補助金というと、設備を買う費用の一部を支援するものが中心でした。高松市の脱炭素ファイナンス利用補助金は、少し違う形をとっています。
対象になるのは、グリーンローンなど"サステナブルファイナンス"を利用する事業者です。設備費ではなく、その融資にかかる手数料の2分の1(上限25万円)を補助します。
対象になるのは、令和8年4月7日から令和9年2月26日までに契約した融資です。予算は375万円で、先着順のため早めの相談が安全です。
なぜ高松市はこの補助金を用意しているのか
高松市は2026年2月、環境省の「第7回脱炭素先行地域」に選定されました。サンポート高松エリアを舞台に、地域金融機関である百十四銀行などと連携し、太陽光発電やEV船の導入とあわせて、中小企業のSBT認証取得やサステナビリティ・リンク・ローンの活用を後押しすることが計画の柱の一つになっています。脱炭素ファイナンス利用補助金は、この「金融機関と組んで中小企業の脱炭素経営を進める」という市の方針を、個々の事業者の資金調達コストという形で具体化した制度といえます。
「脱炭素ファイナンス」とは何か?対象になる融資の種類
補助対象になる「サステナブルファイナンス」は、通常の融資と異なり、資金使途や達成目標(KPI)を脱炭素・環境改善に紐づけた融資です。公式ページでは次の4種類が対象として挙げられています。
- グリーンローン(再エネ設備・省エネ設備など環境改善効果のある資金使途に限定した融資)
- サステナビリティ・リンク・ローン(CO2削減目標の達成度合いで金利等の条件が連動する融資)
- ポジティブ・インパクト・ファイナンス(環境・社会・経済への統合的な貢献を評価する融資)
- ブルーローン(海洋資源の保全に資する資金使途に限定した融資)
これらの融資を金融機関から受ける際、審査・組成にあたって発生する融資手数料(消費税を除く)が補助対象経費です。融資の元本や金利そのものは対象外である点に注意してください。
対象になる事業者と補助率・上限額
対象になるのは、市内に本社または主たる事業所を有する中小企業者で、次の要件を満たす事業者です。
- 業種ごとの中小企業基準(資本金または従業員数のいずれか)を満たすこと
- 令和8年4月7日〜令和9年2月26日の間にサステナブルファイナンスを契約していること
- 市税の滞納がないこと
- 暴力団排除に関する誓約ができること
補助率は対象経費の2分の1(千円未満切り捨て)、上限額は25万円、予算額は375万円です。
| 融資手数料(税抜) | 補助率 | 補助額(上限25万円) |
|---|---|---|
| 20万円 | 1/2 | 10万円 |
| 40万円 | 1/2 | 20万円 |
| 50万円以上 | 1/2 | 25万円(上限) |
たとえば、製造業がサステナビリティ・リンク・ローンで工場の省エネ設備更新資金を借り入れ、融資手数料が40万円かかったケースなら補助額は20万円。宿泊業がグリーンローンで空調設備の入れ替え資金を調達し、手数料が50万円を超えるケースでは上限の25万円が補助されます。予算375万円は先着順で消化され、予算がなくなり次第受付終了となる点が、実務上いちばん見落としやすいポイントです。
高松市の脱炭素経営支援3制度はどう違うのか
脱炭素ファイナンス利用補助金は単独の制度ではなく、高松市が用意する脱炭素経営支援の3段階のうちの一つです。目標設定→認証取得→資金調達という流れで整理すると、次のようになります。
| 制度名 | 支援する段階 | 補助対象経費 | 補助率・上限額 | 申請期間 |
|---|---|---|---|---|
| CO2削減目標設定補助金 | ①現状把握・目標設定 | 排出量可視化システム導入費+目標設定コンサル料 | 1/2・上限15万円 | 令和8年7/15〜令和9年1/29 |
| SBT認定取得事業補助金 | ②第三者認証の取得 | 排出量算定・削減計画策定の委託料+SBT認定申請費用 | 1/2・上限100万円 | 令和8年7/15〜10/15 |
| 脱炭素ファイナンス利用補助金(本記事) | ③資金調達 | サステナブルファイナンスの融資手数料 | 1/2・上限25万円 | 令和8年7/15〜令和9年2/26 |
つまり、まずCO2削減目標設定補助金で自社の排出量を可視化して目標を立て、次にSBT認定取得事業補助金で第三者認証を得て、その裏付けをもとに金融機関からサステナブルファイナンスを引き出す際のコストを脱炭素ファイナンス利用補助金で軽くする、という段階を踏む設計になっています。3制度とも令和8年7月15日から受付が始まっており、SBT認定取得事業補助金は上限額・予算額(100万円・800万円)が突出して大きいため、脱炭素経営に本格的に取り組む事業者ほど3制度をセットで検討する価値があります。
申請の流れとタイミング
3制度に共通する申請の基本的な流れは次のとおりです。
- 必要書類を準備: 交付申請書のほか、脱炭素ファイナンス利用補助金では融資契約書の写しと資金使途・KPI等がわかる書類が必要
- 郵送または持参で提出: 提出先はゼロカーボンシティ推進課(高松市本庁舎13階)
- 審査・交付決定: 提出後、市側で審査のうえ交付決定
- 実績報告・請求: 事業完了後に実績報告書・請求書等を提出し、補助金が交付される
設備投資には国の補助金もある
脱炭素ファイナンス利用補助金や関連2制度は、目標設定・認証・資金調達という「経営の仕組みづくり」を支援するものです。実際に設備の入れ替えを検討する段階になったら、国の補助金もあわせて確認しておくと選択肢が広がります。
設備の入れ替えには国の補助金もあります。あわせてこちらの記事で解説しています。
高松市の脱炭素経営支援3制度以外にも、自分の事業が対象になる補助金・助成金が他にないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。
3制度の組み合わせ方や、融資契約と申請のタイミング調整など実務の進め方に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。
よくある質問
脱炭素ファイナンス利用補助金はどんな融資でも対象になりますか?
対象は市が指定する4種類の「サステナブルファイナンス」(グリーンローン、サステナビリティ・リンク・ローン、ポジティブ・インパクト・ファイナンス、ブルーローン)に限られます。通常の運転資金融資や設備資金融資は対象外です。利用を検討する場合は、取引先の金融機関にこれらの融資商品の取り扱いがあるか確認するところから始めることになります。
CO2削減目標設定補助金・SBT認定取得事業補助金と併用できますか?
3制度は支援する段階が異なる(目標設定・認証取得・資金調達)ため、それぞれ要件を満たせば申請すること自体は可能と考えられます。ただし、実際の併用可否は事前にゼロカーボンシティ推進課へ確認するのが確実です。
個人事業主でも申請できますか?
対象事業者は「中小企業者」と定義されており、業種ごとの資本金基準または従業員基準のいずれかを満たせば法人・個人事業主を問わず対象になり得ます。ただし自身の事業規模がどの基準に該当するかは、業種によって基準が異なるため、申請前にゼロカーボンシティ推進課へ確認しておくと安心です。
免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助額・補助率・対象経費・申請要件・予算消化状況は変更される場合があるため、申請前に必ず高松市の公式ページおよび最新の申請の手引でご確認ください。
出典:
