高松市研究開発事業補助金は、市内の中小企業者が新製品・新サービスの開発や試作品づくりに使える研究開発費の補助制度です。補助率は3分の2(一定の条件では4分の3)、上限額は単独での申請で150万円、複数事業者によるコンソーシアムでの申請なら300万円まで補助されます。
対象になるのは、新製品・新サービスの開発、試作品の作成、既存製品の高付加価値化です。設備を買うだけの事業は対象になりません。「概ね3年以内の商品化」を見据えた研究開発そのものに、市が資金を出します。
高松市研究開発事業補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(中小企業者) |
| 制度名 | 高松市研究開発事業補助金 |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | 研究開発(新製品・新サービスの開発、試作品づくり) |
| 対象地域 | 香川県高松市 |
| 従業員数 | 中小企業基盤整備機構法上の中小企業者 |
| 補助上限額 | 300万円(コンソーシアム枠)/150万円(単独枠) |
| 補助率 | 2/3(一定の条件では3/4) |
| 申請受付 | 2026年6月8日〜7月24日当日消印有効(採択予定は単独枠2件程度・コンソーシアム枠1件程度)(受付終了) |
| 公式サイト | https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/jigyosha/sangyou/shoukougyou/seityousokushin/kennkyuukaihatsu.html |

対象になる事業者と補助対象事業
補助対象者になるのは、次のすべてに該当する中小企業者です。
- 中小企業基盤整備機構法上の中小企業者に該当すること
- 市内に住所(個人)・主たる事業所(会社)を有すること
- 事業収入を得ていること
- 今後も市内で事業を継続する意思を有すること
一方で、次に該当する場合は対象外になります。
- 大企業の子会社的な立場にある「みなし大企業」(発行済株式の1/2以上を大企業が保有 等)
- 交付申請日時点で市区町村税を滞納している者
- 過去に本補助金または高松市中小企業等環境変化対応補助金の交付を受けたことがある者
- 補助対象事業と同一の事業について、国・県など他の補助金の交付を受けた(受ける予定の)者
- 暴力団関係者、性風俗関連特殊営業を行う者、政治団体、宗教団体、法人格のない任意団体 など
見落とせないのは、「過去に本補助金の交付を受けた者は再度対象にならない」という制限です。一度採択されると、同じ制度は二度と使えません。
補助対象事業の実施形態は2区分あります。
- 単独枠: 申請者が単独で実施する研究開発
- コンソーシアム枠: 申請者を含む2者以上(大学・高専・国公設試験研究機関を含む)で構成する組織が実施する研究開発
いずれも、交付申請日から概ね3年以内に商品化を目指す事業であることが要件です。単なる汎用機械設備の購入だけの事業は対象になりません。

対象経費・補助率・上限額はいくら?
補助対象経費として要綱の別表に定められているのは、次の8費目です。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 原材料費 | 補助事業に直接使用する原材料の購入費 |
| 消耗品費 | 補助事業に直接使用する消耗品の購入費 |
| 機械装置・工具器具費 | 機械装置・工具器具の購入・製作・借用(汎用性のあるものを除く) |
| 試験検査費 | 試作品等の試験・検査・分析にかかる経費 |
| 知的財産権等関連経費 | 特許出願手数料、国際規格認証取得手数料、開放特許の使用料等 |
| 委託費 | 自ら実行困難な業務の一部を第三者に委託・外注する経費 |
| 専門家謝金・旅費 | 招へいした専門家への謝金・宿泊費・交通費 |
| 広告宣伝費 | 研究開発した新製品等にかかる広告宣伝費 |
委託費と広告宣伝費の合計額には上限があり、単独枠は75万円(税抜)、コンソーシアム枠は150万円(税抜)までです。また、広告宣伝費のみを補助対象経費とする申請は認められません。原材料費や機械装置費など、研究開発の実体を伴う経費と組み合わせる必要があります。
補助率と上限額は次のとおりです。
| 区分 | 補助率 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 単独枠 | 3分の2 | 150万円 |
| コンソーシアム枠 | 3分の2 | 300万円 |
| (地域課題の解決に資すると評価された場合) | 4分の3 | 単独150万円/コンソーシアム300万円(上限額は変わらず) |
補助率が4分の3になるのは、審査で「地域課題の解決に資する」と評価された場合だけです。上限額は変わりません。変わるのは自己負担です。単独枠で上限150万円を受け取るのに必要な対象経費は、3分の2なら225万円、4分の3なら200万円。用意する自己資金が25万円減ります。
補助額シミュレーション:業種別に3パターンで見る
実際にどんな使い方ができるか、業種別に3つ見てみます。
- 製麺業(讃岐うどん関連の新商品開発・単独枠): 健康志向の新しい麺・つゆの試作に、原材料費30万円、試験検査費(成分分析)20万円、専門家謝金(食品開発コンサルタント)15万円、機械装置の借用費25万円、パッケージデザインの委託費10万円を計上。合計100万円(税抜)×補助率2/3=66万円の補助(委託費10万円は上限75万円の枠内)
- 金属加工業(大学と連携した新素材加工技術の開発・コンソーシアム枠): 香川県内の大学と連携し、機械装置費150万円、大学への研究委託費80万円、専門家謝金20万円、試験検査費30万円、特許出願にかかる知的財産権等関連経費20万円を計上。合計300万円(税抜)×補助率2/3=200万円の補助(委託費80万円はコンソーシアム上限150万円の枠内)
- 福祉・生活支援サービス業(地域課題解決型の新サービス開発・単独枠): 高齢者向け配食サービスの新メニュー開発として、試作材料費20万円、福祉専門家への謝金15万円、試験検査費10万円、注文システムの外注費40万円、サービス周知の広告宣伝費15万円を計上。合計100万円(税抜)のうち、審査で地域課題解決に資すると評価されれば補助率4分の3が適用され、75万円の補助(委託費40万円+広告宣伝費15万円=55万円は上限75万円の枠内)
3パターン目のように地域課題の解決に資すると評価されれば、同じ100万円の投資でも補助額は約8万円増えます(66万円→75万円)。増えた分は、試作をもう1回多く回す試験検査費や、専門家への追加相談に充てられます。

審査ではどこが見られるのか
この補助金は予算の範囲内での書面審査による採択制です。誰でも通るわけではなく、要綱では次の基準で審査すると定められています。
- 新規性・革新性
- 市場性・成長性
- 妥当性
- 実現可能性
- 地域経済活性化への波及効果
- 地域課題の解決への寄与度(補助率4分の3を選択する場合のみ)
- その他市長が定める基準
審査では、市長が原則として中小企業診断士等に意見を求め、それを参酌して適否を決めます。事業計画書(様式第2号)に書く「自社の強み・弱み」「新規性・革新性」「市場性・成長性」「実現可能性」が、そのまま評価軸に対応します。
地域課題の解決にどうつながるか、これを言葉にできるかどうかが分かれ目です。同じ研究テーマでも、書き方次第で評価が変わることがあります。
申請から実績報告までのタイミングと必要書類
申請は「交付申請」→「交付決定」→「着手届・完了届」→「実績報告」→「交付指令・請求」という流れで進みます(交付決定とは、採択の後に届く「補助金を出します」という正式な通知のことです。この通知より前に発注・契約した費用は対象外になります)。
- 交付申請時: 交付申請書(様式第1号)、事業計画書(様式第2号)、事業実施スケジュール(様式第3号)、収支予算書(様式第6号)、誓約書(様式第7号)、経費の見積書の写し、法人は履歴事項全部証明書・直近3期分の決算書、個人は住民票の写し・直近3か年の確定申告書等の写し。コンソーシアム枠の場合はコンソーシアム体制調書(様式第4号)・構成員調書兼同意書(様式第5号)も全構成員分が必要
- 交付決定後、事業着手時: 高松市研究開発事業着手届(様式第10号)を直ちに提出
- 事業完了後: 高松市研究開発事業完了届(様式第11号)を直ちに提出し、完了日から20日を経過する日、または補助金にかかる会計年度の2月28日のいずれか早い日までに実績報告書(様式第15号)・事業実績書・収支決算書等を提出
- 完了1年後・2年後: 事業計画書に記載した売上目標の実績を報告する「事業実施効果報告書」(様式第19号)を提出
直近の募集は、申請期間が2026年6月8日(月)〜7月24日(金)(当日消印有効)、交付決定が2026年8月下旬頃の予定でした。採択予定件数は単独枠2件程度・コンソーシアム枠1件程度です。決して広き門ではありません。
実務では2点、おさえておきます。1件100万円(税抜)を超える契約と中古物品の購入は、原則2者以上から見積りを取り、最低価格の相手と契約すること。そして、単価50万円以上の機械・器具等は、耐用年数を経過するまで市長の承認なく処分できないことです。

国の補助金とあわせて検討する
この補助金は「概ね3年以内の商品化を目指す研究開発」に特化した制度です。設備投資そのものを補助する国の制度も、あわせて検討できます。
ただし、同一の事業で国・県などから別の補助金を受ける(受けた)場合、この補助金の対象外になります。同一事業での重複受給はできません。どちらを使うか、事業を切り分けられるかは、事前に高松市産業振興課へ確認してください。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
対象は「中小企業基盤整備機構法上の中小企業者」で、市内に住所を有する個人も対象に含まれます。申請時には発行後3か月以内の住民票の写し、直近3か年の確定申告書等の写しの提出が必要です。
コンソーシアム枠と単独枠、どちらを選ぶべきですか?
補助上限額は、コンソーシアム枠が300万円、単独枠が150万円です。大学等と体制を組めるなら、コンソーシアム枠にメリットがあります。ただし構成員に対象外要件に該当する者が1人でもいると、補助対象事業になりません。書類も構成員全員分が必要です。
過去にこの補助金をもらったことがあっても再申請できますか?
できません。過去に本補助金または高松市中小企業等環境変化対応補助金の交付を受けた者は、補助対象者から除外されます。新しい研究開発テーマでも、一度採択された事業者の再申請は認められません。
