自己都合で辞めた場合に失業保険(雇用保険の基本手当)が出るのは、ハローワークで手続きした日から7日の待期と1か月の給付制限が過ぎた日の分からです。これは離職日が2025年4月1日以降の人の場合です。認定日は原則4週間ごとに来るので、最初の振込はハローワークで手続きした日からおよそ2か月後になります。会社都合なら給付制限がないため、手続きからおよそ1か月で最初の振込があります。
この記事では離職日から振込日までを実際の日付で数え、月給別にいくら・何日分もらえるかを自己都合と会社都合で計算します。計算には、令和8年8月1日から使われている日額の上限・下限と計算式を使います。
自己都合の失業保険はいつから出るか(要点)
| 区切り | 自己都合(正当な理由なし) | 会社都合(倒産・解雇など) |
|---|---|---|
| 数え始め | ハローワークで受給資格の決定を受けた日 | 同じ |
| 待期 | 7日間 | 7日間 |
| 給付制限 | 原則1か月(2025年4月1日以降の離職) | なし |
| 支給の対象になる日 | 手続きした日から約1か月と7日後の分から | 手続きした日から8日目の分から |
| 認定日 | 原則4週間に1回 | 原則4週間に1回 |
| 振込 | 認定日から通常5営業日 | 同じ |
| 初回の振込の目安 | 手続きから約2か月後 | 手続きから約1か月後 |
| もらえる日数 | 90〜150日 | 90〜330日 |
起点は会社を辞めた日ではありません。ハローワークに離職票を出して求職の申込みをし、受給資格の決定を受けた日から数えます。辞めてから手続きに行くまでの日数は、そのまま振込の遅れになります。
初回の振込の目安は、認定日が「受給資格の決定から4週間ごと」に指定された場合の計算です。次の章で日付を当てはめて確かめます。
離職から振込までを日付で数える(カレンダー例)
8月31日に退職し、離職票が届いた9月9日にハローワークで受給資格の決定を受けた人で計算します。過去5年に自己都合の離職で受給資格決定を受けたことがなく、教育訓練も受けていない前提です。
| 日付 | 自己都合(給付制限1か月) | 会社都合(給付制限なし) |
|---|---|---|
| 8月31日 | 離職日 | 離職日 |
| 9月9日 | 受給資格の決定(ここから数える) | 受給資格の決定 |
| 9月9日〜9月15日 | 待期7日間(支給なし) | 待期7日間(支給なし) |
| 9月16日〜10月15日 | 給付制限1か月(支給なし) | 支給の対象 |
| 10月7日 | 初回の認定日(支給の対象になる日がまだ無い) | 初回の認定日(9月16日〜10月6日の21日分) |
| 10月中旬 | 振込なし | 初回の振込 |
| 10月16日 | ここから支給の対象 | 支給の対象 |
| 11月4日 | 2回目の認定日(10月16日〜11月3日の19日分) | 2回目の認定日(28日分) |
| 11月中旬 | 初回の振込 | 2回目の振込 |
給付制限は待期が終わった翌日から始まります。この例では9月16日から10月15日までが給付制限で、10月16日からが支給の対象です。初回の認定日(10月7日)はまだ給付制限の途中なので、この日の認定ではお金が出ません。最初にお金が出るのは、2回目の認定日(11月4日)で認定される19日分です。
基本手当日額が6,307円の人なら、初回の振込は6,307円×19日=119,833円です。2回目からは28日分ずつになり、6,307円×28日=176,596円が4週間ごとに振り込まれます。
会社都合なら9月16日から支給の対象になり、初回の認定日に21日分が認定されます。同じ日に手続きしても自己都合は初回の振込が約1か月遅く、初回の金額も2日分少なくなります。
この例の認定日は、厚生労働省のリーフレット「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」の例(受給資格決定日が3月19日で、初回認定日の4月16日から5月14日・6月11日と4週間ごと)に合わせています。給付制限が1か月の人の初回認定日を手続きから何日後に置くかの決まりは、厚生労働省とハローワークの公開資料には見当たりませんでした。同じリーフレットには「本来、給付制限期間中の認定日はありません」とも書かれているため、初回の認定日が給付制限の途中に来るか、明けたあとに来るかは、人によって違う可能性があります。どちらの場合でも、お金が出るのは給付制限が明けたあとの最初の認定日で、手続きから1か月と7日より前にはなりません。実際の認定日は、受給説明会で渡される「雇用保険受給資格者証」に書かれた日で確かめてください。
7日の待期は全員に、給付制限は自己都合だけにかかる
待期7日間の数え方
待期は離職理由に関係なく全員にかかります。厚生労働省のパンフレット「離職されたみなさまへ」には、受給資格の決定を受けた日から「失業の状態が通算して7日間経過するまでを「待期期間」といい、この間は基本手当は支給されません」と書かれています。
数え始めは受給資格の決定を受けた日で、その日を1日目として7日間です。上の例なら9月9日から9月15日までが待期になります。待期の間に働いた日は「失業の状態」に当たらないので7日に数えられず、その分だけ待期が延びます。
給付制限は待期が終わった翌日から始まる
給付制限は、正当な理由のない自己都合で辞めた人にだけかかる「基本手当が出ない期間」です。同じパンフレットには「自己都合で離職された方は待期満了の翌日からさらに原則1か月間」基本手当は支給されないと書かれています。
待期と給付制限は同時には進みません。待期7日が終わってから給付制限1か月が始まるので、合わせて1か月と7日は支給の対象になる日がありません。
給付制限の長さは離職日と回数で決まる
| 離職日・離職の事情 | 給付制限 |
|---|---|
| 2025年3月31日以前に離職 | 原則2か月 |
| 2025年4月1日以降に離職 | 原則1か月 |
| 過去5年に、正当な理由のない自己都合の離職で受給資格決定を2回以上受けている | 3か月 |
| 重責解雇(自分の重大な責任による解雇。懲戒解雇など) | 3か月 |
| 2025年4月1日以降に始めた教育訓練等を受けた・受けている | 解除される |
判定に使うのは離職日です。2025年3月31日に辞めて4月にハローワークへ行った人は、2か月の給付制限になります。
3か月になる条件は書き方が記事によって割れていますが、パンフレットの言い方は「離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合離職し受給資格決定を受けた場合」です。今回の離職より前の5年間に自己都合で辞めて受給資格決定まで受けたことが2回あれば、今回(3回目)は3か月になります。自己都合で辞めても手続きをしなかった離職は、この回数に入りません。
給付制限なしでもらえる自己都合(特定理由離職者)
自己都合で辞めた人でも辞めた理由に「正当な理由」があればハローワークが特定理由離職者と判定し、給付制限はかかりません。判定するのはハローワークで、会社が離職票に書いた理由と本人の申し立てを資料で確かめたうえで決めます。
ハローワークの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」に載っている、特定理由離職者の主な例は次のとおりです。
- 病気・けが・心身の障害・体力の不足で働けなくなった
- 妊娠・出産・育児で辞め、受給期間の延長を受けた
- 親の死亡や病気、家族の介護など家庭の事情が急に変わった
- 配偶者や扶養すべき親族と別居を続けるのが難しくなった
- 結婚による転居や保育所の利用などで通勤が難しくなった
- 会社の移転や転勤命令、配偶者の転勤で通勤や同居が難しくなった
- 有期契約の更新を希望したのに更新されなかった
自分では自己都合のつもりでも、会社側の事情で辞めた場合は特定受給資格者(いわゆる会社都合)に当たることがあります。次のような場合です。
- 退職するよう会社から勧められて辞めた(退職勧奨)
- 賃金が85%未満に下がった(下がることを予見できなかった場合)、または賃金の3分の1を超える額が期日までに払われなかった
- 上司や同僚からの嫌がらせ・ハラスメントを受けて辞めた
- 離職前6か月に、連続3か月で月45時間を超える時間外労働があった
- 会社の移転で通勤が難しくなった
離職票の離職理由に納得できないときは、受給資格の決定の手続きのときにハローワークへ伝えます。ハローワークの手続きの案内にも「離職理由に異議がある場合」は相談するよう書かれています。タイムカードや給与明細、診断書、会社とのメールなど事実を示す資料を持って行くと話が早く進みます。
特定理由離職者でも、もらえる日数は原則として自己都合と同じ90〜150日です。会社都合と同じ手厚い日数になるのは、特定受給資格者と、特定理由離職者のうち有期契約の更新がされなかった人です。後者は離職日が2027年3月31日までの人に限られます。
給付制限を外す方法(教育訓練を受ける)
2025年4月1日から自己都合で辞めた人が教育訓練を受けた(受けている)場合は、給付制限が解除される仕組みが始まりました。対象の訓練は次のいずれかで、2025年4月1日以降に受講を始めたものに限ります。
- 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
- 公共職業訓練等
- 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
- これらに準ずるものとして職業安定局長が定める訓練
離職日前1年以内に受け終えた場合と、離職日以後に受けている場合が対象です。途中で退校した場合は当たりません。在職中に受けて修了していれば、待期が終わった翌日から給付制限なしで支給の対象になります。辞めた後に受講を始めた場合は、受講を始めた日以降が支給の対象です。重責解雇の人は対象外です。
解除を受けるには、ハローワークへの申し出が要ります。申し出の期限は、受給資格決定日か、その後の初回認定日までです。初回認定日より後に受講を始めた場合は、受講開始日の直後の認定日までに申し出ます。受講開始日が書かれた領収書や、修了日が書かれた修了証明書などを持って行きます。
給付制限が2か月以上の人が給付制限の途中で受講を始める場合は、さらに期限が細かくなります。リーフレットの例では、4月20日に訓練を始めた人は5月14日までに申し出ると4月20日の分から基本手当が出て、5月14日を過ぎて申し出ると「4/20~5/14の基本手当を受給することはできません」とされています。
訓練の受講を考えている人は、手続きの初日に窓口で伝えることを編集部は勧めます。申し出が1回の認定日分遅れるだけで、もらえるはずの日数が消えるからです。
自己都合でいくらもらえるか(計算方法)
基本手当日額の出し方
1日あたりの金額(基本手当日額)は、次の順で出します。
- 離職前の6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与は除く)を合計する
- その合計を180で割る(これが「賃金日額」)
- 賃金日額に給付率(50〜80%。60〜64歳は45〜80%)を掛ける
給付率は賃金が低い人ほど高くなります。令和8年8月1日以降に離職した60歳未満の人なら、賃金日額が5,480円未満は80%で13,490円を超えると50%になり、その間は少しずつ下がります。
日額の上限・下限(令和8年8月1日から)
基本手当日額には上限と下限があり、毎年8月1日に見直されます。令和8年8月1日からの額は次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限 | 令和8年7月31日までの上限 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 | 7,623円 |
| 下限(全年齢) | 2,562円 | 2,411円 |
令和7年8月や令和5年8月の額のまま載せている記事もあります。古い上限で計算すると、月給の高い人ほど少なく見積もります。
月給別の基本手当日額の早見表
6か月の月給(賞与を除く額面)が毎月同じだった60歳未満の人で、令和8年8月1日以降に離職した場合の基本手当日額です。上の計算式で出し、1円未満を切り捨てています。
| 月給 | 賃金日額 | 30歳未満 | 30〜44歳 | 45〜59歳 | 30〜44歳の90日分 |
|---|---|---|---|---|---|
| 15万円 | 5,000円 | 4,000円 | 4,000円 | 4,000円 | 360,000円 |
| 18万円 | 6,000円 | 4,683円 | 4,683円 | 4,683円 | 421,470円 |
| 21万円 | 7,000円 | 5,201円 | 5,201円 | 5,201円 | 468,090円 |
| 24万円 | 8,000円 | 5,644円 | 5,644円 | 5,644円 | 507,960円 |
| 27万円 | 9,000円 | 6,013円 | 6,013円 | 6,013円 | 541,170円 |
| 30万円 | 10,000円 | 6,307円 | 6,307円 | 6,307円 | 567,630円 |
| 33万円 | 11,000円 | 6,525円 | 6,525円 | 6,525円 | 587,250円 |
| 36万円 | 12,000円 | 6,669円 | 6,669円 | 6,669円 | 600,210円 |
| 40万円 | 13,333円 | 6,744円 | 6,744円 | 6,744円 | 606,960円 |
| 45万円 | 15,000円 | 7,450円 | 7,500円 | 7,500円 | 675,000円 |
| 50万円 | 16,666円 | 7,450円 | 8,270円 | 8,333円 | 744,300円 |
月給が36万円を超えると給付率が50%に近づき、日額はあまり増えません。30歳未満は月給45万円ほどで上限の7,450円に届きます。18万円と21万円の行は、厚生労働省の資料にある例(賃金日額6,000円で4,683円、7,000円で5,201円)と同じ値です。60〜64歳は計算式が違うので、この表は使えません。
自己都合でもらえる日数(所定給付日数)
自己都合(正当な理由なし)で辞めた人がもらえる日数は、年齢に関係なく雇用保険に入っていた期間だけで決まります。
| 雇用保険に入っていた期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
入っていた期間は、前の会社の分も一定の条件で通算できます。そもそも受給できるかどうかは、離職の日以前2年間に雇用保険に入っていた月が12か月以上あるかで決まります。会社都合と特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上あれば足ります。条件の細かい数え方は失業手当の条件の記事を見てください。
自己都合と会社都合の総額を計算する
月給(賞与を除く毎月の額面)が6か月同じだった人で、令和8年8月1日以降に離職した場合を計算します。
| 例 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 自己都合の総額 | 会社都合の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 25歳・月給22万円・加入3年 | 7,333円 | 5,357円 | 5,357円×90日=482,130円 | 5,357円×90日=482,130円 |
| 35歳・月給30万円・加入8年 | 10,000円 | 6,307円 | 6,307円×90日=567,630円 | 6,307円×180日=1,135,260円 |
| 50歳・月給40万円・加入22年 | 13,333円 | 6,744円 | 6,744円×150日=1,011,600円 | 6,744円×330日=2,225,520円 |
基本手当日額は、厚生労働省が示す令和8年8月1日からの計算式(賃金日額5,480円以上13,490円以下は 0.8×賃金日額-0.3×(賃金日額-5,480)÷8,010×賃金日額、1円未満切り捨て)で出しました。
25歳・加入3年の人は、会社都合でも日数が90日なので総額は変わりません。違うのは受け取り始める時期だけで、会社都合のほうが約1か月早く出ます。35歳・加入8年の人は会社都合だと90日多くもらえ、差は約57万円です。50歳・加入22年の人は日数の差が180日あり、差は約121万円になります。
3つの例で分かるとおり、自己都合と会社都合の総額の差はほとんどが日数の差から来ます。加入10年未満なら自己都合は一律90日なので、自分の総額は「基本手当日額×90」でほぼ見積もれます。総額の例をほかの月給で見たい人は失業手当の総額の計算の記事を、日額の出し方をくわしく知りたい人は失業手当はいくらかの記事を見てください。
会社都合(特定受給資格者)の日数表
会社都合の人は、年齢と雇用保険に入っていた期間の両方で日数が決まります。特定理由離職者のうち有期契約の更新がされなかった人(離職日が2027年3月31日まで)も、この表を使います。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
もらえる期間の数え方や、日数を使い切れない場合は失業保険の期間の記事で扱っています。
認定日と振込日のしくみ
認定日は4週間に1回
基本手当は、ハローワークで「失業の認定」を受けた日数分だけ出ます。認定日は原則として4週間に1回、ハローワークが本人ごとに指定します。最初の認定日は、受給資格の決定のあとに開かれる受給説明会で知らされます。
認定日には「失業認定申告書」に前回の認定日からの求職活動や働いた日を書き、「雇用保険受給資格者証」と一緒に出します。認定日に認定を受けないと、その期間の基本手当は出ません。行けない事情があるときは、前もってハローワークに相談します。
認定から振込までは通常5営業日
ハローワークインターネットサービスには、失業の認定を行った日から「通常5営業日」で口座に振り込まれると書かれています。厚生労働省のパンフレットは「おおむね1週間程度」としています。休日や年末年始(12月29日〜1月3日)をはさむと遅れることがあります。
給付制限の間も求職活動の実績が要る
給付制限の間はお金が出ませんが、求職活動をしなくてよいわけではありません。ハローワークの案内では、認定を受けるには前回の認定日から今回の認定日の前日までに原則2回以上の求職活動の実績が要ります。給付制限がある人は、給付制限の期間とその直後の認定対象期間を合わせて原則2回以上(給付制限が3か月の人は原則3回以上)です。
実績になるのは求人への応募やハローワークでの職業相談・セミナーの受講、許可を受けた民間の職業紹介会社での相談、資格試験の受験などです。求人をネットで眺めただけ、知人に紹介を頼んだだけでは実績に入りません。
待期・給付制限・受給中のアルバイト
アルバイトそのものは禁止されていませんが、どの時期に働くかで扱いが変わります。
| 時期 | 働いた場合の扱い |
|---|---|
| 待期の7日間 | 働いた日は待期に数えられず、待期がその分延びる |
| 給付制限の期間 | 基本手当はもともと出ない期間。働いた日と収入は認定日に申告する |
| 支給の対象になってから | 働いた日は支給されないか、収入に応じて減額される。申告が要る |
待期中に1日でも働くとそのぶん給付制限の始まりも後ろにずれ、最初の振込も遅れます。振込を早めたいなら、待期の7日間だけは働かないのが安全です。
支給の対象になってから内職や手伝いで収入を得た日は、収入の1日分から控除額を引いた額と基本手当日額の合計が賃金日額の80%を超えた分だけ減額されます。控除額は令和8年8月1日から1,429円です。厚生労働省の資料にある例では、賃金日額7,000円・基本手当日額5,201円の60歳未満の人が28日の認定期間のうち2日間内職して6,000円を得た場合、1日あたりの減額は1,172円で28日分の支給額は143,284円になります。
厚生労働省のパンフレットは、アルバイト中の人について、週の労働時間が20時間未満なら就労した日と収入額を申告したうえで、失業している日の基本手当を受けられる場合があると書いています。週20時間以上の働き方は、同じ一覧の「就職・就労中の方」に当たり、原則として受けられないと読めます。どの時期でも、働いた日と収入は失業認定申告書に書いて申告します。パートで働いていた人の受給の条件は失業保険とパートの記事にまとめています。
早くもらうために離職前後でできること
振込を1日でも早くしたいなら、効くのは手続きの日を早めることです。給付制限の1か月そのものは、教育訓練の解除と特定理由離職者の判定のほかに短くする方法はありません。
- 在職中に雇用保険被保険者証があるかを確かめ、会社がハローワークに出す離職証明書の離職理由を、署名する前に読む
- 離職票(-1、-2)が届いたら、その日のうちか翌日にハローワークへ行く。手続きは平日の8時30分〜17時15分で、求職申込みに時間がかかるため16時前の来所が勧められている
- 持ち物をそろえる(離職票-1・-2、マイナンバーカード、写真2枚、本人名義の通帳かキャッシュカード)。マイナンバーカードを毎回出す人は写真を省ける
- 受給説明会に出て、雇用保険受給資格者証と初回の認定日を受け取る
- 認定日までに求職活動の実績を作る
求職の申込みは、自宅のパソコンやスマートフォンからハローワークインターネットサービスで先に済ませることもできます。ただし厚生労働省のパンフレットには、雇用保険の受給手続きを行う場合は「ハローワーク窓口での追加の手続きが必要です」と書かれています。オンラインの登録だけでは受給資格の決定にならず、待期も始まりません。受給の手続きは、住所を管轄するハローワークの窓口で行います。
離職票がなかなか届かないときは、住所を管轄するハローワークに相談します。パンフレットには、離職票の交付を会社に頼んでいるのに届かない場合はハローワークへ相談するよう書かれています。
給付制限の間に就職が決まった場合は、基本手当の代わりに再就職手当を受け取れることがあります。待期が終わったあとに所定給付日数の3分の1以上を残して安定した仕事に就くと、残りの日数の6割(3分の2以上残っていれば7割)に基本手当日額を掛けた額が出ます。ただし給付制限を受けた人は待期が終わってから1か月の間は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職した場合しか再就職手当が出ません。求人サイトから自分で応募して決まった仕事は、この期間だと対象外です。くわしくは再就職手当の条件の記事と再就職手当の金額の記事を見てください。
受け取れる期限は離職の翌日から1年
90日の人は何回の振込で受け終わるか
カレンダー例と同じく認定日が4週間ごとに来る場合、自己都合で所定給付日数が90日の人は初回の振込が19日分で、2回目と3回目が28日分ずつ、4回目の残り15日分で受け終わります。19+28+28+15で90日です。4回目の認定日は受給資格の決定から20週間後なので、手続きからおよそ4か月半で最後の振込になります。
会社都合で90日の人は初回が21日分で、2回目と3回目が28日分ずつ、4回目が残りの13日分です。最後の認定日は手続きから16週間後で、およそ3か月半から4か月で受け終わります。日数が同じでも、受け終わる時期は自己都合のほうが約1か月遅くなります。認定日が祝日や年末年始に当たると前後にずれるので、実際の日は受給資格者証で数えてください。
1年を過ぎると残りの日数があっても出ない
基本手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職した日の翌日から1年間です。この1年を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給は打ち切られます。手続きが遅れたうえに給付制限が3か月かかる人は、150日分を1年のうちに受け取りきれないことがあります。
病気やけが、妊娠・出産・育児(3歳未満)や親族の介護で30日以上続けて働けないときは受給期間を延ばせます。延ばせるのは働けなかった日数分で、もとの1年と合わせて最長4年まで(延長は最長3年)です。申請は働けなくなった日の翌日から30日を過ぎてから早めに行うのが原則で、延長後の受給期間の最後の日までなら受け付けられます。
退職後の健康保険・年金と、収入のない期間
自己都合の場合、手続きの日からお金が入るまで約2か月かかります。その間も健康保険と年金の保険料はかかります。協会けんぽの案内では、退職後の健康保険の選び方は「健康保険任意継続」「国民健康保険」「ご家族の健康保険(被扶養者)」の3つです。毎月の保険料を比べて選びます。
任意継続は、退職日の翌日から20日以内に協会けんぽの支部へ申し出が要り、加入できるのは2年間です。国民健康保険は市区町村の窓口、家族の扶養は家族の勤務先の健康保険が手続き先です。
国民健康保険料(税)が軽くなる制度があるのは、特定受給資格者と特定理由離職者として基本手当を受ける人です。正当な理由のない自己都合の人は、この軽減の対象になりません。軽減を受けるには届け出が要るので、当てはまる人は市区町村の国民健康保険の窓口で確かめてください。
家族の健康保険の扶養に入るには、家族の健康保険が決めた収入の条件を満たす必要があります。基本手当を受ける間や給付制限の間の扱いは、加入先の健康保険によって違う可能性があるため、手続きの前に家族の勤務先の健康保険で確かめてください。確かめ方は失業保険と扶養の記事にまとめています。
60歳以上65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受け取っている人は、求職の申込みをすると基本手当を受け終わるまで年金が全額止まります。どちらが多いかは年金事務所で確かめてから手続きします。
よくある質問
自己都合で辞めても失業保険はもらえますか?
もらえます。離職の日以前2年間に雇用保険に入っていた月が12か月以上あり、働く意思と能力があって仕事を探している人が対象です。違いは、待期7日のあとに原則1か月の給付制限がかかることと、もらえる日数が90〜150日になることです。病気や家族の介護など正当な理由がある自己都合なら給付制限はかからず、加入期間も離職の日以前1年間に6か月以上で足ります。
自己都合の失業保険はいつからもらえますか?いつから支給されますか?
支給が始まるのは、ハローワークで受給資格の決定を受けた日から7日の待期と、給付制限の1ヶ月(原則)が過ぎた日の分からです。決定を受けた日が9月9日なら、10月16日の分から支給の対象です。実際に振り込まれるのは、その分を認定する認定日の約5営業日後で、手続きからおよそ2か月後になります。会社都合なら給付制限がないので、待期の翌日の分から支給されます。
自己都合で給付制限が1ヶ月のとき、いつから数えますか?
給付制限の1ヶ月は、待期7日が終わった翌日から数えます。離職日や手続きの日からではありません。9月9日に受給資格の決定を受けた人は、待期が9月15日まで、給付制限が9月16日から10月15日までです。離職日が2025年4月1日以降なら1ヶ月で、3月31日以前なら2か月です。
給付制限が1か月になったのはいつからですか?
離職日が2025年4月1日以降の人から1か月です。2025年3月31日以前に辞めた人は、ハローワークへ行ったのが4月以降でも2か月のままです。判定に使うのは手続きの日ではなく離職日です。過去5年に正当な理由のない自己都合の離職で受給資格決定を2回以上受けている人と、重責解雇の人は3か月になります。教育訓練による解除の仕組みも2025年4月1日から始まりました。
待期の7日間はいつから数えますか?
ハローワークで受給資格の決定を受けた日を1日目として数えます。離職日からではありません。9月9日に決定を受けたなら、9月15日までの7日間が待期です。待期は失業の状態が通算7日になるまで続くので、待期中にアルバイトをした日は数えられず、その分だけ待期が延びます。待期は会社都合の人にもかかり、この7日分は誰にも支給されません。
給付制限中にアルバイトをしてもいいですか?
できます。ただし働いた日と収入は、次の認定日に失業認定申告書で申告します。申告しないと不正受給になり、受けた額の返還に加えてその2倍以下の額の納付を命じられることがあります。週20時間以上働くなど雇用保険に入る働き方になると、原則として基本手当は受けられません。働き方の線引きが心配な人は、始める前にハローワークで確かめてください。
自己都合で3回目の退職だと給付制限は3か月ですか?
今回の離職日からさかのぼって5年の間に、正当な理由のない自己都合で辞めて受給資格決定まで受けたことが2回以上あれば、今回は3か月です。数えるのは受給資格決定を受けた離職だけで、辞めても手続きをしなかった離職は入りません。5年より前の離職も入りません。3回目でも正当な理由がある離職と判定されれば、給付制限はかかりません。
失業保険をすぐもらう方法はありますか?
自己都合のままでは、待期7日と給付制限1か月を短くする方法は2つしかありません。1つは教育訓練を受けて給付制限を解除すること、もう1つは辞めた理由が正当な理由に当たると判定してもらうことです。あとは離職票が届いたらすぐ手続きに行き、手続きの日を早めることです。会社に離職票を早く出してもらうよう、退職前に頼んでおくのも手です。
初回の振込はいくらくらいですか?
自己都合で認定日が4週間ごとの場合、初回の振込は給付制限が明けた日から2回目の認定日の前日までの分で、28日分より少なくなります。この記事の例では19日分で、基本手当日額6,307円なら119,833円です。2回目からは原則28日分ずつで、同じ日額なら176,596円です。何日分になるかは認定日の位置で変わるので、受給資格者証の認定日で数えてください。
離職票が届かないときはどうすればいいですか?
離職票は、会社がハローワークに離職証明書を出したあとに届きます。会社に交付を頼んでいるのに届かない場合は、住所を管轄するハローワークに相談します。厚生労働省のパンフレットにもそう書かれています。会社が手続きをしない、会社と連絡がつかないときも同じ窓口です。届くのを待つ間も受給期間の1年は進むので、早めに動くことを勧めます。
認定日にハローワークへ行けないとどうなりますか?
基本手当は、原則4週間に1回の認定日に失業の認定を受けた日数分だけ出ます。指定された認定日に行かないと、その認定対象期間の分は出ません。やむを得ない事情で行けないときは、認定日より前にハローワークへ連絡して日を変えてもらえるかを相談してください。変更できるかどうかや要る書類は事情によって違うので、窓口の判断になります。
給付制限中に就職が決まったら損をしますか?
損をするとは限りません。待期が終わったあとに所定給付日数の3分の1以上を残して安定した仕事に就けば、再就職手当を受け取れることがあります。ただし給付制限を受けた人は、待期が終わってから1か月の間に就職する場合、ハローワークか職業紹介事業者の紹介でなければ再就職手当は出ません。求人サイトの直接応募で決めるなら時期に気をつけてください。
給付制限中に病気になったらどうなりますか?
求職の申込みのあとに15日以上続けて病気やけがで働けなくなった場合は、基本手当の代わりに雇用保険の傷病手当(健康保険の傷病手当金とは別の制度)が出ることがあります。日額は基本手当と同じです。30日以上続けて働けないときは、受給期間を最長4年まで延ばす申請もできます。退職後の健康保険の給付は傷病手当金の退職後の記事を見てください。
失業保険の手続きは退職後いつまでにすればいいですか?
受け取れるのは離職日の翌日から1年の間なので、その中で待期・給付制限・所定給付日数がすべて収まるように手続きします。自己都合で150日の人なら、待期7日と給付制限1か月と150日で合わせておよそ6か月かかります。離職からおよそ半年を過ぎてから手続きすると、150日分を使い切れない計算です。90日の人でも手続きが遅いほど最初の振込が遅れるので、離職票が届いたらすぐ行くのが基本です。
会社都合だといつから振り込まれますか?
会社都合(特定受給資格者)は給付制限がないので、待期7日が終わった翌日から支給の対象です。認定日が手続きから4週間後なら初回の認定日に21日分ほどが認定され、そこから通常5営業日で振り込まれます。手続きからおよそ1か月が初回の振込の目安で、自己都合より約1か月早くなります。会社都合と自己都合の時期の比較は失業手当はいつからの記事にもまとめています。
