お茶を売るだけの取り組みでも対象になるのか。結論から言うと、対象になるのは観光客向けの体験プログラムを用意している場合です。
静岡市の「お茶ツーリズム体験プログラム高付加価値化補助金」は、茶農家と製茶業者が対象。茶畑や茶室での体験を充実させる取り組みに、経費の一部が補助されます。茶器の購入から予約システム導入、施設改修まで幅広く使えます。
補助率は茶農家が3分の2、製茶業者が3分の1で、上限はどちらも50万円。申請受付は2026年7月1日から8月31日までです。あなたの立場でどちらの補助率が適用されるか、次で確認します。
なぜ静岡市はこの補助金を用意しているのか
静岡市は「日本一の茶どころ」としての知名度と茶畑の景観を活かし、観光客が茶摘みや茶室での点茶を体験できる「お茶ツーリズム」を推進しています。茶葉の販売という「モノ消費」だけでなく、茶畑での体験そのものを楽しんでもらう「コト消費」へと軸足を広げる狙いです。
インバウンド観光客にとっても、茶畑を歩きながら茶摘みをし、そのまま茶室で自服してもらう体験は他の産地にはない魅力になります。一方で、こうした体験を安全・快適に提供するには、茶器や予約システム、多言語対応、キャッシュレス決済など受け入れ環境の整備コストがかかります。この補助金は、その初期投資の負担を軽くするために静岡市(観光文化・市民局観光国際課)が設けた制度です。
対象になる事業者は?茶農家と製茶業者で補助率が違う
対象者は「茶農家」と「製茶業者」の2区分で、それぞれ要件と補助率が異なります。
- 茶農家: 市内に住所を有する個人・市内居住者で構成される団体・市内に主たる事業所を有する法人のいずれかで、かつ市内に農地を所有または借受けして茶を生産していること
- 製茶業者: 上記と同様の居住・所在要件に加え、食品衛生法に基づき製茶業として届出済みであること
いずれも「観光客を受け入れている、またはこれから受け入れたい」体験プログラムの提供者であることが前提です。重要な違いは補助率で、茶農家は対象経費の3分の2(上限50万円)、製茶業者は3分の1(上限50万円)と設定されています。上限額は同じでも、必要な自己負担額は業態によって変わる点に注意してください。
| 区分 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 茶農家 | 3分の2(千円未満切り捨て) | 50万円 |
| 製茶業者 | 3分の1(千円未満切り捨て) | 50万円 |
対象経費でできること:茶室体験・多言語対応の具体例
対象経費は、体験プログラムの受け入れ環境整備に幅広く使えます。
- 消耗品費: 急須・湯冷まし・グラスなど体験時に使う茶器(使い捨てのものは対象外)
- 役務費・委託費: 予約システムの導入、ホームページ制作(上限20万円)、多言語対応の翻訳システム導入
- 修繕料・工事請負費: 体験会場となる茶室・母屋のトイレ改修、エアコン設置などの施設改修
- 備品購入費: 会場整備の備品、通訳機器、キャッシュレス決済機器
たとえば、茶畑での茶摘み体験のあとに古民家の茶室で本格的な点茶を振る舞う、といったプログラムなら、茶器の消耗品費と茶室の改修費の両方が対象になり得ます。インバウンド客が多い体験なら、通訳機器やキャッシュレス決済機器、多言語ホームページの整備も同時に狙えます。
補助額のシミュレーション:業態別に3パターン
同じ「お茶ツーリズム」でも、事業規模や業態によって補助額のイメージは変わります。
- 中規模の茶農家(茶摘み体験+茶室での点茶体験を新設): 茶室の改修工事30万円+茶道具などの消耗品10万円+予約システム導入15万円で対象経費75万円。補助率2/3を掛けると50万円となり、上限いっぱいまで補助を受けられる
- 小規模の茶農家(単発の茶摘み体験のみ): 茶摘み用の道具・急須などの消耗品6万円+簡易的な多言語案内の役務費3万円で対象経費9万円。補助率2/3で補助額は6万円ほどとなり、小さな体験でも初期費用の負担を軽くできる
- 製茶業者(工場見学+インバウンド対応の体験プログラム): 通訳機器20万円+キャッシュレス決済端末15万円+ホームページの多言語化(役務費・上限20万円)を含め対象経費150万円。補助率1/3で計算上は50万円を超えるため、上限50万円が適用される
自分の事業規模ではどのくらいの対象経費になりそうか、茶器・改修・システム導入などをリストアップして当てはめてみると、補助額のイメージがつかみやすくなります。
申請の流れと必要書類:8月31日までの書類提出が最初の関門
申請から交付までは、年度内で次のように進みます。
- 申請書類提出(2026年7月1日〜8月31日): 交付申請書、事業計画書、収支予算書、事業実施場所説明図、誓約書(暴力団排除条項を含む)、見積書、法人の場合は履歴事項全部証明書または定款、個人の場合は住民票または運転免許証等のコピーを提出
- 審査・結果通知(9月1日〜15日): 静岡市が審査を行い、採否を通知
- 事業実施・支払い完了(交付決定後〜2月28日): 交付決定を受けてから発注・契約に進み、年度内に支払いまで完了させる
- 請求書提出(〜3月5日): 実績を証明する請求書などを提出
- 補助金交付(〜3月31日): 審査を経て補助金が振り込まれる
さらに重要なのは、申請書類の提出期限が8月31日までと、審査より前に締め切られる点です。見積書の取得や事業計画書の作成には時間がかかるため、体験プログラムの改修・導入を検討している場合は、8月31日から逆算して早めに見積もりを取っておく必要があります。交付決定前に発注・契約してしまうと対象外になる可能性が高いため、順番にも注意してください。
販路開拓や新サービスの立ち上げには国の補助金もあります。あわせてこちらの記事で解説しています。
概要早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 静岡市お茶ツーリズム体験プログラム高付加価値化補助金 |
| 対象地域 | 静岡県静岡市 |
| 対象業種 | 農業(茶農家)/製造業(製茶業者) |
| 利用目的 | 観光・インバウンド対応、体験プログラムの高付加価値化 |
| 補助率 | 茶農家:3分の2/製茶業者:3分の1 |
| 補助上限額 | 50万円(いずれも共通) |
| 申請受付期間 | 2026年7月1日〜8月31日 |
| 公式サイト | https://www.city.shizuoka.lg.jp/s4852/s013848.html |
他にも自分の事業が対象になる補助金・助成金がないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
対象経費の細かい判断や事業計画書の書き方に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
茶農家と製茶業者、どちらも申請できますか?
はい。市内で茶を生産する茶農家と、食品衛生法に基づき届出済みの製茶業者のいずれも対象です。ただし補助率が異なり、茶農家は3分の2、製茶業者は3分の1となっています(上限額はいずれも50万円)。
茶畑ではなく茶室での体験だけでも対象になりますか?
対象経費は茶室の改修や茶器の購入なども含まれるため、茶畑での作業体験を伴わない茶室での点茶体験プログラムでも、受け入れ環境整備として対象になり得ます。
予約システムやホームページ制作だけに使うことはできますか?
役務費・委託費として予約システム導入やホームページ制作(上限20万円)は対象経費に含まれています。ただし補助上限額(50万円)や補助率は他の経費と合算した対象経費全体に適用されるため、内訳とあわせて事業計画書に整理しておくとよいでしょう。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件・スケジュールは変更される場合があるため、申請前に必ず静岡市の公式ページで最新情報をご確認ください。
出典:
