障害者のリフォームに使える補助は国が全国で同じ額を出す制度ではなく、お住まいの市区町村が決めています。土台は2つあります。障害福祉の日常生活用具給付等事業にある「居宅生活動作補助用具(住宅改修費)」と、要介護認定を受けた人が使う介護保険の住宅改修です。どちらも手すりや段差の解消といった小規模な工事が対象で、この記事で確かめた自治体の額は20万円前後です。
その上に、市区町村が上乗せする住宅改造の助成があります。この記事で一次情報を確かめた範囲では東京の目黒区・港区・大田区の中規模改修が641,000円で、千葉市が70万円、高知市が75万円、神戸市が100万円(介護保険などと一体のときは20万円を引いた額)、横浜市が120万円です。身体障害者のリフォーム(住宅改修)は、手帳1・2級を中心に障害の部位や所得で対象が分かれます。
ほとんどの制度は工事の前の申請が条件で、1世帯1回までとする自治体が多く新築や増築は対象外です。お風呂の工事は自治体の枠によって扱いが違い、鹿児島市は浴室改造を30万円までとしています。手当や医療費、年金は障害者の補助金の記事にまとめています。家を建てる場合や購入する場合は障害者が家を建てるときの補助金の記事に書きました。
この記事は制度の層、対象になる手帳の等級と所得、11の自治体の金額の表、お風呂・トイレ・玄関の工事、つまずきやすい決まり、税金、見積もりの前に確かめることの順に進みます。自分の自治体が表に無いときは、制度の名前の探し方を「全国の制度の一覧と探し方」にまとめました。
障害者のリフォーム補助金の概要
障害のある人の自宅の改修にお金が出る仕組みは、財源と窓口で3つに分かれます。窓口はどれも市区町村です。国の制度のように全国で額が揃っているわけではないので、自分の自治体の名前と金額を確かめることが最初の作業になります。
日常生活用具の「居宅生活動作補助用具」
厚生労働省の「日常生活用具給付等事業の概要」には、この事業は市町村が行う地域生活支援事業の必須事業の一つと書かれています。種目は6つあり、6番目が「居宅生活動作補助用具(住宅改修費)」です。告示では「障害者等の居宅生活動作等を円滑にする用具であって、設置に小規模な住宅改修を伴うもの」と定められています。
申請先は市町村長で、市町村が給付を決めてから給付を受ける流れです。利用者の負担は市町村の判断とされているため、自治体によって額も自己負担の割合も違います。東京の目黒区・港区・大田区は小規模改修の基準額を20万円としていて、高知市も日常生活用具の住宅改修を20万円と案内しています。
自治体によって「住宅設備改善費」「住宅改修費給付」と名前が違います。窓口は障害福祉の担当課で、身体障害者手帳を持っている人が対象になるのが基本です。
介護保険の住宅改修
要支援・要介護の認定を受けている人は、介護保険の住宅改修が使えます。厚生労働省の通知(老企第42号)は、支給限度基準額を20万円と定めています。要介護状態区分にかかわらず定額で、20万円の工事をした場合の保険給付は通常18万円です。利用者負担が2割なら16万円、3割なら14万円になります。
工事の種類は手すりの取付け・段差の解消・滑りの防止などのための床材の変更・引き戸等への扉の取替え・洋式便器への取替えと、これらに付帯する工事です。通知は被保険者の資産形成につながらない比較的小規模な改修として、この範囲に絞ったと説明しています。
20万円は同じ住宅で使い切りですが、再び20万円まで使える場合があります。最初の住宅改修の着工時より「介護の必要の程度」の段階が3段階以上上がったときが1回(一人につき1回限り。要支援1から要介護2は2段階の上昇で、当てはまりません)、転居したときです。通知は転居では現に居住している住宅の改修費だけを管理するので、新しい住まいで改めて限度額まで使えるとしています。
40歳から64歳の人は、特定疾病で要介護認定を受けたときに介護保険の対象になります。大阪市は65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上)の人はまず要介護認定を受け、要介護や要支援の状態になったら介護保険のサービスを使うことになると案内しています。
市区町村の住宅改造の助成(上乗せ)
3つ目が、市区町村が独自に設けている住宅改造の助成です。日常生活用具や介護保険の20万円では足りない工事を、補助率と上限額を決めて助成します。名前は千葉市の「重度障害者住宅改造費助成制度」や横浜市の「住環境整備費の助成」のように自治体ごとに違います。
対象は重度の障害のある人が中心で、課税状況で補助率が変わる制度が多くあります。上限額の幅は大きく、松戸市の30万円(課税世帯は15万円)から横浜市の120万円まであります。次の「金額の比べ方」の章に表で並べました。
国の省エネ補助との関係
窓や給湯器の省エネリフォームに出る国の補助金は、障害の有無にかかわらず使える制度です。障害のある人向けの住宅改修とは別の財源なので、住宅改修の助成と同じ工事に重ねて使えるかは制度ごとに確かめます。
重ねるときに自治体が置く決まりは、同じ工事費に二重に助成しないことです。千葉市は介護保険など他の制度で助成の対象になる場合、その助成相当額を工事費から控除すると案内しています。鹿児島市は、同一の工事について他の住宅関連補助制度と重複して交付を受けることはできないとしています。国の省エネリフォームの補助金はリフォーム補助金の記事に整理しました。
対象の条件:手帳の等級・年齢・所得で変わる
障害者リフォームの補助金で、読者がいちばん知りたいのは「自分は対象か」です。調べた制度の対象は手帳の等級・障害の部位・年齢・世帯の所得の4つで決まります。
手帳の等級と障害の部位
身体障害者手帳の等級は、1級と2級を条件にする自治体が多くあります。千葉市は身体障害者手帳1・2級で、松戸市は1・2級、鹿児島市も1級から2級です。大阪市は身体障がい2級以上、横浜市は1級または2級が対象に入ります。
等級だけでなく、障害のある部位も条件になります。東京の目黒区・港区・大田区の小規模改修は、下肢または体幹の障害が3級以上の人です。群馬県の補助は、上肢・下肢・体幹の1・2級と視覚障害の1級が対象です。高知市は下肢・体幹機能障害などの移動機能障害が3級以上で、かつ手帳の総合等級が1級か2級の人としています。
身体障害者の手帳が無くても、対象になる場合があります。千葉市は療育手帳のⒶからA2、松戸市はA2以上、大阪市は知的障がい重度(A)以上を対象にしています。横浜市は知能指数35以下の人も入ります。目黒区・港区・大田区は、内部障害の人について、補装具として車いすの交付を受けていることを条件にしています。
工事の大きさで等級の条件が上がる
同じ自治体でも、工事が大きくなると等級の条件が厳しくなります。東京の3区は小規模改修が下肢・体幹3級以上、中規模改修が2級以上(目黒区は1・2級)で、屋内移動設備の設置は歩行不能で1級の人です。大阪市はトランスファーシステムなどの設置を両上肢機能障がい1級かつ両下肢機能障がい1級か、体幹機能障がい1級の人に限っています。
手すり工事や段差解消といった小さな工事は、等級が軽い人でも対象になります。大阪市では、下肢機能障がい3級や体幹機能障がい3級の人が手すり工事・段差解消工事で上限25万円の給付を受けられます。等級が合わずに諦める前に、工事の内容ごとに窓口で確かめます。
年齢の線は65歳
65歳以上は、障害の制度より介護保険が先になります。松戸市は65歳以上を介護保険が優先としています。大阪市は65歳以上(特定疾病は40歳以上)の人にまず要介護認定を受けるよう求めています。目黒区と港区は小規模・中規模の対象を64歳以下までとし、大田区は65歳以上を対象外としています。
横浜市は、手帳を65歳に達した日以降に取得した人を住宅改造費の対象から除いています。65歳の前後で、使える制度の入口が変わります。
介護保険が優先される人でも、20万円で足りない工事は障害の制度で補える場合があります。高知市は、日常生活用具の住宅改修に上乗せする事業として位置づけています。松戸市は介護保険の住宅改修と併用するときは、助成額から介護保険の給付対象額を引くとしています。
所得と世帯の課税状況
補助率や上限は、所得で決まる制度が目立ちます。調べた制度の多くは所得か課税の状況が条件か、補助率や自己負担の決め方に入っています。千葉市・大阪市・松戸市・高知市・鹿児島市・群馬県・神戸市・横浜市がそうです。
見落としやすいのは、見られる所得が本人だけではない点です。千葉市は「生活中心者」の市民税所得割額で区分します。高知市は世帯の市町村民税の課税状況、鹿児島市は同居するすべての人の課税所得金額の合計(330万円超は対象外)で見ます。目黒区は、世帯に区民税所得割額46万円以上の人がいると給付の対象外です。
同じ世帯に収入の多い家族がいると、本人が非課税でも制限にかかることがあります。申請の前に、誰の所得が対象になるかを窓口で聞きます。
障害者リフォームの補助金の金額の比べ方
次の表は、自治体の公式ページで確かめた制度の金額と対象です(目黒区・港区・大田区は同じ金額なので1行にまとめています)。上限や補助率は年度で見直されることがあるので、申請の前に各自治体の案内で確認します。
| 制度(自治体) | 対象 | 上限・補助率 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 住宅設備改善費(目黒区・港区・大田区) | 下肢・体幹3級以上(中規模は2級以上)、65歳未満が中心 | 小規模20万円、中規模641,000円、屋内移動設備は機器979,000円と設置費353,000円 | 事前申請、課税世帯は1割負担など。大田区は所得に応じた自己負担 |
| 重度障害者住宅改造費助成制度(千葉市) | 手帳1・2級、療育手帳ⒶからA2 | 上限70万円。市民税所得割額で2分の2から3分の1 | 指定業者、1世帯1回、新築・増築は対象外 |
| 重度心身障がい者(児)住宅改修費給付(大阪市) | 身体2級以上、知的重度(A)以上。部位で枠が変わる | 25万円・50万円・100万円の3つの枠 | 所得割額46万円超は対象外、事前申請、原則1回 |
| 住宅改修助成事業(神戸市) | 手帳の交付を受けた人、要介護認定を受けた人 | 支給限度額100万円(介護保険などと一体のときは20万円を控除) | 生計中心者の前年所得600万円以下、着工前に申請、1世帯1回 |
| 住環境整備費の助成(横浜市) | 手帳1・2級、知能指数35以下など | 住宅改造費は120万円まで | 市民税額・所得税額に応じた自己負担、原則1回 |
| 重度身体障害(児)者住宅改造助成事業(高知市) | 移動機能障害3級以上かつ総合等級1・2級 | 工事費上限75万円。課税世帯2分の1、非課税3分の2、生活保護は全額 | 工事前に申請、1人1回(転居時は再度1回) |
| 障害者住宅改修助成(松戸市) | 手帳1・2級、療育手帳A2以上 | 非課税世帯30万円、課税世帯15万円が限度 | 2年以上居住、市税の滞納なし、助成は1回のみ |
| 高齢者等住宅改造費助成事業(鹿児島市) | 手帳1・2級、要介護認定を受けた人 | 対象経費の2分の1、上限50万円(浴室改造30万円、便器交換10万円まで) | 課税所得の合計330万円以下、毎月10日締め、同一家屋1回 |
| 重度身体障害者(児)住宅改造費補助(群馬県) | 上肢・下肢・体幹の1・2級、視覚1級 | 対象経費の6分の5、上限50万円 | 市町村民税所得割額16万円未満、新築・増築・借家は対象外 |
東京の目黒区・港区・大田区
3つの区は小規模20万円・中規模641,000円・屋内移動設備979,000円と設置費353,000円で金額が揃っています。港区の案内には「給付内容は毎年見直します」と書かれています。区の窓口へ工事前に相談し、工事後の申請は対象になりません。
港区には小規模・中規模のほかに、両上肢に重度の障害がある人向けのハンズフリー住宅改修(蛇口やドアノブの交換などで10万円)や階段昇降機・エレベーター(工事費を含んで1,332,000円)の種目があります。自己負担は基準額の1割で、住民税非課税と生活保護の人は無料です。
大田区は中規模改修を小規模改修と同時に申請するよう求め、助成は各種目1世帯1回としています。視覚障害2級以上の人も小規模・中規模の対象に入ります。65歳以上は対象外で、介護保険や高齢者向けの住宅改修を使うことになります。
大阪市
大阪市は、対象者を障害の部位と等級で3つの枠に分けています。身体障がい2級以上の人は、障害の除去・軽減に効果のある工事で上限50万円です。両上肢1級かつ両下肢1級か体幹1級の人は、水平移動・垂直移動のための機器の設置で上限100万円です。下肢3級や体幹3級の人は、手すりや段差解消の工事で上限25万円です。
自己負担は課税の状況で変わります。非課税世帯は自己負担がありません。課税世帯は50万円の枠で、工事費20万円までは1割、20万円を超えて50万円までは3分の2が自己負担と書かれています。前年分の市民税所得割額が46万円を超える世帯は給付を受けられません。
申請から決定まで通常約2か月かかり、安全性の確認でそれ以上かかる場合もあります。大阪市は改修工事の日程に余裕をもって申請するよう求めています。賃貸住宅では、承諾書(様式第3号)が必要です。
千葉市
千葉市は上限70万円の中で、市民税所得割額と施工業者の本社の所在地で助成割合を変えています。所得割額0円の世帯は、市内・市外の業者とも2分の2(全額)です。143,000円以下は市内の業者なら3分の2、市外なら2分の1です。213,000円以下は市内が3分の1で市外が4分の1です。213,000円を超えると助成はありません。
施工業者は指定業者から選ぶ決まりで、千葉市住宅供給公社のページに登録事業者の一覧があります。この制度と高齢者の住宅改修費支援サービスは、1世帯でどちらか1回のみです。
神戸市
神戸市の住宅改修助成事業は高齢者と障害者の両方が対象で、手帳の交付を受けた人は区役所の保健福祉課に相談します。生計中心者の前年所得が600万円以下(給与以外に収入がない場合は給与収入800万円)であることが条件です。
介護保険の住宅改修費または地域生活支援事業と一体的に使うため、支給限度額100万円から20万円を引いた額が対象になります。申請後に専門チームが訪問して身体状況に合う工事かを調べ、決定通知を受けてから着工します。助成金は施工業者の口座に振り込まれ、利用者は自己負担分だけを支払います。神戸市は、立替払いをして業者との間で精算の問題が起きても市は関知しないと案内しています。
横浜市
横浜市の「住環境整備費の助成」は手帳1・2級などの人に、浴室や便所などの改造費を120万円まで助成します。介護保険の対象になる工事は介護保険が優先です。手すりの取付け・段差の解消・床材の変更・引き戸への取替えなどを例に挙げています。
自己負担は、生計中心者の市民税額と所得税課税額に応じて決まります。新築・増築や老朽化・故障に伴う工事は対象外で、利用は原則1回です。必要な場合は建築士などの専門スタッフが相談に乗り、助言します。窓口は各区の福祉保健センターです。
高知市・鹿児島市・松戸市・群馬県
高知市は課税世帯が2分の1(上限375,000円)で、非課税世帯が3分の2(上限50万円)、生活保護世帯が全額(上限75万円)です。工事費100万円で非課税世帯なら、上限75万円に3分の2をかけた50万円が助成額になります。
鹿児島市は毎月10日が申請の締め切りで、申請から決定まで約1か月かかります。工事は決定通知のあとに着手します。群馬県は県と市町村で対象経費の6分の5を補助する仕組みで、窓口は市町村の障害福祉の担当課です。県のページの更新日は2019年10月16日のままなので、補助を実施している市町村と額はお住まいの市町村で確かめます。
松戸市は助成の対象を、本人と世帯の中心者が2年以上住んでいて市税を滞納していない人と定めています。申請はオンラインでも出せます。
対象になる工事
障害者の住宅改修で対象になる工事は、介護保険・日常生活用具・市区町村の助成のあいだで重なっています。共通する中心は、手すりの取付け・段差の解消・滑りにくい床材への変更・引き戸への扉の取替え・洋式便器への取替えと、これらに付帯する工事です。高知市と大田区は、この6つを助成の対象工事として並べています。
松戸市は対象を「障害の心身状況や障害部位による不便さの解消・改善に応じた工事」とし、本人と介助者の負担軽減や安全の確保に効果があると認められるものとしています。増築や維持補修的な工事、障害の内容と関係のない改修は対象外です。見た目をよくするだけの工事や、古くなった設備の更新は含まれません。
上の中心を超える工事は、助成の枠が変わります。目黒区は小規模改修の対象外の工事と、小規模改修で限度額を超えた工事を中規模改修の対象にしています。大田区も「小規模住宅改修による助成とならない改造工事」を中規模改修に含めます。どの工事が中規模に入るかは区の判断なので、窓口で確かめます。
お風呂(浴室)のリフォーム
お風呂の工事は、自治体の枠によって扱いが変わります。介護保険の住宅改修の種類は手すり・段差・床材・引き戸・洋式便器と付帯工事で、浴槽の取替えそのものは含まれません。浴室の手すりや入口の段差の解消、すべりにくい床への変更なら、介護保険と日常生活用具の対象にできます。
浴槽を替える・浴室を広げる・ユニットバスにするといった工事は、市区町村の住宅改造の助成の枠で見ます。千葉市は「浴室・便所・玄関等を障害者にあうように改造する場合」の費用を助成します。横浜市も、浴室や便所などの改造費を120万円まで助成します。
鹿児島市は、浴室改造を30万円までと区切っています。対象工事の例にはユニットバスの設置(浴槽のまたぎが困難などの理由での交換)が挙がっています。経費の中に浴槽や特殊便器のように日常生活用具で給付できる品目があるときは、その事業を先に使うと決めています。浴槽の取替えを何の枠で申請するかは、窓口に聞く最初の質問です。
浴室の工事費は幅があります。鹿児島市の手引きは令和4年度の浴室工事費の例として、1社の見積もりの平均が約112万円(約78万〜146万円)で2社の見積もりの平均が約102万円(約70万〜130万円)となり、約10万円の差が出たと載せています。助成の上限が30万円でも、見積もりを複数取って工事費そのものを確かめる意味があります。
トイレ
洋式便器への取替えは、介護保険・日常生活用具・市区町村の助成のどれでも対象になる代表的な工事です。鹿児島市は便器交換を10万円までと区切っています。
温水洗浄便座や特殊便器は、扱いが変わります。大田区は特殊便器への取替えを上肢障害2級以上の人に限っています。港区は温水洗浄便座への取替えを、上肢障害2級以上の人としています。トイレだけを替える場合の補助はトイレリフォームの補助金の記事に、手すりだけの工事は手すり設置の補助金の記事にまとめています。
玄関・スロープ・階段昇降機
玄関の段差やスロープ、階段昇降機や天井走行リフトなどの屋内の移動設備は、東京の区では「屋内移動設備」の種目です。目黒区の基準額は機器本体と付属品が979,000円、設置費が353,000円です。対象は、歩行不能で上肢・下肢・体幹のいずれかの障害が1級の人などに絞られています。
大阪市は、水平移動・垂直移動を容易にする機器(トランスファーシステムなど)に上限100万円の枠を置いています。横浜市は住宅改造費とは別に、自立支援機器(移動リフターや階段昇降機、段差解消機)に個別の限度額を設けています。
申請でつまずきやすい決まり
上位の自治体ページで共通して書かれている決まりを、制度ごとの根拠とあわせて整理します。細かい条件は、お住まいの自治体の案内が正です。
工事の前に申請する
調べた制度のほとんどで、工事の前の申請が条件です。群馬県のページには事前申請の記載がなく、横浜市は事前の相談を求めています。千葉市は「事前に窓口で手続きが必要」と書き、大阪市は「既に施工された改修工事に対する給付はできません」としています。高知市は住宅を改造する前の申請を求め、鹿児島市は決定前に着手した工事に助成金を交付できないとしています。神戸市は、事前に着工した工事を助成の対象外としています。
介護保険も同じです。厚生労働省の通知は、住宅改修を行う前に申請書類を市町村に出す事前申請を定めています。
編集部の判断では見積もりを依頼する前に、障害福祉の窓口へ相談するのが安全です。見積もりを業者から取る段階では、まだ契約は不要です。契約や着工を先にしてしまうと、払った工事費は戻りません。
審査には時間がかかる
大阪市は申請から決定まで通常約2か月、鹿児島市は約1か月かかるとしています。入院中の退院日に合わせて急ぐときは、神戸市のように入院中の人向けの受付方法を設けている自治体もあります。退院や進学や転居の予定があるときは、予定の数か月前に窓口へ相談します。
1回限りの制度が多い
千葉市は1世帯1回のみで、松戸市は過去に助成を受けた人の再申請を認めていません。大阪市は原則一度限り、群馬県は障害者1人について原則1回としています。小さな工事を何回かに分けても、その都度は受けられません。群馬県は、計画的に住宅改造を実施するよう案内しています。
高知市は転居した場合や転居しようとする場合に限り、再度1回の助成を受けられるとしています。介護保険の住宅改修も、転居すれば新しい住宅で限度額まで使えます。
新築・増築・住宅の購入は対象外
千葉市は新築・増築・工事開始後のものを対象外としています。高知市は新築や大規模な増改築、改造済み住宅の購入を対象外とします。松戸市も、新築や中古住宅で新たに取得した住宅の改修は対象外です。神戸市は新築(建替えを含む)や増改築、既設の破損や老朽化による取替・修繕を対象外としています。
家を建てる場合や買う場合の補助は、障害者が家を建てるときの補助金の記事で整理しています。
賃貸・借家
借家や賃貸住宅は、制度によって扱いが分かれます。群馬県は借家の改造を補助の対象にしていません。大阪市は賃貸住宅の場合に承諾書(様式第3号)を求めます。鹿児島市は借家・借間のときに住宅改造承諾書を、高知市は住宅の所有者と助成対象者が違うときに工事承諾書を求めます。
賃貸に住んでいる人は先に大家さんの承諾を得たうえで、お住まいの自治体が借家を対象にしているかを窓口で確かめます。
指定業者・登録業者
千葉市は、工事施工業者を指定業者の中から選ぶ決まりです。指定業者の本社が市外だと、助成割合が下がります。ほかの自治体は業者を指定していなくても、見積書の様式や図面の添付を決めています。業者の選び方は、次の「見積もり・契約の前に確かめること」にまとめました。
対象外の費用
松戸市は、申請書に付ける写真代・領収証の印紙代・清掃管理費・交通費・人件費を対象外としています。鹿児島市は審査会を経て決定するので、改造費の全額が対象経費になるとは限らないと案内しています。見積書に載る費用のうち、補助の対象になる経費を窓口に確かめます。
税金の優遇
補助金とは別に、バリアフリー改修には税金の優遇があります。国土交通省の資料は、所得税の特別控除の適用期限を令和10(2028)年12月31日までとしています。
所得税の控除は自己の居住の用に供する家屋でバリアフリー改修をしたとき、標準的な工事費用相当額(上限200万円)の10%を所得税額から控除する仕組みです。対象になる人は、50歳以上の人、要介護・要支援認定を受けている人、障がいのある人と、これらの人や65歳以上の親族と同居している人です。ほかにも、補助金等を差し引いた額が50万円を超えること、床面積が登記簿上40平方メートル超であること、合計所得金額が2,000万円以下であることなどの条件があります。手続きは確定申告です。
固定資産税の減額もあります。神戸市の案内では、新築から10年以上たった住宅で浴室・便所・手すり・段差などの工事費用(補助金を除く)が50万円を超えると、翌年度の固定資産税の3分の1が減額されます。居住者が65歳以上か、要介護・要支援認定を受けているか、一定の障害のある人の場合が対象です。神戸市のページは「2026年3月31日までの間」の工事と書いています。同じ制度を案内する福岡市のページは、令和8年度の改正を反映して令和13年(2031年)3月31日までの改修工事を対象としていて、神戸市の日付は更新が追いついていない可能性があります。工事の予定が決まったら、お住まいの市区町村の税の窓口で期限を確かめます。
補助金を受けた場合は、その額が控除の計算で工事費から差し引かれます。補助金と税の控除を両方使う予定があるときは、順番と金額の計算を税務署か市区町村の窓口で聞きます。
見積もり・契約の前に確かめること
業者に見積もりを頼む前に次のことを確かめておくと、契約のあとで助成の対象外と分かる失敗を防げます。
- 障害福祉の窓口(要介護認定を受けている人は介護保険の窓口やケアマネジャー)に、どの制度の何の工事が対象になるかを聞く
- 制度の種類(日常生活用具、介護保険、住宅改造の助成)のどれを先に使うかを窓口で決める
- 見積書が助成の様式に合っているか。松戸市は、対象工事の部分の材料費と施工費が明確に分かる見積書を求めている
- 着工の日が、助成の決定通知より後になっているか
- 指定業者や登録業者の決まりがあるか。千葉市は指定業者から選ぶ必要がある
- 賃貸や共有名義の住宅は、所有者の承諾書が用意できるか
- 見積もりの項目のうち、補助の対象になる経費と対象外の経費はどれか
- 助成金が業者の口座に振り込まれる制度か、利用者が立て替える制度か。神戸市は業者の口座に振り込む
介護保険の住宅改修について厚生労働省の通知は、ケアマネジャーが複数の住宅改修の事業者から見積もりを取るよう利用者に説明することとしています。障害の制度でも、鹿児島市が複数の業者から見積もりを取って比較するよう勧めています。1社だけの見積もりで進めず、同じ工事内容で2〜3社の見積もりを取ります。
当サイトは、特定の業者の紹介や申請の代行はしていません。申請の手続きは自治体の案内に沿って自分で、または家族が進めます。
全国の制度の一覧と探し方
障害者のリフォームの補助金は、全国で同じ名前の制度が一覧になっているわけではありません。同じ内容でも、自治体によって名前が違います。調べるときの検索語として、次の名前が使えます。
| 自治体 | 制度の名前 |
|---|---|
| 目黒区・港区 | 住宅設備改善費の給付 |
| 大田区 | 住宅改造相談・助成 |
| 千葉市 | 重度障害者住宅改造費助成制度 |
| 大阪市 | 重度心身障がい者(児)住宅改修費給付 |
| 松戸市 | 障害者住宅改修助成 |
| 高知市 | 重度身体障害(児)者住宅改造助成事業 |
| 神戸市 | 住宅改修助成事業 |
| 横浜市 | 住環境整備費の助成 |
| 鹿児島市 | 高齢者等住宅改造費助成事業 |
| 群馬県 | 重度身体障害者(児)住宅改造費補助 |
自治体の名前に「住宅改修」「住宅改造」「住宅設備改善」「住環境整備」を付けて検索すると、障害福祉課のページが出ます。見つからないときは市区町村の障害福祉の窓口に電話で、「日常生活用具の居宅生活動作補助用具(住宅改修費)はありますか」と聞くのが近道です。この事業は市町村の必須事業なので、どの市町村にも窓口があります。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」では、自治体の住宅リフォーム支援を検索できます。障害者向けに限らない検索なので、障害のある人向けの制度は自治体の障害福祉のページでも確かめます。
手当や医療費、補装具の制度は障害者の補助金の記事にあります。
よくある質問:障害者のリフォームの補助金
障害者がリフォームするときに使える補助金はありますか?
あります。窓口は市区町村で、障害福祉の日常生活用具給付等事業の居宅生活動作補助用具(住宅改修費)と、要介護認定を受けた人の介護保険の住宅改修、市区町村独自の住宅改造の助成の3つです。額は自治体で違い、手すりや段差の小規模改修は、確かめた自治体では20万円前後です(大阪市は25万円)。上乗せの助成は千葉市が70万円、横浜市が120万円などです。
障害者のリフォームの補助金はいくらまでもらえますか?
自治体で違います。調べた範囲の上限は、松戸市が30万円、鹿児島市と群馬県が50万円、千葉市が70万円、高知市が75万円、神戸市が100万円(介護保険などと一体のときは20万円を引いた額)、横浜市が120万円です。補助率は世帯の課税状況で変わります。千葉市は所得割額に応じて2分の2から3分の1で、高知市は課税世帯が2分の1、非課税世帯が3分の2です。実際の額は、上限額と補助率をかけた金額になります。
身体障害者手帳は何級から対象になりますか?
1級と2級を条件にする自治体が多くあります。千葉市・松戸市・鹿児島市は1・2級です。大阪市は2級以上で、下肢や体幹の3級の人は手すり・段差解消の枠(上限25万円)があります。東京の目黒区・港区・大田区の小規模改修は、下肢・体幹3級以上が対象です。部位で条件が変わるので、手帳の等級と障害の部位を持って窓口で相談します。
お風呂のリフォームにも補助金は使えますか?
浴室の手すりや入口の段差の解消、すべりにくい床への変更は、介護保険や日常生活用具の対象にできます。浴槽の取替えや浴室の改造は、市区町村の住宅改造の助成の枠です。千葉市と横浜市は浴室の改造を助成の対象にしていて、鹿児島市は浴室改造を30万円までとしています。浴槽をどの枠で申請するかは、工事の前に窓口で聞きます。
トイレや手すり、段差の工事は補助の対象ですか?
対象になります。手すりの取付けや段差の解消、滑りにくい床材への変更、引き戸への取替え、洋式便器への取替えは、介護保険・日常生活用具・多くの自治体の助成に共通する工事です。温水洗浄便座や特殊便器は、上肢障害2級以上など条件が付く自治体があります。ウォシュレットだけを付ける工事が対象かは、窓口で確認が要ります。
介護保険と障害者の制度は両方使えますか?
使える場合があります。介護保険で出る工事は先に介護保険を使い、足りない部分を障害の制度で補う仕組みが多くあります。千葉市と鹿児島市は、介護保険の対象になる経費を差し引いて審査します。松戸市は介護保険の住宅改修と併用できますが、助成額から介護保険の給付対象額が引かれます。同じ工事費に二重で補助が出ることはありません。
65歳以上でも障害者のリフォームの補助金を使えますか?
要介護・要支援の認定を受けているなら、介護保険が優先です。大阪市と松戸市は、65歳以上はまず介護保険を使うとしています。大田区は65歳以上を住宅改修の対象外とし、目黒区と港区は64歳以下を対象にしています。一方鹿児島市や神戸市は要介護認定を受けた人も対象で、年齢で一律に外していません。年齢の扱いは自治体で違います。
障害者のリフォームの補助金の申請方法を教えてください
まず市区町村の障害福祉の窓口で、工事が対象になるかを相談します。そのあと申請書、見積書、工事の図面、工事前の写真、手帳の写しなどを出します。松戸市の流れは、事前審査、着工、工事後の領収書と写真の提出、工事後審査、支給の決定です。鹿児島市は申請、実態調査、審査会、決定通知、着工、完了報告、交付の順です。書類は自治体で違うので、窓口で一覧をもらいます。
工事が終わってから申請しても補助は受けられますか?
受けられません。調べた制度のほとんどが、工事の前の申請を条件にしています。大阪市は既に施工された工事への給付はできないとし、鹿児島市は決定前に着手した工事には助成金を交付できないとしています。介護保険の住宅改修も事前申請です。契約や着工の前に、窓口へ相談します。
補助金は何回使えますか?
1世帯1回、1人1回の制度が多くあります。千葉市は1世帯1回のみ、松戸市は1回のみ、大阪市は原則一度限りです。群馬県は1人につき原則1回です。高知市は転居のときに限り再度1回、介護保険の住宅改修は「介護の必要の程度」が3段階以上上がったときと転居のときに再び20万円まで使えます。工事は計画的にまとめて行います。
賃貸に住んでいても使えますか?
制度によって分かれます。群馬県は借家の改造を補助の対象にしていません。大阪市・鹿児島市・高知市は、所有者の承諾書を出せば申請できる仕組みです。賃貸の人は大家さんの承諾を先にもらい、お住まいの自治体が借家を対象にしているかを窓口で確かめます。
家を建てるときや中古住宅を買うときも使えますか?
使えません。千葉市・高知市・松戸市・神戸市は新築や増築、住宅を取得したときの改修を対象外としています。家を建てる場合の補助は、障害者が家を建てるときの補助金の記事で整理しています。
家族が代わりに申請できますか?
家族や同居する人が申請できる自治体が多くあります。鹿児島市は、申請者を対象者本人または同居する生計中心者としています。群馬県は、障害者本人またはその人と世帯を同一にする人が対象です。必要な書類や委任の形は自治体で違うので、窓口で聞きます。
手当や医療費の助成も受けられますか?
住宅改修とは別の制度で、別の窓口です。特別障害者手当・障害児福祉手当・自立支援医療・補装具費の支給などがあります。住宅改修の助成と重ねて使えることがほとんどで、金額や所得制限は障害者の補助金の記事にまとめています。
