自社の電気使用量を見える化するだけで助成が受けられるのか、それとも発電・蓄電まで手を出さないと対象にならないのか——ここを取り違えると、申請する区分そのものを間違えます。東京都「需給最適化に向けたエネルギーマネジメント推進事業」は、実は「EMS区分」と「ERAB区分」という中身の異なる2つの助成の総称です。
見える化だけでも申請できます。ただし、区分によって助成上限額が数百万円から1億円以上まで大きく変わるため、自社がどちらの取組をするのかを先に決めておく必要があります。
需給最適化に向けたエネルギーマネジメント推進事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 需給最適化に向けたエネルギーマネジメント推進事業(東京都・公益財団法人東京都環境公社) |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入、またはアグリゲーションビジネス(ERAB)に必要な設備の導入 |
| 対象地域 | 都内に本店・支店があり、東京電力管内に事業所を持つ事業者、または登録アグリゲーター・小売電気事業者 |
| 従業員数 | 規定なし(業種・規模を問わず対象) |
| 補助上限額 | EMS区分:見える化1,000万円/最適制御5,000万円(事業所ごと)。ERAB区分:システム構築1,250万円、再エネ発電設備7,500万円、エネルギー貯留設備1億5,000万円、通信機器50万円(いずれも事業所・システムごと) |
| 補助率 | 都内中小企業・都登録アグリゲーター:2/3以内、その他東京電力管内事業者:1/2以内 |
| 申請受付 | 令和8年4月24日〜令和9年3月31日17時まで |
| 公式サイト | クール・ネット東京「需給最適化に向けたエネルギーマネジメント推進事業」 |

EMS区分とERAB区分、対象になる/ならないの線引き
「エネルギーマネジメント」と一括りに聞くと、何にでも使えそうに感じますが、実際には取組の中身で申請区分が分かれます。
| 区分 | 対象になる取組 | 助成上限額 |
|---|---|---|
| EMS・見える化 | 電力使用量のシステム導入・改修 | 1,000万円 |
| EMS・最適制御 | 見える化に加え、自動制御・エネルギー貯留設備の導入 | 5,000万円 |
| ERAB・システム構築 | 複数需要家の電力を束ねて調整するシステム | 1,250万円 |
| ERAB・再エネ発電設備 | ERABに用いる再エネ発電設備の導入 | 7,500万円 |
| ERAB・エネルギー貯留設備 | ERABに用いる蓄電設備の導入 | 1億5,000万円 |
同じ「電力の見える化」でも、単に使用量をグラフ表示するだけのシステムか、そこから自動で機器を制御するところまで含むかで、上限額が5倍(1,000万円→5,000万円)違います。自社が今回導入するシステムがどこまでの機能を持つのか、契約前に見積書で確認しておくことが重要です。
ERAB区分は、複数の需要家(工場・オフィスなど)の電力使用を束ねて調整する「アグリゲーションビジネス」を行う事業者、またはそこに参加する事業者が対象です。単に自社工場の省エネをしたいだけであれば、多くの場合はEMS区分が該当します。
よく誤解されるポイント
「都内に本社があれば対象」と思われがちですが、正確には東京電力管内に事業所を持っていることが条件です。都内に本社登記があっても、対象設備が東京電力管内の外にある場合は対象になりません。逆に、本社が都外にあっても、都内に支店があり対象設備が東京電力管内にあれば申請できる可能性があります。自社の登記と設備の設置場所の両方を確認してください。
助成率も一律ではありません。都内中小企業やERABを実施する事業者は2/3以内ですが、それ以外の東京電力管内事業者は1/2以内にとどまります。見積段階で助成率をどちらで試算するかによって、自己負担額の見込みが変わってきます。
よくある質問
見える化だけの導入でも申請できますか?
できます。EMS区分の「見える化」は、電力使用量のシステム導入・改修だけでも対象です。上限額は1,000万円で、自動制御まで行う「最適制御」(上限5,000万円)とは別枠です。
ERAB区分は誰でも申請できますか?
主な対象は、複数需要家の電力を束ねて調整するアグリゲーションビジネスを行う事業者、または都登録アグリゲーターです。単独の工場・オフィスの省エネであれば、EMS区分の対象になる可能性が高くなります。
申請の締切はいつですか?
令和8年4月24日から令和9年3月31日17時までです。区分ごとの締切分けはなく、期間内であれば随時申請できます(公式ページに記載なし。予算状況は東京都環境公社へお問い合わせください)。
