整備・プラン作成・社内周知といった「事前の準備」と、対象労働者が実際に育休・介護休業を取得し、復帰し、働き続けたという「事後の実績」の両方が要件どおりに揃って初めて支給される、要件充足型の助成金です。

ここで最も多い落とし穴が一つあります。

  • 規定・プランの整備は、対象労働者の休業・制度利用が"始まる前"に完了している必要がある
  • 育休や介護休業が始まってから、あるいは労働者が制度を使い始めてから慌てて規定を整えても、後付けでは要件を満たしたことにならない
  • 「対象労働者が実際に何日休業したか」「原職に復帰したか」「復帰後どれくらい継続雇用したか」も、コースごとに定められた日数・期間を実際に満たしていることが前提

つまり、書類上どれだけ立派なプランを用意しても、労働者の実際の取得実績が要件を満たしていなければ支給されませんし、逆に労働者が育休を取っていても、事前の規定整備・周知が抜けていれば対象外になります。「まず制度を整え、周知してから、対象労働者に使ってもらう」という順序を絶対に崩さないことが、この助成金を受給するうえでの一番の勘所です。

2. 受給までの設計図

コースを問わず、共通する骨組みは次の流れです。自社の課題に近いコースを選んだら、この順番で準備を進めます。

ここから先は

残り 4,504 / 図版3

無料会員登録で、攻略ガイドを最後まで読めます

数多くの補助金を見てきた専門家が作成した攻略ガイドが無料で見放題。

今すぐ会員登録ログイン

支給されるプラン・規定には"整え方の型"があります

同じ取り組みでも、事前のプラン・規定をどう整えるかで、支給対象になるかどうかは変わります。どの制度を選び、どう社内規定に落とし込むかは、一般には出回っていません。

免責事項: 支給額・要件・申請の期限などの制度内容は、支給要領の改定により変更される場合があります。申請前に必ず厚生労働省の公式サイトまたは都道府県労働局で最新情報をご確認ください。

出典(一次情報)

この記事を読んだ人は、こちらも見ています

あわせて読みたい【南魚沼市】最大30万円!職場環境整備補助金の内容と申請のコツ南魚沼市の事業者が対象です。子育て環境改善・女性の就業環境整備が対象で、補助率はいずれも経費の2分の1、上限は職場環境整備事業30万円。通年で受け付けています。使えるかどうかの線引きと、申請の流れを解説します。6分で読めます あわせて読みたい【東京都】最大44万円!都型放課後等デイサービス事業補助金の申請のコツ東京都の障害福祉サービス業が対象です。コア職員・児童発達支援管理責任者の人件費支援が対象で、上限は443,200円。対象になる条件と、申請書類の準備手順をまとめました。5分で読めます あわせて読みたい【あわら市】最大3億円!企業立地促進条例助成金の内容と申請のコツあわら市の事業者が対象です。工場等の新設・増設が対象で、補助率は企業立地助成金は対象経費の10%以内、上限は企業立地助成金は3億円。申請できる人の範囲と、必要な書類を確認できます。5分で読めます

この制度が使えないときに検討したい制度

対象から外れた場合や、締切に間に合わない場合の候補です。用途と地域が近いものを挙げています。

この記事を書いた人
白木さん|元・自治体職員
制度をつくる側にいた元・自治体職員(産業振興)

市の産業振興課で補助金の設計・審査に関わってきました。「なぜこの要件があるのか」を制度の目的から説明できるのが強みです。窓口では伝えきれなかった制度の意図まで踏み込んで書きます。掲載内容は公募要領などの一次情報をもとに整理しています。

本記事は情報提供を目的としており、補助金の採択・交付を保証するものではありません。 補助上限額・補助率・締切等の内容は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず 公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。