工場の省エネ投資といえば、これまでは補助率1/3が相場でした。SHIFT事業には、その相場を崩す仕組みがあります。 設備をまるごと入れ替えるのではなく、DXシステムで運用を見直すだけなら、補助率は3/4まで上がります。
「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)」は、環境省が実施する補助金です。工場・事業場のCO2排出を減らすための取り組みを、「設備を改修する」道と「運用をDXで見直す」道の2つのメニューで支援します。どちらを選ぶかで、補助率も上限額も申請の重さもまったく変わります。
図: SHIFT事業の全体像。詳しくは本文で解説します
SHIFT事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主)。複数事業者による共同申請も対象 |
| 制度名 | 脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業) |
| 対象業種 | 指定なし(工場・事業場を持つ事業者全般。中小企業等が中心) |
| 利用目的 | 工場・事業場の省CO2型システムへの改修、DXシステムによる運用改善 |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 公式ページに記載なし(執行団体へお問い合わせください) |
| 補助上限額 | ①省CO2型システムへの改修支援事業:1億円または5億円(CO2排出削減量に応じて変動)/②DX型CO2削減対策実行支援事業:200万円 |
| 補助率 | ①1/3/②3/4 |
| 申請受付 | 令和8年6月12日公募開始。①一次締切は7月15日正午、二次締切は8月26日正午/②の締切は8月26日正午 |
| 公式サイト | 環境省「令和8年度 脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)の公募開始について」 |
2つのメニューは何が違う?
SHIFT事業には性格の違う2つのメニューがあります。どちらか一方しか選べないわけではありませんが、狙う効果と投資の規模がまったく別物なので、まず自社がどちらに近いかを確認しましょう。
①省CO2型システムへの改修支援事業
老朽化した設備を、省CO2型のシステムに入れ替える取り組みです。補助率は1/3、補助上限額は1億円または5億円(CO2排出削減量に応じて変動)。事業期間は3年以内です。
対象になるには、次のいずれかの削減率を満たす計画である必要があります。
- 工場・事業場全体でCO2排出量を15%以上削減する
- 対象となる主要システムでCO2排出量を30%以上削減する
大がかりな設備更新を前提にしているぶん、上限額も大きく設定されています。
②DX型CO2削減対策実行支援事業
DXシステムを使って、今ある設備の運用を見直す取り組みです。補助率は3/4、補助上限額は200万円。事業期間は2年以内です。
①より補助率が高いのは、設備そのものを入れ替えるより投資額が小さく、成果が出るまでの期間も短いためとみられます。 大きな設備投資に踏み切る前に、まず運用改善で減らせるCO2を洗い出したい事業者に向いています。
締切に注意。一次締切はすでに終わっています
①の改修支援事業には、締切が2回あります。一次締切は7月15日正午で、この記事の執筆時点(2026年8月1日)ではすでに終了しています。 狙うなら、8月26日正午の二次締切です。 ②のDX型は締切が1回だけで、こちらも8月26日正午です。
二次締切まで残された時間は限られています。改修支援事業は削減率の根拠となる試算や設備の見積もりが必要になるとみられ、DX型より準備に時間がかかります。着手するなら、まず執行団体(一般社団法人温室効果ガス審査協会)の公募要領原本を取り寄せ、必要書類の分量を先に確認しておくと動きやすくなります。
よくある質問
①と②を同時に申請できますか?
報道発表の範囲では、同時申請の可否は明記されていません。 まずは自社の取り組みがどちらのメニューの要件(削減率か、運用改善か)に近いかで判断し、詳細は執行団体に確認することをおすすめします。
中小企業でなくても申請できますか?
報道発表では「民間事業者等」が対象とされ、特に中小企業等が想定されているとの記載があります。企業規模の具体的な線引きは公式ページに記載がなく、執行団体への確認が必要です。
8月26日の締切に間に合わなそうです。次の機会はありますか?
令和8年度分の公募スケジュールとして次回公募の告知は、この記事の執筆時点では確認できていません。例年、環境省は年度ごとに同種の事業を実施しているため、次年度以降の公募が見込まれますが、確実な情報は環境省・執行団体の公式ページで確認してください。
