太陽光パネルだけを屋根に載せる計画では、この補助金は使えません。蓄電池とセットで入れる事業が対象です。
対象は、自家消費する施設を持つ民間企業です。上限は太陽光が2,000万円、蓄電池などが4,000万円で、合わせて6,000万円になります。令和8年度当初予算の公募は、一次が2026年7月31日正午、二次が2026年10月2日正午で、どちらも終了しています。
次の公募に備えるなら、補助額より先に条件を見ておくと動きやすくなります。発注の時期や財務の要件のように、後から直せない条件が多い制度だからです。
ストレージパリティ補助金の要点まとめ
正式名:ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
だれが
- 申請者
- 民間企業・青色申告の個人事業主・各種法人
- 対象業種
- 指定なし
- 利用目的
- 自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池の導入
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし(財務の要件あり)
いくら
- 補助上限額
- 6,000万円(太陽光2,000万円+蓄電池等4,000万円)
- 補助率
- 定額。太陽光4〜7万円/kW、蓄電池3.8〜3.9万円/kWh
いつ・どこへ
- 申請受付
- 一次は7月31日、二次は2026年10月2日正午で終了
- 事業の完了
- 2027年1月29日まで(検収と支払いまで)
「ストレージパリティ」は、太陽光を入れるとき蓄電池も入れた方が経済的にトクになる状態のことです。補助金の名前はそこから来ています。
うちは対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象になる見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 7
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 太陽光だけを入れる
- ✕ 交付決定の前に発注・着工した
- ✕ FIT・FIPの認定を受ける
- ✕ 中古品・在庫品を使う
- ✕ 個人(青色申告以外)が自己所有
数値は、戸建て住宅以外の施設の場合です。戸建て住宅は太陽電池10kW未満、蓄電池20kWh未満が条件で、余剰売電もできます。
逆潮流は、発電した電気が電力会社の送電線に流れ出ることです。戸建て住宅以外では、逆潮流を防ぐ装置(逆電力継電器)の設置が原則になります。
「直近3期のうち1期は黒字」は、財務の要件の一部です。ほかに、直近の決算で純資産が0円以上であることと、自己資本比率10%以上か流動比率100%以上のどちらかが要ります。満たせない項目があっても、追加資料で認められる場合があります。
青色申告ではない個人や地方公共団体は、自分で設備を所有する形では申請できません。PPAやリースの契約で、設備を使う側(需要家)として参加する道があります。PPAは、事業者が敷地に設備を置いて電気を売る契約のことです。
いくら出る? 計算してみる
補助額は、設備ごとに決まった単価(基準額)から計算します。実際にかかった対象経費が基準額の計算より少なければ、少ない方が交付額です。
| 設備 | 単価(基準額) |
|---|---|
| 太陽光(自己所有) | 4万円/kW |
| 太陽光(オンサイトPPA・リース) | 5万円/kW |
| 太陽光(戸建て住宅) | 7万円/kW |
| 蓄電池(業務・産業用) | 3.9万円/kWh |
| 蓄電池(家庭用) | 3.8万円/kWh |
- 自己所有で太陽光100kW:100kW × 4万円 = 400万円
- PPAで太陽光300kW:300kW × 5万円 = 1,500万円
- 太陽光600kW(自己所有):600kW × 4万円 = 2,400万円 → 上限の2,000万円
- 業務・産業用の蓄電池30kWh:30kWh × 3.9万円 = 117万円
太陽光は2,000万円、蓄電池・車載型蓄電池・充放電設備の合計は4,000万円が上限です。この2つを足した6,000万円が、1申請あたりの最大額になります。
蓄電池には、もう1つの上限があります。対象経費の3分の1です。蓄電池30kWhの経費が300万円なら、300万円 × 1/3 = 100万円で、単価計算の117万円より低いので100万円が上限になります。
太陽光の計算だけで資金計画を組むと、蓄電池の分で足りなくなります。蓄電池の経費も3分の1しか戻らないと見て、自己負担を計算しておくと安全です。
公募要領に書かれた「業務・産業用」と「家庭用」の区分は、合計容量ではなく製品ごとの容量で見ます。SII(環境共創イニシアチブ)に登録された家庭用の製品でも、1つのパワーコンディショナー(発電した電気を使える形に変える機器)につながる蓄電池の合計が20kWhを超えると、業務・産業用の単価になります。
何が経費になる?
対象にならないものから確認します。
- 交付決定日より前に発生した経費(在庫品・事前調査費を含む)
- 申請手続きの費用(補助金コンサルタントへの委託料など)
- 系統連系の申込費用、建築確認・消防届出の費用
- 点検・修理・清掃などの維持管理費
- 売電用メーターや工事費負担金
- 安全フェンス、監視カメラ、大型表示モニター
- 建築費、カーポートの支柱・基礎、事務所の改修
- 従業員研修
対象になるのは、設備を動かすのに必要な最小限の費用です。
- 太陽光発電設備と、定置用蓄電池の機器費と設置工事費
- 車載型蓄電池(EV・PHV)と、充放電設備(V2H)のセットの費用
- 設備の運用に欠かせない開閉器・変圧器・保護装置(一体で入れる場合)
金額はすべて税抜で計算します。見積書は原則3者以上から取り、「一式」ではなく機器ごとの数量と単価を書いてもらいます。EVとV2Hは単独では申請できず、経済産業省のCEV補助金に登録された製品が条件です。
申請から入金までの順番
- GビズIDを取る(事業者→デジタル庁。応募より前に。「エントリー」では申請できず、「プライム」か「メンバー」が要る)
- 見積書と単線結線図をそろえる(事業者→施工業者。3者以上の見積書と、機器の型番・数量が見積書と一致する図面)
- Jグランツで応募する(事業者→執行団体。公募期間の正午まで。提出後の差し替えは不可)
- 採択を待ち、交付申請書を出す(執行団体→事業者。応募の約2か月後が目安)
- 交付決定を受けてから発注・工事をする(事業者→施工業者。決定日より前の発注は不可)
- 完了実績報告書を出す(事業者→執行団体。検査合格から30日以内か2027年2月10日の早い方)
- 交付額の確定後に請求する(事業者→執行団体。入金は精算払い)
GビズIDは、国の電子申請に共通で使うIDです。発行に時間がかかるため、公募が始まる前に取っておくと間に合います。
交付決定は、採択とは別の通知です。採択の後に交付申請書を出して審査を受け、はじめて交付決定になります。交付決定日より前に、注文書の発行・契約・納品・着工・支払いのどれかをすると補助されません。
見積書の取得、発注先の選定(内定)、設置場所の調査、社内の決裁は、決定前でも進められます。納期が長い保護装置や変圧器、キュービクルなど一部の機器に限り、補助対象外の経費として計上する条件で事前に発注できます。太陽電池やパワーコンディショナー、蓄電池本体を事前に発注すると、事業全体が対象外になります。
必要な書類
準備できた 0 / 13
財務諸表は、法人単位で直近3決算期分の貸借対照表と損益計算書が要ります。構造安全性の資料は、太陽電池を屋根に載せる場合のものです。書類は申請区分で変わります。PPAやリースでは、契約書(案)と需要家への補助金の還元計算も要ります。全体のチェックリストは、執行団体が出す公募要領別冊に載っています。
過去の公募で多かった不備は、見積書と単線結線図の数量・型番・金額の不一致、見積書の未提出、「一式」表記の見積書でした。この2つが整っていないと、不採択になる可能性が高いと公募要領に書かれています。
補助金が出なくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に動いた:決定日より前の発注・契約・着工・支払いは対象外です。「業者から指示された」という理由も認められません。
- 条件を外れる設計にした:自家消費率が5割未満、過積載率(パネル出力÷パワーコンディショナー出力)が100%未満、費用効率性が1トンのCO₂削減あたり4万円超のいずれかで外れます。
- 変更を事前に報告しなかった:決定後の変更は大小を問わず、事前に執行団体へ報告して承認を得ます。自己判断や事後報告は認められず、決定取り消しになることがあります。
- 期限に間に合わなかった:検収と支払いを2027年1月29日までに終えます。単年度予算なので、2027年4月1日以降は交付されません。
- 設備を勝手に処分した:太陽光は17年、蓄電池などは6年の間、環境大臣の承認なしに処分できません。補助事業者は返還義務を連帯して負います。
前年度までとの違い・併用・税金
令和7年度当初予算までと比べると、数字が変わった項目があります。
| 項目 | 以前 | 令和8年度当初予算 |
|---|---|---|
| 蓄電池容量の下限(戸建て以外) | 15kWh以上 | 20kWh以上 |
| 交付上限(蓄電池類) | 1,000万円 | 4,000万円 |
| 交付上限(全体) | 3,000万円 | 6,000万円 |
| 家庭用蓄電池の基準額 | 4.1万円/kWh | 3.8万円/kWh |
この表の「以前」は、令和6年度補正予算と令和7年度当初予算です。令和7年度補正予算とは、IoT機器にJC-STAR適合ラベル(★1以上)を求める要件を除いて共通です。
国の別の補助金は、同じ設備には併用できません。地方公共団体が独自の財源で出す補助金は、同じ設備でも併用できます。国の財源を含む自治体の補助金は併用できません。判断に迷うときは、相手の補助金の窓口にも確認します。
受け取った補助金は、法人税や所得税の課税対象になる可能性があります。消費税は不課税です。圧縮記帳(課税を先送りする処理)の扱いは、税理士に相談してください。
よくある質問
太陽光だけを入れる場合は対象になりますか?
対象になりません。太陽光発電設備と、定置用または車載型の蓄電池を同時に導入する事業が条件です。例外は、環境省の別事業でペロブスカイト太陽電池を導入する場合で、このときに限り併設する定置用蓄電池だけの申請も受け付けます。既設の太陽光がある施設に蓄電池だけを足す申請は認められません。
令和8年度当初予算の公募はもう終わっていますか?
一次公募が2026年7月9日から7月31日正午、二次公募が2026年8月27日から10月2日正午で、どちらも終了しています。次の公募があるかどうかは、このページからは判断できません。執行団体である環境イノベーション情報機構のお知らせ一覧に公募の告知が出ます。条件の確認や見積書の準備は、告知の前から進められます。
個人事業主でも申請できますか?
青色申告をしている個人事業主なら、自分で設備を所有する形でも申請できます。青色申告ではない個人は、補助事業者になれません。その場合は、PPAやリースの契約で設備を使う側(共同事業者)として参加する形になります。地方公共団体も同じ扱いです。自己所有モデルでの申請は認められないので、契約の形から先に決めます。
業種や会社の規模に制限はありますか?
業種や従業員数の制限はありません。ただし、事業を続けられる体力があるかを財務で見られます。直近3期のうち1期は黒字、直近の決算で純資産が0円以上、自己資本比率10%以上か流動比率100%以上のどちらか、という3つです。共同申請者や需要家も評価の対象になります。満たせない項目があるときは、追加資料で認められる場合があります。
上限6,000万円はどう決まりますか?
太陽光の上限2,000万円と、蓄電池・車載型蓄電池・充放電設備の合計の上限4,000万円を足した額です。1申請あたりの最大額なので、太陽光だけで6,000万円にはなりません。実際の交付額は、単価から計算した額と、実際にかかった対象経費を比べて、少ない方になります。蓄電池は対象経費の3分の1も上限です。
PPAやリースだと単価は変わりますか?
太陽光の単価が、自己所有の4万円/kWから、オンサイトPPAとリースでは5万円/kWになります。ただし、補助金額の5分の4以上を、設備の法定耐用年数が終わるまでに需要家へ還元する条件が付きます。毎月の請求額やリース料の値引きが原則です。需要家と事業者に資本関係がある場合は第三者所有にならず、単価は4万円/kWのままです。
交付決定の前に発注してしまったらどうなりますか?
その経費は対象外になり、補助金は交付されません。太陽電池や蓄電池本体のような主要な機器を事前に発注すると、事業全体が不採択か交付決定の取り消しになることがあります。決定前に進めてよいのは、見積書の取得、発注先の選定(内定)、現地調査、社内の決裁までです。工事に着手済みの設備は、申請そのものができません。
余剰電力を売ることはできますか?
戸建て住宅以外では、できません。発電した電気を送電線に流さない設計が条件で、系統連系契約も「逆潮流なし」で申し込みます。FIT・FIPの認定を取ることも、自己託送(離れた自社施設へ送電網で送ること)も認められません。発電量の5割以上を自分の施設で使う計画にする必要があります。
採択は先着順ですか?
先着順ではありません。公募期間内に出された応募書類は、まとめて審査されます。外部の有識者による審査委員会が審査し、環境省との協議を経て採択が決まります。要件を満たしていても、予算の範囲で採択されるため、加点の評価が低いと不採択になることがあります。加点は、費用効率性、CO₂削減率、蓄電池容量の大きさなどで見られます。
他の補助金と併用できますか?
国(環境省・経済産業省など)の補助金は、同じ設備には併用できません。別の設備になら併用できますが、それぞれの目的を達成する必要があります。地方公共団体の補助金は、独自の財源なら同じ設備でも併用できます。国の財源を含むものは併用できません。判断に迷う場合は、本補助金と相手の補助金、両方の窓口へ確認してください。
補助金は課税されますか?
国の補助金は、法人なら益金、個人事業主なら事業所得として、課税対象になる可能性があります。消費税は、対価のない取引にあたるため不課税です。圧縮記帳を使うと、課税を一時的に先送りできます。具体的な処理は、税理士や公認会計士、所轄の税務署に確認してください。公募要領もこの3者への確認を勧めています。
補助金をもらった後に義務はありますか?
事業報告書の提出が、完了年度の翌々年度の初回の報告から3年間あります。環境省や執行団体から求められる稼働実績やCO₂削減データの提供、会計検査院の検査への対応(完了年度の終了後5年間が目安)もあります。帳簿と関係書類は、法定耐用年数の17年間保存します。店舗や工場を廃止して使用を中断するときは、6か月を目安に再開の計画を報告します。
問い合わせはどこにすればいいですか?
執行団体のサイトにある問い合わせフォームから送ります。電話での問い合わせは受け付けていません。応募期間中は、応募書類の内容に関する事前確認も受け付けていません。質問には、導入設備の概要や申請区分などの前提と、公募要領の該当箇所(「KY 4.1節」などの番号)を書きます。回答まで1週間程度かかることがあります。
